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アールエスコンポーネンツ杯「第7回レスキューロボットコンテスト」予選レポート


 7月8日、神戸サンボーホールにおいて、アールエスコンポーネンツ杯「第7回レスキューロボットコンテスト」競技会予選が開催された。予選には、全国の高校・高専・大学・一般の20チームが出場した。

 レスキューロボットコンテスト(レスコン)は、大規模都市災害における救命救助活動を題材としたロボットコンテストで、阪神淡路大震災を機に考案された。

 競技は、二次災害の恐れがあり人間が立ち入ることができない被災地を模したフィールド内で、レスキューロボットを遠隔操縦し、一刻も早くガレキや障害物を取り除き、要救助者役の人形(公式愛称:ダミヤン)を発見、救助することが課題となっている。

 ダミヤンをいち早く発見し素早く救出することが求められているが、同時に救助活動中にダミヤンを「優しく助ける」ことが重要なポイントとなっている。救出中にガレキを取り除こうとして、うっかりダミヤンの上に落としてしまったり、ダミヤンを逆さづりにして持ち上げたりした場合、減点対象となる。

 また、フィールド内のグレー部分は道路で、黄土色は私有地となっており、レスキューロボットはダミヤンを救出するために私有地に入ることはできるが、それ以外は不用意に私有地に入ってはいけない。道路に散乱している瓦礫を私有地に放置した場合も減点される。


地震被災地を模したフィールド。広さは50×50m。1/6スケール。坂道や高台、歩道橋ながある レスキューロボットは、ロボットベース(写真の黄色部分)からゲートをくぐりハイウェイと呼ばれる通路を通って、被災区域内に向かう

ロボットに搭載したカメラから送られてくる映像で状況判断して操縦する。予選は目視が許可されているため、ロボットが見える位置にコントロール室があるが、本選では目視はできない 要救助者役の人形。公式愛称で「ダミヤン」と呼ばれる。大人は身長300mm、質量1kg。子どもは、身長230mm、質量0.5kg。本選では全身のセンサーで自分が受けた衝撃を感知する

 予選では競技ルールが本選より緩やかになっている。本選では、ロボットに搭載したカメラから送られる映像でフィールドの状況を判断してロボットを操縦するが、予選では操縦者の目視が許可されている。ダミヤンが感じたダメージも予選では副審がチェックしているが、本選ではダミヤンに内臓されたセンサーでリアルタイムに検知する。また、予選は全競技同じ場所にダミヤンを配置し、場所を予選前日に通知した。

 今大会から、ロボットに搭載するCPUや各種入出力を持つレスコンボードを新規に導入し、操作信号や車載映像の通信方法がアナログからLANを用いたデジタル方法に変更になった。ノイズにより強くなり、カメラの映像も切り替えができるようになったが、まだテスト段階のため、ラジコンと併用が許可されている。

 ダミヤンも今回から新型が導入された。これまでのダミヤンはボディが硬く、サイズが1種類しかなかったため、要救助者の体格を予め想定したロボットを製作することが可能であった。実際のレスキュー現場において、要救助者は体格も年齢もさまざまであり、ボディも柔らかであるから、要救助者を限定したコンセプトのレスキューロボットは現実にそぐわない。そこで、ボディを発砲ウレタンをベースにシリコンを塗布した素材を使い柔らかくした。また、サイズは大人と子どもの2タイプが用意された。重量は大人が1kgで従来より重くなっている。

 ダミヤンが柔らかく重くなったことで、救出作業が難しくなったようで、今回の予選では、2体のダミヤンを救助できたのは、救命ゴリラ!(大阪電気通信大学レスコンプロジェクト)1チームだけであった。


【動画】救命ゴリラ!(大阪電気通信大学レスコンプロジェクト)3号機が瓦礫除去を受け持ち、1号機がダミヤンを持ち上げた後、ベルトコンベアに乗せベッドに横たわらせて救助する 【動画】救命ゴリラ!(大阪電気通信大学レスコンプロジェクト)3号機は引き続き、2号機と協調で子どもダミヤンを救助した

