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記念撮影。手前はチロルチョコの山盛り。ロボット競技会の内で、最も甘くておいしい大会(笑)だ
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3月の3連休の中日となる21日(土)、秋葉原のロボットショップ・アールティで、年1回、毎年この時期が恒例となる「チロルチョコロボット大会」(まさゆきさん主催)の第3回が開催された。非常に楽しめたその大会の模様をお届けする。
● ビッグチロルチョコを模した外装を装着したロボットによる競技会
チロルチョコロボット大会は、底面(100×100mm)、上面(86×86mm)、高さ46mmというビッグチロルチョコを模した外装を装着した二足歩行ロボットによる競技会だ。そのほかのレギュレーションは、ロボットの足に使用できるサーボ数が4個までというものがあるのみで、あとはかなり自由。コントロール方法は有線でも無線でもOK。自律でも参加可能。自律の場合は二足歩行が必須ではなく、推奨という形になる。
競技内容は、後ほど詳細を説明するが、「2mダッシュ」「チョコっとシューティング」「チョコゲッター」の3種類がある。ロボット同士の直接対決ではなく、タイムや得点でもって競い合う。今回はチョコっとシューティングが初めてとなる競技で、これに備え、参加者全員がそれぞれ異なる方式を採用。創意工夫が非常に感じられ、実に面白かった。競技ごとに順位を出し、1位には20点、以下1点ずつ引かれた形でポイントが与えられ、最終的に合計点で優勝者が決定するという仕組みだ。
今回は、全7選手が参加。決して多くはないが、逆にアットホームな感じがあって、非常に楽しめた。また前2大会の傾向として、足に使えるサーボ数の少なさから、これまではビッグチロルチョコの外装に隠れるような、とても可愛いロボットたちが多かった。しかし、今回は大型化。2mダッシュでは、サーボ数が少なかろうと、足が長い方がタイム的に有利という流れのようで、昨年までのようなかわいい機体は3体のみ。少しチロルチョコロボット大会らしくない感じであった。そのほか、詳細は後ほどレポートするが、凶悪化と大容量(またはガッツリ)化という、新たな流れも。まるで、レギュレーションを厳しくしても、必ず抜け道を探してマシンのデザインをしてくるF1チームを見ているようだ。
個人的に見ていてかわいかったのは、KEGさんのプチローと、MANOI PF01ベースのざきさんのかにっち。特に、プチローは歩く時もかわいい効果音が出たり、ガッツポーズでかわいく自分でファンファーレを口ずさんだり、チロルチョコロボットの中のチロルチョコロボットという雰囲気だった。また、クボさんのべれったの両手ペットボトルの鳴り物入り状態にも笑えたほか、昨年の大会が競技会への初参加だったというアミエさんのぼさ2号のパワーアップぶりには感動。昨年はパワー不足が否めなかったが、今年はバッテリを交換するなどして大幅に出力を向上し、目に見えてパワーアップした様子を披露していた。
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エントリーナンバー1、KENTAさんのチョコン3
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エントリーナンバー2、KEGさんのプチロー
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エントリーナンバー3、クボさんのべれった
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エントリーナンバー4、アミエさんのぼさ2号
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エントリーナンバー5、ざきさんのかにっち
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エントリーナンバー6、イガアさんのこさが
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エントリーナンバー7、えまのんさんのMIMIC
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● 「2mダッシュ」は登坂能力がポイント
「2mダッシュ」は、1辺90cmの正方形のリングを3枚つなぎ合わせてフィールドを構成しているのだが、最後の1枚は5段階で上り坂にできるのが特徴。2cmの台を挟んで角度をつけるのだが、1段上がるごとにベストタイムから1割引される。計算式で、記録=ベストタイム×(1-0.1×段数)ということで、最大の5段にするとタイムを半分に縮められる。ただし、足に使われているサーボ数が少ないため、これまでは強力なサーボを使っている機体じゃないと段をつけた坂を登り切れなかった。ゴールできない場合は、そこまでの距離が記録となる。制限時間は5分。2回行なわれ、いい方のタイムが記録となる。紹介する動画はいい方のタイムを出した回を収録した。
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山盛りのチロルチョコ。記者も美味しく何個も(笑)いただいた
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段差を設けた状態
