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【写真1】今年で4回目を迎えた全日本学生室内飛行ロボットコンテスト。大田区産業プラザのホールで開催
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10月24日(金)と25日(土)の両日、東京都大田区産業プラザにおいて「第4回全日本学生室内飛行ロボットコンテスト」が開催された【写真1】。主催は社団法人 日本航空宇宙学会。
本大会は今回で4回目を迎えるユニークな室内飛行ロボットの競技会だ。飛行ロボットは、災害時の状況把握や自然観測などで実用化が期待されている。本競技会のテーマは、飛行ロボットの研究開発を促し、その教育を支援することにある。飛行ロボット競技は総合的な工学教育に適している。というのも競技は3次元空間的で行なわれるため制御がとても難しいからだ。また上手に飛ばすためのオペレータのテクニックや、チームメイトの協力も重要な要素になるという。
さて初日の大会では、コンテストに向けた機体審査や飛行練習、飛行船タイプの競技1回戦のほか、ポスタープレゼンテーションも行なわれた。コンテストに参加するチームは、英語によるポスター発表が義務付けられている。ここでは審査員が機体のコンセプト、設計方法、製作方法、安全性への配慮などを審査してまわる。また2日目は、実競技のほかに小中学生を対象とした「折り紙ヒコーキ大会」も併催された【写真2】【写真3】。ここでは飛行船タイプと飛行機タイプの競技内容について報告する。
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【写真2】2日目には小中学生を対象とした「折り紙ヒコーキ大会」も併催
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【写真3】手作りの紙飛行機の一例。協賛のJALマークが入って、いかにも飛びそうだ。実際に優勝者は16m台まで飛ばしたそうだ
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まず本大会のルールについて簡単におさらいしておこう。この競技は自作した飛行ロボット(飛行船または飛行機)に超小型カメラ(アールエフ製超小型カメラ・RC-12)を搭載し、飛行ロボットを遠隔操作しながら【写真4】、床に置かれた紙の文字を読み取り、得点を競い合うというもの。具体的な内容は、飛行ロボットをスタート地点からフライトさせ、通過ゲートをくぐり抜けて、半径10mの観測フィールドに散りばめられた文字板の上を通過させる【写真5】。文字板はA2、A3、A4のサイズが合計20枚ほど用意されている。カメラから読み取った文字は、無線で別の場所にある観測ブースに送られ、チームの観測者がモニター越しに文字を判別して回答する【写真6】。飛行時間は2分間、最長で3分間だ。時間内にフィニッシュラインに戻れないと、そのフライトは失敗となる。
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【写真4】飛行ロボットをプロポで遠隔操作しながら、床に置かれた文字を読み取る
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【写真5】競技ホールのレイアウト。天井の高さは12mあるので、飛行ロボットを自在に飛ばすことができる
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【写真6】観測ブースの模様。ここで飛行ロボットで捉えた文字を観測者がモニターごしに判別する
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競技の得点は、読み取り文字数、飛行時間、着地回数の有無を基準に、機体の大きさや重量を加味した計算式で算出する。もちろん読み取り文字が多いほど得点は高くなる。しかし、誤読したり、途中で着陸すると大幅な減点の対象になるので注意が必要だ。また飛行時間は規定時間より短いほどよく、レギュレーション時に計測した機体のサイズや重量(飛行船タイプは全長1.5m以下、飛行機タイプの重量150g以下)が少ないほど、得点に重みがつく。
特に飛行機部門では機体を軽くして、なおかつ低速で安定飛行できるかということが、設計上の大きなポイントになるようだ【写真7】。カメラや基板を取り付けると150gを超えることもあるので、機体の一部をそぎ落としたり、翼の被覆材を変更したり、工夫が必要。とはいえ逆にあまり軽量化しすぎて強度が弱くなると、翼部分が変形して振動を起こし、安定した飛行ができなくなる。ピッチが不安定になれば、高度を一定に保つことも難しい。また、高速だとカメラで文字の捕捉が困難になり、高得点が狙えないなど、さまざまな問題が出てくる。モータも相応のパワーやトルクが要る。最も恐いのが飛行中の失速や操縦ミスによる墜落・激突で、堅い地面や壁に叩きつけられれば、最悪の場合は機体が壊れて試合継続が不可能になってしまう危険もある【動画1】。他のロボット競技と違って、この辺りが飛行ロボットの難しいところかもしれない。
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【写真7】秋田工業高等専門学校のユニークな機体。重量は90gを切っており、エントリー中で最軽量だ
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【動画1】とてもよい感じで離陸していたが、不運にもゲート部で機体が引っかかって、プロペラが壊れてしまった。早稲田大学理工学部の「哲.0」。残念
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● 大幅に技術レベルがアップした競技会は大接戦に!
