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高速道路作業環境改善協議会「3Jロボット開発集団」設立
~高速道路の3K作業をロボットでサポート


 8月27日、高速道路の保全工事事業者の株式会社アスウェイが、「高速道路作業環境改善協議会」の設立記者発表会を行なった。高速道路作業環境改善協議会は、関西の中小企業がもつロボットテクノロジーを活用し、高速道路における3K作業を改善することを目指す。


株式会社アスウェイ 代表取締役副社長 西田行宏氏
 高速道路の保全作業や事故処理現場は、排ガスや騒音など職場環境が非常に厳しい。特に保全作業は夜間に行なわれることが多く、大型トラックが時速100km以上のスピードで走るすぐ脇で作業を行なうため、一般道よりも危険性が高い。株式会社アスウェイ 代表取締役副社長 西田行宏氏は「人手による3K(きつい、汚い、危険)作業を軽減し、上質で効率的な業務をロボットにより行ないたい。また、関西の中小企業と連携し開発することで、関西の振興に貢献する」と設立の目的を語った。

 開発集団の名称は、「3Jロボット開発集団(ディアロボ関西)」。Jはアルファベットの順でKのひとつ前であることから、3Kの一歩前を進んで3Kを克服することを意味している。ディアロボは、機械の冷たいイメージを払拭し、人に代わって厳しい作業をしてくれるロボットに対して、親しみを込めて英語のDear(親愛)ロボットと呼ぶ。

 協議会メンバーは以下のとおり(敬称略)。

・西田行宏 株式会社アスウェイ 代表取締役副社長
・石橋義輝 株式会社アスウェイ 取締役
・北山修身 株式会社アスウェイ 次長
・赤澤洋平 株式会社システクアカザワ 代表取締役社長
・木村俊雄 株式会社エイトテック
・小橋隆司 大阪府異業種グループ交流促進協議会 事務局長
・木村周二 社団法人金属加工技術協会 理事長
・田頭規夫 田頭経営研究所
・金井 進 ロボクリエーション 代表
・北村幹夫 メカトロプランニング株式会社 代表取締役社長
・大津良司 知能技術株式会社 代表取締役
・足立尚樹 次世代ロボット開発ネットワーク「RooBO」事務局長
・中川志信 (オブザーバー)大阪芸術大学


 メンバーの役割分担は、開発費をアスウェイが負担する。また、利用者の視点から開発アドバイスと開発ロボットの販売も同社が行なう。大阪府異業種グループ交流促進協議会及び、社団法人金属加工技術協議会が、技術者指導及び企業コーディネートを行ない、ロボットの開発は、知能技術株式会社が行なう。

 本年度は、作業規制エリアへの侵入を検出する車両ロボット「仁王」と、トイレを清掃するロボット「LADY BIRD」の開発に着手、11月に大阪府内のSAおよび高速道路で実地実験を行なう。来年度には、2次試作及び製品化し、販売開始する。

 市場規模は、「LADY BIRD」は、サービスエリアやパーキングのトイレが全国に2,000箇所あり、そのほか、ビルやホテル、ホールといった広い空間での床掃除もターゲットとしている。「仁王」に関しては、年間に全国で7万5千回の高速道路規制があり、延べ75万人が作業に従事していることから、全国で1,000台以上の需要があると調査している。国道や一般道路にも普及させたいという。

 販売予価は、「LADY BIRD」は350万円、「仁王」は150万円。初年度の販売目標は、「LADY BIRD」が2億円、「仁王」は1.5億円を目指す。

 西田氏は、「大阪が保有しているロボット技術を使い、事故の被害者も、加害者も減らしていきたい。また、規制作業中の事故によって、さらに渋滞を招くという社会的損失を考えて、いいものを作り普及させたい」と延べた。


