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2日目も〆はバトル! 「肉争奪戦」と化した大人の運動会
~ツクモロボット運動会in秋葉原万世2008【アスリート編】


 8月24日、北京オリンピックが最終日を迎える中で、東京・秋葉原でもアスリート達による熱戦が繰り広げられていた。万世秋葉原本店(肉の万世)にて開催された「ツクモロボット運動会 ロボット・アスリート大会」。本来は「アキバ・ロボット運動会」(主催:産学連携推進機構)として開催される予定だったが、通り魔事件の影響もあってか中止になっており、その代替として九十九電機が主催したものだ。初日の23日には「ロボット・バトル大会」も行なわれており、そちらは別レポートを参照していただきたい。


会場となった万世秋葉原本店 8F多目的ホールのTIARAが利用された 開会式ではDr.GIY氏が選手宣誓

まずは2メートル走

 この日の参加者は、以下の15名(チーム)。ROBO-ONE本戦に出場するような常連も出場しているが、市販機ベースと見られる機体も結構参加していた。競技はロボット2体による対戦形式で進められるために、最後で1人余ってしまう楽太氏の相手として、ツクモロボット王国の荒井店長がKHR-2HVで参加した(ただし店長機にスコアは付かない)。

参加者
No.チーム名ロボット名
1くままガルー
2くぱぱクロムキッド
3IKETOMUBLACK TIGER NEO
4KENTAザウラー
5イガアサアガ
6はっし~エクセリオン
7第一小隊ATコア
8AZM LAB竜鬼II
9ROBO道楽、で・か~る
10ファイターズファイター1号
11ファイターズファイター2号
12白風Mゼルファー
13Dr.GIYYG不知火
14零型Eorz
15楽太Raku-01
-王様ツクモキング


 最初の種目は徒競争。各レースの勝者には2ポイントが付き、また総合順位で1位には10点、2位には9点……とポイントが加算される(10位以下には全て1点)。競技自体は2mの直線コースを走るだけなので難しいことはないのだが、一発勝負なので、安定したモーションで手堅くいくか、それとも速さがあるモーションでタイムを狙うかは迷うところだ。転倒さえしなければ速いので、ガルー、サアガ、YG不知火といった強豪は4秒で通過していた。


この日の解説はROBO-ONEのレフェリーとしてもお馴染みの浅野氏。参加者は浅野氏からの「無茶振り」にも耐える必要が 徒競争のコース。レーンは4つあるが、左半分と右半分に分かれて走る。化粧版なのでモーションは作りやすい ただし、板の継ぎ目にある段差はくせ者。ここでバランスを崩すロボットが多かった

【動画】組み合わせは固定なので、第1レースは常にガルー(奥)・クロムキッド(手前)の夫婦対決に 【動画】第2レースはBLACK TIGER NEO(手前)対ザウラー(奥)。両者とも真っ直ぐ走るのに苦労 【動画】第3レースはサアガ(奥)対エクセリオン(手前)。どちらも速いがエクセリオンはゴール前で転倒

【動画】第4レースのATコア(手前)と竜鬼II(奥)。ATコアは同じほうの手と足を出す変わった走り方 【動画】第5レースので・か~る(奥)とファイター1号(手前)。ファイター1号は安定しているが左に曲がる 【動画】第6レースはファイター2号(奥)とゼルファー(手前)の若い対決。ファイター2号は逆に右に曲がる……

【動画】第7レースはYG不知火(手前)とEorz(奥)。YG不知火はさすがの走りで4秒でゴール 【動画】最終の第8レース。Raku-01(奥)もツクモキング(手前)もKHRなのでほとんど同じ歩行モーション

2種目目・紅白玉入れ

 2種目目は玉入れ合戦。自分の玉を相手のフィールドにより多く入れた方が勝つゲームだ。この種目も勝者に2ポイントが付くほか、相手コートに入れた玉の数だけポイントが加算される(パーフェクトだと10点)。自陣に入った相手の玉を戻すことは可能だが、故意にフィールド外に出すことは禁止されている。

