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ロボット業界キーマンインタビュー
早稲田大学 高西淳夫教授

ロボット技術で人のメカニズムを解明する
Reported by 森山和道

早稲田大学理工学部 高西淳夫教授
 「うん、これはね、むちゃくちゃ面白いんですよ!」早稲田大学理工学部の高西淳夫教授は小柄で穏やかな紳士だが、ときおり全身で、ロボット研究の面白さを表現する。そんなとき教授の目は本当にキラキラと輝きを放った。比喩ではない。ほんとうにキラキラしているのだ。話を聞いているうちに、すっかり魅了されてしまった。

 早稲田大学は故・加藤一郎教授らによってヒューマノイド研究が始まった場所である。'70年に始められた研究は'73年に世界初のフルスケール人間型ロボット「WABOT-1」を完成させた。その後'84年には音楽演奏ロボット「WABOT-2」、'97年には共同作業ロボット「Hadaly-2」、世界で初めて「全身協調動的制御」による動歩行を実現させた人間型二足歩行ロボット「WABIAN」などを発表している。'85年のつくば万博で歩行ロボットを見て感動した人も多いだろう。

 2000年、早稲田では「ヒューマノイド研究所」を設立した。所長は橋本周司教授が務めており、早稲田大学のロボット研究者たちが結集した研究所となっている。ちなみに現在、早稲田大学総長を務めている白井克彦氏も、もともと音声認識・合成、そしてコミュニケーションの研究者であり、研究所メンバーとして名前を連ねている。およそ100名を超える研究者がロボット研究を行なっているという。

 今回われわれは、研究所幹事を務める高西淳夫教授に話を伺った。高西教授は現在、人間のメカニズムを工学的に解明することと、人間型ロボットの開発を主眼として「心身統合メカニズム研究」を進めている。キーワードは2つ。「ロボティック・ヒューマンサイエンス」と「ヒューマン・モデルベースド・エンジニアリング」だ。

 学生だけでも40人以上いる高西研の研究対象領域は、幅広い。つい最近、屋外を歩行させることにも成功したヒト型ロボット「WABIAN-2」、スチュワートプラットフォームを使い、ロボットベンチャーのテムザックや福岡市などと共同開発した二足歩行ロボット「WL-16RIII」をはじめ、ヒトの体の解剖学的特徴を模した「フルート演奏ロボット」や「発話ロボット」、人間の感情・心理学的状態をダイナミクスだと捉えて情動方程式で表現することを試みた「顔ロボット」などがよく知られているが、これだけではない。

 動物心理学を研究するための「ネズミ型ロボット」、東京医科歯科大学らと共同で、なぜ人がちゃんと噛むことができるのか解明し、顎関節症の治療やトレーニングを目標として研究開発している「咀嚼ロボット」や、超音波画像計測処理技術とロボット制御技術を組み合わせた自動計測システム実現が目標の「頸部血流計測支援ロボット」まで、実に多くのロボットが研究開発されている。各種ロボットを紹介するだけで記事が片づいてしまいそうな勢いだ。

 多種多様に見えるロボット研究の背景は共通している。人間型ロボットを使って人間を解明しようという発想があるのだ。これはもともと、故・加藤一郎教授が持っていた思想である。


顎関節ロボット
 たとえば顎関節ロボットは、人間のアゴのモデルを持っており、それに追従して動く。従って、そのモデルに対して力を働かせることで、どうすれば患者にもっとも負担がかからない治療が可能か、といった検討が実物をさわりながら可能なのである。高西教授らは「ユニバーサル・デンタル・ロボット」と呼んでいるそうだ。もともと、'86年頃に加藤教授が講演しているところを口腔生理学や咀嚼生理学の研究者が聞いていたことから始まった研究だったそうだ。

 「頸部血流計測支援ロボット」は、頸部の血流計測を行なうロボットだが、ちょっと考えれば分かるとおり、頸動脈は拍動によっても動くし、患者のちょっとした動きでもずれてしまう。それを、心臓の拍動を計測することで、頸動脈の動きを予測してフィードフォワード制御、つまり先読みして計測装置を動かすというものだ。もともと計測装置内部の処理の時間遅れもあるので、フィードバックではなくフィードフォワード制御が必須なのだそうだ。

 将来は遠隔操作医療も検討されているが、そのときには医師が操作するマスター側ロボットには患者のモデルから作った「仮想患者モデル」を入れておく。仮想モデルに対して操作を行なうことで遠隔医療における不可避の問題、時間遅れを避けることができる。もちろん、実際の操作が仮想モデルに行なった結果とずれていないかどうかもチェックする。こうして運動を最適化していくのだ。人間の運動制御は、小脳にあると考えられている身体の運動予測モデルが非常に重要だと考えられているが、それと似た仕組みである。

