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国内初となる国際ロボット競技会「WRO2008 YOKOHAMA,JAPAN」が開催
~世界各国から精鋭たちが日本に集結!


【写真1】パシフィコ横浜に開催された「WRO2008 YOKOHAMA,JAPAN」。国内での開催は今回が初めて。2009年の横浜開港150周年事業のプレイベントとして位置づけられている
 10月31日(金)と11月1日(土)の両日、パシフィコ横浜において「WRO2008 YOKOHAMA,JAPAN」が開催された【写真1】【写真2】【写真3】。本大会は、科学技術教育の推進を目的に、小中高校生を対象として催される自律型ロボットのコンテストだ。今年で5回目を迎える国際大会だが、日本国内での開催は今回が初めて。2009年の横浜開港150周年事業のプレイベントとしても位置づけられている。世界各国23カ国11,000チームから選抜された代表19カ国188チーム、約500名の小中高校生が集結し、国際色あふれる華やかなイベントとなった【写真4】。主催はWRO2008横浜大会組織委員会、共催はNPO法人WRO Japan。


【写真2】星槎国際高等学校横浜学習センターによるオープニングイベント。日本の伝統的な和太鼓のパフォーマンスを披露 【写真3】WRO2008横浜大会、名誉組織委員長の有馬朗人氏のあいさつ 【写真4】WRO世界大会は年を追うごとに規模も拡大している。今年は世界の代表19カ国、188チーム、約500名の小・中・高校生が横浜に集結した

 競技会は、課題コースのアイテムを落としたり、収集して得点を競う「レギュラーカテゴリー部門」と、与えられたテーマに沿って自由にロボットを組み立て、展示とプレゼンテーションを行なう「オープンカテゴリー部門」の2種目がある。

 まずレギュラー部門から見ていこう。レギュラーカテゴリー部門では、まずはロボットの組み立てからスタートする。初日午前中の90分間はロボットの組み立て時間にあてられた【写真5】。LEGO MINDSTORMS(以下、LEGO)でロボットを製作し、実環境に合わせてプログラミングを組んで、本競技へ向けた準備・調整・試走を行なう【写真6】。またレギュレーション審査も行なわれた【写真7】。


【写真5】レギュラーカテゴリーの競技がスタート。まずは競技用ロボットをLEGOで製作するところから始まる。90分の間にハードウェアとソフトウェアを完成させる 【写真6】完成したロボットの試走。プログラムをチェックしたり、競技会場の環境に合わせてセンサー感度を調整したりと、午後からの競技に向けて準備を進める 【写真7】レギュレーション。ここでハードウェアが規定のサイズ内にしっかり収まっていることをチェックする

 レギュラー部門の競技コースは、サプライズルールとして競技当日に発表される。国内大会でも国際大会に準拠したコースでの競技が行なわれていたが、本番では細かい部分が変更され、難易度が高くなっているようだ。小学生の競技コース「ベースランナー」は、ゲート(2つの空き缶)を通過して、コーナーに置かれた3カ所のターゲット(空き缶)を倒し、スタートエリアに戻るまでを競うもの。サプライズルールでは、ゲート部にリングが吊り下げられ、それを引っ掛けて回収するという課題も付け加えられた【写真8】。またコーナー部のラインも消えていたり、ロボットの誘導が難しくなっていた。

 中学生の競技コース「スマッシュトライアスロン」は、さまざまな障害物をすり抜けて、3カ所のターゲット(空き缶)を倒し、スタートエリアに戻るまでを競うもの。障害物には、坂道、丘、トンネル、狭い道、沼地、さざ波、荒波などがある。サプライズルールではトンネル、さざ波、荒波のほか、沼地なども組み合わせたコースに変更【写真9】。沼地はスポンジで、けっこう手強いようだった。

 高校生の競技コース「リサイクルキーパー」は、コーナーに置かれた4カ所の空き缶をロボットで落とし、2行×2列に並べられたピンポン球をポイントゾーンに運ぶというもの。ピンポン球はフィールド内の7カ所に分散した形で配置されていた【写真10】。走行エリア中央の1カ所にピンポン玉が集まっていた国内大会よりも、さらに難易度が高くなった印象だ。この競技では走行中にピンポン球に少しでも触れると四方八方に転がってしまう。ピンポン球の配置が分散され、ピックアップの仕方に工夫を凝らす必要がある。


【写真8】レギュラー部門、小学生の競技コース「ベースランナー」。コーナーに置かれた3カ所の空き缶を倒し、スタートエリアに戻る。試合当日に発表されたサプライズルールでは、ゲート部にリングが吊り下げられ、それを回収するミッションも加えられた 【写真9】レギュラー部門、中学生の競技コース「スマッシュトライアスロン」。さまざまな障害物をすり抜けて、コーナーに置かれた3カ所の空き缶を倒し、スタートエリアに戻る。国内大会ではなかった沼地の障害物が追加されていた 【写真10】レギュラー部門、高校生の競技コース「リサイクルキーパー」。コーナーに置かれた4カ所の空き缶をロボットで落とす。さらにピンポン球をポイントゾーンに運んで得点を競い合う。ピンポン球の配置がフィールドに分散した形となり、難易度が高くなっていた