 玉は蹴っても持っても構わない。ロボットによって、玉を蹴りこむ、前移動や横移動で押し込む、など作戦が分かれていた。ただせっかくの対戦形式なのに、押しつ押されつといった展開が少なかったのは残念。「わんだほー ろぼっと か~にばる」のように、実力にあわせて組み合わせが決まるようにしてもいいかもしれない。


玉入れ合戦のフィールド。それぞれ10個の持ち玉を相手陣地に入れる。正確な操作がカギとなる競技だ 【動画】第1試合。サッカー大会でも好成績を残す両者だが、前歩行でひたすら押し込む作戦をとっていた 【動画】第3試合。第2回ROBO-ONEサッカーMVP機のサアガはどんどんキックで入れてパーフェクトを達成

【動画】第5試合ので・か~るは、両手のしゃもじを振り回して効率よく玉を相手コートに入れる作戦 【動画】第7試合。「満点を狙って自爆する」という浅野氏の予想は外れたが、Eorzによってパーフェクトは阻止されたYG不知火

3種目目・障害物競争

 ランチタイムの後、続く午後の部の最初の種目は障害物競争である。コースは、(1)スポンジハードル、(2)坂道コロコロ、(3)チェックポイント、(4)ツクモフラッグ、(5)ドキドキ一本道、(6)プチプチフワフワという順番になっており、クリアした時間を競う(1位は10点……というのは徒競走と同じ)。この種目でも勝者に2ポイント付くほか、完走者には一律5ポイントが与えられる。


最初の障害はスポンジハードル。横をすり抜けてもオーケー 2つ目の障害は坂道コロコロ。簡単に見えてロボットには結構難しい 3つ目はチェックポイント。必ず中央のパネルに乗る必要がある

ポールの外側を通るだけだが、床面の材質が変わるので案外難しい ドキドキ一本道。橋は段差があるので、上るのに苦労するロボットが多かった 最後はプチプチフワフワ。基本的に転倒せずに歩くのは無理

 各フィールドはバラエティに富んでおり、見る分には楽しいのだが、参加した各ロボットはかなり苦労していた。その中でもトップタイムで通過したのはガルーで記録は1分9秒。しかしオリジナル機のガルーはともかく、ノーマルKHRでなぜかクリアしていた王様は貫禄。完走した機体は6体のみだった。


【動画】この種目トップタイムのガルーでも何度も転倒している 【動画】ザウラーはうまく前転でクリアしていたが、橋で苦労 【動画】好勝負だったのは第3レース。エクセリオンは一時追いつく健闘を見せた

【動画】「無限プチプチみたい」と浅野氏から言われていた竜鬼II。結局クリアできず 【動画】スポンジハードルに怒りの鉄拳を出すYG不知火。「あれで地面が割れるハズだった」(浅野氏) 【動画】ノーマルKHRでクリアした王様。じつは「KHRでも完走できるようコースを作った」とか

4種目目・大玉ころがし

 4種目目は大玉ころがしとなる。大玉を転がしてセンターポールを回ってくるタイムを競うのがこの競技。大玉は蹴っても持っても構わないが、大玉がゴールするだけでなくて、ロボット本体もゴールまで戻る必要がある。大玉は発砲スチロール製なので軽く、蹴ったら向こう側まで飛んでいってしまうケースが続出。この種目でもトップタイムはガルーだった。


【動画】サアガは大玉を抱えて一気に走る。一番「大玉ころがし」らしかった 【動画】足裏がいきなりもげたで・か~る。「計画性のない大人」と浅野氏 ここまでの成績。順位には無関係だが、なにげに王様は全勝