 時間遅れの問題は、惑星探査や水中ロボットのコントロールでも発生する。タイムラグがあるため、操作が非常に難しいのである。しかし、「プレビューコントロール」と呼ばれているインターフェイスを間に入れることで、実際のロボットが動くよりも前に操作の結果をCGで見せてあげれば、普通の人でも簡単に制御を収束することができるのだという。逆にいえば熟練した人間は、そのような運動予想モデルを頭のなかに持って操作しているということだ。このあたりの人間の仕組みを工学的に解明できれば、さまざまな側面に応用が可能になる。

 医学部の教授陣――つまり「お医者さん」と共同で仕事をすることが多い高西教授らだが、やはり相手には「エンジニア的なセンスを持っている人」が多いそうだ。「共同研究なんで、やっぱりうまがあわないとだめですね。テクニカルタームが違うから。最初はそこをなんとか乗り越えられないと、あるところから先へはいけません」。


 たとえば咀嚼ロボットの研究も大変だったという。「最初は『トリチウムチミジン』とか『外側翼突筋』とか言われても、ぜんぜん分からないでしょう。そこから始まったんですよ。筋肉や骨の名前も全然わからない。工学系だったら原点を決めて座標をつけて番号を振るんですけどね(笑)」

 人間を理解するためのアプローチとして最近は、産総研の「デジタルヒューマン」のように、完全にコンピュータのなかでモデルを構築してさまざまなシミュレーションを行なおうとする試みもある。だが、高西教授らは実物を使うことにこだわっている。その理由はなんだろうか。

 「最終的には我々もコンピュータのなかにつくりあげるのが目標だと思ってます。ただし、それは十分に現状の物理的あるいは生理的なヒトの挙動を再現してないといけない。現状ではまだ十分ではありません」


モデリングはあくまでシミュレーションでしかない

 高西教授は、「新入生にまず最初にたたき込むことがある」という。モデリングそのものの確かさを証明する方法はない、ということだ。

 工学の考え方がない時代にも「エンジニア」はいた。たとえば刀匠が作った日本刀は鍛造で作られており、世界一切れた。それは長年、師匠から弟子へと最強の鋼を作り出す方法として伝承されていったものだ。現在は、それがなぜ強いか分かっているが、当時は分からなかった。しかし、現在の手法では、ちゃんと設計して計算に持ち込むのがエンジニアのやりかたである。そして計算に持ち込む手法が、いわゆる「モデリング」である。モデリングには、世界をどうみるか、という思想が関わってくる。

 「しかし、モデルが正しいかどうかは証明不能なんですよ。なぜか。もちろん数学の範囲のなかで、数理の論理に則って正しいかどうかは証明可能です。でも、モデルは、現実の世界を数学に持ってきて作るわけです。現実と数学の世界、両方をまたいで証明できるものは何もない」

 エンジニアたちは、長い間の実験や経験をもとにして、「ほぼ、このやり方で間違いないだろう」という判断をしているに過ぎない、という。

 「したがって『君らがエンジニアとしてやっていくうえでモデルも当然つくるだろう』と。しかし、『設計したあとに、ちゃんと動くかどうかは実験してみないとわからない。特に実体を扱う機械工学は、必ず実験に戻るのが重要だ』と、まず言うんです」

 モデル化しても、正しいかどうかを確認するためには実体に戻らざるを得ない。「モデリングの実体と計算の確かさを調べるためにヒト型ロボットをつくっている」というわけだ。

 また、そもそもシミュレーションできない部分もある。たとえば咀嚼ロボットが良い例だ。歯は確かにほぼ剛体と見なすことができるが、実際に咀嚼する食べ物までモデル化はできない。食べ物は噛んでいるうちにかみ砕かれ、唾液を含んでぐちゃぐちゃになっていくからだ。「歯のモデルをつくっても現物の食べ物を噛ませないと最後は分からないじゃないかと。だからロボットがいるんだと。ひょっとしたら10年20年後には、そこも含めてモデル化できるようになるかもしれないけれど」。


WABIAN-2
 実際に、各種ロボットを見せてもらった。

 二足歩行ロボット「WABIAN-2」は、身長153cm、重量64.5kg。重量比やリンク長を可能な限り人間に合わせたロボットだ。人体の運動を実現できるロボットを作り「人体運動シミュレータ」として機器開発やリハビリに応用することを目指している。

 現在、歩幅50cm、一歩0.96秒の速度で歩くことができるようになった。膝を伸ばした、人間に近い歩き方が特徴だ。現在もポスドクの小椋(おぐら)優氏をリーダーに、骨盤や足の軸、足底などの改良を進め、より人間らしい歩行や運動を実現しようと試みている。

