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早稲田大学、「RTフロンティア」を開設

〜人とRTの共生、社会との接点となる研究拠点を目指す


 早稲田大学理工学学術院グローバルCOEプログラム「グローバル・ロボット・アカデミア」は、「人とRTの共生」を目指す新たな教育研究拠点「RTフロンティア」を理工キャンパス近くの明治通り沿いにある新宿ラムダックスビル(東京都新宿区大久保2-4-12)内に開設し、記者会見を開催した。ビル内の1F、9F、12Fに研究拠点を設け、特に1Fは一般の人も入場可能にしており、早稲田大学が開発している高齢者支援用、リハビリ支援用のロボットと実際に触れ合える場所とすることを目指す。

 グローバルロボットアカデミアはRT(ロボットテクノロジー)を「真の知的社会基盤」へと成長させることをめざし、「RTの原理と体系を明示的に抽出した『体系的ロボット学:M-Robotics(Methodical Robotics)』の構築と教育」を行なっている(パンフレットより)。韓国CIR(Center for Intelligent Robotics)および、イタリアSSSA(聖アンナ大学院大学)とも連携している。

 開所にあたって拠点リーダーの藤江正克教授は「早稲田大学はロボット研究に関しては世界一だと自負しているが、これから大学の中にとどまらず世の中に発信していきたい。特に注目されているのは超高齢化社会での人間とロボットの協調だ。拠点のある東京の新宿、明治通り沿いは多くの方が往来する場所。広く皆さんからご意見を伺い、最先端のロボットを実際に見ていただきながら、世の中でロボットが役に立つようにしていきたい」と述べた。

テープカット。左から橋本周司教授、藤江正克教授、高西淳夫教授、山川宏教授 拠点リーダーの藤江正克教授

 早稲田大学の藤江正克教授、高西淳夫教授、橋本周司教授、山川宏教授の4名によるテープカットの後、ビル内の見学ツアーが行なわれた。ざっとご紹介する。なお以下で紹介するのは記者向けツアーで紹介されたもの限定であることをお断りしておく。

1F:人とロボットのコミュニケーションスクエア「COSMAR」

 1Fは、人とロボットのコミュニケーションスクエア「COSMAR(Communication Square for Man and Robotics)」と位置づけられ、リハビリ支援用、高齢者支援用のロボットが置かれている。ここでは多様な人々にロボット技術をマッチさせ、適切なロボット技術を提供するための技術、自立支援ロボットの開発における、開発手法そのものの体系化が研究されている。ロボットの研究者だけではなく、理学療法士や福祉機器メーカーの専門家も加えることで、要介護者が自分の能力に適した自立支援ロボットをフィッティングできる場とすることを目指す。

 会見では、自立支援装置、フィッティングスペース、実験スペースが紹介され、トレッドウォークロボット、力覚で視覚障害者のナビをして移動支援するロボット杖、人間の歩行動作のモデル化のデモが行なわれた。前述のように一般の人も入れるような場所とすることを目指しているが、現時点で運営は未定。おそらく予約制になるだろうとするいっぽうで、気軽にふらりと立ち寄れるような場所とすることも想定しているそうだ。将来的にはベンチャー設立も考えているという。

1Fは人とロボットのコミュニケーションスクエア「COSMAR」 自立支援機器を選べる場所とする 自立支援ロボットの開発に一般の人が参加できるようにすることがコンセプトの一つ
情動表出ヒューマノイドロボット「WE-4R」。 歩行支援機 一般向けの介護用リフトなども置かれている
ICタグと組み合わせ、力覚でナビして歩行支援するための杖「つえナビ」。杖内部に偏心モーターが2つある 【動画】人の歩行を取り込みモデル化するための研究。床には圧力センサーがある 圧力センサーとマーカーから動きをモデル化する
現在研究開発されている歩行支援機「Tread-Walk」。 【動画】歩く動作で動かせる。モーメントを検知することで旋回も可能

