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どのロボットメーカーを問わず参加が可能
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「ロボプロステーション in TECH.C.」は、学校法人早稲田電子学園 東京テクノロジーコミュニケーション専門学校とロボットメーカー・ヴイストンのコラボレーションによる無料のロボット練習会。東京にどのメーカーのロボットのユーザーでも参加できる、広いロボット練習会場がないことから、ヴイストンが月1回のペースで始めたものだ。
月1回ペースで開催されており、第4回が去る2日(土)に開催された。会場は、東京・高田馬場の東京テクノロジーコミュニケーション専門学校の校舎内の1室。今回は、記者が実際に貸し出し用ロボットを拝借して参加してみた。恥ずかしい話だが、まだ1台もロボットを所有したことのない初心者なのである。そんな初心者が、参加者としてのリポートをお届けする。
貸し出し用の機体は、JR PROPOのRB2000だ。今回拝借したのは、その3号機。ロボプロステーション in TECH.C.の責任者である、ヴイストン RTカンパニー エンジニアリングセクション チーフの芝谷尚紀さんが組み立てた1体で、かれこれ1年ほどギアを交換しながらフル稼働している機体だそうだ。1号機、2号機は保管されているため、貸し出し用として実際に稼働している機体の中では最古参なのだ(ちなみに1号機は、24時間連続稼働を達成した永久保存機)。新しい機体は、24号機、25号機といったナンバーなのが確認できた。
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お借りしたRB2000の3号機
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背面にも識別ナンバーの3がある
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胸部から腹部にかけてのアップ。歴戦の戦士の趣が漂うボディーだ
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こちらは製作時期がずっと新しい24号機
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こちらは、ロボドル一之瀬まゆさん専用機と同じスペシャルな赤の10号機
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こちらが一之瀬さん専用9号機。ガンダム好きの一之瀬さん用なので、3倍速い……ことはない
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ロボプロステーション in TECH.C.のイベント内容は、3対3のロボサッカー、3,000および5,000mmのスプリント、トーナメント方式のロボットバトル、そしてバトルロイヤル形式のランブルとなっている。今回は、「第3回ナガレンジャー・ファイティングフェスタ in 雪灯り回廊」と同日開催だったため、前回ほど著名なユーザーは参加せず、イガアさんがセイガを、しばんずさんがあしまーるを伴って参加していた。
前回同様に東京テクノロジーコミュニケーション専門学校の生徒さんたち5名も、ヴイストンの2月の新作「Robovie-X」で参加。また、記者同様にRB2000をレンタルした親子も1組いた。前回、午前中の練習・自由時間に参加していたロボドルの一之瀬まゆさんは、今回は芝居の公演と重なってしまったため、参加できないということであった。
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イガアさん製作のセイガ。白いボディーとスーパーロボット系マスクが特徴
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Zガンダムの可変MAアッシマーがモチーフのしばんずさんのあしまーる。調整中
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生徒さんのRobovie-Xの1体。胸に貼ってあるのは転倒時のショック吸収用のスポンジ
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実は初挑戦なのだが、ロボサッカーに参加させてもらったところ、これがなかなか楽しい。F1のラジコンを過去に遊んでいたり、レースゲーム好きなのでリアルタイムにコントローラーを操作するのに慣れていたりするなど、経験が功を奏したか、そこそこコントロールでき、「サッカーをしている」感を味わえた。とはいっても、下手に接触プレーに行くと、すぐ倒されてしまうので、ポジション取りなどはまだまだ。ボールにもなかなか触れられないので、とりあえず、対戦チームのシュートコースをふさぐなどして、ディフェンスでは活躍した……はずである(苦笑)。ボールにタッチするというだけでも大変なことがよくわかり、当たり前の話だが、ロボサッカーでサッカーらしいサッカーをするのがどれだけ大変かが改めてわかったのであった。
しかし、ガチャガチャとぶつかって倒れて、それでも転がっていくボールを追いかけているだけでも楽しい。ロボットを所有していない人も、ロボットによる球技などに慣れていない人も、「下手だから、何か言われるのでは?」とか「勝手がわからないので邪魔になるのでは?」などと遠慮せず、ぜひ一度参加して楽しんでみてほしい。
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ロボサッカーの様子
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【動画】記者が参加したロボサッカーの前半
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【動画】記者が参加したロボサッカーの後半
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続いては、スプリントに挑戦。まずは直線のスプリント3000から。3号機、実は左に曲がってしまうクセがあるので、そこをアナログコントローラーで修正してまっすぐ走らせる必要がある。芝谷さんによれば、「昔は、アナログスティックによる歩行の微調整などは簡単にはできなかったので、どの会場にも対応させてまっすぐ歩かせることは大変だったんですよ」ということだが、さじ加減が意外と難しい。左に曲がるクセを意識するあまりにオツリで右側に曲がりすぎてしまうなど、フラフラとしながらも1回目は20秒2。2回目はわずかに短縮でき、19秒6となった。
