2月27日~29日の日程で、東京ビッグサイト西ホールにて第4回国際水素・燃料電池展と第一回国際太陽電池展が開催された。主催はリードエグジビション ジャパン株式会社。エネルギー問題や環境問題への注目度が高まる中、燃料電池展の出展者数は467社、太陽電池展は301社にのぼり、会場は非常に混雑し熱気にあふれていた。
今回はロボットに関連した展示は残念ながらほとんどなかったが、水素・燃料電池展から、やじうま的視点でいくつかご紹介する。
従来からロボットと燃料電池の組み合わせでデモンストレーションをしている株式会社FC-R&Dのブースでは、今回は小型燃料電池を使った乾電池機器への応用可能性を探るために、タカラトミーの「i-SOBOT」そのほかに同社の小型燃料電池を取り付けた例をデモして注目を集めていた。出力は厳しいというものの、ごく普通に動いていた。駆動時間は通常の乾電池を使った場合のおおよそ3倍程度になるという。
そのほか、同社ブースでは無電源地域での監視カメラや非常時照明用電源として燃料電池を使った例、また立ち乗り型スクーターの電源とした例など、ユニークなアプリケーションを提案していた。
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株式会社FC-R&Dのブース
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【動画】燃料電池で駆動する「i-SOBOT」
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胸に燃料電池を搭載
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背面。下に見えるのが水素ボンベ
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横から
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俯瞰
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胸の燃料電池スタック部分
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「ロボパピィ」に搭載した例
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こちらは胴体下部に燃料電池を搭載
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乾電池機器への小型燃料電池適用例としてのロボット
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【動画】燃料電池で動かしている小型ハンド
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監視カメラに使った例
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立ち乗りスクーターの電源に使った例
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後ろから。スクーター自体も部品を集めて同社オリジナルで製作したもの
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NEDOブースでは、平成18年度から22年度までの予定で進められている「新利用形態燃料電池標準化等技術開発」で開発された、ヤマハ発動機のダイレクトメタノール燃料電池バイクや、NECによる小型燃料電池を使った携帯電話への充電デモを行なっている。NEDOが作成したこの事業の解説パネルには、ロボットの電源としての可能性を探るようなことも書かれているのだが、残念ながら今回ロボットの姿は見られなかった。
また、各種燃料電池やそのアプリケーションを分かりやすく図解と模型で解説したパネルも置かれており、啓蒙にも力が入れられていた。
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ヤマハ発動機のダイレクトメタノール燃料電池バイク。ダイレクトメタノール燃料電池としては最高レベルのシステム効率を実現しているという
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NECによる燃料電池を使った携帯電話への充電のデモ。平面スタックの小型化を実現した
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固体高分子形燃料電池(PEFC)の仕組み。小型ロボットに搭載されているのはまずこれだ
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定置要燃料電池システム。小型発電所と考えれば分かりやすい
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燃料電池自動車の仕組み
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大同メタル工業ブースでは、燃料電池組み立てキットそのほかが展示され、実際に組み立ての体験も行なわれていた。既に販売されており、価格は18,000円とのこと。そのほか、高出力化したハイブリッド燃料電池や、手回し発電機で水を電気分解してその水素で走る、水・電解燃料電池車のキットなども展示していた。また燃料電池で鉄道模型を動かしており、それもまた大勢の人達を惹きつけていたようだ。
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大同メタル工業の燃料電池組み立て体験キット
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組み立て体験の様子
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高出力化ハイブリッド燃料電池と、水電解燃料電池車のキット
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鉄道模型を燃料電池で動かして人目を集めていた
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模型のあちこちに燃料電池。未来の街はこうなる?
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岩谷産業ブースでは急速水素充填装置等と並んで、燃料電池による自動充電システムを搭載した「FCアシスト自転車」が展示されていた。出力40Wの固体高分子形燃料電池を使って二次電池に自動充電する。これを搭載したことで航続距離にして86km程度のアシストが可能になる。分かりやすい燃料電池のアプリケーションとして研究開発したものだという。
イギリスのIntelligent energy社ブースでは同社の小型軽量個体高分子型燃料電池を使った例として、スズキの2輪車「クロスゲージ」も合わせて出展されていた。これは空冷式の燃料電池とリチウムイオン電池を組み合わせたバイク。
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Intelligent energy社ブースで展示されていたスズキ「クロスゲージ」
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空冷式燃料電池とリチウムイオン電池を組み合わせたハイブリッドバイク
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会場では「大学・国公立研究所による研究成果フォーラム」も設けられており、各大学の研究もパネル展示されていたほか、早稲田大学環境総合研究センターからは固体高分子形燃料電池を使った燃料電池車が出展されていた。燃料電池は大同メタル製である。
株式会社バンテックは、燃料電池にキャパシタを組み合わせたカートを展示。
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早稲田大学環境総合研究センターの燃料電池車
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バンテックの燃料電池カート
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グンゼブースでは、同社が岐阜大学等と共同で開発中の「フィルム基板ZnO型色素増感太陽電池」を、ウェアラブルな電源としてMP3プレイヤーを駆動させる例を展示していた。フレキシブルで軽量であることを活かした例だ。グンゼは誰もが知る衣料の会社なので取りあえずウェアラブルに使ったみたそうだが、他にどんなアプリケーションがあり得るのか現在探索中とのこと。
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グンゼブースの「フィルム基板ZnO型色素増感太陽電池」を使ったMP3プレイヤー駆動例
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腕部分に貼り付けられたのが「フィルム基板ZnO型色素増感太陽電池」
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フジキンのブースには、同社が養殖を研究しているチョウザメの水槽が置かれていた。なぜ燃料電池展でチョウザメ水槽なのか。フジキンはバルブと流れ制御の会社である。チョウザメを養殖するためには流れの制御が重要。燃料電池においても流れの制御は重要。というわけで、流れ繋がりだそうだ。なおチョウザメはサメの仲間ではなく、チョウザメ科の魚である。
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フジキンブースのチョウザメ水槽
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泳ぎ回るチョウザメ
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体内3箇所にマイクロチップが埋め込まれており1個体ごとに生育状況を管理
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■URL
国際水素・燃料電池展
http://www.fcexpo.jp/
国際太陽電池展
http://www.pvexpo.jp/
■ 関連記事
・ 第3回国際水素・燃料電池展開催中(2007/02/09)
( 森山和道 )
2008/03/04 00:03
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