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東京大学・本郷キャンパス。翌日から五月祭ということで、準備する学生の姿が多く見られた
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東京大学は23日、本郷キャンパスにて「機械系研究室オープンハウス」を開催した。これは、工学系研究科の機械工学専攻と産業機械工学専攻、情報理工学系研究科の知能機械情報学専攻などの、機械系研究室における最新の研究内容を紹介するイベント。昨年まではOB向けに行なわれていた催しであるが、今年からは一般にも開放された。
全ての産業に関連する分野であるだけに、その研究内容は多岐に渡っているが、本レポートではロボットに関する話題をお届けしたい。
● 稲葉・水内・岡田研究室
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手前が「小次郎」で、奥に座っているのが愛知万博にも出展された前バージョンの「小太郎」
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現在、ヒューマノイドロボットの多くは関節にモーターが入ったタイプであるが、そうではなく、ワイヤーを筋肉のように使って動かしているのが稲葉・水内・岡田研究室の「小次郎」。ワイヤーを引っ張っているのはモーターなのだが、動きの仕組みが大きく違うと言えるだろう。
モーターを関節にするのは一見合理的である。モーターに対して角度を指定してやれば、関節はそのように正確に曲がる。しかし、それは実際の人間の構造とは大きく異なる。人間の関節は筋肉の伸縮によって動いており、関節そのものが動いているわけではない。人間と同じような動きをさせるのに、構造がそこまで違っていて問題はないのだろうか。
「産業ロボットは精度と剛性が重要だが、“固い”ロボットは家庭内での作業には向かない。家庭では、柔らかくて不正確でもいいから、環境や人に危害を加えないような構造が必要になる」と述べるのは、研究室の水内郁夫講師。産業ロボットの延長上にある現状のヒューマノイドに対し、さらに「人間に比べて圧倒的に自由度が少ない。人間は多くの関節を協調させて動いており、これでは関節が足りない。汎用性が必要なのに、特定のことしかできていない」と疑問を呈す。
もちろんASIMOなど、現状のヒューマノイドはかなり高いレベルまで来ている。それに比べ、小次郎はまだすり足で歩くのがやっとだ。しかしそれは研究の歴史が浅いということでもあり、「最終的に辿り着ける高さはこのアプローチの方が上かもしれない」というのが期待されているところである。
前バージョンの「小太郎」は愛知万博にも出展されていたが、新型機の小次郎ではモーターのパワーを強化(4.5W→40W)。小太郎と同じく、後からモーターを追加して、“筋力”を強化することもできる。身長は135cm。この小次郎では歩行も可能になる見込みだとか。
● 國吉・原田研究室
全身に触覚センサーを埋め込んだロボットを開発しているのは國吉・原田研究室。センサーの総数はなんと1,800カ所以上にもなるという。
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このロボットは全身での接触を前提としているので、柔らかい素材で体が覆われている
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触覚センサーはモジュール化されており、広い領域にも簡単に実装できる。不要部分は切ることも可能
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現状のヒューマノイドは、手で物を持ったり、足裏で体重を支えたりと、物体に接触する場所は手足に限られている場合が多い。しかし、実際の人間の行動を見てみると、例えば重い物を持つときは体にくっつけた方が楽なように、手足以外との接触を伴う動きも多い。人間に近い自然な動作をさせるためには、全身での接触を考慮することも必要になるだろう。
このロボットは全身に触覚センサーが搭載されており、そのデータを元に動きを制御することが可能となっている。今回、動作デモは行なわれなかったが、一例として、仰向け状態からのダイナミックな起き上がり動作(足を振り上げて反動で上半身を起こす)が実装されており、ビデオで動きが紹介されていた。また、上半身をうまく使うことで、ヒューマノイドながら、30kgもの重量物を持つことができたという。
触覚センサーは、ウレタンフォームとフォトリフレクタで作成しており、コストが安いのも特徴。また広い面積でも実装しやすいように、センサーはモジュール化されている。これについてはすでに特許も取得しており、商品化を進めているそうだ。
また圧縮空気を使ってジャンプするロボットも紹介されていた。空気を入れると膨らんで縮むチューブを筋肉のように使っており、各チューブの動きはバルブでコントロールしている。特に姿勢制御は使っていないそうだが、体の構造をうまく調整することで、安定したジャンプを実現していた。
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カエルのように見えるが、カエルの姿を真似したわけではなく、ジャンプに適した構造にしたらカエルのようになった、ということらしい
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【動画】椅子の上に飛び乗るデモ。姿勢制御はしていないそうだが、安定したジャンプを披露していた
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動作デモはなかったが、人型に応用したロボットもある。これは50cmくらいジャンプできるそうだ
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■URL
東京大学
http://www.u-tokyo.ac.jp/
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( 大塚 実 )
2008/05/30 17:36
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