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メカ・エレトロニクスの要素技術展「TECHNO-FRONTIER 2008」レポート
~ロボット関連技術も多数展示


4~8ホールを使用した、中規模の展示会だ
 16日(水)から18日(金)の3日間にわたり、千葉・幕張メッセにて、ハイテク系の展示会およびシンポジウム「TECHNO-FRONTIER 2008」が開催された。TECHNO-FRONTIERは、開発設計者と生産技術者のための専門技術的な内容で、エレクトロニクスとメカトロニクスの要素技術と関連製品が一堂に会しているのが特徴である。

 また、TECHNO-FRONTIER 2008は、実際には10の展示会が合併している点も特徴のひとつ。さらに今年は特別企画が4つ用意され、シンポジウムも11の分野について同時開催された。そのほか、第1回開発・技術総合大会やエグゼクティブセミナーなども開催されている。展示会については、第26回モータ技術展、第23回電源システム展、第21回EMC・ノイズ対策技術展、第17回モーション・エンジニアリング展、第17回ボード・コンピュータ展、第10回熱対策技術展、メカトロニクス制御技術展、R&D生産・設計支援システム展、電子・機構部品洗浄技術展、グローバル部品調達展。特別企画は、無線通信要素技術、コネクタ・ケーブル技術、静音・制御設計技術、産学交流技術転移フォーラムとなっている。今年は819社が参加し、第4~8ホールの1,183小間が使用された。来場者は、3日間合計で約8万人。


ロボット展示コーナーでは高専によるNHKロボコンの騎馬戦デモンストレーション

 TECHNO-FRONTIER 2008は、モータ技術展、モーション・エンジニアリング展、メカトロニクス制御技術展など、ロボットの要素技術や周辺技術の展示会が複数含まれている。主催者サイドでもロボットについては注目しており、特別企画としてロボット展示コーナーがもうけられた。今回は、NHK高専ロボコンに出場している、茨城小山木更津サレジオの4工業高等専門学校が出展し、3日間に計14回のデモンストレーションを実施した。取材した時は、木更津vsサレジオが行なわれ、また両校のブースの取材もできた。

 最初にブースを見せてもらったのが、サレジオ高専。2007年の第20回NHK高専ロボコンで、ロボコン大賞とHONDA賞をダブル受賞した「二戦錬磨(にせんれんま)」(Bチーム製作)や、タイで開催されたWorld Eco Car Grand Prix 2007で総合19位となった犬型の4足歩行ロボット「hon hon」(これが車を牽引する)などが展示されていた。二戦錬磨は、馬に乗った武者という設定で、馬ロボットと武者ロボットが分離するところがポイント。NHK高専ロボコンは、それぞれ5本の旗が差しており、いち早く相手の5本の旗を取った方が勝ちというルールだが、その旗を取るための武器として利用されることが多いのが、グルグルと高速回転する棒状のローラー。そのローラーを両腕で持っているかのような設計も特徴で、刀を構えた武者のようである。また、武者ロボットはボディが伸縮するのもポイント。また、もう1台のAチームのロボット「百騎夜行(ひゃっきやこう)」ももちろん展示されていた。こちらは二戦錬磨と比較するとかなり小型。ただし、折りたたみ式のアームがあり、それを展開するとそれなりの高さとなるのが特徴だ。


NHK高専ロボコン2007でロボコン大賞とHONDA賞をダブル受賞した二戦錬磨 ボディを伸ばしたところ 【動画】二戦錬磨がボディを伸ばす様子

百騎夜行。二戦錬磨の馬ロボットよりも小さい 【動画】百騎夜行がボディを伸ばす様子

シベリアンハスキー風の犬型ロボット「hon hon」 【動画】hon honの足の動き

 一方の木更津高専は、かなり背の高い「でーじゃーぼーじゃ」(Aチーム)と「足軽」(Bチーム)という2台。でーじゃーぼーじゃは合体マシンで、でーじゃーが親機、ぼーじゃが子機。ちなみに、足跡が池になるというほどの、木更津に伝わる伝説の巨人の名前だそうだ。関東甲信越大会でベスト16となったロボットである。足軽は、ステアリング機構(乗用車でいうところの4輪操舵)を採用しており、回転、並進、円弧といった特殊移動を簡単に行なえるのが特徴だ。こちらも、関東甲信越大会でベスト16となっている。なお、Bチームにはもうひとつ「要塞」というロボットがあるのだが、こちらは今回は参加していない。軽量化のためにフレームに竹を利用しているそうで、材料面では非常に意欲的なロボットである。


