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ミッチェル・レズニック教授
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埼玉大学ものづくり教育センター(教育学部野村研究室)とラーニングシステムは18日、「レゴマインドストーム」シリーズのコンセプトの考案者である、マサチューセッツ工科大学(MIT)のミッチェル・レズニック教授による講演会「創造的な思考者として子どもを育てるために」を実施した。
ラーニングシステムは、レゴマインドストームシリーズの日本国内における正規代理店のひとつであり、埼玉大学ものづくり教育センターはマインドストームを活用した子供たちの教育活動を行なっている。今回はそうしたコネクションから、JR東京駅に隣接するJRサピアタワー9階にある埼玉大学ステーションカレッジにて、レズニック教授による講演が実現。各地から、マインドストームや各種ホビー用ロボットなどを活用した子供向け講座や工作教室などを開催している人たちや、教育関係者など50名以上が集まり、熱心にレズニック教授の話を聞き入った。
なお、今回の講演を企画したひとりであるラーニングシステムの代表取締役社長の石原正雄氏の計らいにより、短時間ではあったが、レズニック教授に直接インタビューをさせてもらった。後ほど、それも併せて紹介させていただく。
レズニック教授の講演に先立ち、埼玉大学の野村泰朗(のむらたいろう)准教授マイクを持ち、まず挨拶。野村准教授は、レゴマインドストームなどの知育玩具を使った子供向けの教室を開いており、そうした教育手法の世界的な第一人者であるレズニック教授の講演を非常に楽しみにしている、とコメントした。それを受けて、ラーニングシステムの石原氏がレズニック教授の紹介を行なった後、いよいよレズニック教授の講演がスタート。会場中が、レズニック教授の言葉と一挙手一投足、それと朗らかな笑顔に注目した。
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埼玉大学の野村泰朗准教授
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ラーニングシステムの代表取締役社長の石原正雄氏
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● クリエイティブ・ラーニング・スパイラルが重要
レズニック教授は、現在は変化の激しい時代であるため、イノベーションとクリエイティビティーが成功するためには重要だ、ということを強調することから講演をスタート。しかし、そのふたつを子供たちの中に育てていくためのルーツや方法が整えられていないのではないか、と続けた。
現状、世界の教育機関の多数が、知識や経験を教え込んでいるだけで、そうした方法が有効だった時代もあるが、これからは有効ではないという。現在のような状況下では、子供たちがイノベーティブにものごとをクリエイティブしていくことを身につけさせることが重要だと説明する。
レズニック教授は、そうした力を身につけさせて行くには、どういう方法が有効かを研究中だが、ヒントは幼稚園・保育園の子供たちの様子に隠されているという。好きなものを作って、そこからさらに友達と一緒になって、さらに新たな遊びに発展してという、「クリエイティブ・ラーニング・スパイラル」が重要なのだそうだ。
クリエイティブ・ラーニング・スパイラル(以下、クリエイティブ・スパイラル)=創造的思考のスパイラルは、例えばひとりの子が「町を作りたい」というアイディアを持っているところからスタートする。
それを、例えばレゴなどのブロックを使い、何かの建物を造ることで、第2段階へ進む。次にその建物を中心にして、別のクルマなどのオモチャなどで遊びが始まる。そしてそこへほかの子との遊びのシェアが始まり、遊びが拡大。そうこうしているうちに、建物が何かの拍子に倒れてしまったりする。
ここで、頑丈にするにはどうしたらいいかという工夫が始まるのだが、レズニック教授はここで先生が手伝ってあげられる部分があるという。例えば、実際の高層ビルなどの写真を見せてあげれば、基礎部分が太く、高層階へ行くに従って細くなるといった物理的に安定させられる形状というものを見いだせるかも知れない。こうしてスパイラルが繰り返されていくというわけである。
「想像する(アイディアを練る)」→「作る」→「遊ぶ」→「(友達と遊びを)共有する」→「振り返る」→「想像する……」、という創造的思考のスパイラルを、未就学の子たちは実際に行なっているというわけだ。レズニック教授によれば、これが小学校以上の子供たちにも、大人にもこれからは重要なことという。
しかし、残念ながら小学校以上では、世界中のほとんどの学校でそのスパイラルが授業にほとんど採り入れられていないのだそうだ。その理由はまず単純で、ブロックやクレヨンといった未就学児童たちがスパイラルの中で使用していた道具は、小学校低学年ならまだしも、それ以上には年齢的に合わなくなってきてしまうからである。結果、先生たちは知識や情報を与える、というのが世界中の多数の学校での一般的な教育のシステムになっているのだ。
しかし裏を返せば、年齢に適した道具・教材さえあれば、クリエイティブ・ラーニング・スパイラルを小学校以上の授業にも採り入れられるということ。レズニック教授は、そこに自分たちの新しいテクノロジーを採り入れることができると考えている。
● レゴ→マインドストーム→次世代の知育玩具ツールへの流れ
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講演中のレズニック教授
