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「今年のロボット大賞2006展」in福岡

~受賞ロボットが福岡市に集合

 経済産業省が開催した「今年のロボット大賞2006」。それを記念して福岡県福岡市で、受賞ロボットの展示会とロボットの開発者の講演会が行なわれた。

 これはロボスクエア運営委員会、福岡市、九州経済産業局が主催し、ロボット産業振興会議の共催で開催されたもの。ロボットの展示会はロボスクエアで、講演会はアクロス福岡で行なわれた。


ロボスクエアでの展示

 受賞ロボットの展示会は、1月28日から2月1日まで、ロボスクエア内で開催された。筆者が取材に訪れた時は、フジタの「遠隔操縦用建設ロボット」(通称・ロボQ)が動いているだけだったが、期間中には富士重工の清掃ロボットとセコムのマイスプーンがデモを行なっていたようである。

 フジタの遠隔操縦用建設ロボットは、来訪者にコントローラーを貸し出して、実際にロボットを操縦することができた(さすがに重機に乗せて動かすわけにはいかないので、ロボットが動いているだけだった)。ヘッドセットも装着でき、デモとはいえ、一般人が遠隔操縦用建設ロボットを操縦する機会は、こんな時でもなければまずなかっただろう。


ロボスクエアで開催された「今年のロボット大賞」in福岡の受賞ロボットの展示。ふだん工作教室や講演会などで使われている場所を使用 会場で一番目立っていたフジタの遠隔操縦用建設ロボット 会場では遠隔操縦用建設ロボットを操縦することができた

遠隔操縦用建設ロボットのコントローラー。重機だと足のペダルで行なうクローラーの操作も、向こう側についているレバーで行なう 大賞を受賞した富士重工のビル清掃システムのロボット。期間中、何回か動いていたようである はまで式全自動イカ釣り機。漁船に積んである機械が、ロボスクエアの中に置かれている光景はちょっと不思議だった

地元・安川電機の人共生型上半身ロボットDIA10 ギネスブックにも載った癒しロボット・パロ。ロボスクエアでは販売もしている セコムのマイスプーン。期間中、食品がわりのマシュマロを入れて、デモを行なうこともあったようだ

アクロス福岡での講演会

古代遺跡を思わせるアクロス福岡の南側
 受賞者による講演会は、1月31日にアクロス福岡の7階大会議室で行なわれた。講演者は、九州経済産業局地域経済部の赤時孝治氏、社団法人 日本ロボット工業会専務理事の飯倉督夫氏、産総研の比留川博久氏、富士重工業株式会社 戦略本部クリーンロボット部の青山元氏、セコム株式会社開発センターメディカル1チームの石井純夫氏の計5名。

 赤時孝治氏は、「ロボット産業が国策としても期待されている」、「福岡は民生用のロボットの拠点を目指すべきではなかろうか」と、九州経済産業局から見たロボットに対する期待を表明。

 飯倉督夫氏は、まず日本ロボット工業会について説明し(現在は正会員が50社ほど)、ロボットを産業として発展させていくために「建築基準法に規定のないロボットをどう位置づけていくか」、「ロボット用の無線電波の周波数帯の確保」、「ロボットが事故を起こした場合にそなえての自賠責保険の必要」などの問題点を指摘した。そして今年の11月に東京で国際ロボット展を開催する予定で、その中で「ロボットに関連した自治体のサミットを開催したい」との発言もあった。


ロボット大賞の内幕

比留川氏の講演
 「今年のロボット大賞2006」の選考委員の一人である、比留川博久氏はロボット大賞2006についての講演を行なった。

 ロボット大賞選考の具体的な内容については、外部にもらすことを禁じられているそうで、できる範囲での講演となった。

 応募してきたロボットの件数は152件。このうち、「実際に売れているもの」が評価が高かったそうだ。やはりロボットを産業として考えた場合、販売実績が高いものが評価の対象となるのは当然だろう。

 その点に関して面白いことが聞けた。実は「はまで式全自動イカ釣り機」が一番ロボット大賞の呼び声が高かったとのこと。「イカ釣り漁船で、これを装備していない船はない」とまで言われる実績が評価されたようだが、一番売れた時期が2006年より前だったため、「今年のロボット大賞」にはどうかという意見が出て、大賞を逃したそうである。