新規参加チームが入賞し、国際的なレベルの向上が見られた大会に

 ここからはレギュラー競技の模様をピックアップして紹介しよう。全体的に競技結果を俯瞰すると、今回は特に技術レベルの国際的な向上が見られた年だったようだ。北欧チームやロシアなどの活躍が目覚ましかった。この大会は日本が主催国であるため、日本チームのエントリーは他国より多かったのだが、メダルの獲得はならず、全般的に残念な結果に終わった。とはいえ入賞チームの数は多かった。合計で5チームが入賞し、1チームが特別賞を受けた。

 まず小学生部門では、日本勢は8チームが参加【写真11】【写真12】。このうち奈良市の小学生(青和小学校/東登美ヶ丘小学校/奈良教育大附属小学校)の合同チーム「DAIBUTU-SAN MAX」(大仏3MAX)が8位に入賞した【動画1】【動画2】【写真13】。やはり小学生チームの場合は、国際大会という舞台で言葉の壁が厚かったようだ。サプライズミッションの説明や試合中の審判とのやり取りは英語で行なわれる。そのため進行でも混乱する場面が多かったようだ。


【写真11】小学生チームの競技ロボットその1。日本チームの機体は「Sankyukkyu-takakoka」「Thunderbird22」「Thunderbird33」「YUNA」の4台 【写真12】小学生チームの競技ロボットその2。日本チームの機体は「Team Shinohara」「Team Ikimedai」「Vehicles」「DAIBUTSU-SAN-MAX」の4台 【動画1】奈良市の小学生の合同チーム「DAIBUTU-SAN MAX」(大仏3MAX)の走り。空き缶を3つ落とし、見事に完走した

【動画2】「Team Ikimedai」(宮崎市立生目台西小学校)の走り。サプライズルールで追加されたリング回収に成功。2個目の空き缶倒しで、惜しくも機体が場外に出てしまった 【写真13】「Thunderbird33」の試合(富山市立鵜坂小学校) 。国内で優勝を果たした強豪チーム。今回は残念な結果になったが次回に期待

 小学生部門で優勝したのは韓国チームの「LARES」だった。LARESは特別賞として富士通ラーニングメディア賞も受賞した【写真14】。韓国は来年、国際大会が開催されるため、この競技にかなり力を入れていたようだ。3位も韓国の「K.O.R」が入った。上位3位は163ポイント台で実力が伯仲していた。なんと1位の韓国と2位のマレーシアの差は0.1ポイントで僅差の勝負だった。このほか最近、特にLEGO教育に熱心なロシアや中国も入賞を果たした【写真15】。8位までの入賞結果は以下のとおりだ。

【Primary school】
1.LARES(韓国)
2.SEBIEW(マレーシア)
3.K.O.R(韓国)
4.The Forbidden(シンガポール)
5.The Black Eye(シンガポール)
6.RuBot-P1(ロシア)
7.Big-bird(中国)
8.DAIBUTU-SAN MAX(日本)


【写真14】レギュラー部門、小学生の表彰式。優勝は韓国のLARESが手にしたが、上位3位は163ポイント台で実力が伯仲していた 【写真15】ロシアの小学生チームも活躍。写真は「RuBot-P2」チーム。もう1台のチーム「RuBot-P1」は6位に入賞した

 中学生部門では、残念ながら日本チームは入賞を逃した。どのチームもセンサーやプログラムの微調整などがうまくいかなったようで、なかなか完走まで至らなかったようだ【写真16】【動画3】。こちらの競技も韓国チーム「Melon Milk」が優勝し、特別賞としてHONDA賞も受賞【写真17】。またシンガポールとロシアの活躍も目立っていた【動画4】。8位までの入賞結果は以下のとおりだ。3チームが6位の同点順位となった。

【Junior high school】
1.Melon Milk(韓国)
2.RuBot-J4(ロシア)
3.Perfect Chaos(シンガポール)
4.Red APPLE(台湾)
5.Super Sotong(シンガポール)
6.extreme!(シンガポール)
6.RuBot-J2(ロシア)
6.RuBot-J1(ロシア)


【写真16】慎重に出走の準備をする「team.Miyazaki」(宮崎市立東大宮中学校)。やはり調整が難しそうだった 【動画3】「taken-chan」(横浜市立奈良中学校/同東山田中学校)の走り。空き缶を2個ほど落すことに成功した

【写真17】レギュラー部門、中学生の表彰式。優勝は韓国の「Melon Milk」チームが手中。そのほかシンガポールとロシアは各3チームが入賞し、活躍が目立っていた 【動画4】5位に入賞したシンガポールの「Super Sotong」の走り。3つの缶をうまく落として完走した

 高校生部門では、日本勢は8チームが参戦し【写真18】【写真19】、そのうち3チームが入賞を果たした。栃木県立宇都宮工業高等学校の「cloudy sky」(クラウディ スカイ)【動画5】が4位、同じく宇都宮工業の「install」(インストール)【写真20】が5位、さらにピンポン球を着実にゴールまで運んだ福井県立武生工業高等学校の「The・My」(ザ・エムワイ)が8位を獲得。入賞は逃したが鳥栖工業高等学校も善戦した【動画6】。