 当時、早稲田大学のドクターコースに在籍していいた埼玉国立リハビリテーションセンターの人との共同研究を通じて「骨盤を動かす」という発想が生まれ、膝を伸ばした歩き方を実現した。「我々がなぜこんなことができるようになったかというと、ものを作っているからなんですよね。現場でやることで発想が出てくるんです」。現在も共同研究は続いている。

 ものがあれば、お互い話す上でも現物を目の前にしてディスカッションできる。実際に指をさしながら「これはこうだよな、ああだよな」と議論することが重要なのではないかという。

 論文はエッセンスだけをまとめるものだから、そのような議論の過程や、研究者達の熱意や苦労、思い入れは描かれない。だが、実際には論文に書かれていないことは数多い――。高西教授はこう語る。

 WABIAN-2の開発費も我々が想像するほどは高くないそうだが、それは学生たちの人件費が入っていないからだ。小椋氏も「我々の血と汗と涙をさらに計上すると大変なことになります(笑)」と笑う。


WABIAN-2は人体運動シミュレータとして利用されることを目指す 骨盤を動かすことで膝を伸ばしてあるくことが可能

WABIAN-2の開発リーダーを務める小椋氏 つま先が可動する足裏

【動画】つま先が可動する足裏をつけた歩幅35cmでの歩行 【動画】同じく歩幅50cmでの歩行 【動画】屋外での歩行。歩幅は40cm

【動画】腰を回す動作 【動画】骨盤を左右にひねる動作

 「WL-16RIII」は、スチュワート・プラットフォームと呼ばれる6自由度パラレルメカニズムを使った二足歩行ロボットだ。人間のように重たいものを載せたまま安定した歩行が可能なロボットである。現在、路面の状況に適応して対応できるセミアクティブな足裏などを製作し、よりさまざまな環境、多少の凸凹があっても踏み込んで歩行できるように工夫が続けられている。

 また、まだ人を乗せた実験はしていないそうだが、足裏に車輪をつけて走行させることにも成功している。当然のことながら、歩行よりも移動速度は大幅に速くなる。加速するときには前に、減速するときには後ろにと、まるでアニメのネコのように足と胴体を動かしているが、これはZMP制御をかけているからだ。普通の車椅子にもZMP制御を入れて応用することは可能だという。


人を乗せて屋外歩行が可能な二足歩行ロボット「WL-16RIII」 路面状況に適応して歩行が可能な足裏 こちらは車輪を搭載した足裏

 EPDMという特殊なゴム素材の唇、喉にビブラート機構を持ち、アコーディオンを裏返しにしたような肺を持つフルートロボット「WF4-RII」の開発には、面白いエピソードがある。

 フルートに対してビーム状の空気を吹き付けることにはなんとか成功したものの、吹鳴域が1.5オクターブからどうしても広がらなかった。悪戦苦闘していたときにたまたま、プロの演奏家に見てもらったところ、彼は「フルートの左右から出ている音がバラバラに聞こえる」といった。そしてその場で学生に対して、もっと唇を広げろといった指導を与えたところ、調整しているうちに音域が広がり、最終的には2.5オクターブになった。

 つまりロボットそのものにはポテンシャルはあったのだが、調整する側に、音を出させるためのセンスがなかったのである。みるみる間に音域が広がっていく様子には「みんなびっくりした」そうだ。


フルートロボット「WF4-RII」 唇に特殊なゴム素材を使い、フルートを演奏できる

 このフルートロボットの喉の機構は、人間の声道の断面積データを再現して作られた、しゃべるロボットの声帯機構とほとんど同じものが使われている。当初はゴムチューブのようなものを外側からつけた機構になっていたが、それではあまり深くビブラートがかからなかったのだという。しかし、人間そっくりにすると深いビブラートがかかるようになったのだそうだ。

 現在は、唇のゴムを「セプトン」という新素材にしようとしているそうだ。実際にさわってみると、確かに人間の唇の感触と似ている。

 喋るロボットには、フルートロボットや咀嚼ロボットの技術も応用されているという。そして、そこで磨かれた技術がさらにもう一度もとのロボットにもフィードバックされている。

 変わったところでは、ラットの行動を自動的に調べる機器の開発も行なっている。画像処理技術や赤外線センサーを使ってラットのケージを観測し、実験そのものをオートメーション化するのだ。こんなとこにもロボット技術は使えるのである。