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そこで話はいったん、レズニック教授の唱える教育論や知育玩具の歴史にスイッチ。スイスのジャン・ピアジェ教授の「構築主義(コンストラクティビズム)」から始まり、その弟子のシーモア・パパート教授(レズニック教授の師)がMITで構成主義(コンストラクショニズム)を広めて発展させていった。
構成主義は、子供たちにクリエイティブに考えさせ、なおかつ作っていくことを同時進行させるのが必要、という考え方なのだそうだ。パパート教授は1969年に「タートル」と呼ばれるロボットにコントロール言語「ロゴ」を実装。床に敷いた紙の上に絵(図形)を描く技術を考え、それが'70年代に入るとコンピュータの世界にタートルの仕組みが採り入れられていき、モニター内でタートルが絵を描いていくようになる。その後、レゴを使ってロゴでコントロールする「レゴ ロゴ」が誕生し、'90年代に入るとコードレスのレゴマインドストームが誕生したというわけである。
レズニック教授は、マインドストームが世界中に受け入れられて広がっていき、数々のコンペティションが行なわれていく中で出会った子供たちを見ると、マインドストームを使ったクリエイティブ・スパイラルを実践しているのを見て取ったという。
しかし、課題も同時に見えてきたのだそうだ。すべての子供たちがロボットに興味を持つわけではなく、違う形でもクリエイティブ・スパイラルを起こさせてあげないとならないと感じたという。
マインドストームというと、子供たちが性別に関係なく喜んで遊んでいるようなイメージがあるが、絶対的に男の子の方が多く、やはり女の子は少ない。ロボットコンテストなどでは8~9割は男の子が占めるという状況からも、ロボットには興味を持つ女の子が少ないというのがわかる。
そこで、女の子も興味を持てるような、性別や年齢を超えてクリエイティブ・スパイラルに入れるツールの必要性を感じ、それが「ピコクリケット」(国内では、ラーニングシステムが昨年3月から教育関係者向けに発売中)であり、MITがフリーソフトとして用意されている子供向けのソフトウェア開発ツール「スクラッチ」なのである。
【お詫びと訂正】初出時、タートルロボットへのロゴの実装時期を誤って表記しておりました。正しくは1969年実装となります。お詫びとともに訂正させていただきます。
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ピコクリケットを見せるレズニック教授
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ピコクリケットで作ったネコ型ロボット
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● ロボットに興味のない女の子も楽しめる「ピコクリケット」
女の子の多くや男の子の一部は、ロボットロボットしたものは作る気はないけど、例えばネコなどの動物なら作りたいという子ならいるだろう。外見がネコのヌイグルミで、でもなでればよりニャーと鳴くロボットであれば、かわいいから作ってみようと思う子がいるはずだ。これは、光センサーを利用しており、なでる(手をかざす)ことで影に入って明るさの変化が起きることでニャーと鳴く仕組みで、外見のかわいさは段違いだが、マインドストームなどと同じことを学べるわけである。
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ネコ型ロボット。右下にあるのが、心臓部ともいえるCPUの入った装置「ピコクリケット」
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【動画】手をかざすと背部の光センサーが明暗の変化を感知して「ニャー」
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ピコクリケットで制作した事例のひとつ
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【動画】サウンドセンサーを叩くとその音に反応して動く
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製作事例のひとつ
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【動画】画面に映っていないが、スイッチを押すと動く仕組み
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また、レズニック教授は、いまやインタラクティブなおもちゃはあふれており、なでれば鳴く動物のロボットなどは多数あるが、おもちゃ屋で売っているものと自分たちが開発したものは大きく違うという。
通常販売されているものは、すでにプログラムされているもので、その多くが子供たちの手によるプログラムはできない。「学習」とは、子供たちが自分自身で何かを作り出すところに起きるものであり、何も作り出せないおもちゃでは学べない。おもちゃで学べた人は、それを作り出したデザイナーたちであり、子供たちは学べないのである。そうした経緯から、「ピコクリケット」を開発し、販売することにしたというわけである。
簡単に日本版(子供向けのおもちゃの素材に関しては、国によって安全基準が異なるため、その国その国の素材をセットにしている)を説明すると、粘土、テグス、ビーズ、カラフルな糸といったクラフト素材と、レゴブロックなどが入っている。