【写真18】高校生チームの競技ロボットその1。日本チームの機体は「SEISAN.sys」「tosu-two」「install」「cloudy sky」の4台 【写真19】高校生チームの競技ロボットその2。日本チームの機体は「The Mandarin oranges」「KIZAKURA」「KASHII・DENSHI Type-R」「The My」の4台 【動画5】4位入賞を果たした「cloudy sky」(栃木県立宇都宮工業高等学校)の試合。ポイントゾーン手前までボールを搬送し、壁を利用してアームで押し上げる

【写真20】同じく5位入賞を果たした「install」(栃木県立宇都宮工業高等学校)の試合。国内大会では優勝した強豪チーム。構造はcloudy skyと似ている 【動画6】折りたたみアームを展開する「tosu-two」(鳥栖工業高等学校)の走り。ピンポン球のピッキングと搬送機構がユニークで印象的だった

 高校生部門では初出場のスウェーデン「JunkYard Senior Elks」が優勝を果たし、特別賞として神奈川工科大学賞も受賞。同校は2回の競技ともほぼ完璧な競技を行ない、ピンポンを取りこぼしなく、素早く回収した【写真21】。8位までの入賞結果は以下のとおりだ【写真22】【写真23】。

【Senior high school】
1.JunkYard Senior Elks(スウェーデン)
2.SPrEEE(シンガポール)
3.Y3L IN MOTION(マレーシア)
4.cloudy sky(日本)
5.install(日本)
6.Affiliated High school of Fujian Normal University(中国)
7.htX Factor(デンマーク)
8.The・My(日本)


【写真21】スウェーデンの「JunkYard Senior Elks」は2回ともほぼ完璧な競技を展開し、会場から大きな拍手が起きた 【写真22】レギュラー部門、高校生の表彰式その1。スウェーデンのJunkYard Senior Elksは、初出場で初優勝を果たした 【写真23】入賞チームの表彰式その2。高校生部門では日本チームが3チームほど入賞し、活躍が目立った

 またエキシビションという形で2日目には大学生部門の競技も行なわれた。こちらの競技は「Robot Balance Beam」と呼ばれるもので、200mm以下の細いルートを渡ってパフォーマンスエリアまで辿り着き、そこでターン、シェイク、八の字回転の演技を行なうもの【動画7】。ルートが細くてロボットのバランスをとることが難しい競技だ。エキシビションのため特に順位は付かないものの、神奈川工科大学の「C & T」と「YF-2008」【写真24】、フェリス女学院大学の「Miss Ferris? 2008」【写真25】、玉川大学&恵泉女学院大学の「wish」【写真26】が、特別賞としてCollege Friendship賞を受賞した。


【動画7】大学生の競技「Robot Balance Beam」もエキシビション形式で行なわれた。細いルートを渡ってパフォーマンスエリアまで辿り着き、そこで演技を行なう。動画は韓国チームのパフォーマンスだ 【写真24】神奈川工科大学のユニークなロボット。タイヤで長身のタワーを構成している

【写真25】フェリス女学院大学の「Miss Ferris? 2008」のエキシビション。細いルートを渡っているところ 【写真26】玉川大学&恵泉女学院大学の「wish」。パフォーマンスのみのエキシビションも行なわれた

創意工夫が試されるユニークなオープン競技も盛り上がる

 個人的な記者の感想だが、レギュラーカテゴリーと同時に行なわれたオープンカテゴリーはとても面白かった。オープン競技は、毎年与えられたテーマについて科学的アプローチで研究を行なって、その結果を反映したロボットを自由に組み立ててプレゼンテーションするもの。順位は審査員による審査や投票によって決まる。今年のテーマは「地球環境保護」だ。昨今、地球温暖化やエネルギー浪費の問題がクローズアップされ、地球に優しい技術への関心が高まりつつある。自分たちの世界をいかに守りながら共生していけばよいのか、意識を持ってテーマに取り組んでいたチームが多く、ユニークな発想のロボットが見受けられた。以下、特に目に付いた出場チームの内容について紹介しよう。

 まず小学生部門で注目を浴びていたのは、3チームが出場した韓国だ。「Dark Horse」チームは、使い古しの乾電池を選別するシステムを製作していた【写真27】。これは、ストッカーにセットされた電池を自動で取り出し、乾電池の電圧を計測することで電池を選別してコンベアで送れるシステムだ【動画8】。ポイントはテスターとLEGOを結びつけた点だろう。


【写真27】オープンカテゴリーの小学生部門その1。韓国チームの「Dark Horse」の皆さん。使い古しの乾電池を選別するシステムを製作 【動画8】テスターで電池の電圧を計測して、使い古しの電池を選別する。小学生レベルとしては、かなり高度な技術が必要だ

