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【 2009/04/20 】
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【やじうまRobot Watch】
巨大な機械の「クモ」2体が横浜市街をパレード!
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【 2009/04/17 】
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【 2009/04/16 】
北九州市立大学が「手術用鉗子ロボット」開発
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ROBOSPOTで「第15回 KONDO CUP」が開催
~常勝・トリニティに最強のチャレンジャー現る
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【 2009/04/14 】
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第19回全日本ロボット相撲 近畿大会レポート
~全国大会を目指すロボット力士の熱い戦い!


 9月9日に、大阪府立淀川工科高等学校にて、第19回全日本ロボット相撲近畿大会が開催された。

 全日本ロボット相撲大会は、『学生ならびに社会人が、ロボット作りを通して、技術の基礎・基本を習得し、研究意欲の向上と創造性発揮の場を提供し、「ものづくり」の楽しさを知ること』を目的とし、富士ソフト株式会社と社団法人全国工業高等学校長協会が主催している。


(社)全国工業高等学校長協会副理事長 久保和幸氏
 今年は、9月2日の北海道大会を皮切りに、10月28日までに全国9ヵ所で地方予選が行なわれる。今大会は、トータルで1,595台のエントリーがあった。各地区予選を勝ち抜き、全国大会に進めるのは高校生の部64台、全日本の部128台である。

 全国工業高等学校長協会副理事長の久保和幸氏(大阪府立淀川工科高等学校長)が、開会の挨拶で、「ロボット相撲を通じてフェアプレイ精神と物作りの楽しさを学び、お互いの技術を高めあい、後輩に伝承していって欲しい」と参加者に伝えた。


ロボット相撲とは

 ロボットの種類は、ロボット内部にコンピュータプログラムが入力された自立型ロボットと、操作員がプロポでロボットを操縦するラジコン型ロボットの2種類がある。部門は高校生の部と、誰でも参加できる全日本の部がある。

 ロボットの規格は、競技開始時のサイズが幅と奥行きが各20cm以内、重量は3kg以内と定められている。高さに制限はないため、長いアームを頭上に伸ばしておき、取り組み開始後にアームを倒す機構のロボットもある。

 土俵は直径154cmの鉄板で、一方のロボットが土俵から落ちたときに勝負がつく。試合時間は3分間3本勝負。時間内に2本先取した方が勝者となる。


ロボットの規格は試合毎にチェックを行なう。専用の枠でロボットが20cm角に収まるか確認している 少しでも重い方が試合に有利なため、参加者の多くは規格ギリギリにロボットを仕上る 開会直前まで、土俵上でロボットのクリアランスをチェックする参加者達

長いアームを持ち相手を囲い込む「シャトルギア(大阪電気通信大学)」 【動画】白い羽で相手をおびき寄せる戦術の「GREEN(大分県立国東農工高等学校)」

 ロボット相撲は歴史が長いため、参加者の技術が高いレベルで拮抗しておりトーナメントを勝ち上がるのは容易ではない。試合は、一瞬で勝負がつくことも多い。

 それぞれ自分に優位な立会いパターンがあるため、ロボットを置く位置決めも重要な戦略になっている。相手をすくい上げる武器となるブレードを土俵に密着させるためにも、細心の注意を払う。また、土俵の傷にセンサーが誤反応する一瞬が勝負を分けることもあるため、試合慣れした参加者は、取り組み前に自主的に土俵の汚れをとったり、土俵の傷を黒マジックで修正したりする。


ロボットは、中央の開始線より後ろならどこに置いてもよい。ロボットの特性によって戦略が異なるため、相手を見ながら自分に一番有利な場所に置く 試合前に土俵のチェックをする参加者。センサーの誤動作を防ぐためにも細心の注意を払う

 高校生の部には、該当地区の高校しかエントリーできないが、全日本の部にはそうしたくくりがない。地方大会といっても、本戦出場枠を取るために全国各地から常連・強豪が各地から集まる。また、近畿地区には、全日本の部自立型に田村科学技術研究所、大阪電気通信大学など例年全国大会で上位に入賞するロボットが多く、レベルの高い試合が繰り広げられた。