作業規制エリア侵入検出ロボット「仁王」

「仁王」の外観予想図
 「仁王」は、車線規制区域に侵入する車を検知し、工事従事者に避難警報を発し同時にドライバーに警告を出す車両型ロボット。

 現在、高速道路で保全工事等を行なう際は、現場の1,500m手前から工事注意の標識を立ててドライバーに注意を喚起している。標識車の手前300mから走行車線変更の誘導をし、作業エリアを確保している。ガードマンや作業員は、ドライバーが前方に注視していることを前提として業務を行なっているが、脇見運転や居眠り運転でドライバーが標識に気づかずに、規制エリアに進入してくる事故が年間120件以上ある。

 特に夜間の大型トラックによる事故が多く、大事故につながりやすい。西田氏は「運転手の視覚に頼る注意喚起には限界があると感じ、ロボット技術を使って積極的にドライバーに警告を通知するシステムを考えた」という。


現在の高速道路保全作業時の走行車線規制方法 保全作業現場の状況

 作業地点の300m手前で侵入車に気付くことができれば、作業員は逃げることが可能だというが、この距離だと目視では車は豆粒ほどの大きさにしか見えないので、異変を察知することができない。

 「仁王」は、時速100km(秒速27m)で走行する車の速度と距離をレーダーとステレオカメラで測定する。規制エリアに侵入する車を感知した場合、ETCのアラームとフラッシュでドライバーに対して警報を出す。同時に作業員に対しては、騒音下でも聞こえるようにヘルメットに内臓した骨伝導スピーカーで指示を出す仕組み。

 現時点では、ETCにこのような機能がないため、ETCメーカーや西日本高速道路株式会社などと協議を行なっていく。現在、ETCの普及率は60~70%だが、大型トラックに関しては100%に近い普及率であり、実現されれば大きな効果が期待できるという。


現在使用されている標識車。これを、車検のタイミングで「仁王」に移行していきたいという 標識車の位置から、高速道路の流れを撮影。前方の青い車付近で、ドライバーに注意を促すことができれば、作業員の安全確保ができる

 「仁王」のネーミングは、寺の山門に祀られる仁王像に由来する。仁王像が寺域に入ってくる侵入者を監視するように、侵入車両を監視し、作業区域内の安全を守るロボットである。


トイレ清掃ロボット「LADY BIRD」

「LADY BIRD」の外観予想図
 「LADY BIRD」は、床に水を拭きつけながらブラシで磨き、掃除後の水分をバキュームで吸い取る、テントウムシ型の床面清掃ロボット。

 現在、高速道路のサービスエリアやパーキングエリアの清掃業は、高齢の女性が主戦力となっている。冬場の早朝掃除等の厳しい環境はもとより、夜や早朝の清掃時にセクシャルハラスメントの被害にあうこともあり問題になっているという。労働者の高齢化が進んでいるため、現在の職場環境の改善とともに将来の労働力不足を解決することも課題となっている。

 西田氏は「複雑な形状の便器周りや、狭い個室は人間の手でなくては掃除できないが、力仕事の床面掃除にロボットを導入し、清掃員の負担を軽減したい」と述べた。

 現在開発中の試作機はラジコン操縦だが、平成20年度には、利用者がいるトイレ内で、人を認識して安全に作業する知能化ロボットになる。清掃作業していないときは、道路交通情報や近隣の観光案内を利用者に提供するコミュニティロボットの機能も併せ持つ予定。

 トイレの幅は90cmくらいとかなり狭いため、前進してターンして戻ってくる機構や、清掃のためのスイーパーを車両の中央に取り付けるなど工夫が必要になる。部屋の4隅を清掃するのが技術的に難しいため、当面は四角い部屋を丸く掃くところから始めて、実証実験のなかで改良していく。便器周囲などは、人手に頼らなくては掃除できないため、人とロボットが協働して活動する仕組みを考える。

 「LADY BIRD」のネーミングは、テントウ虫に由来する。テントウ虫の可愛いイメージで、清掃のイメージをアップするとともに、アブラムシを食べる益虫であることから「油をとる」という意味に掛けているという。



( 三月兎 )
2007/09/03 00:07

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