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近畿大学がロボットをものづくり人材育成授業に活用
~1年生100人による競技会「ROBOLYMPIC 床運動」を実施


近畿大学理工学部機械工学科 課題発表会
 12月1日(月)、近畿大学理工学部機械工学科において、二足歩行ロボットを教材とした「もの作り人材育成授業」の課題発表が競技会形式で行なわれた。

 近畿大学では、5年前から1年生を対象とした「基礎ゼミ」を必須科目として取り入れ、教員1名あたり学生10名の小グループでゼミナール形式の授業を行なっている。機械工学科の「基礎ゼミ」は、前期は学生に自主的なテーマを与え、ディスカッションやプレゼンを行なう。後期は同科の200名を2グループに分け、ロボットと自動車をテーマに実習形式で学ぶ。それぞれのテーマを6時限に渡って実習し、最後に競技形式の発表会を実施する。

 ロボットのコースでは、教材に株式会社ゼットエムピー(ZMP)の「e-nuvo WALK ver.3」を使用。Microsoft Robotics Studio(以下、MRS)を使って、1チーム約10名でロボットのモーションを製作し2分間で発表した。

 授業は1時限目にロボット構造とMRSの使い方、2時限目でロボットを動かすときに重要となる重心の移動について学び、各自でロボットのモーションを作成しシミュレーター上で動かす。3~5時限目は、各グループに分かれて競技会に向けたモーション作成を行なった。

 全生徒に1体ずつのロボットを貸与することはできないため、物理シミュレーション機能があるMRSに対応している「e-nuvo WALK ver.3」を教材として選択したという。「e-nuvo WALK ver.3」は、サイズは159×140×353mm(幅×奥行き×高さ)。重量2.5kg。21kgf・cmのサーボモータが片足6×2の計12軸で構成されている。MRSの物理シミュレーション環境で動作するバーチャルロボットで、実際のロボットの動作を事前検証することが可能。

 今回のカリキュラムではMSRを使いこなしてモーション作成するところまでは届かないため、同学部の原田孝准教授が重心位置をビジュアルで確認できるツールを作成し、学生に配布した。このツールにより、学生達はZMPが提供している「歩く」「キック」などのサンプルモーションを解析し、ロボットがどのように重心移動しているのかを理解しやすくなったという。モーション作成にあたっては、オリジナリティを発揮するように指導したため、「カニ歩き」や「片足ジャンプ」という新しいモーションを考えたチームもあった。

 2分間の持ち時間は意外と長かったそうで、モーション作成よりも「どのような動きをさせるか?」というアイデアに苦労したようだ。グループ内でペアを組み15秒ずつ動きを作り、持ち寄ったモーションを絞り込んだりブラッシュアップして、テーマに沿った演技内容をまとめたチームもある。学生達にとってはバーチャルで動いたプログラムが、実機では床が滑ってモーションが再生できないなどの、物理系の経験を積む機会となったようだ。

 チーム単位で課題作成を行なうのは、将来、社会人となりプロジェクトチームを組んで仕事をする時の模擬体験という意味もあるという。チームで開発する中で、自然とリーダーが決まり、開発の分担やプレゼン担当などの作業分担が行なわれたそうだ。競技会直前の週末には教室を開放したところ、夜8時過ぎまで自主的にプログラムの調整を行なう学生もいたという。


Microsoft Robotics Studioのハードウェア設定画面 各サーボの設定と遷移時間を設定しポーズを作成する。複数のポーズを連続して再生するとロボットのモーションとなる 原田孝氏(近畿大学理工学部准教授)

 競技会のタイトルは「ROBOLYMPIC 床運動」。各チーム1分間のプレゼンを行なった後、工夫を凝らしたモーションを解説付きで披露した。5人の先生方が、プレゼンテーション点・技術点・芸術点の3項目を採点、演技のストーリー性やモーションの意外性と美しさなどを評価した。歩行やハイキックという基本的なモーションも、丁寧に作り込んだチームはスムースに安定して動き拍手が湧いていた。

 優勝した15班は、メインに「リンボーダンス」のモーションを作成した。単にバーを潜って見せるだけではなく、事前に屈伸やアキレス腱伸ばしなどの準備体操を入れ、リンボーダンスを成功すると、ハイキックや連続片足ジャンプで派手に喜んで見せるなどバリエーション豊富な演技を披露した。


競技会前にメンバーで話合い、プログラムの最終チェック 1分間のプレゼンテーションで、モーション作成の意図や工夫点をアピール 演技前にロボットへプログラムをダウンロードしている

【動画】15班のリンボーダンスをする「e-nuvo WALK ver.3」。上半身を後に反らしたまま歩行するのは、バランスをとるのが難しい 【動画】11班は「朝の体操」というテーマで一連のモーションを作成。モーグルのような伸脚は人間らしく見せるのに工夫したという

【動画】20班の演技。片足をゆっくり振り上げるときのバランスがよい。サッカーボールに見立てた円筒を見事(?)にゴールへ蹴りこんだ 優勝した15班のメンバー

 ZMPによると、e-nuvoのユーザー数は大学・研究室を中心に300を超えているという。通常は、大学3~4年生の講義で使用されることが多く、1年生から授業に取り入れることは珍しく、また1学年200名が学ぶというのは初めてのことだという。

 同校で、基礎ゼミにロボットを取り入れたのは今年が初めてだが、論理的思考力・表現力を養い、自主的に学ぶ態度を培う「創成教育」の一環として、今後も継続していくという。


URL
  近畿大学
  http://www.kindai.ac.jp/
  近畿大学 理工学部
  http://www.ecp.kindai.ac.jp/sci/index.html
  株式会社ゼットエムピー
  http://www.zmp.co.jp/home.html

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( 三月兎 )
2008/12/05 15:04

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