12月12日、株式会社テムザックは、大分市大分川河川敷にて、株式会社フジタ、川崎地質株式会社と共同で新型レスキューロボット「T-53(仮)」を使った遠隔操作による土質調査実験を行ない、報道陣に公開した。
「T-53」は同社が開発したT-52援竜を小型化した形状のクローラ走行式双腕ロボット。大きさは高さ220cm×幅155cm×奥行き220cm。腕のリーチは3m70cm。重量は3トン。ディーゼルエンジン油圧駆動で、操作は搭乗、または遠隔操縦にて行なう。現在開発中のため、塗装などはまだ施されていない。
土砂崩れ発生時など、救助活動を行なう必要があるときに、救助隊や重機を入れても大丈夫かどうか、事前に地盤調査を行なうためのロボットとして開発された。双腕でガレキを除去し、自分が進入できるかどうかの「地耐力」を確認しながら、土質調査を行なう。そして調査採取データを伝送し、土質マップを作成させることが目的。
今回の実験は、財団法人 先端建設技術センターの研究助成制度「災害などの危険地域における遠隔操縦ロボットを活用した緊急調査システム等に関する研究」として、平成17年度より株式会社フジタ、川崎地質株式会社と共同で実施したもの。ロボットを開発するテムザック、無人化施工についても経験を持つフジタ、地質調査において長年の蓄積を持つ川崎地質がそれぞれ得意分野を分担している。
昨年度は同グループで双腕型遠隔操縦ロボット「T-52援竜」に装着可能なポータブルコーン貫入試験機の試作・実証試験を行なった。今年度は、昨年度の研究成果を受け、ロボットの腕に取り付けられる「簡易動的コーン貫入試験機」の試作と動作確認、および、「EM探査法の適用性検討」を目的とした実証試験を行なったもの。「簡易動的コーン貫入試験」と「EM探査法」はそれぞれ土質を調べるための手法で、重機そのほかが進入可能な地盤かどうか(トラフィカビリティ)を調べるためのもの。
現状の航空測量や衛星写真等のような間接的な調査に比べ、実際に現場で調査を行なうことで、より現地の状況に適合した復旧対策の立案や危険度の判定を可能にすることがねらい。
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「T-53(仮)」。今後カメラそのほかセンサー類を取り付ける予定
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「T-53(仮)」正面。まだ塗装もされていない
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左腕に取り付けられた簡易動的コーン貫入試験機
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右腕は素の状態
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遠隔操縦も可能
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操縦装置もカバンを開けるだけで操縦ができるように改良された
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計測データもモニターに表示される
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乗り込んで操作することもできる
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実験は大分市内を流れる大分川滝尾橋付近の河川敷で行なわれた
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【動画】位置決めを行なうT-53
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【動画】位置決めのためにアームを持ち上げるT-53
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【動画】探査用ロッドを打ち込んでいく簡易動的コーン貫入試験機
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【動画】探査用のロッドを打ち込むドライブハンマー
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EM探査用装置。EM探査は河川敷など広い場所で地面の土質や水のしみこみやすさなどを調べる装置
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もともと周囲の電磁波や金属製物質の影響を受けやすいため、ロボット本体やエンジンの回転数によるノイズの違いなどにどの程度影響を受けるのか実際にロボットに持たせてみて基礎的なデータをとる
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フジタ技術センター土木研究部長の岡野幹雄氏や、テムザック取締役で経営開発部部長の藤田志朗氏らによれば、同グループでは今後、「T-53(仮)」が、どのような機能が必要かを検討するため、現場で得たデータや救急活動での要求項目を抽出、分析し、実用機を開発していくという。
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フジタ技術センター土木研究部長 岡野幹雄氏。今回の実験では必要なことを洗い出すことが目的だという
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テムザック取締役経営開発部部長 藤田志朗氏
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■URL
株式会社テムザック
http://www.tmsuk.co.jp/
株式会社フジタ
http://www.fujita.co.jp/
川崎地質株式会社
http://www.kge.co.jp/
財団法人 先端建設技術センター
http://www.actec.or.jp/
【2006年2月2日】テムザック“援竜”、新潟県で雪害対策性能テスト(PC)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0202/tmsuk.htm
( 森山和道 )
2006/12/13 00:05
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