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ものづくり子ども科学塾vol.3「ロボファイト in 彦根」レポート
~南彦根ロータリークラブ30周年記念事業


「グレートキングカイザー」(岩下哲士氏)
 4月26日(土)に、彦根市子どもセンターにおいて「ものづくり子ども科学塾vol.3 」が開催された。主催は彦根南ロータリークラブ。

 彦根南ロータリークラブは青少年育成のため、さまざまな活動を続けてきた。30周年記念事業として昨年11月から3回に渡り、子ども達が正しい科学に触れ、夢と感動を体験する機会を設けたいと北原達正氏(京都大学総合人間学部講師)の協力のもと「ものづくり科学塾」を行なってきた。

 今回は北原達正氏による「ペットボトルロケット工作教室」、大阪府出身の画家岩下哲士氏の「ロボット絵画教室」、そして二足歩行ロボット格闘大会「ロボファイト in 彦根」が行なわれた。


リニューアルオープンした彦根市子どもセンター 開会式風景 木村泰造氏(彦根南ロータリークラブ会長)

ロボファイト in 彦根

 ロボファイト in 彦根には、関西を中心に名古屋からの参加者もあり、総勢21体のロボットがトーナメント戦で優勝を争った。

 トーナメント前に、地元を代表するロボットビルダーである丸 直樹氏が観客の子ども達と保護者に向けて挨拶をした。丸氏は「子ども達がロボットを見てやりたがった時に保護者の方が“ウチでは無理”と言わないでほしい。出来る範囲で子ども達の興味と夢を育ててほしい」と語った。

 その後エキシビションマッチとして、第13回ROBO-ONE大会で優勝した「グレートキングカイザー」と、重量級準優勝の「ファイブ」の試合を行なった。グレートキングカイザーが、大きなファイブを一撃でリングアウトさせると観客席から一斉に「おぉぉ~」と驚きの声が上がった。最後はファイブがスリップダウンからの起き上がりでリングアウトしてしまい、3ダウンKOとなりグレートキングカイザーの勝利となった。


「ロボファイト in 彦根」出場者達 滋賀県在住のマルファミリーから、地元の子ども達へ熱いメッセージが贈られた 【動画】グレートキングカイザー VS ファイブのエキシビションマッチ

 トーナメント戦を制したのは、dauto氏製作の「YOGOROZA」だった。実は「YOGOROZA」は原因不明のトラブルで機体の調子が悪かったという。コントローラーでボタンを押してモーション再生指示を出した時、途中で一時停止してしまいコマ送りのようになってしまうエラーが発生していた。これまで出たことがない現象で、トーナメント戦中の限られた時間では原因が特定できず、エラー回避ができなかったという。

 dauto氏は、「だましだましロボットを操縦して、相手に悟られないように試合をした」と試合後に語った。右手のモーションがおかしい時には左手だけでバトルをしたり、ロボットの動きが悪い時には、威嚇して相手を近づけないようにしていたという。

 「試合の場数を踏んでいるので慌てないで対処できた」といって優勝してしまうあたりがさすがだ。

 今大会では、特に名古屋勢の頑張りが目立った。準決勝の第1試合は「BBR5(チャーリー氏)」 VS 「HADES(まつしろ氏)」の名古屋対決で、「BBR5」はロボファイトには初参加。第13回ROBO-ONE大会決勝トーナメントへは、名古屋の認定枠で出場している。この1カ月弱の間で、手と足を長くして遠くまで攻撃できるようにロボットを大型化したという。ロボットの改造を終えたのが2日前で、モーションを作り込む余裕がなく、今回は自爆して負けてしまったのが残念だという。BBR5は3位決定戦でHiRossi氏製作の「Cyclops-x」と対戦し勝利、3位となった。

 BBRに勝利して決勝戦に進出したのは、まつしろ氏製作の「HADES」だ。まつしろ氏は、ROBO-ONE大会には第5回からエントリーしているというから、ロボット歴は長い方だ。だが、これまでは主たる戦績を残すことができなかった。まつしろ氏は「今まで大会ごとにロボットを作っていて、時間がなくて間に合わないことが多かった」と語る。今回は「HADES」を1年間使い続けて、各地のバトル大会や練習会に参加して調整を繰り返してきた。その成果が今大会の準優勝という形になって現れたのだ。