 また、このなかにラットと同じくらいのロボットを入れて、ラットの行動に影響を与える実験も行なっている。自動的に餌を出す機械があるのだが、それを動かすためにはラットからの働きかけが必要になる。それに気がつくとラットはやがて、餌が出てきたことをロボットに知らせる行動を示すようになるのである。ロボットを仲間だと思っているのだ。


ラットの行動を調べるために使われるロボット 画面の左下にロボットがいる。右上には自動餌やり器があり、餌が出てくるとラットはロボットを呼びに行く

 動物心理学的にも非常に興味深い行動なのだが、たとえば旅行に行っている間にペットの世話をしてくれるロボット技術にも応用できそうな技術である。動物用ならば人間用に比較すると安全性の問題もそれほどハードルが高くない。ペットの運動不足なども解消できるかもしれない。「僕はヒューマノイド・マーケットよりも先に『アニマロイド・マーケット』が立ち上がると言っているんですよ。誰かやりませんかね(笑)」。


王道を歩く高西研究室の今後

 このように高西研究室だけでも多くのロボット研究が現在も行なわれている。また、かつてロボット開発といえば必ず早稲田大学が取り上げられていた時代があった。しかし最近は、以前に比べると、存在感が薄くなったように思える。なぜだろうか。

 「一つはね、ロボットというのは、それだけ応用範囲が広いんですよ。関わる技術も広いし。今から十年くらい前までは、いろいろ応用できるほどは基本的技術が整ってなかった。けれども、企業が参入してきたこともあって環境が整いはじめた。企業や大学が自分たちの発想で色々なロボットを開発し始めると逆に、早稲田でできる範囲は当然決まってますよね。早稲田で全てできるかというとそんなことはない。ヒューマノイドだって色んなポテンシャルがあるわけですから」

 最近では、イタリアなど、ヨーロッパの研究者たちとも共同研究を始めようとしているそうだ。

 また、「WABIAN-2」は、企業との共同研究を経て「同じことをやっていては大学は太刀打ちできない、どうすればいいか」と悩んだ末に出てきた発想の結果でもある。

 「要するに企業としては考えないアプリケーションをやればいいんだと思ったわけです。WABIAN-2は、人のための機械を評価するためのヒト型ロボットですから、いわば裏方みたいなロボットです。ホンダのASIMOもソニーのQRIOも一見人に似ているけれど、リンクの長さや重さの分布は人と違う。逆にそれを近づける方向でのヒューマノイドがあるだろうと。企業と協力するにしても、そのほうが我々の研究開発にも近い」


 つまりは『王道』をやったほうがいいだろうということだろうか。

 「うん、本来のところに戻ってね。確かにホンダのロボットはショックだった。けれども、逆にそういうのがあったおかげで新しい発想が生まれてきたわけです。それに、卒業生が企業に行って研究をやってくれてますしね。そういう意味では、間接的には協力しているわけです」

 高西教授らは、学生の教育にも力を入れている。あちこちで指摘されていることだが、最近は分解しても原理が分からない製品が増えている。そのこともあり「原理を体験で理解しているエンジニアが少なくなっていることが、すごく大きな問題じゃないか」と高西教授も指摘する。

 来年度から早稲田大学では機械工学科はなくなって、総合機械工学科と機械科学航空学科に別れる予定だ。今後は、プロジェクトベースでの教育を進めていくという。「たとえばここでこんなコンピュータが欲しいとなったときにCPU、ここでこんなタイヤが欲しいとなったときに摩擦の勉強をするわけです。実体に合わせて必要な理論や基礎を勉強していくことが、これからの日本を支えるエンジニアには必要なんじゃないか」。

 今の子ども達のほうが、勉強するスキルは持っているのだが、体験が足りないことが問題だという。

 「はんだづけ一つとっても、回路だけじゃなくて熱力学や熱容量の問題が入ってくる。つまり、体験によって分野を超えた勉強ができるんですよ」

 そのための教材としても、ロボットはものすごく面白い教材だと考えているそうだ。高西教授は、「ロボット社会は二面で起きる」と常々強調しているという。「冷蔵庫洗濯機が自動化する一方で、いわゆるロボットらしいものの二面で進むと思っているんですよ」。

 社会で広く応用されるロボット技術を磨くためには、これまで以上に広い視点が必要とされる。高西教授の師匠であった故・加藤一郎教授は、厳しさと茶目っ気を併せ持った、新しいものが大好きな人だったそうだ。眼を本当にキラキラさせながら語る高西教授に向き合っていると、その流れは今も受け継がれているように思った。


URL
  早稲田大学
  http://www.waseda.jp/
  高西研究室
  http://www.takanishi.mech.waseda.ac.jp/
  【2006年4月27日】早大とテムザック、人を乗せる二足歩行ロボット(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0427/tmsuk.htm


2006/09/22 12:50

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