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ソニーCSL設立20周年記念企画展「Open Science:研究するということ」開催
~お台場「ソニー・エクスプローラサイエンス」にて


ソニー・エクスプローラサイエンス
 既報のとおり、7月12日(土)からお台場・メディアージュ5Fにあるソニーの体験型サイエンスミュージアム「ソニー・エクスプローラサイエンス」にて、ソニーコンピュータサイエンス研究所(SONY CSL)設立20周年記念企画展「Open Science:研究するということ」が開催されている。

 ソニーCSLインタラクションラボラトリーの研究内容を中心に、研究活動の一端を体験型展示で紹介したもので、各研究者の問題意識や解決の切り口などが垂れ幕で紹介されている。開催日程は7月12日(土)~9月23日(火祝)まで。「ソニー・エクスプローラサイエンス」常設展示の新展示に加わった作品も含めてレポートする。多くの展示は子ども向けの教育型コンテンツだ。

 飛田博章氏による「Bubble Click」(バブルクリック)は、シャボン球が破裂する瞬間に花火が開くエフェクトの投影画像と音を加えたメディアアート。シャボン玉の動きと破裂は赤外線を使って見ている。実際にシャボン玉を作って遊べるので、多くの子ども達や家族連れがシャボン玉を吹いては楽しんでいた。

 「アハ! 体験ウォール」は茂木健一郎氏が監修した常設展示。「アハ! ピクチャー」と「アハ! センテンス」が紹介されている。瞬間的に、いままで分からなかったことが分かるアハ体験ができる展示だが、新しく、テレビ番組でもおなじみの「アハ! ムービー」の体験展示が加わった。画像の一部が変化していくのだが、それがどこなのかタッチパネル上で当てるものだ。なお、どこが変化した場所なのかという「正解」は示されない。自分で考えてアハ! 体験することを促すためだ。どうしても分からなくて知りたい人は係員に直接聞いて下さいとのこと。


「Bubble Click」 【動画】シャボン玉の美しさと手軽さをコンピュータと結びつけた 頭上のプロジェクターと赤外線カメラ

飛田博章氏によるインタラクション展示 【動画】地面にシャボン玉がはじけるのに合わせて画像と音が投影される 【動画】子どもたちに人気

「アハ! ピクチャー」と「アハ! センテンス」が紹介されている「アハ! 体験ウォール」 「アハ! センテンス」 0.1秒ほどの時間に脳の広い領域の神経細胞が同時に活動してアハ! 体験が起きるという

「アハ! ムービー」も体験できるようになった 画面の一部が変化していく。変化したと思った場所をタッチする 監修は茂木健一郎氏

企画展示「Open Science:研究するということ」が行われているイベントスペース「StudioSES」
 以上が常設展示「Digital Dream」内の新展示。以下はイベントスペース「StudioSES」での展示である。

 田島茂氏の「AquaLink」(アクアリンク)は水に2つの電極を沈めるとさまざまな水の音が出る。水を通信路として用いている。2つの電極を共に沈めることで通信路が開くことを伝えるための展示。水中通信ができることは分かったが、その仕組みについてはよく分かっていないという。現状では電極間の距離が開くと通信ができなくなるがその制限を取り払うための方策はまだ検討中。使えるようになれば水中ロボットの操縦やモニターにも使えそうだ。

 イワン・プピレフ(Ivan Poupyrev)氏は2つのインタラクション作品を出展。「TouchEngine」(タッチエンジン)は、触覚フィードバックのタッチパネル・インターフェイス。モニターに表示されたボタンを押すとブルブルと振動が伝わる。将来は硬いものの感触だけではなく柔らかなものの感触も再現したいという。

 「TwelvePixels」(12ピクセルズ)は携帯電話のキーを使ってビットマップ画像を描くお絵かきツール。ドット絵でも熟練と工夫があれば複雑な絵が描ける。


AquaLink 【動画】2つの電極がどちらも水のなかにあると音が出る

TouchEngine 【動画】さわると振動が伝わる

TwelvePixels。携帯電話でビットマップ図を描く 馴れればこんな絵も描ける 展示にはそれぞれ研究者の顔写真と研究動機、今後の課題などが付されている

 綾塚祐二氏の「Chatscape」(チャットスケープ)はパラパラマンガ風のビジュアルコミュニケーションシステムを目指したという。チャットで何かメッセージを入力して決定ボタンを押すとカメラが自動的に2枚の画像を時間差をおいて撮影する。その2枚をランダムに連続表示することで映像に動きが出る。またメッセージ中の単語に応じて自動的にエフェクトが追加される。落書きも可能。文字や写真、動画などをさらに組み合わせて今まで伝えにくかったことを伝えられるようなコミュニケーションスタイルを編み出すことが目標。

