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東京大学IRT研究機構、ロボットを使った「思い出し」支援技術を開発


 東京大学IRT研究機構は、「思い出し」支援を行なう技術を開発したと発表し、記者会見を行なった。メガネやリモコンなど身近な物品でも、最後に置いた場所を忘れてしまうことがある。また薬の服用を忘れてしまうこともありがちだ。そこで、ロボットと広視野で多重解像度を持った環境カメラを連携させて、それらの「思い出し」を支援する技術を開発したというもの。高齢者支援を目的としている。

 今回、新規に発表されたロボットは、見守りロボット「Mamoru」君。身長40cm、重量3.8kg、自由度4(首2、腕1×2)。動き検出、パターンマッチング計算において汎用PCの6倍の高速処理性能を持つ富士通のビジョンボードを使っている。カメラは光学系は1つだが、広視野、中心部などさまざまな解像度を持った複数の画像をハードウェアで分離してボードに送る機能を持っている。また聴覚として16チャンネルのマイクを持ち、スピーカも備える。

 「Mamoru君」は、たとえば薬を飲んでいる人を見守り、薬箱を持ってきたこと、飲もうとしていることを視覚で認識し、記憶する。これには顔パターンの知覚、立体視を使った顔と手の注視、奥行き比較を統合して実現している。この技術は株式会社富士通研究所との共同研究により開発された。


見守りロボット「Mamoru」君。ケーブルで固定されている 側面。胴体部に見えているのはマイク 【動画】腕はパタパタと動く

搭載されているカメラはオプト株式会社 画像処理ボード Mamoru君の視野画像。さまざまな視野の映像を同時に処理

東京大学IRT研究機構プロジェクトマネージャー 松本潔 特任教授 東京大学IRT研究機構機構長 下山勲氏 東京大学IRTシステム研究部門部門長 稲葉雅幸氏

 デモンストレーションでは既に発表されている「アシスタントロボット(AR)」や「屋内用パーソナルモビリティロボット」も登場。プラットフォームとして開発したこれらのロボットに、新規に開発した「思い出し」支援の要素技術を搭載し、連携するデモを見せた。最近、五月雨式にロボットならびに要素技術を発表していることについて下山機構長は「公開可能になったものから順に発表している状態で、出し惜しみしているわけではない」「ロボットの形にして公開することで、社会に問いかけたい」と述べた。


デモ

 今回の思い出し支援技術は、1) 日用品を物品認識し、収納場所などをデータベースに記憶する技術と、2) 広視野多重解像度カメラとロボットが人の行動を認識する技術の2つからなる。物品の認識にはビジョンが使われている。特徴点を抽出し、それをネットワーク経由で56CPUからなるPCクラスタに送って画像処理。そして3〜4秒後に随時システムに送り返し、ロボットがそれに応じて行動を行なっている。

 ロボットに搭載されているカメラだけではなく、各引き出しの上にもカメラを設置。変化が起こるたびに撮影してデータベースに送る。床にはパッシブRFIDが埋設されており、ロボットとスリッパにアンテナと読み取り装置を搭載。これにより、ロボットや人の位置を検出していた。

【お詫びと訂正】初出時、RFIDについて誤った記述がありました。お詫びとともに訂正させていただきます。

 デモでは、人が引き出しに片付けたものをシステムが教えてくれる様子や、カメラを搭載した「Mamoru」君が人など動く物体を追尾して首を振る様子、「アシスタントロボット」が引き出しにものをしまったり、物品がどこにしまわれていたかを身振りで示す様子、また、ビジョンを使ったジェスチャー認識で薬を飲む様子を記憶、もう一度飲もうとしたらそれを注意する様子などが披露された。

 稲葉教授によれば、いま目の前に見えている物体を認識するだけではなく、引き出しのなかなど今は見えない場所にある物品に対しても「いつ、どこで、なにを」の情報を提供できる点がこれまでのシステムとは違うという。

 物体は回転やスケール、照明などが変化しても変わらないSIFT(Scale Invariant Feature Transform)特徴量を使って認識・検出している。IRT研究機構プロジェクトマネージャーの松本潔氏によれば、今のPCクラスタの性能だと百数十程度の物品を認識できるとのことだ。新しい物品を覚えさせる作業はブラウザを使って人間が行なう必要がある。将来的な姿としては、このようなシステムが各家庭にあり、インターネットを使って大勢がよってたかって認識させることでシステム全体が賢くなるようなものを想定しているという。なお人の動きの認識は顔や手先の動きや奥行き情報を使って行なっている。


【動画】物品をしまう様子をロボットや環境カメラが撮影 【動画】パンフレットの位置をシステムが教えてくれる様子 【動画】ある物品の場所までパーソナルモビリティが自動操縦で移動するデモ

【動画】アシスタントロボットが机上に放置された輪ゴムの箱を引き出しに片づける 【動画】引き出しを締める。この機能によって他人がしまったものの場所もシステムが教えてくれる 【動画】物品の場所を聞いたときにロボットが場所を指し示す様子

【動画】薬を飲む様子を認識するロボット 【動画】別角度から 【動画】連続して薬を飲もうとすると「飲んじゃだめ」とロボットが警告

【動画】「31秒前に飲みましたよ」と警告 画像処理の様子 3D化された部屋と物品検索ブラウザ

棚の上に各々カメラが設置されている スリッパの中にRFIDを搭載 スリッパの方向を向くMamoru君

別室に置かれていたPCクラスタ このシステムが実用化される将来はノートPCサイズになると想定されている さまざまな物品の認識を行わせて実験中

デモ時に使われていたロボットのコントローラはHTC製「Touch Diamond」 ロボットの位置情報なども手のひら上で把握できる

 IRT研究機構は国立大学法人東京大学とトヨタ自動車株式会社、オリンパス株式会社、株式会社セガ、凸版印刷株式会社、株式会社富士通研究所、パナソニック株式会社、三菱重工業株式会社が文部科学省が公募した科学技術振興調整費「先端融合領域イノベーション創出拠点の形成」事業に参画し、「少子高齢社会と人を支えるIRT基盤の創出」というプロジェクトテーマで共同して、10年〜20年後のイノベーションを目指した研究開発を進めている。なおIRT研究機構は、東京大学の各研究室とは別の組織として位置づけられている。

 IRT研究機構では、今年中にもう1件、キッチンで作業を行なえる新しいロボットを発表する予定。


URL
  東京大学IRT研究機構
  http://www.irt.i.u-tokyo.ac.jp/

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( 森山和道 )
2008/12/04 00:07

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