 ロボットは結果を出すと子ども達の人気も上がる。まつしろ氏の「HADES」もトーナメント後に、子ども達から記念撮影をせがまれるなど、一躍人気者になっていた。


【動画】準決勝第1試合「BBR5(チャーリー氏)」 VS 「HADES(まつしろ氏)」。まつしろ氏の戦い方がこれまでと変わった 悪条件を物ともせず優勝を決めた「YOGOROZA(dauto氏)」 上位入賞者。左から「BBR5(チャーリー氏)」、「YOGOROZA(dauto氏)」、「HADES(まつしろ氏)」

 トーナメントが終了すると、参加者を3グループに分けてランブル戦を実施。各回、リング上に残った3体を決勝進出とし、最後に9体で決勝ランブルを行なった。このランブルには、マルファミリーの長男であるMr.K氏が夏休みの宿題で作ったという「ひこにゃん」ロボットも参戦。けなげにバトルをしていた。


マルファミリーの長男、Mr.K製作のひこにゃんロボット。昨年の夏休み自由研究だという 【動画】ランブル決勝。BBR5が大活躍したのだが、終了間際に賽銭箱ロボット「ごえん」が勝利ポジションに回り込み優勝した 岩気裕司氏(ロボットフォース代表)

ロボット絵画教室とペットボトルロケット

 絵画教室では、関西のお笑いロボット「プッシュくん」「グレートキングカイザー」、巫女さんロボット「アマテラス」「ひこにゃん」がモデルになった。

 開会式で北原氏から「科学の基本はモノをよく観察することです。絵を描くことは、科学者に必要な目を養います」というコメントがあり、子ども達は画家岩下哲士氏とともにロボットを取り囲んで、自由に絵を描いた。


大阪府出身の画家岩下哲士氏 子ども達がロボットを囲んで思い思いの絵を描いていた モデルから離れて「自分のロボット」を描く子どももいた

 ペットボトルロケット教室は大盛況で、「100m飛ぶロケットを作る」を目標に子ども達が、1時間半かけてロケットを製作した。ペットボトルロボットは1リットルのペットボトル2本を材料に、ロケットキットを追加して組立てる。ロケットの下部に取り付ける4枚の羽を正確に貼るのが、よく飛ぶロケットの秘訣だという。

 1/3ほど水を入れ、ポンプで空気を送り込んで発射するのだが、水の量、空気の量、発射台の角度などさまざまな要因が絡みあって、飛行距離が大きく変わる。飛ばした時の状態をよく観察して、失敗・成功の原因を考えなくてはならない。

 子ども達は雨上がりのグランドで飛行試験をして、微調整を繰り返した。最終的には100mを超えるロケットが5台出たという。子ども達はロボットを飛ばすたびに、遠くまで飛んだロケットを回収するために元気に走っていた。


ペットボトルロケット教室。丁寧に製作する子ども達 水を適量入れて発射準備をする 【動画】号令に合わせて一斉に発射。勢いよく飛ぶロケットに歓声がわき上がる

「子どもの理科離れをなくす会」代表 北原達正氏(京都大学総合人間学部講師)
 北原氏が主催する「子どもの理科離れをなくす会」のペットボトルロケット教室では、100mを達成したら次はパラシュートを搭載、その次はカメラを搭載して飛行中の映像を地上のPCで受信すると、課題を難しくしてチャレンジしているという。

 「子どもの理科離れをなくす会」では、ペットボトルロケットの他にも、ロボット教室や科学実験教室などさまざまな取り組みを行なっている。


URL
  子どもの理科離れをなくす会
  http://e-kagaku.com/
  ロボットフォース
  http://www.robot-force.jp/
  岩下哲士インターネットギャラリー
  http://www.nhk-p.co.jp/tetsu/

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