 また、「INVINSIBLE」チームもユニークなシステムを展示していた。環境問題を理解させるクイズを出し、来場者が回答するというゲームマシンがそれだ【写真28】。質問はロールペーパーに記載されている。回答者は内容の真偽をタッチセンサーのボタンを押して答える。正解ならばロールペーパーがスクロールし、次の質問が現れる【動画9】。答えを間違えると、ピンポンボールを収納したストッカーロボが動き出すようになっていた。

 「Blue Ocean」は海に広がった油水を回収し、浄化するロボットだ。比重の関係から油は上部に、水は下部に層をつくるため、最初にポンプで油を吸い上げ、次に水を吸い上げる仕組みだ。さらに吸い上げた水は、石炭や砂でフィルタリングする浄化ユニットへ導かれ、キレイな水にしてから海に還元することが可能だ【写真29】。


【写真28】オープンカテゴリーの小学生部門その2。同じく韓国チームの「INVINSIBLE」。ゲームをしながら地球環境保護を意識させるという発想はユニークだ 【動画9】質問に正解するとクイズの紙ロールがスクロールされ、次の問題が現れる仕組み。この種の発想は他チームには見られず、なかなか面白かった 【写真29】オープンカテゴリーの小学生部門その3。同じく韓国チーム「INVINSIBLE」の作品。海に広がった油水を回収し、浄化するロボット。同じようなコンセプトの作品は他チームでも見られた

 台湾の「Forest guard」は森林火災を防止するロボットを製作。二酸化炭素の放出を削減し、地球温暖化の防止に役立てるものだ。まず衛星によって大規模な火事の発生を監視するシミュレーションを行ない、火事を発見するとBluetooth通信で場所を制御センターに知らせる【写真30】。すると火災消火ロボットが出動し、ロボットに搭載したカメラで火事を観察したり、水を吹きかけて消火活動を行なう。ロボットは火災時に進路を妨げる障害物を排除するタイプと、実際に空圧で放水するタイプがあった。

 また「Ding-Ding」もユニークなリサイクル販売機を展示していた【写真31】。これは、ガラス・金属・プラスチックに見立てたカラーブロックを光センサーで分別するシステム。面白い点は、このシステムで資源ゴミを分別すると、お金が受け取れたり、交通機関で利用するカードにポイントを貯められることだ【動画10】。積極的に分別活動をしてもらうための工夫だという。カードにポイントを貯めるシミュレーションは、販売機本体とカードに搭載されたLEGO同士をBluetoothで接続することで実現したという。


【写真30】オープンカテゴリーの小学生部門その4。台湾の「Forest guard」チームの森林火災消火ロボット。写真は、大規模な火事が発生した際のサテライト監視シミュレーション
【写真31】オープンカテゴリーの小学生部門その5。台湾の「Ding-Ding」チーム。ゴミに見立てたカラーブロックを分別するリサイクル販売機を展示 【動画10】リサイクル販売機だが、リサイクルに協力するとお金がもらえたり、カードでポイントがたまる、というアイデアを凝らした

 マレーシアの「The Silver Bolt」は、かなり大掛かりなゴミ分別マシンを製作していた【写真32】。投入口から分別したいゴミを入れると、ガラス類、紙、カン/プラスチック類を判断して自動的に振り分けてくれる。振り分けの原理は、まず重量のあるガラスをタッチセンサーで検出して選別する。次に軽い紙、カン/プラスチック類を金属面と接触させ、音が出るほうをカン/プラスチック類と判断し、音が出なければ紙と見なして振り分ける。分別マシンという発想は、前述のDing-Dingや、タイの「PN Junior Robot1」【写真33】のように他チームにもあったが、この作品が一番大きくて目を引いたようだ。The Silver Boltは一般投票部門の優秀賞を受賞した。


【写真32】オープンカテゴリーの小学生部門その6。マレーシアの「The Silver Bolt」チーム。こちらも台湾のDing-Dingと同様にゴミ分別マシンを出展。本当にガラス類、紙、カン/プラスチック類を分別できる 【写真33】オープンカテゴリーの小学生部門その7。タイの「PN Junior Robot1」もゴミ分別マシンを製作。こちらもガラス類、紙パック、カン、ペットボトル類を振り分ける

 単品作品ではなく、複数のロボットを組み合わせて展示する総合的な作品も目立っていた。フィリピンの「Gracean Whizkids」は、LEGOで製作した複数のロボットによって、環境を守る未来都市の取り組みを示した。たとえば省エネの水素自動車や、工場廃水をフィルタリングする浄化ロボット、古紙再生ロボット、風力発電システム、生物分解性のゴミ分別システム、不法な森林の伐採を監視するカメラシステムなどを組み合わせていた【動画11】。また「ISM BEARCATS」も同様のコンセプトで、水素自動車、ケーブルロボット、スパイダーロボットなどを紹介【写真34】。一方、香港の「RIHK Team」も省電力を実現するソーラロボットや、集熱ロボット、小型風力ロボット、セルフクリーニングロボットなどを製作していた【写真35】。