さて飛行機部門の第1回戦目は合計27機の飛行ロボットがエントリーし、15台が2回戦に進んだ。ここでは2回戦に登場した飛行ロボットを中心に紹介しよう。
東京都立航空工業高等専門学校の「春燕」【写真8】は、飛行の安定性を追求した機体だ。主翼と尾翼を削ったり、機体の素材を工夫して全体の重量を削減したそうだ。実際に本番の試合でも直進性がよくスムーズに離陸し、安定して飛んでいた【動画2】。旋回からの立ち直りもよく、小回りの利く制御や低速の飛行もできていた。
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【写真8】東京都立航空工業高等専門学校の「春燕」。燕のように軽やかでスムーズに飛んだ。ベストパイロット賞を受賞
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【動画2】「春燕」の動き。安定した機体で、旋回からの立ち直りもよく、小回りがよく利いていることが分かる
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日本大学大学院の「Libellen-08弐」【写真9】は、胴体から翼端への途中で上向きに曲がる翼を持った逆ガルウィングタイプ(逆ガル翼)の飛行ロボットだ。第2回大会で優勝経験を持つLibellen-07をさらに進化させたもの。大会直前にカメラや電気系統にトラブルが発生したようだが、何とか修復して試合にこぎ着き、低速で安定した見事なフライトを見せた【動画3】。試合結果は8位入賞となった。
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【写真9】日本大学大学院の「Libellen-08弐」。逆ガル翼の飛行ロボット。かつて2回大会で優勝をしたLibellen-07の流れをくむ機体だ
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【動画3】「Libellen-08弐」の動き。低速かつ安定したフライトで8位入賞を果たした
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一方、鳥のように垂直尾翼のないユニークな飛行ロボットにチャレンジしていたのは神奈川工科大学の「EXCEL」【写真10】だ。外観はスタンダードな飛行機に近い形だが垂直尾翼がなく、代わりに水平尾翼が逆Vテールになっている点が大きな特徴。この逆Vテールを垂直尾翼と同じ働きをさせることで、方向の安定性も確保している。またピッチング対策も施し、主翼中央部の後縁に切り欠きを設け、安定性を実現したという。さらに低速になり、機体の軽量化によって数メートルの滑走で飛び上がり、そのまま飛行体勢に入れる。操縦も十分に練習したようで、こちらも本番では安定したフライトを見せ、5位に入賞した【動画4】。
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【写真10】神奈川工科大学の「EXCEL」は、垂直尾翼がなく、代わりに水平尾翼が逆Vテールになっている
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【動画4】「EXCEL」のフライト。数メートルの滑走で飛び上がり、そのまま飛行体勢に入れる。安定した動きだ
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通常の飛行と前後が逆になって舞うように飛行する大変ユニークな機体は中日本航空専門学校の「Booing 717 EnJoy」【写真11】だ。これは航空力学的にピッチの安定性が悪く、高度を一定に保つことが難しいとされる「先尾翼機」の難関技術を汗と涙の結晶でクリアしたもの。水平尾翼が前にあり、モータは胴体上部に取り付けられ、機首下げのモーメントを発生。機体が不安定になるが、先尾翼を大きくすることで大揚力を生む結果になったという【動画5】。フライトでは先尾翼機の失速特性を生かし、そのままの体勢で上手に高度だけを下げたり、帰還時に推力を切って機首を上げて失速させ、機体がそのままストンと落ちる着陸なども披露。競技では正答率も高く、4位入賞を果たした。
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【写真11】中日本航空専門学校の「Booing 717 EnJoy」。飛行が難しい先尾翼機に挑戦した
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【動画5】「Booing 717 EnJoy」の動き。高度を保ちながら滑らかなで安定したフライトを見せ、4位入賞を果たした