 「Sandstorm Clock(サンドストームクロック)」はランダムな点の画像のなかで、秒針が動く瞬間だけ動きによって時刻が分かる時計。人間の視覚が短時間の変化には敏感であることを利用しているという。


「Chatscape」 【動画】Sandstorm Clock。動いたときだけ針が見えて時刻が分かる 速度や密度などは調整可能

 大和田茂氏は3種類を出展。「切る」は写真をテクスチャの素材としてサンプリングして、表面と中身にそれぞれ貼り付けることができる三次元CGツール。それをマウスでズバッと好きな断面で切ると、中身のグラフィックも自動的に生成される。

 「Fractal Sketch」(フラクタルスケッチ)は適当な落書きから立体物を生成する。基本的なルールを何度も繰り返しあてはめて複雑な図形を作るフラクタルの考え方を適用し、単純な落書きから多くの要素を作る。

 「ViewPoint」(ビューポイント)は任意の画像データから、ある方向から見たときだけその図形に見える三次元のドット集合を作るプログラム。展示では時間内にトラックボールで視点を移動させて、画像が見える視点を探す。ぴったり合わせるのがなかなか難しい。


「切る」。中身と表面の素材を指定する すると任意の位置で切断すると中身の画像も生成されている

「Fractal Sketch」 【動画】単純な入力から立体図形が生み出される

「ViewPoint」 【動画】画像を回転させて意味のある像を探す。時間切れの例

 「THE EYE OF JUDGEMENT」は家庭用ゲーム機「PLAYSTATION3」用の2人プレイ対戦形式のカードバトルゲームだ。トレーディングカードに二次元コードが埋め込まれていて、PLAYSTATION Eye(カメラ)でカードのコードを読みこませることで画面上ではカードからクリーチャーが飛び出してくる。暦本純一氏・綾塚祐二氏らによる二次元コード「サイバーコード」を利用している。三次元的な座標や傾きデータも読みこむことができる。

 北野宏明氏らによる「バイオロジカル・パスウェイ:生命を支えるネットワーク」は、免疫反応の一部の生化学物質のネットワークの図である。複雑なネットワーク図上で実際にペンをはしらせて経路を辿ることで、どこが免疫系にとって重要な部分か分かる(出展協力:東京医科歯科大学情報医科学センター・小田夏奈江氏、システムバイオロジー研究機構、JST ERATO-SORST 北野共生システムプロジェクト・松岡由希子氏)。


「THE EYE OF JUDGEMENT」
THE EYE OF JUDGEMENT(TM) (C)Sony Computer Entertainment Inc.
バイオロジカル・パスウェイ。これでも分かっていることの一部しか表現されていない ソニーCSLのテーマは「Open Sytem」、すなわち開放系だという

 このほか「ソニー・エクスプローラサイエンス」には各種常設展示やプラネタリウムなどがある。取材当日も大勢のカップルや親子連れが楽しんでいた。また、会期中には体験型展示のほかに「Meet the Researchers研究者に会おう!」と題された子ども向けワークショップも予定されている。お台場まで出かけたときはちょっと足を伸ばしてみては如何だろうか。

・ソニー・エクスプローラサイエンス
・住所:東京都港区台場1-7-1メディアージュ5F
・営業時間:11:00~19:00(最終入場 18:30)
・入場料金:大人(16歳~)500円、小人(3~15歳)300円


常設展示スペース「Digital Dream」 各種インタラクション展示が楽しめる サイエンスライブショーも行なわれる

URL
  ソニー・エクスプローラサイエンス
  http://www.sonyexplorascience.jp/
  【2006年4月28日】土星の謎をプラネタリウムで~ソニー・エクスプローラサイエンス新番組(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0428/ses.htm

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( 森山和道 )
2008/07/14 19:02

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