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各部門の表彰台は、台湾勢が独占した
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社団法人精密工学会の主催による、「第2回国際マイクロメカニズム コンテスト」が、3月19日に明治大学理工学部(生田キャンパス)で実施された。手の平はおろか、指先に乗る小さなロボットたちによる競技の模様をお届けする。
同コンテストは国際化してからはまだ2回だが、大会そのものの歴史は今回で19回を数える、由緒あるイベントだ。精密工学会の春季大会のイベントのひとつとして、年1回ペースで行なわれている。しかし、国際化してから2回目ということと、今回は昨年と比較してだいぶエントリー数が増え、にもかかわらずいざその場になって棄権も多かったことなどから、かなり混乱した大会となってしまった。
今回は結果よりも、コンテストの内容や、マイクロメカニズム=小型ロボットたちのその小ささなどをお伝えしたいと思う。ちなみに国際大会といっても、アメリカ本土やヨーロッパなどからの参加まではなく、今回は台湾やハワイなど。そして、各国の大学生が参加している。
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会場は、明治大学生田キャンパスの中央校舎6Fメディア(AV)ホール
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ステージ上と下で2種類の競技が進行するなど、かなり混乱してしまった
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ロボットとコントローラ。コントローラが遙かに大きい
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競技は、4部門が行なわれた。「障害物走破」「相撲」「作業」、そして「自慢のマイクロメカニズム」の4部門。障害物走破、相撲、作業の3つは、有線と無線の2種類が用意されており、競技としては7種類が行なわれた形だ。
障害物走破は、長さ900mm×幅300mmの競技ボード上に、円筒、壁、砂の3種類の障害物が配置されており、チェックポイントを通過してゴールに向かうという内容。所要時間の短さで競う。目的は、障害物走を走破できるメカニズムの要素技術と総合技術の開発を則すものとしている。
ロボットのサイズは、スタート時点で手腕を含めて最大で15×15×20mm以内。重量は20gf(重量グラム)以下。無線の場合は、20×20×30mm以内で、重量は45gf以下。走行形式は、走る、這う、跳ねるなど自由だ。
電源および制御信号は、外部からリード線や柔軟なチューブなどで供給しても構わないとなっている。制限時間は2分で、時間内にゴールできない場合は、到達距離で評価する。円筒は直径50mm×高さ10mm以上~20mm以下で、30mm間隔で11個ほどが接地されている。
壁は高さ10mm×幅5mmで、互い違いに50mm間隔で3つ置いてある形だ。最後の砂は公園などの砂場の乾燥した砂を、長さ150mm×深さ3mmで敷き詰め、そこを通り抜けるというもの。これを抜ければゴールである。結果は、有線と無線のどちらも、高雄(カオシュン)大学やMingHsin科学技術大学などの台湾勢が表彰台を独占した。
相撲は、1対1でロボット同士が闘い、押し出したり、横転させたりした方が勝ちとなる。目的は、ダイレクトな接触によるパワーと技によって優劣を競い、メカニズムとアクチュエータ技術のさらなる発展を促すというものだ。
競技盤は、直径200mm×厚さ10mmの平たい円柱のプラスチック版。ロボットのサイズは、有線も無線も障害物走と同じだ。制限時間は1分で、勝負がつかない場合は審判団が判定を下すというルールだ。ロボットの性能や操縦者のテクニックに大きな差があるからか、それとも競技場の広さから来るのか、勝負は一瞬でつくことが多く、スタート前の一瞬を写真モードで撮影し、すぐさまムービーモードに切り替えてムービーを撮ろうとしたら終わっていた、という試合も多数。秒殺というか瞬殺というか、見る側が応援する間も、勝負を堪能する間もない感じだ。こちらも、有線、無線ともに台湾勢が独占する形になり、日本の大学生の姿は皆無。
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相撲の勝負直前。競技盤は思った以上に狭い
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ロボットのサイズは人と比較してこのぐらい
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ロボットの1台を横から見たところ。小さいが細かい
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【動画】対決の様子。それなりに長かった方
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作業は、1辺8mm重さ0.7gfの立方体のサイコロを運んだ数で勝負するというもの。競技の目的としては、走るだけでなく、作業も行なえることを重視している。ロボットのサイズは、有線も無線も障害物走と同じだ。具体的なルールは、自陣と敵陣に11個ずつサイコロが並んでおり、それを自陣のゴールエリアまで運んでいくというもの。
ちなみにサイコロは6の目を上にして並んでいるが、ひっくり返して1の目が上になるようにしてゴールに置かないと、カウントされないというルールになっている。自陣の11個が片づいたら、敵陣に残りがあるときは持ってきてしまってOKという内容だ。
競技ボードは長さ800mm×幅400mm。ゴールエリアは、長さ100mm×幅200mm。サイコロはセンターラインから20mm離して並べられている形だ。この競技でも、台湾の学生たちはすさまじく、ロボットの性能もさることながら、操縦者のテクニックが卓越しており、ロボットの開発と同時に操縦訓練もかなり積んできたことが伺えた。結果は、この競技も台湾勢の独占となった。
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試合中の様子。上手な学生たちは精密な操作を行なっていた
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サイコロを抱えて運ぶロボットの様子
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試合前にはサイズチェック
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【動画】試合の様子。これだけ細かい作業をてきぱきと行なう操縦者の腕がすごい
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最後の自慢のマイクロメカニズムのみは、参加者が日本の学生のみ(1名は留学生)。ほかの3部門では上位を席巻した台湾の学生たちは、直接的な勝負のないものには興味がないのか、エントリーをまったくしなかったようである。桐蔭横浜大学の「ミニホバークラフト」、大阪大学大学院の「歩(AYUMU)B」、電気通信大学の「架線移動小型機構」などがプレゼンされた。
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ミニホバークラフト。故障で自由に動けなくなってしまった模様
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【動画】ミニホバークラフトがテーブルの上をスイスイと動く様子
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歩(AYUMU)B。跳ねるように歩く
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【動画】ジタバタというユニークな動きの歩(AYUMU)B
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マイクロというよりは、ミニというサイズの架線移動小型機構
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【動画】架線移動小型機構が直交する架線を通過していく様子
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■URL
国際マイクロメカニズム コンテスト
http://www.cc.toin.ac.jp/sc/hayashi-lab/new/
社団法人精密工学会
http://www.jspe.or.jp/
( デイビー日高 )
2008/04/01 19:06
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