決まり手は「寄り切り」

 アスリート大会の最終戦は、これまでの成績上位8台によるランブルとなる。配点は、最後まで残ったロボットの数で20点を割る方式で、例えば残ったのが1台なら20点全部が勝者に入り、2台なら10点ずつがそれぞれに加算される(制限時間は5分間)。1位のガルーが52点なので、4位の竜鬼II(37点)までは優勝する可能性がある。ただし逆転を狙うには、自分よりも上位のロボットを全て落とす必要がある。

 賞品の黒毛和牛が懸かっているだけあり、試合前の駆け引きもドロドロしたものに。あちらこちらで談合のような話し合いがあったり。


優勝賞品はなんと黒毛和牛1kgとコシヒカリ10kg。参加者の目の色が違ったような 上位8名によるランブル。「4強」がいては、ほかのロボットにはちょっと厳しい状況 開始1分足らずで、残りはやはりこの4体に。クロムキッド以外には優勝の可能性が

 さて、いよいよ試合が開始。さすがにバトル慣れしているだけあり、ガルー、クロムキッド、サアガ、YG不知火は強く、それ以外のロボットは次々とリングアウト。開始1分足らずで残りはこの4体になってしまった。これからしばらくは一進一退の膠着状態が続く。

 パワーバランスが崩れたのは、ちょうど2分30秒くらい経過したあたり。ほぼ同時に、ガルーがYG不知火をリング外に突き飛ばし、サアガがクロムキッドを投げ飛ばした。これで残りは3体。クロムキッドのくぱぱ氏とガルーのくまま氏は夫婦なので、どちらが優勝しても肉は食える。ただクロムキッドには優勝の可能性はないので、ガルーをサポートして2対1のサアガにとっては厳しい戦いになるかと思われたが、クロムキッドはギアが割れて動けず撤去。

 これで最後の戦いは、先月の「わんだほー」の準決勝と同じく、サアガ対ガルーの一騎打ちに。このときはガルーが延長の末にサアガを下しているが、今回はリングアウト一発で終わってしまうランブル。いくらダウンしても勝敗には関係ないことがどう響くか(これに、初日のバトル大会で肉を逃したくまま氏の執念と、準優勝で肉500gをすでにゲットしているが初タイトルを目指すイガア氏の執念がどう絡むか)。

 これが有利に働いたのはサアガ。一時、リングアウト寸前まで追いやられたものの、持ち直すと残り時間があと30秒というところで、一気にガルーを寄り切った。本来この「がぶり寄り」風のモーションは、投げ技主体のサアガが相手を掴むために使うものだが、非常に重心が低いので、大きな相手をリングアウトさせるときにも有効だ。イガア氏は従来、前進のみ可能だったこのモーションを、回り込みや旋回も可能にして、今回の大会に臨んだという。


サアガが最も危なかったシーン。危うくリングアウト ガルーを寄り切るサアガ。こうなるともうガルーは打つ手がない 【動画】ランブルの全動画

 優勝したイガア氏は初日のバトル大会でも準優勝しており、この日の優勝と合わせて肉1.5kgを獲得した。2日間トータルの総合優勝(公式にはそんなタイトルはないが)は肉獲得量からみても文句なしにイガア氏で決まりだろう。肉を食ってさらに強くなる……そんなサアガの時代がしばらく続きそうな予感がする大会であった。


優勝したイガア氏。すっかり上位の常連だが、意外なことに、個人でのタイトルは初だとか 惜しくも逆転されて2位のガルー(左)と、3位に入ってラーメンセットは確保したYG不知火 参加者全員で。記事中ではあまり触れなかったが、子供達も頑張っていた

URL
  九十九電機
  http://www.tsukumo.co.jp/
  ツクモロボット王国
  http://robot.tsukumo.co.jp/
  ツクモロボット運動会
  http://robot.tsukumo.co.jp/special/00001020/
  肉の万世
  http://www.niku-mansei.com/

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( 大塚 実 )
2008/08/28 16:20

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