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映画「アイアンマン」ジャパンプレミアレポート
~サイバーダインHAL&山海教授が登場


HALとダウニーJr.氏が鏡開き。約70kgの酒樽はHALが運んだ
 9月27日(土)に全国ロードショーされる、パワードスーツが活躍するアクション映画「アイアンマン」のイベントが、9月3日、4日と連日で行なわれた。

 9月3日の品川プリンスホテル・クラブexで開かれた来日記者会見では、等身大のアイアンマン・フィギアがお目見え。15年ぶりに来日した主役トニー・スターク(アイアンマンの開発者にして装着者)を演じるロバート・ダウニーJr.氏とのフォトセッションなども行なった。

 そして9月4日には、東京国際フォーラムで同映画のジャパンプレミアを実施。招待された各界の著名人がメディアのフラッシュの砲列を浴びるレッドカーペットの場には、リアル・アイアンマンということでサイバーダインの人体装着式のサイボーグ型ロボット「HAL」(Hybrid Assistive Limb)と、その開発者である筑波大学大学院システム情報工学研究科サイバニクス研究室の山海嘉之教授も招待された。その模様をお届けする。


映画「アイアンマン」とは?

 詳しくは関連記事を読んでいただきたいが、まず簡単に映画の説明をすると、同映画はマーベル・コミックスを原作としたアクション映画だ。全米有数の軍需産業スターク・インダストリーズのCEOであり、プレイボーイとして名の知られたセレブでもあり、なおかつ天才発明家でもあるという主人公のトニー・スターク。そんな彼が自社の最新兵器の米軍上層部に対するデモンストレーションのために訪れたアフガニスタンで、テロリストに拉致されたことから価値観が一変。命からがら脱出したスタークは正義に目覚め、最強の兵器パワードスーツ・アイアンマンを開発し、力のない人々を苦しめている悪を叩くべく活躍するという内容である。

 全米では2008年5月2日に4,105館で公開され、前日のナイトプレビューも含めると1億211万8,668ドルの収益を上げ、「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」「マトリックス・リローデッド」の公開週末記録を超えた。

 また、7月15日時点での米BOX OFFICE MOJOによる2008年北米累計興行収入ランキングでは、3億1,367万ドルを記録し、「インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国」や「カンフー・パンダ」「ハンコック」「WALL・E/ウォーリー」を抜いて1位となっている。この大ヒットによりシリーズ化が早くも決定し、「アイアンマン2」(仮)が全米で2010年4月30日(金)に公開されることが発表済みだ。

 一方、日本では9月27日(土)より日劇3ほかで「アイアンマン」の全国ロードショーが始まる。今回そのプロモーションのために、来日記者会見とジャパンプレミアが開催されたというわけだ。


アイアンマン。正確にはアイアンマン・マークIII 主人公トニー・スターク。演じるはロバート・ダウニーJr.氏

スタークと踊っているのは、女性秘書のペッパー・ポッツ。本作のヒロイン スタークが握手しているのは、友人で軍とのパイプ役の米空軍中佐ローディ

ジャパンプレミアには著名人ゲストも多数来場した

 ジャパンプレミアは著名人もゲストで招かれ、フリーアナウンサー兼東北福祉大学客員教授の生島ヒロシ氏、建築家のエドワード鈴木氏(夫妻で登場)、元・宝塚女優の大鳥れい氏、ミュージシャンのサエキけんぞう氏、女性モデルのシーラ・シム氏、フリーアナウンサー兼東京国際大学教授兼早稲田大学客員教授の露木茂氏、モデルの長澤壮太郎氏、俳優の中村譲氏が来場。

 さらに、アイアンマンを直訳すれば「鉄人」ということで、柔道66kg以下級金メダリストの内柴正人選手、フェンシング・フルーレ個人の銀メダリストの太田雄貴選手、競泳200mバタフライの銅メダリストの松田丈志選手といった北京オリンピックメダリストも登場した。

 この3選手は事前にマスコミに発表されていたが、当日はサプライズ的に競泳200mおよび100m平泳ぎの金メダリストの北島康介選手も来場。レッドカーペットの後の舞台挨拶では、ダウニーJr.氏とメダリスト4名によるフォトセッションも行なわれた。