【動画11】オープンカテゴリーの小学生部門その8。フィリピンの「Gracean Whizkids」チーム。環境を守る未来都市の取り組みを示した 【写真34】オープンカテゴリーの小学生部門その9。同じくフィリピンの「ISM BEARCATS」チーム。Gracean Whizkidsチームと同様の発想だ 【写真35】オープンカテゴリーの小学生部門その10。香港の「RIHK Team」。こちらも複数のロボットを製作し、総合力で勝負

【写真36】オープンカテゴリーの小学生部門その11。日本代表の「アルキメデスチーム」はバイオ燃料リサイクルシステムを展示
 さて小学生部門の日本代表は「アルキメデス」だ。彼らはバイオ燃料リサイクルシステムを展示した【写真36】。本システムは、家庭から出た廃油を回収車で取り出すもので、家と回収車の双方に取り付けられたRCX同士で通信を行ない、廃油を積み込める。次に回収車が工場に到着したら廃油を下ろす。廃油は工場内で燃料としてリサイクルされる。また工場でつくられたバイオ燃料を積み込んで、さらにガソリンスタンドに行ってバイオ燃料を供給するという一連の流れをLEGOで再現していた。

 オープンカテゴリー小学生部門の入賞結果は以下のとおりだ。

【Primary School】
1.Dark Horse(韓国)
2.Gracean Whizkids(フィリピン)
3.The Silver Bolt(マレーシア)
4.RIHK Team(香港)
5.Blue Ocean(韓国)
6.ISM BEARCATS(フィリピン)
7.INVINSIBLE(韓国)
8.Forest guard(台湾)


 次に中学生部門を見てみよう。韓国の「Blackhawk」のブースでは、普段の生活で自分たちがどのくらいエネルギーを無駄に使っているのか、具体的な数値で分からせるような工夫を凝らしていた。LEGOと組み合わせて製作した足踏み式発電機【動画12】や、スロットマシンのような電力量ナンバーボードのほか、CDの回転数を光センサーで計測してレベルを表示するイコライザーなどが並んでいて面白かった【動画13】。同じく韓国の「CORE」は、環境に優しい有機飼料をつくって、それらを動物に与えるプロセスを実現するシステムを出展していた【写真37】。


【動画12】オープンカテゴリーの中学生部門その1。韓国の「Blackhawk」のブース。足踏み発電機の発想はユニーク。実際にマシンを踏んでから、テスターで計測してみると、しっかり発電されていた 【動画13】CDの回転数を光センサーで計測する仕組みは、光学式ロータリーエンコーダーの原理を利用したものだ 【写真37】オープンカテゴリーの中学生部門その2。同じく韓国の「CORE」チーム。環境に優しい有機飼料を動物に与えるプロセスを再現していた

 マレーシアの「Envirotech」チームは、森林火災を効率よく確実に消火するロボットシステムを紹介していた【写真38】。水タンクのバルブは、水をくみ上げる際に水の逆流を止めるため、短時間でタンクを満たせるという特徴がある。また光センサーで火事を検出し、タワーに備え付けられた無線カメラによって、映像をセンター側にリアルタイムで送ることも可能。ロボットの走行も工夫を凝らし、森林地形でもスムーズに移動できる推進機構とステアリングシステムを製作したという。

 タイの「Suankularbnon-107」チームは、川や水路の水質を調査する自律型船舶ロボットを展示していた【動画14】。このロボットは夜間に運行することを想定しており、昼間は屋根に設置した太陽電池パネルで電気を蓄え、そのパワーを船の運行時の方向制御に使ったり、夜間ライト用として使うという。pHセンサーによって水質をチェックでき、問題があれば警告を発し、ロボットセンターにその情報を送ることもできる。


【写真38】オープンカテゴリーの中学生部門その3。マレーシアの「Envirotech」は森林火災消火ロボットを出展 【動画14】オープンカテゴリーの中学生部門その4。タイの「Suankularbnon-107」。タイらしい発想の船舶ロボットで、水質汚濁を調査する

 台湾の「RecyBot」はライントレースロボットがライン上にある空き缶(鉄)、アルミ缶、ペットボトルをピッキングし、それを分別システムに渡してリサイクルに役立てるもの。判別部で判定が終わると、Fe、Al、PETのフラグを立て、各ストッカーに運ばれていく。グリーンなエネルギーを利用する「Green Power Island」もユニークだった。

 このシステムは、再利用可能なエネルギーシステムと、海水や雨水などの水資源を利用したシステムで構成し、それぞれのシステムで作られたエネルギーを相互利用できるもの【写真39】。具体的には太陽や風力で発電してライトをつけたり、ガレージのドアを開けたりすることができる。またスプリンクラーで雨水をまいたり、海水を脱塩して飲料水や水素自動車にも利用しようというアイデアもあった。特に面白かった点は波で発電する「Wave Generator」の発想だ【動画15】。


【写真39】オープンカテゴリーの中学生部門その5。台湾の「Green Power Island」。複数のロボットで環境対策を行なう 【動画15】ユニークな発想の発電機。波の動きで発電をするWave Generatorは、波の動きとヒモの動きで発電する仕組み