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首都大学東京の「あんこう弐型」【写真12】は、ブーメランのような特異形状が印象的な飛行ロボット。いわゆる主翼しか持たない「全翼機タイプ」で、構造が簡単で空気抵抗も小さいぶん、操縦には熟練のテクニックが要る。また水平尾翼の機能も主翼で担うように工夫する必要があり、機体設計も難しい。機体の翼端を跳ね上げることで、ピッチ方向の安定性をとる工夫も凝らしたという。こちらも技術的にかなりハードルが高い機体だが、1回戦で見事な直進性と安定性を見せて帰還に成功した【動画6】。残念ながら2回戦では、壁に衝突してしまうというアクシデントがあり、修復中に時間切れになって終了となってしまった。来年に期待したい。
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【写真12】首都大学東京の「あんこう弐型」。主翼しか持たないユニークな全翼機タイプ。機体設計が難しい
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【動画6】「あんこう弐型」のフライト。離陸も旋回もスムーズで、見事な直進性と安定性を見せた
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金沢工業大学 夢工房 小型無人飛行機プロジェクトからは2台の機体がエントリー。同校は本大会の強豪チームで、プロジェクトのメンバーは機体製作だけでなく、専門ソフトウェアで翼まわりの流速や圧力分布を可視化して数値解析を行なうなど、理論面にも力を入れている。1機目の「Sunfish」【写真13】は流線型のユニークな形状が目を引く機体だった。練習ではうまく飛んでいたようだが、本番では着陸回数が多く、調子が出なかった模様。ポイントを稼げず入賞を逃したものの、印象に残る機体の1つだった【動画7】。
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【写真13】金沢工業大学 夢工房 小型無人飛行機プロジェクトの「Sunfish」。名前のごとく魚のような形をしたユニークな機体が印象的
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【動画7】「Sunfish」の動き。低速でゆったりとしたフライトでよかったが、途中で着陸してしまったのが残念
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もう1つの機体「Swing」【写真14】もユニークな機体だ。主翼が2つある複葉機で、レトロ感をかもし出してよい感じだった。飛行中にモータ軸と主翼取り付け角を変化させることによって、低速飛行を可能にする特徴があるという【動画8】。「Swing」は競技でも3位という好結果を残したほか、「ベストデザイン賞」も受賞した。
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【写真14】金沢工業大学 夢工房 小型無人飛行機プロジェクトの「Swing」。主翼が2つある複葉機に挑戦し、3位入賞とベストデザイン賞を受賞
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【動画8】主翼を2つにすることで、運動性を増し、安定性を向上させることに成功。低速で文字をうまく読み取っていた
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● えっ! 本当に飛んでしまうの? ユニークな機体が数多く出場
東京大学工学系研究科の「もっぱら」も、難易度の高い先尾翼機を開発して試合にのぞんでいた。機体はカナードと前進角を持った主翼から成る【写真15】。カナードは通常尾翼に比べて効きがよく、トリムが取れた状態で正揚力を出すため高効率である点から採用に至ったという。一方、前進角を持った主翼を採用したのは、翼端失速を起こしにくく低速飛行に向くこと、空力中心を前方に移動できるため、垂直尾翼の容積を稼ぎやすいメリットがあるからだという。先尾翼機の場合は前後の動きが逆になるので、空中で飛ぶ様子を見ているだけで奇妙な感覚に陥る【動画9】。実際の競技では適度な高度を保ちながら、フィールド内を低速でクルクルとアクロバチックに旋回していた。しかし途中で失速し、モータが停止するトラブルが発生。リスタート後は問題なく飛行して無事ゴールインした。「もっぱら」は、高度な製作技術が評価され、ベストクラフト賞に輝いた。
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【写真15】難易度の高い先尾翼機で、ベストクラフト賞を受賞した東京大学工学系研究科の「もっぱら」。機体名はモータパラグライダーの略称らしい
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【動画9】「もっぱら」のフライトの模様。先尾翼機は前後の動きが逆で、空中で飛ぶ様子を見ていると奇妙な感覚になる
