7月12日~14日の日程で、東京ビッグサイトにて「国際モダンホスピタルショウ2006」が開催されている。主催は社団法人 日本病院会と社団法人 日本経営協会。テーマは「確かな健康・医療・福祉-クオリティの高いサービスをめざして」で、病院や福祉分野の機器、製品、システム、サービスなどが幅広く展示されている。同時開催は「自治体総合フェア2006」、「介護フェア2006」、「SPAフェスタ2006」。
「国際モダンホスピタルショウ2006」は医療関係者向けの展示会だが、電子カルテ・システムや看護支援システム、院内物流システム、RFIDやバーコードを用いたインシデント防止技術をはじめとした多くの病院マネジメントシステムのほか、医療用の高精細ディスプレイやPDA、近年注目されているベッドサイド・エンターテイメントのためのIT関連展示などが数多く展開されている。
会場を少しのぞくだけで、近年の医療がITと深い関係を持っていることが実感できる。インテリアや入浴支援、食事など、ホスピタルアメニティ向上に関する展示が多いことも印象に残った。
また、企画展示として「体にやさしい優れた医療」と題し、経鼻内視鏡や患者シミュレータ、人工皮膚やカプセル内視鏡などが展示されている。そのほか会場内にはロボットテクノロジー(RT)を使った技術や、これからRTが活用されていきそうな分野が多々あった。
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アイ・エム・アイ株式会社とパラマウントベッド株式会社による「患者シミュレータ」。処置の状況に応じて病態がリアルに変化するマネキンとモニタによるトレーニングシステム
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たとえば薬剤を投与すると実際の医師が見てもリアルだと感じる反応を示すことができるという。マークはセンサーの位置
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まばたきもする
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ファイン・バイオメディカル有限会社と名古屋大学大学院工学研究科バイオロボティクス講座 福田研究室による「超精密人体シミュレータ/脳血管立体モデル」。患者のCT/MRI情報に基づいて立体化された脳血管内手術シミュレータ
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形状精度は0.013mm。血管の弾性、粘弾性、摩擦など物理特性も再現しているという
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外部ポンプによって拍動もする。ベテラン医師は逆に拍動を利用してカテーテルを自在に操るそうだ
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富士フィルムメディカル株式会社とフジノン東芝ESシステム株式会社による「経鼻内視鏡」
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経験者の9割が鼻から入れるほうが楽だと評価しているそうだ
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ギブン・イメージング株式会社の「カプセル内視鏡」。左のカプセルで、先端にカメラとLEDによる照明がついている。小腸を対象にしている
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システム全体。患者は奥のアンテナを身体に装着して、右下のレコーダーにデータを記録する
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培養真皮(人工皮膚)。北里大学医療衛生学部 人工皮膚研究開発センターによる
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NEDO、テルモ株式会社による「ナノカプセル型人工酸素運搬体」。いわゆる人工血液だ
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直径200nm(赤血球の1/30~1/40)のナノカプセルのなかにヒト・ヘモグロビンが封入されている
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東北大学先進医工学研究機構 芳賀研究室による微細加工技術を用いたマイクロセンサー。極細径の光ファイバー先端に圧力センサがつけられている
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直径125μm程度で、肉眼ではゴミにしか見えない
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形状記憶合金アクチュエータを使った視覚障害者用触覚ピンディスプレイ
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パラマウントベッド株式会社は、高機能I.C.U.ベッド「KA-8900シリーズ」を展示している。モーターを使ったパワーアシスト搬送システムや体重変化を10g単位で測定できるデジタルスケールなど、集中治療現場で必要とされる機能を搭載している。動作のほとんどは電動化されており、AC電源が使えないときはバッテリ駆動する。このまま座位をとることも可能。ボトム面は44~84cmまで上下できる。
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パラマウントベッド株式会社の高機能I.C.U.ベッド「KA-8900シリーズ」
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酒井医療株式会社による座位での入浴サービス機器
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株式会社アマノによるコンパクト車いす入浴機器。こちらは前を向いた状態でセットされる
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株式会社ヴァイタスによるベッドサイド情報端末システム「ME&iポータルサービス」専用・透析向け多目的チェア。透析患者向けに医療関連情報や娯楽番組を提供するベッドサイド端末をつけたチェア
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財団法人岐阜県研究開発財団ブースでは、岐阜県が進めている知的クラスター創成事業「ロボティック先端医療クラスター」関連の展示がある。ロボット、バーチャルリアリティ、IT技術を組み合わせて、「バーチャル医療・教育訓練システムの開発」を目指しているという。
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触診訓練ロボット「馴れ初めさん」
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問いかけや触診に対し、声や身体反射で反応する
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画像型患者ロボット。人体模型に骨格や内臓のCGを投影する。位置センサーつきの覗き窓を通して見るように作られていて、視線を動かすとそれに応じて画像も動く
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【動画】投影されている像の様子
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● 高齢者向けコミュニケーションロボットや警備ロボットも
同時開催されている「介護フェア2006」では、次世代ロボット開発ネットワークRooBOが共同出展。株式会社ビジネスデザイン研究所の「ifbot」や「ハローキティロボ」、システクアカザワの「PLEN」、テムザック「ロボリア」やATR「MuuSocia3.0」などが、「高齢者向けコミュニケーションロボット」として展示され、来場者の注目を集めていた。
老人性うつや閉じこもり、認知症予防を目的としているという。
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ATRとシステクアカザワが共同開発したコミュニケーション支援ロボット「MuuSocia3.0」。介護者と要介護者の間のコミュニケーションを活性化させるソーシャルメディエイターとして開発された
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音声認識、合成、会話処理、顔認識機能などを持つ
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本体底面
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【動画】障害物に反応してゴトゴトと移動する様子
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株式会社レイトロンによる家電制御ロボット
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音声認識機能を持ち、家電のリモコンとして使える
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システクアカザワ「PLEN」。予約状況は「好調」とのことだ
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【動画】携帯電話からの操作デモの様子
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株式会社ビジネスデザイン研究所の「ifbot」、「ハローキティロボ」
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テムザックの「ロボリア」も
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「第10自治体総合フェア2006」では電子自治体関連の展示が多いが、安全・安心を重点とした「まちづくりゾーン」では、ALSOKの警備ロボット「ガードロボD4」が展示されている。
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ALSOKの警備ロボット「ガードロボD4」。現在も実証実験中。ある店舗で長期実験をしたところ、万引きの数がかなり減ったそうだ
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ちなみに松下電器ブースでは話題の乗馬フィットネス機器「JOBA(ジョーバ)」も。これこそ家庭用ロボット技術という気がしなくもない
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■URL
国際モダンホスピタルショウ2006
http://www.noma.or.jp/hs/
( 森山和道 )
2006/07/13 00:02
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