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トップタイムは、えまのんさんのMIMIC。1回目を27秒5で走り、5段の登坂なので、記録は13秒7。チョコン3は0段だったが、13秒8でわずかコンマ1秒及ばなかった。なお、べれったの1回目はクボさんのエンターテイナー精神が発揮され、記録0cmでリングアウトという具合。べれったのみ、その会場を盛り上げてくれた1走目を特別に紹介させていただく。なお、動画中でかかっているBGMはオリジナル曲で、今回は女性ボーカルによるメインテーマも発表された。
【リザルト】
1位:MIMIC 13秒7(5段、20pt)
2位:チョコン3 13秒8(19pt)
3位:こさが 20秒5(18pt)
4位:べれった 37秒2(17pt)
5位:かんっち 40秒(16pt)
6位:プチロー 96秒8(15pt)
7位:ぼさ2号 110秒(14pt)
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【動画】チョコン3。第1走者の緊張がある中、1走目に13秒8の好記録をマーク
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【動画】チョコン3。チロルチョコロボットらしいロボだが、その分2mダッシュは不利。1走目の様子
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【動画】べれった1走目の0cm記録。2走目は37秒2と4番手のタイムをマークしていた
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【動画】ぼさ2号。昨年を知る人からは驚きの声が上がったパワーアップぶりを披露。1走目の様子
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【動画】かにっち2走目。ざきさんはMANOIファンクラブ会長で、足はMANOI PF01
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【動画】こさが。ビッグチロルチョコの外装を手に持っているという、意表を突いた機体。2走目
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【動画】第1回大会の優勝マシンMIMIC。段を設けるルールは、対MIMIC対策とか? 1走目の様子
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● MIMICの凶悪化で会場は戦場に!? 新競技「チョコっとシューティング」
今回初めて行なわれる競技が、発射体を使った「チョコっとシューティング」だ。1枚のリングを使い、移動できる範囲内(90×20cm)から、正面の端に並んでいる3つの紙コップ上のチロルチョコを撃ち落とせばカウントという内容である。発射体は転がしてもOKだし(チョコ自体ではなく、紙コップを狙ってもよい)、発射体を使い切ったら再充填してもOK。5分の制限時間があるが、チョコが3つとも落とされた時点で一時ストップし、再度紙コップにチョコを載せて並べて計時再開というルールで、3個落とせばおしまいというわけではない。
また、スタート地点はリング左端にあるのだが、その正面には障害物が置いてあるので、必ず移動しなければならない。本来は射撃フィールドの20cmを示すラインを超えると失格だったが、予想していたより狭かったため、投球モーションなどを取る必要のある機体は、完全に超えてしまわない限り、特別に踏んでもOKとなった。同様に、リングアウトしやすかったため、落ちてもOKということにもなった。ただし、3個目のチョコを落とし、再度並べ終えた後、4個目を狙う時は3個目と違うものを狙うというルールは遵守された(ロボットを動かさずに当てられるので、それを防ぐルール)。動いたとしても、3個目と4個目が同じ場合はそのルールが適用され、落としたチョコの個数が1つ減らされてしまうというペナルティである。
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ターゲットは、紙コップの上のチロルチョコ
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障害物
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とにかく、ここでは7選手共に創意工夫が見られ、競技として非常に評判がよかった。チョコン3は両腕にセットしたビー玉を転がし、プチローは両腕にレゴの発射体機構をセットし、べれったは長い両腕のペットボトルからビー玉などを放り出すという具合。ぼさ2号は頭の上に乗せたカップからボールなどを転がし、かにっちは頭の上にボールを載せて転がし、こさがは右腕のビッグチロルチョコの外装をカップにしてボールなどをボウリングのように転がしていた。
そして、会場を戦場にしたのがMIMIC。ビールのオマケでもらったというBB弾の発射装置を頭に載せ、連射に継ぐ連射でチロルチョコを次々と落としていく。ビッグチロルチョコの外装を外すと、何かのリアルロボットアニメとかに出てきそうな雰囲気である。とにかく外れた流れ弾が多量で、さすがに観客席まで飛んでくることはなかったが、チロルチョコロボット大会のほんわかまったりな雰囲気はどこへやら、という緊迫感をもたらした(笑)。飛んでこないとはわかっていても、移動する際にMIMICは頭を振るためにちょくちょく銃口がこちらを向くし、一度発射機構のスイッチを入れると直接手動で切らないと止められないため、倒れても撃とうとするのだ。跳弾の音も金属部分に当たるとチュイン! と、やけに迫力があり、気分はまさに戦場カメラマン。編集部に危険手当ての申請をしようかと思ったほどである(笑)。