それらに加えて、光センサーサウンドセンサー、タッチセンサー、モーター、サウンドボックス、PCとつなぐためのUSBケーブル、WindowsとMacintoshに対応したソフトなどがワンセットになっているというわけだ。男の子的な機械系も入っていれば、女の子向けのファンシーでカラフルなものも入っており、男の子も女の子も遊べるように内容が吟味されているのである。
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日本語版のピコクリケットの中味
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レゴブロックやセンサー類とクラフト素材の一部
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女の子が喜びそうなクラフト素材も多数
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プログラムはPCからシリアルケーブルを経由してビーマーでピコクリケット本体に転送
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このセットを利用すると、前述した手をかざすとニャーと鳴くネコ(型ロボット)も製作可能。一見するとヌイグルミを作ってちょっとセンサーを付けただけのように見えるが、光センサーからの入力を数値化し、スピーカーへのアウトプットを行なうという、数学(プログラミング)、科学技術などを学べるわけである。
これまで、世界各地でピコクリケットを使ってワークショップが開催されたそうだが、香港の女の子は、ブーツを使って歩く速さが変化すると光の明滅パターンが変わってそれを知らせるという仕組みを作り出したそうだ。これは、女の子らしくファッションに結びついたプロジェクトであると同時に、数学、科学、テクノロジーといったプロジェクトでもある。
そのほか、アイスランドでは光センサーに反応してアラームが鳴り、頭をなでて、装着者を起こすという目覚ましシステムを男の子が考案。しかし、このシステムに対しては、子供たちの話し合いの中で、「アイスランドは緯度が高いために朝起きる時間に日が差さないのではないか?」と問題点を指摘されてしまったそうだ。そこでその少年は、次作品を紹介するポスターに「輸出用」とひと言書き入れて対応したそうである。レズニック教授は、そのとんちの効かせ方が面白かったそうだ。
ちなみに、ピコクリケットのワークショップで、どの子も同じようなものばかり作ってしまったらうまくいかなかったが、これまでどの国で開催しても子供たちが十人十色の多種多様なものを作り出しているそうである。
● デジタル時代に対応したツール的知育ソフト「スクラッチ」
また、レズニック教授は、コンピュータの中で何かをするという方向に世の中が移っていることに対しても、子供向けに何かを生み出せる仕組みというものを考えている。それが、先ほど名称だけ紹介したフリーソフトの「スクラッチ」だ。
いってみれば、オブジェクト指向のビジュアルスタイルのソフトウェア開発ツールで、レゴブロックのようにそれぞれ機能を持ったプログラムがパーツとして用意されており、それを持ってきてレゴのように組み合わせていくだけで簡単なゲームなどを作れてしまうという仕組みだ。
MITのスクラッチのホームページから英語版をダウンロード可能で、現在は日本語版の開発も進行中。そう遠くないうちに一般にも公開されるそうである。
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スクラッチの画面
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スクラッチの使い方を披露するレズニック教授
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スクラッチでは、「大きな魚をマウスで操って、小さな魚を食べさせる」といったインタラクティブなゲームも意外と簡単に作れてしまう。これは、レズニック教授が直接参加したワークショップで子供が作ったゲームだが、その子はスコアを追加したいと考えたという。しかし、ちょっと悩んでいるようだったので、スコアのプログラムのブロックを用意してあげ、その子はすぐさまそれを自分のゲームのブロックに接続して、小魚を1匹食べるとカウンターがひとつアップするスコアを設置することに成功。その子は、飛び上がらんばかりに喜び、レズニック教授に謝意を述べまくったそうだ。レズニック教授は、世界でも「変数」の概念を教えてあげて、ここまで喜ばれた教師もいないのではないか、と笑っていた。
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少年が制作した魚のゲームの開発画面
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【動画】このレベルのものは小学生でも簡単に製作可能
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レズニック教授は、そのことからも、現状の教育の問題点のひとつは、教えられていることがどう自分や社会に役立つかがわかりにくいことだという。数学の代数(変数)の概念も、ゲームでスコアを表示するのに使えるという事実を知れば、ゲーム製作に興味のある子供なら、すぐに興味を持てるはずだ、と述べていた。
● デジタル情報のシェアリングを学べる「スクラッチ」のコミュニティ