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名古屋大学工学部の「FIROSE」【写真16】もアクロバチックな飛行で会場を大いに沸かせた。同校も毎年とてもユニークな機体を開発し、果敢にチャレンジしている【写真17】。「FIROSE」にしても、後述する「とるねーだー3199K」にしても、目からウロコの発想で本当に飛んでしまうこと自体が驚きだった。「FIROSE」は、サーボモータで糸を左右に引っ張り、翼を微妙に変形させることで飛行方向を制御するというもの【写真18】。初めての機体だけに操縦も難しかったようだが、1回戦では見事に離陸して旋回した。さすがに2回戦では機体のバランスが崩れたのか、会場の壁に大激突。さらに器用にも機体が壁の溝に挟まってしまうハプニングが起きた。壁にぴったりと張り付く様は、まさにセミ状態でビックリ仰天【動画10】。故意にやろうとしても絶対に真似できない想定外の芸当に、会場から思わず大拍手が起きた。
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【写真16】目からウロコの発想がとても面白い名古屋大学工学部の「FIROSE」
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【写真17】毎年ユニークな機体づくりにチャレンジする名古屋大学工学部機械航空工学科の皆さん
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【写真18】「FIROSE」を俯瞰したところ。中央にあるサーボモータで糸を引っ張り、翼を微妙に変形させる。姿勢制御や操縦がとても難しそうだ
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【動画10】会場を大いに沸かせた「FIROSE」のフライトの模様。壁の溝の挟まり、セミになってしまった瞬間
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秋田工業高等専門学校は「Mayfly2」【写真19】と「Mayfly3」【写真20】で戦いを挑んだ。同校は昨年優勝した強豪で、凧のような正方形のユニークな機体で大きな注目を集めた。これも本当に飛ぶの? というぐらい特異な形状の機体だ。極端にアスペクト比の低い翼(1.0以下)を持つ無尾翼機で、1m/s程度の低速での安定飛行が可能だという。本大会でも前機を踏襲しつつ、翼面積や各部の構造などの無駄を省いて重量をそぎ落とし、いずれも重量を90g以下に落とした。さらに安定飛行のために、翼平面形を完全な直線翼に改良したそうだ。本試合では両機ともに安定した飛行で、着実にポイントを稼いでいた。1回戦、2回戦いずれも同校はトップの成績で通過し、最終的に優勝と準優勝を獲得、大会2連覇を果した【動画11】【動画12】。優勝の「Mayfly2」は文字盤20枚すべてを判読し、他を寄せ付けない圧倒的な強さを見せた。
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【写真19】秋田工業高等専門学校の「Mayfly2」。凧のような正方形のユニークな機体。昨年優勝した機体をベースに軽量化したという
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【写真20】同じく秋田工業高等専門学校の「Mayfly3」。「Mayfly2」は前回のメンバーを中心に構成したチームで、「Mayfly3」は新メンバーのみで構成したという
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【動画11】「Mayfly2」のフライト。とても安定した飛行で2連覇を果たした。「Mayfly2」は文字盤20枚すべてを判読でき、完璧だった
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【動画12】「Mayfly3」のフライト。こちらは文字盤18枚を判読し、誤読もなかった
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木更津工業高等専門学校の「Challenge Fluid 01号」【写真21】は、スタンダードタイプの飛行ロボットだ。試作機では翼が折れてしまったため、翼の根元を改良して強度を高めたそうだ。安定かつ超低空でのフライトを披露したが、機体の接地があり得点を引かれて残念だった【動画13】。
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【写真21】木更津工業高等専門学校の「Challenge Fluid 01号」。スタンダードタイプの飛行ロボット
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【動画13】旋回しながら、地面スレスレの超低空飛行を見せる「Challenge Fluid 01号」。操縦がうまい!