でーじゃーぼーじゃ。名前の由来の巨人伝説の通り、非常に背が高い でーじゃーぼーじゃの特徴のひとつが、2体合体 【動画】でーじゃぼーじゃの様子

足軽は機動力が売り物だ 【動画】足軽が回転、並進、円弧移動を行なう様子

 デモンストレーションも5本の旗を飛ばされたロボットは負け(動けなくなる)、2体とも飛ばされたらおしまいというルールで、両校A、B両チームの計4体(合体・分離機構のあるロボットも合体した状態で1体と数えられる)が戦った。2回目の模擬戦を見させてもらったのだが、そのときは木更津高専が勝利を手中にしている。


デモンストレーションの騎馬戦に備えて準備中の両校の生徒 【動画】2対2の騎馬戦の模擬戦

大学研究室のロボット関連技術たち

 続いて紹介するのは、文部科学省の科学研究費補助金特定領域研究438「ブレイクスルーを生み出す次世代アクチュエータ研究」コーナーに出展していた、大学研究室のロボット関連技術。ロボットそのものの出展はないが、要素技術が多数出展されており、実におもしろいものが多かった。パネルでの解説のみや、映像を流すのみといったブースもあったので、ここでは実物によるデモンストレーションや、展示を行なっていた研究室を中心に紹介する。


岡山大学 則次研究室

 ひとつ目は、岡山大学工学部システム工学科知能機械制御学研究室こと則次俊郎教授の研究室だ。則次教授は、空気圧を利用した人工筋肉の研究を行なっており、今回は「マッキベン型(収縮型直動)ゴム人工筋」を利用した「装着型歩行支援装置」と「膝部パワーアシストウェア」「伸長型湾曲ゴム人工筋」を利用した「上肢支援装置を用いたマスタスレーブ型ウェアラブル訓練支援装置」「パワーアシストグローブ」、「シート状湾曲型空気圧ゴム人工筋」を利用した「ツイストモーションアクチュエータ」などを披露していた。

 実際に展示されていて、デモンストレーションでかなり目立っていたのが、装着型歩行支援装置。片麻痺などの身障者や歩行に不自由を感じる方へのリハビリテーションへの応用を視野に入れられた装置なので、人の脚部の歩行動作をある程度コントロールできるほどの力がある。

 股関節の屈曲、膝関節の進展と屈曲、足関節の背屈と底屈といった動作を支援するため、足の付け根から足首まで装着する形だ。それを見せるため、デモではなんとジーパンを履かせた下半身のみのモデルに装備して展示。スイッチオンで立ち上がるというしかけなのだが、まるでテーマパークのホラー系アトラクションに出てきそうである(笑)。実際、たまに親に連れられて来ていた幼児がいたが、怖がって近づけないようだった。

 ちなみに、マッキベン型ゴム人工筋とは、加圧するとパンタグラフに類似した繊維コードの力変換作用により、径方向(人工筋と垂直の方向)に膨張し、それと同時に人工筋の軸方向に収縮するという仕組みを持っている。また、その小型版として膝関節のみの支援装置が膝部パワーアシストウェアというわけだが、こちらも実物が展示されていた。

 それから実際に装着して試させてもらったのが、上肢支援装置を用いたマスタスレーブ型ウェアラブル訓練支援装置。記者は、昨年秋に栃木県のホンダ系サーキットであるツインリンクもてぎの「ロボットワールド2007」で試させてもらったことがあるのだが、今回はその改良型だそうだ。こちらもリハビリ訓練が目的の装置で、マスタ側で腕を動かすと、スレーブ側でもその通りに動くという仕組みだ。ただし、昨年モデルと異なるのは、スレーブ側に加わる患者の抵抗トルクがマスタ装着者に伝わるように改良されたこと。スレーブ側の状態がわからないまま、無理に曲げ伸ばしをせずに済むようになったというわけだ。