前日の来日記者会見ではアイアンマンの等身大フィギアが登場 ゲストの1人、サエキけんぞう氏

元・宝塚女優の大鳥れい氏 ダウニーJr.氏とメダリストの4名がフォトセッション

HAL、70kgの酒樽を持って登場

 エンターテインメント的な部分はさておき、本誌としては、レッドカーペットでダウニーJr.氏に次ぐ準主役ともいうべき存在だったHALと山海教授にスポットを当てたい。

 HALについては、本誌でも何度も記事にしているので、多くの読者の方がご存知のことだろう。繰り返しになってしまうとは思うが、改めて紹介すると、HAL(正確には、今回登場した最新モデルは「HAL-5」)は身体に装着することで身体機能の拡張や増幅を行なえる世界初のサイボーグ型ロボットである。

 SFな考え方からすると、サイボーグというとアニメ「攻殻機動隊」の主人公で完全義体の草薙素子とか、古くは「サイボーグ009」の島村ジョーら00ナンバーズなど、人の身体をメカに置き換えて能力を強化した存在を指す。

 一方、ロボットはいうまでもないが、完全に人工的に作られた存在。サイボーグ型ロボットという言葉はなんとも不思議だったりするのだが、身体を手術して機械に置き換えなくてもサイボーグのように強化できる、ということと思われる。

 HALの特長は、人が身体を動かそうとしたときに皮膚表面に漏れ出る生体電位信号をセンサーで読み取って動作していること。生体電位信号を基にパワーユニットを制御し、装着者の筋肉の動きと一体的にHALの関節を動かす「サイバニック随意制御システム」によって、動作支援を行なっているというわけである。

 また、人のような動作をすることができる「サイバニック自律制御システム」を搭載している点も特徴だ。そのため、動作しているところを見ると、実際には装着者が頑張って動かしているのではないかと見えてしまうほど自然である。

 HALは全身を覆っているため、それ自身の重さを装着者には感じさせない。腰の辺りにコントロールユニットがあり、腰の両脇にバッテリパックがある。バッテリは100Vで充電でき、約2時間40分(動作の種類によって増減はあると思われる)の動作が可能。

 足の部分には床反力センサーが備えられており、HAL(とその装着者)の重心位置を検出する仕組みだ。各関節には角度を測定する角度センサーがあり、装着者には生体電位を検出するための生体電位センサーを装着する。人の肩部までの構成となっており、高さは160cm。重量は、全身一体型の場合は約23kg、下半身型の場合は約15kgとなっている。

 用途は福祉・介護支援のほか、身体障害者への自律動作支援、工場などでの重作業支援、災害現場でのレスキュー活動支援、そのほかエンターテインメントでの利用も期待されている。ただし、アイアンマンのように戦闘用途はまったく考えられていない。


 ダウニーJr.氏の登場の前に、まずHALと山海教授が登場し、司会者からインタビューが行なわれた。まず映画の感想を聞かれると、メカニカルで技術面がよく見えて楽しかったとのこと。既に決定している続編が、さらに面白くなりそうという。山海教授が軍隊などの暴力的なものが非常に嫌いなのは有名な話だが、スタークの価値観が変わって自社を軍需産業から撤退させ、正義に目覚めてアイアンマンの開発に入るところからが気に入っている、とも。

 また、アイアンマンとの比較の話になったところでは、アイアンマンは指示を出して動くのに対し(実際には、動作はスターク自らも行なっており、山海教授の勘違いと思われる)、HALは脳細胞とシンクロして動くので、アイアンマンよりある意味では進化しているところもあると、自負を見せていた。

 活躍シーンとして、福祉・介護支援などの話を紹介したのだが、司会者の琴線に触れたのが、エンターテインメント分野での利用というところ。これは、つまるところ、スポーツ選手や職人のスキルや身体能力をHALは読み取ることができるので、HALを装着した他者がそれを再現できるという面が1つ。つまり大げさな話(実際に現在のHAL-5で可能なのかどうかは不明だが)、誰でもオリンピックのメダリストのような動作ができたり、人間国宝級の職人や芸術家の匠を表現できたりするというわけだ。