 日本代表の「Thunderbird66」は、風力発電や太陽発電のシステムを紹介した【写真40】。地球温暖化を防止するために自然エネルギーとして風力や太陽を用いるというコンセプトだ。送風機で風を送ると風車が向きを検出し、自動的に風上に向かう仕組み。また風車が回るとモータの回転で電気が起こり、それを利用してビル内の電気を光らせるようにしていた。さらに本大会に向け、ソーラーパネルで電気を起こし、餅つきをするシステムも追加【動画16】。Thunderbird66は、一般投票部門で価値ある優秀賞を受賞した。


【写真40】オープンカテゴリーの中学生部門その5。日本代表の「Thunderbird66」チームは風力発電や太陽発電のシステムを紹介 【動画16】風力発電のほか、ソーラーパネルで電気を起こし、餅つきをするシステムも追加した

 中国の「No.52 Middle School of Guangzhou China」は、アフリカの動物たちのパラダイスを実現する自動援助システムを披露していた【写真41】。無線カメラを備えた乗り物で動物たちや周囲環境をモニタリングし、そのデータをセンターに送る。それらの情報をもとに、センター側から動物に食べ物や飲み物を与えることができるようになるという。

 このほかテーマからは若干外れるものの、中国の蘇州第3中学の救援ロボットも面白かった【動画17】。これは鉱山で事故が起きた際に2次災害を防止し、救援活動を行なうもの。LEGO純正の光センサーや超音波センサーはもちろん、ガスセンサーや温度センサーなども取り付けていることがポイントだ。ガスが充満した危険地域を知らせたり、火災を検知することができる。

 オープンカテゴリー中学生部門の入賞結果は以下のとおり【写真42】。

【Junior High School】
1.RecyBot(台湾)
2.Envirotech(マレーシア)
3.Suankularbnon-107(タイ)
4.Blackhawk(韓国)
5.Thunderbird66(日本)
6.Benigno Knights(フィリピン)
7.No.52 Middle School of Guangzhou China(中国)
8.CORE(韓国)


【写真41】オープンカテゴリーの中学生部門その6。中国の「No.52 Middle School of Guangzhou China」チーム。アフリカの動物たちを助ける自動援助システム 【動画17】オープンカテゴリーの中学生部門その7。中国の蘇州第3中学の鉱山救援ロボット。ガスセンサーや温度センサーなども搭載し、アラートを発する 【写真42】オープンカテゴリー中学生部門の表彰式。日本のThunderbird66は5位に入賞。また一般投票部門で最も人気のある作品に贈られる優秀賞も受賞した

 高校生部門では、高度な技術をLEGOと組み合わせた作品が展示されていた。マレーシアの「Robotuner」チームは、下水、ゴミ、有毒物質、油などが原因で汚染された川・湖・海の環境を調査する双胴船ロボットを出展【写真43】。ワイヤレスカメラ、ゴミ収集用トラップ、油分散ユニットなどで構成し、プロペラで推進する。ロボットに搭載したLEGOは、ソーラーパネルの電力で動く仕組みだという。またロボットの前方目視と水中環境を観察するためにカメラが搭載され、海に広がった油などを確認できる。ゴミの収集機能やオイル分散用ノズルなども備えている。ロボット本体のみならず、ロボットコントローラも印象的だった【写真44】。


【写真43】オープンカテゴリー高校生部門その1。マレーシアの「Robotuner」チームは高度な双胴船ロボットを出展。川・湖・海などの環境を調査するもの 【写真44】ロボットコントローラは合計8個のLEGOを集約したもので、ボタン類も純正のタッチセンサーを利用している。すごい! のひとこと

 韓国の「SANGSANG_ENGINE」は、フロント部、センシング部、トレイで構成されており、使い古しの紙や新しい紙を分別できるシステムを紹介していた【写真45】。光センサーで紙から反射する光量のパターンを調べて、紙のレベルを3段階に分けてからトレイに排出する【動画18】。無駄な紙の使用を抑え、森林の伐採を削減することで、地球温暖化に貢献できるという。システムの外観が韓国の伝統的な国宝級の建物を模している点も目を引いた。ちなみに、このSANGSANG_ENGINEチームは、高校生の一般投票部門で最も人気がある優秀賞を受賞した。

 韓国はもう1つユニークな作品を展示していた。「O2」チームの作品は、木を植えることで環境を守ろうというコンセプト。LEGOとアルミフレームを組み合わせた植林ロボットによって、砂地を整え、木を自動で植えつけることができる【動画19】。ちょっと視点を変えれば、田植えなどのアグリカルチャーロボットにも応用できるだろう。


【写真45】オープンカテゴリー高校生部門その2。韓国の「SANGSANG_ENGINE」チーム。紙を対象にしたリサイクルシステムの発想は他になく、大変ユニークだった 【動画18】光センサーで紙から反射する光量のパターンを調べて3段階に分別するという 【動画19】オープンカテゴリー高校生部門その3。韓国の「O2」チーム。LEGOとアルミフレームを組み合わせた植林ロボットもユニークだった。実際に農業ロボットとしても利用できそう