【動画】装着型歩行支援装置。立って座るところを見られる 【動画】膝部パワーアシストウェア。膝を伸ばす様子を見られる 【動画】マスタスレーブ型ウェアラブル訓練支援装置。右がマスタだ

慶應義塾大学 前野研究室

 続いては、慶應義塾大学大学院 システムデザイン・マネジメント研究科 システムデザイン・マネジメント専攻の前野隆司教授の研究室。まず目を引いたのが、20自由度を持つロボットハンドだ。「Micro USM II」という小型超音波モータをアクチュエータとして使用しており、各関節部に配置指定ある仕組みだ。ボールを野球の投手が持つように握ってみたり、エンピツのような細い棒を持ってみたりと、ほぼ人の手と変わらない動きが可能である。実際に動作させてのデモンストレーションは行なわれなかったが、ムービーが流されていたので、そちらを撮影させてもらったので見てみてほしい(撮影に使われたロボットハンドは、ひとつ前のモデル)。


ロボットハンド ロボットハンドを下から

【動画】ロボットハンドがなめらかに動く様子 【動画】マスタスレーブ方式で操作されているのがわかる

 また、そのロボット技術を応用した義手も開発中で、「5指なじみ機構を有する義手」がパネルにて紹介されていた。ひとつのアクチュエータで3関節を連動させる「指骨部内蔵型なじみ機構」や、ひとつのアクチュエータで5指を運動させる5指リンク型なじみ機構などを開発して研究中だ。この義手は、液体の入った1.5kgほどのペットボトルや0.8kgほどのハンマーの把持なども可能である。


義手 義手を横から(超音波モータのプレートは関係ない) 【動画】義手がフライパンをしっかりとつかんで持つ様子

 また興味深いところでは、人工皮膚などもあった。こちらも実物があり、触ることができたのだが、かなりぷにぷにした感じである。それでも、劣化が問題になっているようで、作った直後に比べると、少々固くなっているのだそうだ。ちなみにこの人工皮膚は、人の皮膚の構造をも表しており、角質細胞層に相当する表層ウレタンゴムと、皮下組織に相当する深層シリコンゴムの2層構造からなっているのが特徴である。もっと長時間鮮度を保てるように品質を改良すれば、アンドロイドの人工皮膚に使えそうな感触の良さであった。

 その人工皮膚を使った触覚センサも展示・解説。「指紋を有する触覚センサ」は表面が波打っており、その凹凸が指紋に相当する。それぞれの指紋の固着および滑り状態を検出することで、それに基づいた把持力制御を行ない、物体を落とさずなおかつつぶさずに持ち上げるということを研究中だ。そのほかにも、人工皮膚の2層構造を利用し、テクスチャや柔らかさ、摩擦接触状態を検出できる「多層構造触覚センサ」や、任意方向の局所的な滑り具合を検出できる「球面パッド型触覚センサ」なども展示されていた。

 さらに、アクチュエータを備えたアームに指を通して動かすことで、モニタ上のCGなどをなぞっているかのような感触を得られる、バーチャルリアリティ系技術に属する「触覚ディスプレイ」も展示されていた。モータ関連も複数を展示・解説。単相駆動型振動子を4方向に組み合わせた「多自由度超音波モータ」、棒状構造の「棒状多自由度超音波モータ」、平板構造の「平板状多自由度超音波モータ」なども見られた。


人工皮膚 触覚センサ類。中央上が球面パッド型、左下が指紋型、右下が多層構造型

触覚ディスプレイ。右の機器のリング部分に指を通して試す形だ 超音波モータ。左から棒状、単層駆動型多自由度、平板状

東京大学 樋口・山本研究室

 東京大学 工学系研究科 精密機械工学専攻 先端メカトロニクス分野の樋口俊郎教授と山本晃生准教授のふたりの研究室は、合同で先端メカトロニクス研究室と名乗っている。今回の展示会でも、両教授の研究室合同でブースを構えていた。