 また、そうした動作の補助のほかに、逆に負荷(抵抗)を与えることも可能なので、CGと連動させて、例えば雪山を歩くようなシーンでは、雪に足を取られる感じを表現するといったこともできるのである。負荷を与えるという面では、スポーツ選手のトレーニングに使えるとも。

 今後の予定についても訪ねられ、今年中に数は少ないが一般に使用してもらえるように計画を進めており、来年にはフルシステムとして現実化すると紹介した(大和ハウスと総代理店契約を結んでおり、今年秋から介護・福祉施設などにリースを開始する予定)。


レッドカーペットを歩くHALと山海教授 アイアンマンに負けじとポージングするHAL HALの後ろ姿

 ここで、HALと山海教授が一度退場し、主賓のダウニーJr.氏が登場。ジャパンプレミアは5,000席分の一般向けチケットが販売されたが、その内の数百名がレッドカーペットの会場にも殺到し、満員電車もかくやという大盛況ぶり。

 20名ほどの警備員やスタッフがバリケードを支えて、殺到するファンを押しとどめるという、そのすぐ横で取材している記者たちにしてみれば、命の危険を感じるほどの状態である。ダウニーJr.氏は時間をかけて、できる限りファンが差し出す映画のプログラムなどにサインをしてあげていた。

 登場してから10分ほどして落ち着いて、司会者から15年ぶりの来日について聞かれ、「15年前はこんなにファンの方が集まってくださることはありませんでした(笑)。こんなにたくさんの方が来てくれて驚いています」などと答えていた。

 そして再びHALが登場。しかも、約70kgの酒樽を両手で持ってだ。これにはダウニーJr.氏も感動したようで、「Amazing!!」とコメント。そして、装着していてどんな感じなのかを質問。HALの装着者はそれに対し、「酒樽が子猫ぐらいに感じます」と回答していた。


主役のダウニーJr.氏登場。ファンのサイン攻めに 酒樽を持ってくるHAL 鏡開きを別角度から

 実際、再登場時の酒樽を持っている様子を見ると、まるで空のバケツを運んでいるようにしか見えない。腕で持っているのではなくて、何かトリックがあるのでは? と疑いの目で見てしまうほど、軽々と持って歩いてくる。でも、実際に鏡開きをして、酒樽のフタを小槌で割って、中にはお酒が入っているのも確認済み。どうやら本当に70kgほどありそうである。こんなのを見てしまうと、マッハで空を飛ぶのは無理としても、それ以外の機能(リパルサー光線とアーク・リアクターも無理だけど)ならアイアンマン並みのパワードスーツも本当に造れてしまいそうな気がする。

 軍事利用ではなく、アイアンマンのように平和を守るため、弱き者を助けるための闘いなら、山海教授もOKそうなので、今後、対テロ・対犯罪者用として警視庁などがHALを購入して改造していただきたいと思ったりするのだが、いかがなものだろうか。思わず、そんな夢想をしてしまうアイアンマン・ジャパンプレミアのレッドカーペットイベントであった。

 なお、東京・秋葉原にあるツクモロボット王国では、「アイアンマン」のスペシャルキャンペーンを9月30日(火)まで実施中。期間中に3,000円以上の買い物をした人はくじを引くことができ、「あたり」がでたらアイアンマングッズがプレゼントされる。グッズの内容は以下のとおり。

特等:コトブキヤ「アイアンマン フィギュア」/1名
1等:「アイアンマン」ペア劇場鑑賞券/15名
2等:タカラトミー トランスフォーマークロスオーバー「アイアンマン」/10名


特等のコトブキヤ「アイアンマン フィギュア」 1等の「アイアンマン」ペア劇場鑑賞券 2等のタカラトミー トランスフォーマークロスオーバー「アイアンマン」

URL
  アイアンマン
  http://www.sonypictures.jp/movies/ironman/
  サイバーダイン
  http://www.cyberdyne.jp/

関連記事
パワードスーツが大暴れするアクション映画「アイアンマン」
~ネタバレしないギリギリでそのスペックを徹底紹介(2008/09/04)



( デイビー日高 )
2008/09/12 01:53

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