また、プチローの発射機構は素晴らしく、満場一致で評価され、チロルチョコロボットの公式機構として採用してはどうかという話まで出ていた。2mダッシュから少し変更があった機体は、改めて写真を掲載しているので、動画と合わせて、各選手の創意工夫と1名の凶悪ぶり(笑)をご覧いただきたい。こちらも高得点の方を紹介する。
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べれったはペットボトル先端に紙コップをつけ、ユニバーサル仕様でさまざまなものを投げられた
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ぼさ2号も頭部に紙コップを載せて第2競技に出場
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外装を斜めにしてガイドラインを設け、そこをボールが転がるようにしたかにっち
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二足歩行の凶悪な無人兵器(外装を取るとなおさら)となったMIMIC。ロボットの兵器利用断固反対(笑)
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レゴの装置を利用したというプチロー。危険性もなく、第2回大会のようにお子さんがいても安心
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【リザルト】
1位:MIMIC 16個(20pt)
2位:プチロー 14個(19pt)
3位:こさが 11個(18pt)
4位:ぼさ2号 5個(17pt)
4位:かにっち 5個(17pt)
6位:チョコン3 4個(15pt)
6位:べれった 4個(15pt)
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【動画】チョコン3。ビー玉を落として転がすという方式。発射態勢がかっこよく、1回目に4個を落とした
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【動画】1回目は調整不足で右腕側が暴発しやすかったが、2回目は完璧。14個も落としたプチロー
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【動画】べれったは2回目。なんでも投げられるが、跳ねてしまうのが難点。4個を落とした
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【動画】ぼさ2号は頭に紙コップを載せ、べれった同様にユニバーサルな感じに。2回目に5個を落とした
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【動画】かにっちは2回目で発射機構やモーションが完成し、5個を落とした
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【動画】右腕のビッグチロルはこの競技のため。こさがはボウリングのように転がし、2回目に11個を落とした
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【動画】BB弾を連射して、1回目は11個、2回目も16個を落として1位になったMIMIC
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● よくばると死を見る「チョコゲッター」
3枚のリングをつないだフィールド上の2カ所にロボットアーム「RT0002」があり、そこで頭につけたカゴなどにチロルチョコを入れて(1回5個ずつ、1つのアームで5回まで)、5分の制限時間内に2m先のゴールにたどり着けると、タイムとゲットした個数が記録されるという第3競技「チョコゲッター」。チロルチョコは約6gで、最大50個載せられるわけだが、載せすぎると重量増による負荷が増すし、特に頭部に設置したカゴに入れる場合はバランスが悪くなるなど、どれだけ載せるか・どこでやめるかのバランスがポイントとなる内容である。載せるのはロボットアームの動きを把握して、距離感さえつかめばアーム先端のカップからカゴなどに移すのは決して難しいわけではない。しかし、とにかく載せた後が肝心で、一気に動きが悪くなり、転倒して結局全部ぶちまけてしまい、なおかつゴールできず、という場合も往々にしてあるのがチョコゲッターだ。
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ロボットアーム
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チョコは1アームで最大25個
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フィールド全体の様子。各アームのそばには障害物がある
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ロボットたちは頭部にカゴなどを装着するので、若干外観が変わるのはいつもの通りだが、中でもMIMICの大容量化というか、ガッツリぶりはすごかった。カゴだけでなく、本来のビッグチロルチョコの外装の左右にもひっくり返したビッグチロルチョコの外装を固定し、受け皿代わりにしてあるのだ。第1回大会では「チョコゲッターの鬼」といわれたそうだが、今回もガッツリと狙うのであった。同じくガッツリ狙いがこさがで、練習時間には右腕のビッグチロルチョコをひっくり返した受け皿いっぱいにチロルチョコを入れ、ちゃんと移動できるかどうかというチェックも行なう念の入れよう。べれったも背中に外装をひっくり返してキャリアーとして装着し、どっさりと運ぶ作戦。が、オペレーターのクボさんのことなので、ストレートにガッツリ載せてゴールへ向かうとは思われず(笑)、こさがvsMIMICの勝負になることが予想された。