 レスコンではロボットの台数に制限がない。スタート時にロボットベースに全機が収まることが条件で、台数、寸法、重量、エネルギー源に関する制限は設けられていない。

 チーム戦略によって、探索、瓦礫除去、救出、搬送をロボット毎に分担させたり、1つのロボットに全ての機能を集約したりロボットの構成はさまざまだ。機能集約型ロボットを複数用意すれば、複数の要救助者を同時に助けることができるし、1機にトラブルがあってもほかのロボットが救助できる。しかし、機能特化型ロボットはそれぞれの機能を作りこむことができ、高度な救助が可能になるメリットがある。

 救命ゴリラ! は動画にあるように、探索、瓦礫除去、救出・搬送用の機能別にロボットを製作した。瓦礫除去機能を持つ3号機は、大人ダミヤンの周囲にある瓦礫を除去した後、搬送路を確保しつつ、子どもダミヤンの傍らに向かった。子どもダミヤンの現場には、2号機が既に到着していたが、瓦礫除去に時間が掛かっていた。3号機が瓦礫除去後、2号機が時間内に両ダミヤンを無事に救出に成功している。3体のロボットが協調して、ミッションをコンプリートした。

 その他、特徴あるロボットを紹介しよう。


おかQ(岡山大学ロボット研究会)の2号機は、ダミヤンを救助する際に加重を掛けないようにアーム部分に空気圧を使って制御している KURC(京都大学機械研究会)3号機は双腕型ロボット。マスタースレーブでアームを動かす。今回は調整不足で動作しなかった

【動画】TRRL(津山高専 電子制御工学科)ダミヤンを救出した後に、スロープが閉じてダミヤンを守りながら搬送する 同じくTRRLのロボット。ロボットの上下をユニット化し、災害現場の状況に応じてのアームを組み変えるコンセプトになっている。メンテナンス性にも優れている メイセイレスキュー☆(明星大学 機械工学科 )12輪駆動の救助用ロボット。初出場で他のチームとは違うコンセプトのロボットで挑戦した

SRT(東海地区学生社会人合同チーム)マスタースレーブでロボットのアームを操縦する 【動画】SRT(東海地区学生社会人合同チーム)フィールドに合わせて、レスキューロボットも軽自動車の1/6サイズで製作している

【動画】都工機械電気(大阪市立都島工業高校 機械電気科)瓦礫除去、救助、搬送を1機が担当する万能型レスキューロボット メヒャ!(岡山県立大学卯ロボット研究サークル「メヒャニカ」)。搬出用ロボットの3号機がカメラで別角度からの映像を送り、2号機の瓦礫除去作業のアシストをしている 【動画】ミノーズ(岐阜工業高等専門学校)ロボットの上に小型ロボットが搭載されており、ダミヤンの両脇を引っ張って救助する。ダミヤンを宙吊りにすることなく優しく救出している

 今回、優秀な成績を残した8チームと、技術的チャレンジが期待される2チーム、そして主催者枠の地元2チームの計12チームが8月11日、12日に行なわれる本選に出場する。本選出場チームは以下の通り。

●地元枠
・六甲おろし(神戸大学)
・がんばろうKOBE(神戸市立高専)

●上位8チーム
・救命ゴリラ!(大阪電気通信大学 レスコンプロジェクト)
・TRRL(津山高専 電子制御工学科)
・桜菜 日本大学 理工学部
・ミノーズ(岐阜高専)
・都工機械電気(大阪市立都島工業高校 機械電気科)
・Fukaken(大阪府立高専 福祉科学研究会)
・Rescation(広島大学 教育学部)
・MS-R(金沢工業大学 夢考房)

●チャレンジ枠
・K.U.R.C.(京都大学 機械研究会)
・SAKURAJIMA(鹿児島大学 ロボット研究会)


URL
  レスキューロボットコンテスト
  http://www.rescue-robot-contest.org/index.html


( 三月兎 )
2007/07/12 00:26

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