 ひとつが、超小型の「マイクロ球面モータ」。どれぐらい小さいかは、1円玉と比較して撮影してみたのでわかるはずだ。マイクロ球面モータは、コイル部分の先に球体があって、その上端に棒が延びている形だ。球体を動かせるので、さまざまな角度に棒を向けられ、なおかつ回転させられるという仕組みだ。


マイクロ球面モータ 【動画】マイクロ球面モータの動作する様子

 また、実物による動作は見られなかったが(不調のため、動作せず)、静電気を利用して動作させる「静電アクチュエータ」も展示されていた。これは磁力を使わないため、強磁場環境や真空環境でも駆動できるのが特徴。MRI内での動作などや、宇宙空間などでも使用できるというわけだ。また応用例として、壁に張り付いて上っていく静電壁面歩行ロボット「導体壁面用インチワーム型ロボット」のデモムービーが流されていた。


セイデンアクチュエータの応用例で、壁に張り付かせているところ 【動画】MRI内で患者の筋肉を押している様子 【動画】静電アクチュエータを利用して壁を張っていく様子

東京工業大学 岩附研究室・鈴鹿医療科学大学 伊原研究室

 東京工業大学 大学院理工学研究科 機械物理工学専攻 ダイナミクス調和工学講座および工学部機械知能システム学科マイクロシステム講座の岩附信行教授の研究室と、鈴鹿医療科学大学 医用工学部 臨床工学科の伊原正教授の研究室は共同で出展。ロボットとは直接関係ない医療分野のアクチュエータなのだが、とても小気味いい動きをするものだったので、紹介したい。人工呼吸器内のタン排泄などへの利用を目的に開発されたもので、イオンポリマーメタル複合体を利用した電解質膜型のアクチュエータだ。一見すると、薄い金属板に見えるのだが、クネックネッとまるで生き物のように自らを左右に揺する動きを見せ、あまりメカっぽくなくてなにか不思議な感じである。


イオンポリマーメタル複合体を利用した電解質膜型のアクチュエータ 【動画】プラプラとアクチュエータが揺れる様子

企業ブースで見たロボット関連の製品たち

 次に紹介するのは、一般企業が展示していたロボットや、その要素技術などだ。共栄通信工業がブースでデモンストレーションを行なっていたのが、トキ・コーポレーションが開発した金属系人工筋肉「バイオメタル・ファイバー」を利用した「マイクロアームロボット」だ。バイオメタル・ファイバーは自ら緊張・収縮と弛緩・伸長をする繊維状アクチュエータで、ミリ・マイクロサイズの用途に利用できる点、静かで生物のような柔軟な動きができる点が特徴。マイクロアームロボットのムービーを見てもらえばわかるが、何かの生き物が動いているように錯覚してしまうほどなめらかに動く。バイオメタル・ファイバーは、通常はナイロンのように柔らかくしなやかだが、電流を流すとピアノ線のように硬くなって強い力で伸縮するポイント。また、温度変化でも動かすことができ、約70度に加熱すると収縮し、冷却すると伸長するという特性もある。


バイオメタル・ファイバーを利用したマイクロアームロボット 【動画】マイクロアームロボットが生物的に動くのを見られる

 続いて、来場者の注目を集めていたのが、朝日インテックのブースでデモンストレーションを行なっていた、原田電子工業製の筋電制御義手。朝日インテックは、ワイヤー素材やマテリアル製品の開発から供給までを行なうメーカーで、同社のステンレスワイヤーロープを筋電制御義手が使用している関係から、今回のデモ展示となった。

 使用されているワイヤーロープは、直径0.03mmステンレスワイヤーの素線を撚り(より)線加工を施したもので、金属製でありながら、ひものように柔らかいのが特徴だ。筋電義手に使用されているのは、「Type-R」と呼ばれるシリーズの内の、撚り線直径が0.57mmの「R-57」という製品だ。切断強度は245.0N、重量は1kmでたった1.17kg。ロープの構造はコア(芯)ロープに撚り合わせる形で8本のストランドロープが囲んでいる、IWRC(Independent Wire Rope Core)型だ。ちなみにコアロープは中央の1本とその周囲の6本の7本の束で構成され、その束も中央の1本と周囲の6本という構成になっている。ストランドロープは中央に1本、その周囲に6本、さらにその周囲に12本という構成になっている。筋電義手に利用するには、0.57mmのR-57が、太さ、重さ、切断強度、柔らかさなどから一番なのだそうだ。


