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NEDO、2015年頃の実用化を目指す6種のロボットを発表
〜「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」ステージゲート結果発表


 2月13日、独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO技術開発機構)は、「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」で開発中のロボットのうち、ステージゲート(絞り込み評価)を通過した6体を発表した。2015年ごろの事業化を目指す。

 「戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト」はNEDO技術開発機構が「21世紀ロボットチャレンジプログラム」の一環として、2006年度から5年間の予定で推進中のプロジェクト。将来の市場ニーズ、社会ニーズが高いと考えられている「製造分野」「サービス分野」「特殊環境下での作業分野」において実用的なロボットを開発することを目的としている。

 このプロジェクトでは研究実施主体が競争的に研究開発を行なうことによりイノベーションを加速させることを目的として、「ステージゲート制度」(絞り込み評価)を導入している。これはプロジェクト実施期間を前半3年間と後半2年間の2段階に分け、達成度、再現性・安定性、ミッション達成の所要時間などの観点から定性的・定量的評価を行なって絞り込みを行ない、通過した研究グループだけがステージ2に進めるというもの。

 NEDO技術開発機構では2008年10月〜12月に外部有識者による絞り込み評価を実施。3分野7テーマ、18グループから、3分野6テーマ、6グループに絞り込んだ。これらのグループには継続して委託費が支給される。平成21年度予算は7億5,000万円(予定)。なお7テーマのうち、「高齢者対応コミュニケーションRTシステム」は該当なしとされ、改めて公募が行なわれることになった。

 選定された6事業者は以下のとおり。

1) 柔軟物も取り扱える生産用ロボットシステム「FA機器用組み立てロボットシステムの研究開発」
 実施者:三菱電機株式会社

2) 人間・ロボット協調型セル生産組み立てシステム「先進工業国対応型セル生産組み立てシステムの開発」
 実施者:ファナック株式会社

3) 片付け作業用マニピュレーションRTシステム「乱雑に積層された洗濯物ハンドリングシステムの研究開発」
 実施者:香川大学、株式会社プレックス、宝田電産株式会社、香川県産業技術センター、財団法人四国産業・技術振興センター

4) ロボット搬送システム「全方向移動自律搬送ロボット開発」
 実施者:慶応義塾大学、村田機械株式会社、独立行政法人産業技術総合研究所

5) 被災建造物内移動RTシステム「閉鎖空間内高速走行探査群ロボット」
 実施者:NPO法人国際レスキューシステム研究機構、東北大学、独立行政法人産業技術総合研究所、独立行政法人情報通信研究機構、株式会社シンクチューブ、ビー・エル・オートテック株式会社、バンドー化学株式会社、株式会社ハイパーウェブ

6) 建設系産業廃棄物処理RTシステム「次世代マニピュレータによる廃棄物分離・選別システムの開発」
 実施者:東急建設株式会社


 1)は組み立て現場でハーネス(ケーブル)など柔軟物を扱うことを想定したロボット。2)はセル生産現場の効率向上を目指したロボット。3)はリネンサプライ工場現場にてタオルなど洗濯物投入工程を自動化することを想定したロボット。4)は病院での院内搬送を行なうロボット。5)は地下街などでの災害を想定したレスキューロボット。6)は建築物解体ロボット。5)と6)については本誌で過去に取材しているのでそちらも合わせて参照して欲しい。

 審査基準は「技術的達成度合い」と「事業化見通し」の2つ。特に「事業化できるかどうか」に重点を置いて審査されたという。NEDO技術開発機構 機械システム技術開発部長の岡野克哉氏は「審査において僅差のテーマだった場合は事業化の見通しが高いものを選んだ。今回審査に落ちたなかにも、事業化の見通しは低いが技術的には立派なものができたものもあった。だから将来有用なものにならないということはない」と述べた。現在は6,000億円の規模のロボット市場を数兆円規模に広げることを目指す。なお落選したロボットはプロジェクトが始まったときの研究委託先一覧を見れば分かる。


戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト プロジェクトのスケジュール NEDO技術開発機構 機械システム技術開発部長 岡野克哉氏

「FA機器用組み立てロボットシステムの研究開発」と「先進工業国対応型セル生産組み立てシステムの開発」 「乱雑に積層された洗濯物ハンドリングシステムの研究開発」と「全方向移動自律搬送ロボット開発」 「閉鎖空間内高速走行探査群ロボット」と「次世代マニピュレータによる廃棄物分離・選別システムの開発」

デモンストレーション

 記者会見ではステージゲートを通過した2体のプロトタイプロボット、閉鎖空間内高速走行探査群ロボット「Kenaf(ケナフ)」と、全方向移動自律搬送ロボット「MKR-003」のデモンストレーションも併せて行なわれた。この2種類だけがデモされた理由は、他のロボットは会議室には持ってこられないため。