 以下、上位ロボットの試合を動画で紹介する。


高校生の部

【動画】ラジコン型 決勝戦。紀北マジック(和歌山県立紀北工業高等学校) VS 紀北.com(和歌山県立紀北工業高等学校)。紀北.comが1本先取したが、その後、紀北マジックが2本取って優勝を決めた 【動画】自立型 3位決定戦。Johnny(大阪府立淀川工科高等学校)VS 紀北咲夜さん(和歌山県立紀北工業高等学校) 【動画】自立型 決勝戦。黒胡麻団子X(大阪府立淀川工科高等学校)VS 紀北タイプR(和歌山県立紀北工業高等学校)が、相手のサイドに回りこみキレイに2本先取して優勝を決めた

全日本の部

【動画】ラジコン型 3位決定戦。神星(四日市中央工業高校ロボット研究部)VS 雷鬼-LP(香川県立高松工業高等学校)。雷鬼-LPが、すばやい動きで相手を翻弄しながら、見事に土俵外へ投げ出した 【動画】ラジコン型 決勝戦。疾風(四日市中央工業高校ロボ研OB会)VS 黒神(四日市中央工業高校ロボット研究部)1本目は両者、一歩も動かず戦意なしと判断され、1本ずつ取られた。実質的に、1回勝負となりオペレータの技量が問われる激しい取り組みとなった

全日本自立型 3位決定戦。大和(清風中学)VS GREEN(大分県立国東農工高等学校)の取り組みは、GREENにトラブルが発生し、実質的に大和が不戦勝となった 【動画】全日本自立型 決勝戦。雷華(四日市中央工業高校ロボット研究部)VS カール君(大阪電気通信大学)。カール君がすばやく相手のサイドに回りこみ、スピードとパワーで圧勝した

 全日本の部自立型で3位に入賞した「大和」の操作員は中学1年生の梶原凱さん。梶原さんは、小学5年生の時にも出場し、全国大会でベスト16位という成績を残している。ロボット相撲は、お母さんの友達がやっていて、小さな頃から大会を見ていたので、自分でも参加したくなったという。「本戦では、前回よりいい成績を目指したい」と意気込みを語った。

 優勝ロボットの「カール君(大阪電気通信大学)」の製作者内村氏にロボットのコンセプトを伺った。「カール君が目指すのは、強力吸着型ロボットにも高速型にも勝つロボット」だという。そのために駆動系に拘り、ひとつひとつの機能を作りこみ大会に臨んだという。その目指すコンセプトどおり、一番厳しいブロックの中で、強力吸着型の代表格である「TMR-GO」、近畿大会最速ロボットと評判が高かった「花火職人」を倒し優勝した。


【動画】花火職人 VS カール君。トーナメント運とはいえ、両者が早い段階でつぶし合いになったのは残念であった 全日本の部 自立型で優勝した内村氏

 大会主催者は、これまで使用してきた土俵の痛みが激しいため、地区大会開始前に土俵を全て新しくしたという。その際、以前から指摘があった「重いため運搬・設営時に危険である」という点を考慮し、鉄板を軽くしたという。土俵の規格については、直径と材質がルールに明記されているが、その他の仕様については公開されていない。

 参加者達は、これまでの経験則に基づいて、ロボットを製作してきている。ここ数年、ロボット相撲は、強吸着低速型ロボットが連勝をしてきたが、この土俵の規格変更が、ロボットの性能にどんな影響を与えるのか? 今大会は新しい流れが起こるかもしれない。

 なお、全国大会日程は以下の通り。

●高校生の部
 11月23日(金・祝) 沖縄 宜野湾市民会館

●全日本の部
 12月23日(土・祝) 東京 両国・国技館


URL
  全日本ロボット相撲大会
  http://www.fsi.co.jp/sumo/
  富士ソフト株式会社
  http://www.fsi.co.jp/index2.html
  社団法人 全国工業高等学校長協会
  http://www.zenkoukyo.or.jp/


( 三月兎 )
2007/09/28 14:50

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