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第15回総合福祉展「バリアフリー2009」レポート
~ロボットスーツ「HAL」や本田技研工業の歩行アシストも体験できる
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「第12回 ロボットグランプリ」レポート【大道芸コンテスト編】
~自由な発想でつくられた、楽しい大道芸ロボットが集結!
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北九州市立大学が「手術用鉗子ロボット」開発
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ヴイストン、秋葉原に初の直営店舗「ヴイストンロボットセンター」、29日オープン
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大盛況の「とよたこうせんCUP」レポート
~ロボカップにつながるサッカー大会が愛知県豊田市で開催
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「第3回こうべロボット夢工房」レポート
~マスタースレーブでwakamaruの操縦体験も実施


 12月6日(土)、7日(日)の2日間、神戸市立青少年科学館において「第3回こうべロボット夢工房」が開催された。

 神戸では、神戸市が中心となり産学官が一体となってロボット開発による神戸経済の活性化やロボット技術に伴う夢の創出を目指す「神戸RT構想」に取り組んでいる。「こうべロボット夢工房」は、神戸RT構想の普及啓発事業名である。今年のテーマは「夢のかたち……ロボット」。子ども達が、ロボット製作者の話を聞きながら体験できる参加型イベントとなっていた。


神戸市立青少年科学館 入場してすぐのところで、マスコットロボット「神ちゃん」が来場者をお出迎え 各ブースで子ども達がロボットの操縦体験やデモンストレーションを楽しんだ

wakamaruの体験操縦が人気

 会場中央のブースでは旭光電機株式会社がFST(フレキシブル・センサー・チューブ)を使って、三菱重工業株式会社の「wakamaru」を操縦するデモンストレーションを行なっていた。

 FSTは、旭光電機が神戸大学の大須賀研究室と共同で、ガレキ内探索ロボット「MOIRA」の位置同定用に開発したセンサーだ。ヘビ型ロボットのMOIRAは、上下のクローラを同方向に動かして、ガレキをかき分けながら要救助者を発見するロボットだ。しかし、ガレキ内に潜ったMOIRAがどこで要救助者を発見したのか、外部からは位置を把握できない。そこで、5cm毎の関節にポテンションメータを搭載し、クネクネと曲がるチューブ状のFSTを開発した。MOIRAがFSTを引きずって動けば、要救助者を発見した際には、FSTの先端位置を調べればいい。

 この先端位置を把握できるという特性を他の用途にも使えるのでは? というアイデアが、今回デモンストレーションしたマスタースレーブシステムの発端となっている。

 通常のマスタースレーブシステムでは、装置のサイズが固定されているため、ユーザーの体型が限定されてしまう。しかし、FSTなら子どもから大人まで同じシステムを使って、ロボットを操縦することができる。初期位置設定は、FSTを両手に装着したユーザーが、気をつけの姿勢と両手を前に出した姿勢の2カ所でジョイスティックのボタンを押すだけの簡単な操作で終了する。それだけで、ユーザーが両手を動かすとwakamaruの手も同じように動き、ジョイスティックで前後左右・回転など自由自在に移動させることができる。2日間の開催期間中、子どもから大人までFSTを使ったwakamaruの操縦体験を楽しんでいた。


【動画】神戸大学大須賀研究室のガレキ内探索ロボットMOIRA2 【動画】FSTを使ったwakamaruの操縦体験。子どもでも簡単に操縦が楽しめる

【動画】両手のジョイスティックで、前進後退や回転などの移動系を制御できる 【動画】同じシステムを身長差が倍ほどある大人が使うことも可能

ロボットのおはなし「wakamaruの夢・未来」

日浦亮太氏(三菱重工業株式会社神戸造船所)
 7日の午後には、三菱重工業株式会社神戸造船所 先端製品・機械システム部 メカトロシステム設計課主任の日浦亮太氏による講演「wamakaruの夢・未来」が開催された。

 日浦氏は、wakamaruを開発したきっかけや搭載されているマイクやカメラ、赤外線センサーなどについて、クイズを交えながら子ども達にも分かりやすく解説した。コミュニケーションロボットのwakamaruは、イベント会場で人気者になるのはもちろん、幼稚園や病院の受付、ショッピングセンター・科学館などでの活躍が期待されている。今後より自然なコミュニケーションを取るために、音声やジェスチャに加えて視覚的な情報を積極的に提示していくことも研究中だという。

 例えば、レストランでワインを選ぶ時、ソムリエがワインリストを広げながらワインを紹介してくれるだろう。このように言葉だけよりも、写真や文字データを提示しながら説明した方が情報は伝わりやすい。wakamaruでも同じように、情報提供できないかと考えたそうだ。

 そこで、左腕にモニタを搭載したwakamaruを製作し、言葉とジェスチャー、モニタ情報を融合したコミュニケーションを研究中だという。テストしてみると、wakamaruの発話と視線、モニタの表示とそれを示す腕の動きなどのタイミングがズレると、人にとって不自然な動きになってしまい“会話”にならないことがわかったという。こうした新しいコミュニケーション手段の研究を続け、より細やかなサービスを提供するロボットにwakamaruは成長を続けている。