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チョコン3withカゴ。上背があるので、ロボットアームの高さの調整も必要
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プチローwithカゴ。小型なだけに量を運べず、やや不利だが、チロルチョコロボットらしい姿
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べれったwithキャリアー。2回目で装備。運べそうだが、長い両腕が邪魔になりそう
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ぼさ2号withカゴ。左右に振る顔ではなく、当たり前だが胴体にカゴをつけている
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かにっちwithカゴ。こちらもチロルチョコロボットらしい姿
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MIMICwithキャリアー(+砲塔)。MIMICアサルトモード(?)に続き、キャリアモードといったところか
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なおここでは、2回のチャレンジの内、成績のよかった回だけでなく、ぶちまけたりハラハラさせたりと、成績にこだわらずに面白かった方を取り上げたい。
【リザルト】
1位:MIMIC 27個(20pt)
2位:こさが 24個(19pt)
3位:べれった 20個(18pt)
4位:チョコン3 12個(17pt、カゴのみ)
5位:かにっち 11個(16pt、カゴのみ)
6位:ぼさ2号 9個(15pt、カゴのみ)
7位:プチロー 7個(14pt、カゴのみ)
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【動画】チョコン3。12個をゲットして4位。カゴのみの機体だけならトップだ
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【動画】プチロー。初参加の選手には動きがつかみづらいため、1回目は苦戦したが2回目は7個獲得
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【動画】べれった1回目。余計なことをした挙げ句……
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【動画】ぼさ2号の2回目。ギリギリ間に合うかどうか? 会場もハラハラドキドキで応援
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【動画】かにっちの2回目。11個をゲット。1回目も6個をゲットしていた
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【動画】戦前の予想通り、MIMICと競い合う展開となったこさが。2回目は24個。惜しかった
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【動画】MIMICの2回目。1回目の27個を超える記録が期待され、プレッシャーがかかってしまって……?
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笑いあり、感動ありの3競技を終えて、最終的な得点は、以下の通りとなった。前述したように、ポイントシステムとして1位と2位の得点差が1点という、F1以上に各競技の優勝者の得られるリードが少ないため、総合優勝を果たすにはすべてに平均して高い得点を出さないと厳しい。結果は、もちろんすべて優勝だったMIMICのえまのんさんが60点のパーフェクトで優勝。準優勝は、55点のこさがのイガアさんとなった。得点は以下の通り
【総合結果】
1位:MIMIC(えまのんさん) 60pt
2位:こさが(イガアさん) 55pt
3位:チョコン3(KENTAさん) 51pt
4位:べれった(クボさん) 50pt
5位:かにっち(ざきさん) 49pt
6位:プチロー(KEGさん) 48pt
7位:ぼさ2号(アミエさん) 46pt
また、取材陣の記者、観戦者、参加者全員による投票で、最もチロルチョコロボットらしいロボットとして、プチローが受賞。巨大化、凶悪化、大容量化の新たな流れ(?)の中で、正統派チロルチョコロボットとしての存在感を示していた。次回は、チョコが融けないように、まだ寒さの残る来年の春先を予定している。
■URL
チロルチョコロボット大会3
http://masayuki.style.coocan.jp/hp/robowiki/?%A5%C1%A5%ED%A5%EB%A5%C1%A5%E7%A5%B3%A5%ED%A5%DC%A5%C3%A5%C8%C2%E7%B2%F13%B7%C7%BC%A8%C8%C4
アールティ
http://www.rt-net.jp/index.php
チロルチョコ
http://www.tirol-choco.com/
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( デイビー日高 )
2009/04/01 16:19
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