【動画】原田電子工業製の筋電制御義手の動作するところ ステンレスワイヤーロープ「Type-R」の「R-57」

 また自社製品を搭載しているということで、furo(フューロ:千葉工業大学未来ロボット技術研究センター)のロボットを展示していたのが、小型・マイクロモーター類を得意とする日邦電機だ。「床下点検ロボット」が展示されており、遊星歯車方式ギアヘッド「GH-32」が採用されていることが説明されていた。

 遊星歯車方式ギアヘッドは、太陽ギア(ピニオンギア)を中心に周囲を複数の遊星歯車が惑星のように回る仕組みだ。メリットとして、少ない段数で大きな減速比を得られること、大トルクを伝達できること、トルク分散されるために高耐トルク性に優れること、ギア比に関係なく入力回転方向にタイして出力回転方向が同じであること、入力軸と出力軸が同一軸上となること、といった点がある。


床下点検ロボット 搭載部分の拡大 遊星歯車方式ギアヘッドGH-32

 同じくマクソンジャパンも、自社のモータを採用しているということで、ロボットの展示とデモを行なった企業。同社はスイスを本拠とするマクソンモーターの日本法人で、モータなどのドライブ・コンポーネンツとシステムを世界中に供給している。展示とデモを行なったのは、furoの「Halluc II」だ。Halluc IIは56個ものモータを搭載し、路面状況に応じてボディを変形させて移動するという8輪車型のロボットだが、同社のモータが小型・高出力・高効率ということで採用されている。ネオジウム磁石内蔵のコアレスモーター「RE-maxプログラム」シリーズが48個、それよりも小型の「REプログラム」シリーズが8個となっている(ほかに、コントローラEPOSも8個利用されている)。会場では、デモンストレーションも実施されたが、時間帯が合わなかったため、残念ながらその模様は撮影できなかった。


Halluc II 見える部分だけで1脚につき3個のモータが搭載されているのがわかる

 最後は、今や等身大のヒューマノイド・ロボットの製造には欠かすことのできない、減速機構のハーモニック・ドライブを製造しているハーモニック・ドライブ・システムズ。許可が下りなかったため、ムービーでの撮影はできなかったが、マニピュレータを動作させていた。マニピュレータは、等長の指を4本、同心円上に配置したもので、1本に2カ所の関節がある。それがリズムよく閉じたり開いたりを見せていた。また、3本指構成の別のマニピュレータも。1本に2カ所の関節が備えられており、等長という点も同じだが、こちらは片側が2本で、反対側にもう1本という構成。1本の方は、親指的な使われ片となっているようで、位置的には2本の間にある(2本指の間を底辺とし、1本を頂点とする二等辺三角形の配置になっている)。


4本指タイプのマニピュレータ 3本指タイプのマニピュレータ

 また、幕張メッセの国際会議場では有料の技術シンポジウムが多数、同時開催された。ロボット関連では、「ウェアラブルパワーアシスト~人との共生を目指すロボット技術~」(モーション・エンジニアリング・シンポジウム)など、いくつかのシンポジウムで題材として取り上げられていた。

 なお、TECHNO-FRONTIERは事前登録すれば、展示会は無料で入場でき、当日券も1000円。ロボットの要素技術や周辺技術も多数出展されているので、興味を持った方は来年は忘れないようにしよう。毎年、4月前半に行なわれる日程だ。


URL
  TECHNO-FRONTIER 2008
  http://www.jma.or.jp/TF/top.html

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ロボットの要素部品が目白押し!
~「TECHNO-FRONTIER 2007」展示会レポート(2007/04/23)



( デイビー日高 )
2008/04/30 21:05

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