 台湾の「SHAOLIN」は、トイレの水を効率よく利用したり、トイレットペーパーを節約する工夫などを盛り込んだシステムを紹介していた【写真46】。水槽から落ちる水力を利用して発電し、落ちてきた水で手を洗う。その水はトイレのタンクに蓄えられて排水される。水量はセンサーで計測し、もし水が足りない場合はキレイな水も補填して流すという仕組みだ。またトイレットペーパーの使いすぎに注意を促せるように、LEGOから警告メッセージを発することもできる。そのほかイスに座ると机の機器類に電源を入れ、イスから立つと機器類をアイドリングしたり、電源を自動的に切れる節電システムもあった。

 同じく台湾の「Oily Spirit」は、タンカーが海上で事故を起こし、油が流出した場合に、迅速に対処できるロボットを展示【写真47】。光センサーで油水の境界を検知したり、超音波センサーで水位を捕捉することで、油水を見分け、ポンピングして分離することが可能だ。水と油を分離するほか、浄化した油を再利用する工夫も凝らしたという。油だけでなく、水中の汚染物質も浄化できるそうだ。また「MCW」チームも台所から出た生ゴミをリサイクルするシステムのデモを実施【写真48】。ライントレースロボットによって台所のゴミを自動回収し、そのゴミを有機肥料として利用しようというアイデアだ。


【写真46】オープンカテゴリー高校生部門その4。台湾の「SHAOLIN」チーム。これは現代アートではありません。水や紙を大切に使いましょう、という発想 【写真47】オープンカテゴリー高校生部門その5。台湾の「Oily Spirit」は、海上で流出したオイルを回収するロボットを展示。浄化した油を再利用する工夫も凝らした 【写真48】オープンカテゴリー高校生部門その5。台湾の「MCWチーム」。台所の生ゴミに着目した、お母さんに優しい!? リサイクルシステム

 日本代表の「production system research club」(宇都宮工業高校 生産システム研究部)は、日本の伝統的なからくり人形をLEGOで再現しつつ、廃油石けんをつくるロボットシステムを披露【写真49】。天ぷら油の廃油と苛性ソーダなどを混ぜ合わせて石けんをつくるもので、2体のロボットで廃油と苛性ソーダを運び、石けん原液をかくはん機で混ぜ合せてから、列車ロボットに原液を流し込む。さらに乾燥させて完成した石けんを、江戸時代の茶運び人形をベースにしたロボットで運ぶ仕組みだ【写真50】。


【写真49】オープンカテゴリー高校生部門その6。日本代表の「production system research club」もユニークだった。廃油石けんをつくるロボットシステムを出展 【写真50】完成した石けんは茶運び人形をベースにしたロボットで運ぶ。日本の伝統的なからくり人形を来場者に理解してもらえたようだ

 UAEの「The Dark Knights」は、海神の名をつけた2台のロボット「Triton」と「Poseidon」を出展していた【写真51】。これらは水質をきれいにするためのロボット。Tritonは2つのスクリューを備え、水陸両用になっている。陸上でも使えるようにした理由は、水上のゴミをコンテナに集め、地上のリサイクルセンターに運ぶためだという。一方、Poseidonは合計4つのスクリューを持ち、スムーズに水上を移動。開閉するハサミ型アームを備え、水中や水上にある大物体をピッキング。いずれのロボットもBluetoothで通信して、動作を制御するという。

 香港の「Super Rotary」チームは、赤潮や廃油で汚れた海洋を浄化する2台のユニークなロボットを展示していた【写真52】。1台目のロボットは、直交する複数の車輪で水槽脇の壁を挟みながら移動し、廃油を集めたり、赤潮を捕らえたり、pH値などを測定するもの。もう1つのロボットは、水に浮かんで廃油を再生するロボットだ。チームメンバーはコスプレをしており、ひときわ目立っていた【写真53】。ロボットのアピールだけでなく、こういったパフォーマンスも観客の注目を集めてよいかもしれない。


【写真51】オープンカテゴリー高校生部門その7。中近東からはUAEの「The Dark Knights」が出展。写真は、水質をきれいにする2台のロボット 【写真52】オープンカテゴリー高校生部門その8。香港の「Super Rotary」チームは、海洋を浄化するユニークなロボットを展示 【写真53】Super Rotaryチームの皆さん。コスプレをしていて目を引いた。純粋に趣味でやってるのだろうが、観客を呼び込むには良いアイデアかもしれない

 このほかにも室内省エネシステム【写真54】、植林ロボット【写真55】などの北欧諸国の作品や、ロシアの水質汚染処理ロボット【写真56】も面白かった。

 オープンカテゴリー高校生部門の入賞結果は以下のとおりだ【写真57】。

【Senior High School】
1.Robotuner(マレーシア)
2.SANGSANG_ENGINE(韓国)
3.SHAOLIN(台湾)
4.The Dark Knights(UAE)
5.Oily Spirit(台湾)
6.O2(韓国)
7.production system research club(日本)
8.Super Rotary(香港)


【写真54】スウェーデンの「Dunder 2.0」は、室内省エネシステムを展示。ライトを自動点灯したり、オーブンをコントロールしたり省エネを実現するもの 【写真55】ノルウェーから参加した「Team Katta」の植林ロボット。LEGOでつくった木を地面に置く仕組み。やはり森林が多い国の発想だろうか

【写真56】ロシアの「RuBot-01」チームは水質汚染処理ロボットを製作。2台のロボットで手分けして水質をきれいにしたり、ゴミを回収する 【写真57】オープンカテゴリー高校生部門の表彰式。日本チームのproduction system research clubは7位入賞を果たした

日本の最先端ロボットのパフォーマンスと展示も!