「スクラッチ」のシステムが優れているのは、プログラムを簡単に作れるという仕組みだけではなく、それを中核にしたキッズ・プログラマーが参加できるコミュニティが充実している点。YouTubeなどのように、自分で作り出したプログラムを簡単にアップロードでき、なおかつ人の作ったプログラムをダウンロードして自分のスクラッチ上で展開可能。オープンソースの考えを採り入れたコミュニティなので、オリジナルの開発者が誰であるかを明記する限り、どんどん手を加えていくことができる。世界中の子供たちによって、6万以上のプロジェクトがすでにアップロードされているそうだ(平均して3分にひとつがアップされる)。
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スクラッチのコミュニティのトップページ
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こちらはスクラッチやピコクリケットの最新情報を見られるMITの「Lifelong Kindergarten」のページ
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6万件のプロジェクトすべてがオリジナルではなく、1万以上が誰かの作ったオリジナルにインスパイアされて、バージョンアップを行なったものという。例えば、ロシアの子が、キャラクターをひとつ作成し、それをイギリスの子が自分の考えたストーリーに採用、それにさらにアメリカの子供がプログラムを追加して、という具合で、まさにLinuxなどを彷彿とされるオープンソース的発展がなされているのである。
ただし当然ながら、オリジナルを考えた子が、ほかの子にバージョンアップされることをよしとは考えない場合もある。「あいつが僕の考えを盗んだ!」というトラブルはそれこそ常時発生しているそうで、そこでレズニック教授たちは、「最初に作った人を明確にして、そこに別の人が新しいアイディアを乗せることは盗用ではなく、“コラボレーション”なんだ」と説明しているそうだ。つまり、デジタル情報のシェアリングを学べるのが、クリケットとそのコミュニティなのである。
● 現実とバーチャルをリンクさせる最新のシステム「スクラッチボード」
なお最新のスクラッチは、コンピュータの中から現実世界にリンクさせる方向でセンサーなどを追加しており、「スクラッチボード」というものを使った現実とバーチャルを連動させられるシステムになってきているのが特徴。
実際に、ノコギリを動かすような仕組みが画面の中のバーチャルな木こりがバーチャルな木を切り倒すというプログラムを作った子もいる。簡単なゲームだが、ここでもピコクリケット同様に、ゲームを作り出すという過程において、科学やエンジニアリング、そして前述したデジタル情報のシェアリングといったことも学べるというわけだ。
このスクラッチは、世界中の子供に触れてもらおうというコンセプトで、フリーでMITのサイトからダウンロードできるほかにも、100ドルPCにプリインストールする試みも検討中だ。さらに、携帯電話用も開発中だそうだ。携帯電話用のプログラムのサンプルとして見せてもらえたのは、マイクに向かって息を吹くと、画面のローソクの火を消せるというものだった。
そのほか、スクラッチは「セカンドライフ」にも対応しており、友人が来た場合にだけ家の扉を自動的に開けられる、という仕組みも簡単に作れるそうだ。レズニック教授は、今の子供たちはインタラクティブなものに囲まれて生きており、それを理解してほしいので、それらの仕組みを学べるツールが必要だと考えることから、こうした現実世界と連動させる仕組みを考えたそうである。
【お詫びと訂正】初出時、100ドルPCにスクラッチがすでにプリインストールされていると表記されておりましたが、正しくは現時点では開発中です。お詫びとともに訂正させていただきます。
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【動画】スクラッチボードの利用例。現実とバーチャルがリンクしている
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100ドルPC「OLPC XO」にインストールしたものも参考展示された
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携帯電話用も開発中
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● クリエイティブな未来の子供たちを育ててほしい
最後にレズニック教授は、「今あるものを作るだけでなく、新しいものをクリエイティブに作り出していってほしい」と子供たちに向けたコメント。また、子供たちが講演で述べたようなことを学べる場を提供できることを、非常に嬉しく思うとも語った。
そして、世界中の研究者のネットワークがさらに発達し、さまざまなコラボレーションを実現し、みんなで子供たちがクリエイティブに育ってくれる環境を作り出していくことを熱望するとも。講演会の参加者には、どんどんこうした場に参加してきて下さい、とも述べていた。「未来の子供たち、創造的な子供たちをみんなで育てていきましょう」として結んだ。
野村准教授が最後にもう一度挨拶を行ない、日本は出口が決まっていて、そこへの最短ルートを探してたどらせることを目的としている教育になってしまっているが、レズニック教授は出口を作り出す考え方、と補足。「その子に合った出口は必ず作り出せます」野村准教授は、そう結んだ。
● レズニック教授ミニインタビュー
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インタビュー時のレズニック教授
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――世界中でワークショップなどを開催されているかと思いますが、日本の子供たちの創造性は世界の子供たちと比較すると、教授の目から見た場合はどうなのでしょう?