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日本大学理工学部の「センチュリオンD」【写真22】は、試作段階で複葉機など型に拘らない変わった機体を検討していたようだが、最終的にスタンダードに近い形状に落ち着いたようだ。ただし水平尾翼が円形になっていた点が目を引いた。本試合では安定したフライトで着実に文字を判読していき、誤判読もほとんどなく、6位に入賞した【動画14】。
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【写真22】日本大学理工学部の「センチュリオンD」。スタンダードタイプだが、水平尾翼が円形になっている
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【動画14】「センチュリオンD」のフライト。安定した飛行で小回りの利く旋回も。着実に文字を判読していた
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名古屋工業大学の「N2-08」【写真23】もスタンダードタイプだが、逆ガル翼を備えた飛行ロボット。さまざまな観点から軽さ・強度を検討して完成させた機体だという。競技でも安定してゆっくりと飛行し、旋回などの機体制御もうまくできていた【動画15】。
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【写真23】逆ガル翼を備えた名古屋工業大学の「N2-08」。軽さ・強度を検討して完成させたという
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【動画15】低速で旋回する「N2-08」。安定した飛行で機体の制御もうまくできていた
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【写真24】飛行機部門の表彰式の模様。秋田工業専門学校は2連覇。準優勝も同校が獲得し、ダブル受賞となった。3位は金沢工業大学 夢考房
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飛行機部門の最終的な競技結果は以下のとおりだ【写真24】。秋田工業専門学校が圧倒的な強さで優勝・準優勝を果たした。また4位から8位までは30点差しかなく大接戦だった。あと1枚だけ文字を読み取れば順位が逆点する状況であり、どれも優劣つけがたい結果となった。
【飛行機タイプ】
■1位 691点 「Mayfly2」(秋田工業高等専門学校 専攻科 生産システム工学専攻)
■2位 615点 「Mayfly3」(秋田工業高等専門学校 生産システム工学専攻)
■3位 534点 「Swing」(金沢工業大学 夢考房 小型無人飛行機プロジェクト)
■4位 502点 「Booing 717 EnJoy」(中日本航空専門学校)
■5位 483点 「EXCEL」(神奈川工科大学 電気電子工学科)
■6位 481点 「センチュリオンD」(日本大学 理工学部 精密機械工学部)
このほか特別賞は以下のとおり。
■ベストデザイン賞 「Swing」(金沢工業大学 夢考房 小型無人飛行機プロジェクト)
■ユニークデザイン賞 「とるねーだー3119K」(名古屋大学大学院 工学研究科 航空宇宙工学専攻)
■ベストクラフト賞 「もっぱら」(東京大学 工学系研究科 航空宇宙工学専攻)
■ベストパイロット賞 「春燕」 (東京都立航空工業高等専門学校 航空工学科)
今回、これら以外にも印象に残るユニークな機体がたくさん出場していたので、ピックアップして紹介しよう。
ユニークデザイン賞を獲得したのは、名古屋大学大学院の「とるねーだー3199K」【写真25】【写真26】だ。本大会で出場した機体の中で、たぶん最も特異な機体だろう。これは回転する円形物が揚力を生み出す「マグナス効果」の原理を利用したもので、メジャーリーグで活躍した野茂投手へのオマージュでもあるという。トルネード(竜巻き)によって、クルマや家屋が空中に舞いあがるシーンを想像すれば、なんとなく空を飛びそうだとは理解できるものの、当初は本当にロボットとして飛行できるのかどうか記者も半信半疑であった。それも杞憂に終わり、回転音を響かせながら、見事に中空に舞い上がった【動画16】。
東京大学大学院の「飛悠人III」(ひゅうまん)は第2回目から引き続き改良した機体でエントリー【写真27】【写真28】。これは「結合翼式」と呼ばれる、主翼とVテールを結合したジョインド・ウイング方式を採用した大変ユニークな機体だ。翼端で主翼とVテールが互いに支え合って頑丈になる構造で、精度のよい組み立てができないと、なかなか飛ばせない機体だという【動画17】。
青森職業能力開発短期大学の「デルタコスモ」【写真29】は名前のとおりの全翼機だ。構造がシンプルで軽量化でき、揚抗比の高い機体ができるメリットがある。逆に翼しかないため安定性に欠けるデメリットもある。そのあたりが同校の機体でも解決されていなかったようで、残念ながら帰還することができなかった。