9F:屋内測位インフラ、臓器の力学シミュレーション、大腸のなかを自走移動するロボット

 9Fは、手術ロボットに用いるための臓器の力学モデル構築などを目指す知能ロボティクスシミュレーションセンター「CIROS(Center for Intelligent Robotics and Simulation)」、そして軟素材を使ったソフトロボティクスと、GPS・RFIDを使った位置ナビゲーションの研究が行なわれている。柔軟素材(セプトン)を使ったロボットは、人間型の発話機構を模したロボットや、医療ロボットとしても用いられている。デモでは「逆ねじ機構」で大腸内を自走して検査できる内視鏡ロボットの研究が一部紹介された。GPS・RFIDを使った位置ナビゲーションは、RFIDとスードライトと呼ばれる疑似衛星を使うことで、屋内でも高精度でGPSを使ったナビゲーションを実現することを目指すものだ。どこに居るかが正確に分かれば屋内で活躍する移動ロボットの精度も上がる。

GPS・RFIDを使った位置ナビゲーションの研究。WABOT-HOUSEで行なわれているもの 知能ロボティクスシミュレーションセンター「CIROS」では、対象のモデル化を行なう 【動画】臓器の力学シミュレーションの様子。モデルを使ったロボットアプリケーションの開発を目指す。解説は星雄陽氏
大腸内を自走する内視鏡ロボット。大腸癌の検査に用いる。詳細はこちら 【動画】「逆ねじ機構」を用いて大腸内を自分で動く。解説は助教の石井裕之氏 【動画】外装はセプトンという軟素材。人によって違う腸の太さに合わせて自らの直径を調節できるという。

12F:影を使ったコミュニケーション、ケミカルアクチュエータ、触覚、情動表出ヒューマノイド

 12Fでは、影のイメージを使った、離れた場所同士でのインタラクション・存在感伝達の研究や、化学的なゲルやゴムで動くロボットの研究、触覚デバイスを用いたマニピュレータやヒューマノイドの脚部に触覚を利用した研究、そして顔も含めて全身で感情表現するヒューマノイド「KOBIAN」が紹介された。

 触覚デバイスを使った研究では、3つの圧力センサーを使うことで、触った物体の形状を認識させたり、物体を介して人間とインタラクションさせる研究を行っており、現在はヒューマノイドの足首に搭載することで床の状況に応じたロバストな歩行の実現を目指しているという。

影をメディアとして用いたインタラクションの研究。三輪研のウェブを見たほうが分かりやすい さまざまな影を投影してコミュニケーション支援を目指す 離れた場所にいる人たちが同じ場を共有できるようにロボットも組み合わせて使う予定
歩行型ケミカルアクチュエータ。解説は講師の原雄介氏。 蠕動するケミカルアクチュエータの研究。 ゴムアクチュエータを使った研究も行なわれている。ケミカルロボティクスグループのウェブはこちら
触覚デバイスを使ったマニピュレータの研究。使われているのは三菱電機の産業用ロボット「Movemaster」 腕の先に触覚デバイスが搭載されている。 物体を介した人間とのインタラクション
ヒューマノイドの脚部にも応用予定 小型ロボットを使った実験の様子

 最後に紹介されたエモーショナル・ヒューマノイド・ロボット「KOBIAN」は従来から早稲田大学で研究されてきた歩行ロボット「WABIAN-2」と、RTフロンティア1Fにも置かれていた情動表出ヒューマノイドロボット「WE-4RII(2)」を組み合わせたもの。7つの情動表現ができるという。会見では4つの情動表現をデモンストレーションした。なお12Fは、2003年にイタリアの聖アンナ大学院大学と設立したRoboCasaをさらに展開し、海外連携を図ることも目指している。

【動画】情動を全身で表出するKOBIAN。二重関節の首の動きにも注目。 KOBIAN KOBIANの頭部(電源オフの状態)
KOBIANの背面 KOBIANの概要 KOBIANの解説をする遠藤信綱氏
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森山 和道

2009/5/21 21:00

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