閉鎖空間内高速走行探査群ロボット「Kenaf」
 被災建造物内移動RTシステム「閉鎖空間内高速走行探査群ロボット」としてNPO国際レスキューシステム研究機構ほかが開発している「Kenaf」は、本誌では何度もご紹介しているクローラー型のレスキューロボットだ。重量は20kg程度。実際には、胴体部分のセンタークローラーとフリッパーアームを使って不整地を走行できる性能を持つロボットプラットフォームと、レーザーレンジファインダーを使った3次元地図作製技術やタッチパネルを使った経路選択、有線/無線のアドホックネットワーク構築技術など、ロボット本体の遠隔操作を容易にするための諸技術からなるロボットシステムである。

 主に地下街などでの大規模災害現場など、災害現場でレスキュー部隊のファーストレスポンダーが状況確認する補助として使用することが想定されている。二次災害のおそれがある場所で要救助者を捜すための情報収集ロボットである。特定非営利活動法人 国際レスキューシステム研究機構会長の田所諭氏は会見にて「今後2年間はファーストレスポンダーに実際に使ってもらい、ロボットも改良していき、実用化につなげていきたい」と述べた。ロボカップ2007アトランタ世界大会の運動性能競技で優勝している「Kenaf」は2008年11月には米国「Disaster City」でもテストをし、「世界一運動性能が高いロボットであることが実証された」という(田所氏)。


【動画】Kenafのデモ。解説しているのは東北大学情報科学研究科の大野和則氏 【動画】レーザーレンジファインダーを動かしたあと、不整地を走行 熱カメラやレーザーレンジファインダーなどを搭載

ステレオカメラを備えたタイプも ロボット遠隔操縦の技術課題 接触ベースでフリッパーを動かす半自律操縦支援システム

3次元地図を構築する Disaster Cityでの試験の様子 特定非営利活動法人 国際レスキューシステム研究機構会長 田所諭氏

全方向移動自律搬送ロボット「MKR-003」
 全方向移動自律搬送ロボット「MKR-003」は、主として病院内搬送を想定したロボット。昨年10月に行なわれた「ROBO_JAPAN 2008」でも慶應義塾大学のブースにて出展されていたので、ロボットそのものは見たことがある人も多いだろう。インフラへの追加投資なしに人のいる環境内で円滑に移動することのできるロボットをつくることが目標だ。

 背景としては、病院現場では高齢者増加や人材不足から仕事量が多くなっていること、また院内物流管理の向上、効率化が求められていることがあるという。いっぽう、病院内搬送システムのニーズには、搬送の自動化、多頻度少量搬送への対応、低い導入コスト、設備レイアウトへのフレキシブルな対応などがある。

 開発されたロボットは頭部にステレオカメラ、胸にメッセージ表示板、腹部に超音波センサー、足元にレーザーレンジファインダーがついており、足まわりはオムニホイールによる全方向移動機構となっている。また両腕がついていることが特徴。ジェスチャー動作などでHRI(Human Robot Interaction)を使って積極的にまわりの人に働きかけることで安全性を向上させる「アクティブセイフティ」を意図しているという。なお腕については「顔と手があったほうがロボットらしい」という現場からの要望でもあったそうだ。またまだロボットの身振りなどについては開発中とのこと。

 反射板やガイド用磁気テープといった病院設備側に施工の必要がない点が大きな特徴。最初にゲーム用のリモコンによるマニュアル操作で施設内を走行させるだけで、ロボットはSLAMを使って自動で地図を作成する。また搬送ポイントもスタートとゴールを設定すると、最短経路を自動的にロボットが策定する。人と共存する環境下で動作することを想定しており、独自の障害物回避アルゴリズムを持つ。また移動中は3cm程度、充電ステーションと接続するときには3mm程度の位置精度を出せるという。運搬は、今回は牽引台車を引っ張っていくかたちでデモされたが、今後、他の可能性も含めて模索していく。

 村田機械株式会社研究開発本部京都R&Dセンター機構チーム課長心得 森口智規氏は、実証実験を通して「見えない課題」を探っていきたいと述べた。たとえば病院内の障害物として点滴棒などが考えられるが、それが見えるのかどうか。また、今見えている障害物も実際の運用現場では諸条件によって見えなくなるかもしれない。それらは実証実験を繰り返して潰していくことになる。実際に動かしながら病院の人と一緒に「ロボットを使っていく風土」のようなものを作っていくことも重要だと考えているそうだ。実証実験そのものも2〜3時間×9回しか行なっていないとのことなので、これからの課題も少なくなさそうだ。障害物と出くわしたときにも静止するのではなく常に動き続けようとするようなところも、お年寄りや子どもが多い病院内で運用されるならば気になる点である。


MKR-003。充電ステーションにて充電中 こちらが後ろ 側面

頭部のステレオカメラと胸のメッセージ表示板 移動台車を後ろにつけて移動する

【動画】充電ステーションから離れ、Uターンして進行 【動画】障害物を自分で回避しながら全方向移動機構を使って移動

URL
  NEDO
  http://www.nedo.go.jp/
  戦略的先端ロボット要素技術開発プロジェクト
  http://www.nedo.go.jp/activities/portal/p06023.html

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( 森山和道 )
2009/02/16 14:35

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