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【写真25】回転する円形物が揚力を生み出す「マグナス効果」を応用した名古屋大学大学院の「とるねーだー3199K」
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【写真26】名古屋大学大学院の皆さん。「とるねーだー3199K」は、メジャーリーグで活躍した野茂投手へのオマージュでもあるという
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【動画16】「とるねーだー3199K」のフライト。飛ぶこと自体がすごく面白いが、それに加えて機体の制御もできていた
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【写真27】こちらも大変ユニークな東京大学大学院の「飛悠人III」。主翼とVテールを結合したジョインド・ウイング方式を採用
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【写真28】東京大学大学院工学系研究科の皆さんと、大会実行委員長の鈴木真二教授
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【動画17】剛性が強い構造になるが、精度のよい組み立てが必要だという。操縦も上手だった
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【写真29】青森職業能力開発短期大学の「デルタコスモ」。全翼機タイプで仰向けから見たところ
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● 速度制御が難しい飛行船部門も完全帰還が続出!
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【写真30】飛行船タイプの離着陸サイト。飛行船の場合は離陸時に滑走する必要がないので、このサイトからスタートする
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飛行船タイプの競技ルールについては、基本的に飛行機タイプと同様だ。ただし飛行船競技では離着陸地点に専用サイトが設置されており、そこから競技を開始することになる【写真30】。ゴールも同じ離着陸サイトまでたどり着き、機体が半分ほど沈むか底に接地した場合に帰還とするルールだ。飛行船競技は全部で5チームが参加した。前日は調整がうまくいかなかったようで、すべての機体が飛んだわけではなかったが、2日目の競技では直前までの努力の甲斐があって、ゴールまでたどり着く機体が多かった。
東京工芸大学の「飛燕」は、かなりスピードが速くスムーズに移動していた【動画18】。高さを一定に制御するために超音波センサーを、推進・旋回での揺動を軽減するために3軸加速度センサーを装備している点が大きな特徴だ。H8 tinyマイコンとモータドライバ・TA7219Pを搭載し、マイコンで割り込みをかけながら、速度制御(PWM制御)、高度の安定化、揺動制御を実現。中盤から少しだけ機首を振っていたが、それもうまく制御できていたようだ。ゴールに戻る際、離着陸サイトに機体がうまく入らず惑ったものの【写真31】、ほぼ完璧な飛行を見せた。
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【動画18】超音波センサーや3軸加速度センサーを装備していた東京工芸大学の「飛燕」。かなり高速な飛行で12枚の文字板を読み取った
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【写真31】ゴールで若干まごついてしまった「飛燕」。時間をロスしたが、結果には影響が出なかったようだ
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大阪産業大学の「さざなみII」【写真32】【動画19】もよく仕上がった機体だった。制御面では本当にさざなみのように動きながら機首を上下に振っていた点が少し気になったが、高速に移動できる機体だった。
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【写真32】昨年に引き続きエントリーした大阪産業大学の「さざなみII」
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【動画19】「さざなみII」は、まさにさざなみのように動きながら機首を上下に振って高速に移動し、3枚の文字板を判読した
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情報科学専門学校新横浜校の「情報科学新横AirFighter」【写真33】は、他の機体と比べて低速だが、機体に翼が付いており、機体の安定度は抜群だった。飛行船の操縦には、ジョイスティックとボタンで操縦できるゲーム用リモコンを利用することで、飛行船の操作性が大幅に向上した。また飛行船の動きを直接目視しながら、手元を見なくても動作を先読みして操作できる自律飛行プログラムも開発したそうだ。実際に競技でも飛行船がこまめに左右のバランスをとりながら直進し、ゴールも一発で決めていた【動画20】。