 今回の競技会では、開会式や閉会式に日本が誇るロボットのパフォーマンスも行なわれた。たとえば開会式には村田製作所の「ムラタセイサク君」と「ムラタセイコちゃん」が登場【写真58】【写真59】。自転車や一輪車によるアクロバチックな走りを披露し、注目を浴びていた。また三菱重工の「ワカマル」も表彰式に参加した。開発チームリーダー自らがワカマルを遠隔操作し、子供に表彰状を授与する一幕もあった【動画20】。


【写真58】開会式のパフォーマンス。村田製作所の「ムラタセイサク君」と「ムラタセイコちゃん」が登場し、会場を沸かせた 【写真59】ムラタセイサク君とムラタセイコちゃんのアップ。村田製作所の展示ブースでも実物の展示とデモが行なわれた 【動画20】三菱重工の「ワカマル」が表彰状を授与。開発チームリーダー自らが、ウェアラブルスーツでワカマルを遠隔操作した

 そして最後のロボットパフォーマンスでトリをとったのが、日本が世界に誇る本田技研工業の「ASIMO」だ。ASIMOの登場に世界各国の子供たちは目を輝かしながらの拍手喝さい。カメラや携帯電話などで写真を撮影している姿が印象的だった。ASIMOは来賓に給仕をしたり【写真60】、サッカーボールを蹴ってボーリングのピンを完璧に倒したりと、見事なパフォーマンスを見せた【動画21】。


【写真60】「ASIMO」のパフォーマンスその1。来賓に給仕をするところ。やはりASIMOは人気が高く、子供たちも大喜びだった 【動画21】ASIMOのパフォーマンスその2。子供たちとASOMOの競演。ASIMOは2回ともボーリングのピンをすべて倒した

 また、今回の競技会では協賛企業によるロボットの展示も行なわれた。開会式・閉会式で登場した村田製作所と本田技研工業のほか、産業技術総合研究所【写真61】【写真62】、富士通ラーニングメディア【写真63】【動画22】、神奈川工科大学【写真64】、日本工学院テクノロジーカレッジ【動画23】【写真65】、ROBOTEST【写真66】【写真67】、神奈川県立 向の岡工業高等学校工業高等学校・定時制などが出展【写真68】。2日目には、来場者だけでなく、競技に参加した子供たちも興味深く見学していたようだ。

【お詫びと訂正】初出時、「神奈川県立 向の岡工業高等学校」の校名を誤って記述しておりました。お詫びとともに訂正させていただきます。


【写真61】産業技術総合研究所のブースでは小型ヒューマノイドロボット「チョロメテ」(HRP-2m)のデモが行なわれた 【写真62】産総研の癒し系ロボット「パロ」の展示。かわいい、本当の動物のようだと、各国の子供から人気があった 【写真63】富士通ラーニングメディアの学習教材。来年発売する予定の二輪バイク型ロボット。モデルベースの学習をサポートする

【動画22】二輪バイク型ロボットのデモ。加速度センサーやジャイロセンサーを搭載し、うまくバランスをとりながら走行していた。学習意欲をかきたてられそうだ 【写真64】神奈川工科大学 ロボット・メカトロニクス学科 山本研究室のウェアラブル・パワーアシストスーツ。小型エアポンプによってエアバックに圧縮空気を送り、アシスト力を発生させる 【動画23】じゃんけんをすることができる日本工学院テクノロジーカレッジの「カーフィー・レディ」。人とのコミュニケーションを学ぶために開発された独自ロボットだ。

【写真65】日本工学院テクノロジーカレッジのブース。二足歩行ロボットやバトルロボットなどを展示 【写真66】ROBOTESTのブースその1。ZMPのモバイルヒューマノイド「nuvo」やロボット教材「e-nuvoシリーズ」を展示していた

【写真67】ROBOTESTのブースその2。最先端ロボット技術を搭載した自律移動ミュージックプレーヤー「miuro」のデモも行なわれた 【写真68】神奈川県立 向の岡工業高等学校・定時制は、カブトガニ、ダンゴムシなどの昆虫ロボットをLEGOで製作していた

 さて次回のWRO2009だが、韓国・慶尚北道で開催されることになっている。ドイツ、ウクライナ、サウジアラビア、シリア、レバノン、メキシコなど新たに10カ国の参加が予定されており、さらに世界的な規模へと広がりを見せそうだ。来年も日本代表の活躍を期待したい。


URL
  WRO2008
  http://www.wroboto.org/japanese/index.html

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( 井上猛雄 )
2008/11/20 18:03

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