 それからセコムのマイスプーンを「介護保険の対象に認定された」と評価。フジタの遠隔操縦用建設ロボットに関しては「災害復旧は国土交通省の管轄。レスキューを行なう市町村単位の消防局よりは、はるかに資金を持っている。ロボットの開発に関しても、最終的に誰に販売するのか考える必要がある」と発言していた。いずれにしても、研究開発の先にあることを視野に入れた上で、開発に携わるべき時期が来ているのかもしれない。


受賞者の講演

 大賞を受賞した富士重工の青山元氏は、清掃ロボットシステム開発の歴史を紹介。その中で、「清掃ロボットは車よりも耐久性が必要(スプリングなどがないため)。車が2.5G設計にしているのに対して、清掃ロボットは3G設計で作っている」、「清掃を中心としてシステムを設計した。移動するロボットに清掃の機能をつけたわけではない」などと、清掃ロボットの設計について語った。


富士重工の青山氏の講演 青山氏は「最初から事業化を考えて、システムの開発をやってきた」とのこと

 マイスプーン開発チームの石井純夫氏は、「福祉現場との協力で開発してきた」ことを強調。福祉現場からの意見で、ほとんど使わない自動モードを搭載したことなどを講演(自動モードを搭載することによって、幅広い障害に対応できるとの意見があったらしい)。これからは「スプーンを口に入れられると(現在は、安全のためスプーンの先端が口に触るとスプーンは停止するようにプログラムされている)、使用できる人が増えるのでチャレンジしてみたい」との目標を語っていた。


セコムの石井氏の講演 石井氏は福祉のセラピストの人から「一生(マイスプーンの)開発にかかわってくれ」と言われたそうだ

 今回の講演で注目したいのは、何人かの口から「保険」の言葉が出てきたことである。ロボットが人間社会に進出してくるようになると、当然安全性が問題となってくる。技術的に安全性を高める努力は続けられてきたが、技術がどんなに進歩しても100%の安全を確保することは不可能だ(少なくとも自動車は、毎日のように事故を起こしている)。そこでロボットに保険をかけて、ロボットの信頼性を高めようということのようだ(青山氏いわく「最終的にはお金で補償するしかない」)。

 実際に保険大手5社が経済産業省に集まって協議し、その結果「ロボット保険」ができたそうである。(月に8,000円程度の掛け金で、現在のところ清掃用ロボットが対象。ただし、他の移動するロボットにも適応は可能だろうとのことだった。)

 ロボットの社会への進出に関して、技術以外のところでも確かな歩みのあることを感じさせてくれた講演会だった。


福岡県のベンチャービジネス

 記念講演と合わせるように、1月30日、31日の2日間、アクロス福岡の地下2階で、福岡県のベンチャー企業の展示会「フクオカベンチャーマーケット」(略称・FVM)が開催された。これは必ずしもロボット技術に限定されたものではないが、テムザックなどの福岡県内のロボットベンチャーも参加。その中で最も注目されていたのが、メカトラックスの「ロボットキャッチャー」だった。これは二足歩行ロボットを使ったUFOキャッチャーともいうべきもので、二足歩行歩行ロボットKRB-1を操縦してぬいぐるみをゲットするゲームマシーンだ。

 ものめずらしさもあって、福岡ローカルのテレビや新聞でもニュースとして取り上げられ、ロボットキャッチャーの回りには人だかりができていた。

 メカトラックスの永里壮一社長によれば「このロボットキャッチャーを150万円から200万円で販売したい。ただし、製品版では連続可動させるために、サーボを耐久性のあるものに換えて新しい二足歩行ロボットを作る予定」とのことだった。

 なお、フクオカベンチャーマーケットはこれからも定期的に開催していく予定である。

 福岡市は東京からは遠くはなれているが、ロボスクエアの運営などロボットに熱心な自治体として知られている。この「今年のロボット大賞2006展」in福岡もその熱意から開催されたもので、その熱意が福岡市に何かを生み出すかもしれない。


メカトラックスのロボキャッチャー メカトラックスの二足歩行ロボットKRB-1。実はROBO-ONEで優勝した九州大学ヒューマノイドプロジェクトの2325-RXの流れを汲むロボット ぬいぐるみを持ち上げるKRB-1

ぬいぐるみを穴に落としてゲットする ロボット教材で有名なJAPAN-ROBOTECHのブース

URL
  ロボスクエア
  http://www.robosquare.org/
  「今年のロボット大賞2006」展 in 福岡
  http://www.robosquare.org/news/index.php?mode=view&id=667
  今年のロボット大賞
  http://www.robotaward.jp/

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今年のロボット大賞2006が決定(2006/12/22)


( 大林憲司 )
2007/02/05 17:33

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