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H-IIBロケットの燃焼試験が種子島で実施
~延期は引き継ぎ不足などの人為的ミスが原因


提供:JAXA
 宇宙航空研究開発機構(JAXA)と三菱重工業(MHI)は4月2日、種子島宇宙センターにおいて、H-IIBロケットの第1段実機型タンクステージ燃焼試験(CFT)を実施した。

 H-IIBロケットは、日本としては初めて、第1段のメインエンジンをクラスタ化(2基)したものだ。これまで、両者はクラスタエンジンのテストを秋田県の田代試験場で行なってきたが、エンジンを本物のロケットに取り付けて、本物の射点を使って行なう燃焼試験が今回のCFTである。


H-IIBロケットでは、第1段に2つのLE-7Aエンジンが使われる 田代試験場の燃焼試験(BFT)では、タンクなどが実機とは異なる

 4月2日の燃焼試験はCFTの1回目になり、燃焼時間は10秒と短いもの。目的は、エンジンを2基同時燃焼させたときの安全性や、機体・設備のインターフェイスなどの確認にある。2回目のCFTでは、より長い150秒の燃焼が予定されている。

 エンジンの燃焼圧力は、2基とも約12MPaと計測されており、計画値(11.7~12.9MPa)通りの結果となった。詳細な検討のあと、特に問題がなければ、ほぼ2週間後に2回目のCFTが実施される見込みだ。

 1回目のCFTは、もともとは3月27日に予定されていたが、CFT前に行なわれた極低温点検において、冷却水が射点に供給されないという不具合が出たために、延期されていた。JAXAは3月31日に記者会見を開催し、この原因について詳しく説明した。

 射点では、エンジンの燃焼から設備を保護するために冷却水が注水・散水されるが、極低温点検での自動カウントダウンシーケンスにおいて、これが作動しなかった。原因を調べたところ、フレームデフレクタの冷却水系と防消火系の2系統に対する“元栓”が閉まっていたことが分かった。この弁は手動であるため、遠隔操作で開けることはできない。


手動の元栓が閉まっていたことが原因 問題が発生した3月27日の作業実績

 前日の機体移動のあと、水の配管を接続する作業があるが、作業が少し遅れていたために、「閉」のまま終わったという。夜間の最終準備で、ある作業チームがバルブを開いたが、それが伝わらず、閉であると思い込んでいた別のチームがまた操作してしまった。“開”か“閉”かを確認しなかったミスも重なり、これが結果として再び閉めることになった。

 対策として、作業手順書の詳細化、作業者の役割分担の明確化を行ない、かつ今回の供給弁など遠隔操作ができない調圧弁などについては、作業者・検査員以外の第三者による最終確認を行なうこととした。

 なおこの対策を受け、JAXAはCFTの実施を4月1日に再設定したが、今度は防消火系の配管から漏水が見つかり、また1日延期されていた。人為的ミスは少しお粗末ではあったが、こういった問題を発見して、1つ1つ潰していくのがテストのそもそもの目的である。JAXAとMHIには試験機の打上げに向け、引き続き万全を期してもらいたい。


URL
  宇宙航空研究開発機構(JAXA)
  http://www.jaxa.jp/
  三菱重工業(MHI)
  http://www.mhi.co.jp/

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( 大塚 実 )
2009/04/03 17:01

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