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【写真33】情報科学専門学校新横浜校の「情報科学新横AirFighter」。機体に翼が付いており、機体の安定度は抜群。ゴンドラに搭載されている基板はルネサステクノロジの「OAKS16MINI」を採用
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【動画20】「情報科学新横AirFighter」のフライト。他の機体と比べて低速だが安定感があり、ゴールも一発で決めた。1枚の文字板を判読した
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飛行船部門の中で最も特徴的だったのは電気通信大学の「ナポレオン」【写真34】だ。同校の飛行船は以前から外観が魚の形をしているユニークなものだ。飛び方も胸ビレによって上下移動し、尾びれをパタつかせながら前進していく【動画21】。残念ながら競技では、途中で機体のヒレが取れてしまい、制御不能に陥ってリタイアとなってしまった。機体は会場の天井まで高く飛び立ち、競技委員がサルベージすることになった【動画22】。しかし、この「ナポレオン」も記憶に残る機体だった。たとえゴールできなくても、他の機体と異なる設計に挑むチャレンジ精神には脱帽だ。
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【写真34】以前の大会から、ずっと魚型にこだわり続けてきた電気通信大学の「ナポレオン」。年々改良を加え、飛行性能も向上している
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【動画21】動きが大変ユニークな「ナポレオン」。機体の強度が弱かったのか、ヒレ部品が一部破損し途中から制御不能に陥って残念だった
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【動画22】制御不能になった「ナポレオン」のサルベージ。飛行船の場合は飛行機のように墜落しないが、逆に空高く舞い上がってしまう心配がある
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青森職業能力開発短期大学校の「K&Y」【写真35】は、機体が鮮やかな橙色のスマートな機体で目を引いた。機体の速度制御はPICマイコンによるPWM制御で行ない、スピードもかなり速く、カメラで的確に文字盤を観測しながら飛行していた【動画23】。
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【写真35】橙色のスマートな機体が印象的な青森職業能力開発短期大学校の「K&Y」
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【動画23】「K&Y」のフライト。こちらもかなり高速な飛行を見せた。8枚の文字板を判読し、好成績を残した
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【写真36】飛行船タイプの表彰式の模様。東京工芸大学と青森職業能力開発短期大学校が入賞した
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最終的な飛行船タイプの結果は以下のとおりになった【写真36】。
【飛行船タイプ】
■1位「飛燕」(東京工芸大学 工学部 システム電子情報学科 知能ロボット研究室)
■2位「K&Y」(青森職業能力開発短期大学校 情報技術科)
■特別賞(ベストプレゼンテーション賞)「ナポレオン」(電気通信大学 電子工学科)
全体的に見て、第4回の全日本学生室内飛行ロボットコンテストは、エントリーしたロボットの性能が大幅に向上しており、大会のレベルが大幅にアップしていることを肌で感じることができた。機体もユニークなものが多く、しっかりと飛んでいたのが印象的だった。実際に飛行ロボットの帰還率も高く、入賞できるかどうかも紙一重の差で実力が伯仲していた。個人的には競技記録だけでなく、試合に勝てなくても記憶に残るユニークな機体がさらにもっとたくさん出てくると、コンテストが大いに盛り上がってよいのではないかと感じた。
■URL
全日本学生室内飛行ロボットコンテスト実行委員会
http://www.indoorflight.t.u-tokyo.ac.jp/
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( 井上猛雄 )
2008/11/13 00:07
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