【レズニック】未就学児童に関しては、日本も含めて、どこの国の子も差がありません。日本の子供たちも、とても想像力を発揮しています。しかし、小学校に上がってからが違いますね。指導する大人もそうだし、育てる環境に関しても違いがあります。ただし、そうした環境を換えていくのは、時間がかかることだと思います。現在の学校の仕組みというのも大事なことですから。
――日本の家庭は、夫婦共働きも多く、なかなかクリケットやスクラッチといった新しい教材を子供と一緒になって創造的教育をしてあげるといったことが難しい親御さんも多いと思います。買って与えてあげることはできるとは思うのですが、一緒につきあうことを考えると、つい躊躇してしまうような気がします。それから、どうしても「教材」というイメージはゼロにできませんから、敬遠してしまうお子さんもいるのではないでしょうか?
【レズニック】たくさんの時間は必要ないと思うんです。ちょっと触れてみれば、その楽しさがわかるはずですし、そうすれば一緒に遊びたくなりますよ。それに、子供の方は、ゲームを遊びたいと思わない子はいませんよね? そこをきっかけにすればいいんです。遊んでいる内に学べるわけですから。
――なかなか日本の教育のシステムや親御さんの考え方などを変革していくのは難しいのではないかと思うのですが、何かよいアイディアはあるのでしょうか?
【レズニック】学校(国)や家庭だけでなく、ビジネス(産業界)の分野から変革のプレッシャーをかけていく、という方法があると思います。ちなみにシンガポールでは国が積極的に創造的な教育を進めているのですが、産業界とのミスマッチが起きたりして、簡単にいかないのは事実です。
――それでは、日本でのピコクリケットの展開を教えて下さい。
【レズニック】教育界向けに展開しています。また、今回のような機会を設けて、アフタースクールにも働きかけています。
――レゴマインドストームでも十分対応できそうな気がしますが。
【レズニック】どうしても、ロボットは男の子のものなんです。ロボットもいいのですが、性別・年齢に関係なく、特に女の子への入口を作りたかったから、ピコクリケットにたどり着いたわけですね。また、女の子だけじゃなくて、小さい子も興味があるのはロボットだけではないんですよ。
――ピコクリケットは世界中で発売されていますが、それぞれの国の女の子の文化を採り入れたりはしているのでしょうか?
【レズニック】国によって安全基準が異なるので、同梱しているクラフト素材が若干異なったりはしますが、基本は同じです。でも、どこの国の女の子にもアピールしていますね。
――お忙しい中、大変ありがとうございました。
■URL
埼玉大学
http://www.saitama-u.ac.jp/
ラーニングシステム
http://www.mdstorm.com/
ピコクリケット(ラーニングシステム)
http://www.mdstorm.com/pico/
Cricket(ピコクリケット公式サイト)
http://www.picocricket.com/
Scratch(スクラッチコミュニティ)
http://scratch.mit.edu/
Lifelong Kindergarten
http://llk.media.mit.edu/
( デイビー日高 )
2008/01/28 00:07
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