 日浦氏は最後に、wakamaruが人の言葉や気持ちを汲んで日常生活を手伝ったりできるような賢いロボットになるためには、まだまだたくさんの時間がかかると述べ、「早く大人になって、開発を手伝ってください」と子ども達に呼びかけた。


wakamaruの開発をスタートした理由 wakamaruの基本コンセプトはコミュニケーション ロボットが自然なコミュニケーションをとるために必要な基本能力

人の話を聞く能力 顔を認識し、そちらを見る技術 周囲を見回す全方位カメラと、前方を認識するカメラを併用

人に親しみを感じさせるデザインもコミュニケーションには欠かせない要素 身体でコミュニケーションを取るためのタッチセンサー wakamaruは24時間の生活リズムを持ち、自立生活して人と共存する

自由に動き回るために、移動量を常に自分で計算している 左手に搭載したモニタで視覚情報を提供しながらコミュニケーションを取る研究も進められている

開発者に話を聞き、ロボットの操縦ができる参加型イベント

 今回は、関西のロボットベンチャー企業や大学・高専で開発されたロボットがメインとなって展示されていた。各ブースでは、ロボット開発に携わっている方が、子ども達に操縦方法を教えたり、ロボットの仕組みや作り方を解説したり、参加者のレベルにあった楽しみ方ができる工夫がされていた。

 ロボットフォースのブースには、同社が製作した「プッシュくん」や犬型ロボット「DOG WAN(ドッグワン)」の他、二足歩行ロボットの展示と実演を行なっていた。「がんばれ! パパのロボット」というコーナーでは、ホビイストが製作するロボットも紹介。普通のパパ達が作った自慢のロボットを子ども達が取り囲んでいた。

 有限会社はじめ研究所では、ロボカップに出場した二足歩行ロボットが、カメラで周囲を認識してボールを蹴っている様子をモニタと実機でわかりやすくデモンストレーションした。子ども達は、オレンジのボールを動かしてもロボットがちゃんと反応するのに驚いたようすだった。


【動画】ロボットフォースのブースでは、楽しいトークとロボットに子ども達が夢中になっていた 会場内を歩き回り愛想を振りまくプッシュくん ダイセン電子工業のDOG WANもイベントに初登場

「がんばれ! パパのロボット」と題して、ホビイストが自作ロボットを子ども達に披露 二足歩行ロボットの操縦体験。上手にペットボトルを倒すことができるかな? 「がんばれ! パパのロボット」のメンバー達

有限会社はじめ研究所の坂本氏が、ロボットの画像処理を分かりやすく解説 自律型二足歩行ロボットが、カメラで周囲を認識してボールを追いかけるデモンストレーションをした 子どもと同じくらいの身長を持つ二足歩行ロボットの操縦体験も人気

株式会社レイトロンの「Chapit」。子ども達が一生懸命話しかけていた ビー・エル・オートテック株式会社の「水底清掃ロボット」。画像認識のようすをモニタに映し出していた 株式会社システムワットの「ROBOCUBE」。ブロックを組んでロボットを製作し、センサーの仕組みを体験できる

有限会社ピノキオブースに展示された「ロボキック」 「Robotch II」が率いるロボット音楽隊。オリジナルソングを演奏中 KOBE 鉄人プロジェクトのペーパークラフト「鉄人28号」

東洋初のロボット「学天則」のレプリカを展示 兵庫県伊和高等学校のブースで、江戸からくりのデモンストレーションと解説 【動画】神戸高専のNHKロボコン出場ロボット。パイロン旋回やハードル超えもできる多足歩行ロボット

神戸市立工業高等専門学校のレスキューロボット「がんばろう KOBE」 ロボットキットを操縦し対戦する子ども達 ペーパークラフトや塗り絵コーナーは幼児達に人気

新常設展示「ライントレーサー」~ライントレースロボットの原理を体験

 神戸市立青少年科学館の3階の第2展示室に、6日から常設展示物として「ライントレーサー」が新たに加わった。

 ライントレースするロボットは、床の黒線をセンサーで検知して進む。この展示は、ライントレーサーが、2進法でラインを検知していることが理解できるよう、0と1のボタンでセンサーがラインを検知している(=1)/いない(=0)を示している。ライントレーサーを押して、上手にラインをトレースしながら進むことができれば、音楽が鳴るようになっている。

 隣には、ライントレーサーの仕組みを紹介するパネルと、ライントレースロボット「カタツムリ」が展示されていた。

 同館には、他にも似顔絵を描くロボットや産業用アームロボットを使った展示がある他、ロボットに搭載されているセンサー技術を学ぶコーナーもある。冬休みに親子で訪れてみてはいかがだろうか。


【動画】ライントレーサーを体験できるコーナーが新しく常設展示に加わった ラインを検知したら1のボタンが光り、音楽が鳴る。音楽を鳴らしながら、制限時間内に1周できれば成功 ライントレーサーの仕組みを紹介するパネル

URL
  神戸市立青少年科学館
  http://www.kobe-kagakukan.jp/

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神戸市立青少年科学館「こうべロボット夢工房2008」レポート(2007/12/19)
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( 三月兎 )
2008/12/12 14:52

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