次は、中央にマットを置き、陸上競技のトラックのような形にして、その周囲を1周するスプリント5000。左に曲がるクセをうまく活用しようと、反時計回りで周回することにした。スタート地点でわざとアウト側の右側に向けるなどして、左曲がりのクセをうまく使える角度を見つけ出すべくトライ&エラーをしつつ、1回目に挑戦。しかし、バッテリが消耗したのか、1コーナーをそこそこの感じでクリアーしてバックストレートに入ろうかというところで、突如ストップしてパッタリと転倒してしまう。なんとか立ち上がらせることができたので走り出し、ゴールして42秒0。バッテリを交換してもらって2回目の挑戦。今度は倒れずに走りきり、33秒7となったのであった。
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【動画】スプリント3000の1本目。セイガと一緒に走ってみた
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【動画】スプリント3000の2本目。位置を変えて同じくセイガと競争
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【動画】スプリント5000の1本目。タイムのいい2本目は録画ミス……
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今度はロボッバトル。その前の調整時間中に今回の参加者のみなさんのロボットの撮影をさせてもらっていたところ、2名の生徒さんが始めたのが、授業で製作したRobovie-Xを使ってのダンスコラボレーション。Robovie-Xにはダンスモーションが搭載されているようで、2体同時にそれをスタートさせて、見事にシンクロさせていた。面白かったので、その模様もムービーで収録させてもらったのでぜひ見てみてほしい。
次回は5人全員でぜひパフォーマンスを、という話をしたのだが、なかなか同時にスタートさせるのは難しいようだ。息を合わせて同じようにキーを押しても意外とずれてしまったりするという。電池の消耗度合いなどで差が出ていたのか、コントローラーのキーを押してからの反応が微妙に異なっていたのだ。収録したムービーは、ひとりの生徒さんがふたつのコントローラーを持って、その時間差を見越して押して成功させたときのものである。
ちなみに、前回のロボプロステーション in TECH.C.のときから生徒さんたちのRobovie-Xの外観が変化。先月はどのRobovie-Xもプロトタイプや先行量産型といった雰囲気だったが、今月は発売月に入ったので製品用パーツが揃うようになってきた模様。中には、製品とほぼ同等のパーツ構成になっている機体もあった。
ちなみに、生徒さんたちはそれぞれ自機に個性を持たせている。胸や背中にちゃんとRobovie-Xのロゴを貼っている生徒さんもいれば、顔に眉毛を貼ってユーモラスな雰囲気を演出している生徒さんもいるし、フレームに色を塗って雰囲気を変えている生徒さんも。ちなみに、ヴイストンでは有料のアルマイトサービスも用意されており、Robovie-Xのボディーを赤・青・緑・茶・黒・金などのカラーに変更可能ということである。
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【動画】2台のRobovie-Xによる即席ダンスコラボ
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今回のRobovie-X。先月と比較すると、もう製品版とほぼ同じ外観
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先月の時点でのRobovie-Xその1。フレームの色が異なり、黒となっている(今月も参加)
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先月の時点でのRobovie-Xその2。こちらはボディーが黒い
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そして、いよいよロボットバトルの開始。セイガとあしまーるはシードだ。記者は4試合目で、生徒さんのひとり、そねさんのRobovie-Xと対戦した。上背ではRobovie-Xの方があるが、重心はRB2000の方が低く、重量感でも負けてない。性能的にも大差はないはずである。しかし、腕前に大きな差があった。ロボットバトル初体験の記者がかなうわけがなく、いいところなく敗北。RB2000の裏拳(というよりも、「よしなさい」とツッコミを入れるような感じのモーション)のリーチや角度をつかみきれず、まともに攻撃が当たらなかったのがなんとも情けないお話である。
トーナメント1回戦敗退で終わりかと思いきや、敗者同士による裏トーナメントも1回行なわれた。対戦相手は、記者同様、RB2000を借りている、親子で参加したお父さん。赤いRB2000の10号機である。赤いRB2000はバッテリが切れかかっていて、元気がなくなってしまっていたのだが、記者の3号機の腕をつかむや、見事な投げ技を披露。ものの見事に転ばされてしまった。会場も大いに盛り上がるが、記者は内心、「投げ技があるなんて聞いてないよ! 本当に借り物なの?」という状態である。しかし、バッテリの残量による動きの差で記者が結果的に勝ってしまったのだが、同じ条件だったら、負けていたのでは? というところである。まさに、試合に勝って勝負に負けたを地でいくバトルであった。
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【動画】トーナメント1回戦で、記者はそねさんのRobovie-Xと対決して敗退
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【動画】親子で参加されていたお父さんの赤い10号機と対決。見事に投げられた
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最終的にロボバトルのトーナメントはRobovie-X同士の決勝に。動画では、Robovie-Xのロゴを胸に貼ってある機体がチャリットさんで、ない方がtuyoshiさんだ。セイガが調整中の様子(イガアさん自身も全力で勝負、という操縦ではなかったようだ)で、あしまーるは機体の一部が破損してしまい本調子ではなかったというのもあったようだが、それでもスペック的には上のロボットを破ったのは事実(tuyoshiさんがセイガを2回戦で下し、記者に勝ったそねさんが2回戦であしまーるに勝ち、そのそねさんを準決勝でチャリットさんが下した)。前回も同じ生徒さんたちが参加していたので記者も記憶しているが、闘い方のレベルが確実に上がっていたのと、操縦にかなり熟達していた。それには、先生でもある芝谷さんも「みんなの成長を感じられて、嬉しいですね」とコメントしている。
Robovie-Xに組み込まれていたパンチは大きく2種類。腕をそのまま真横に下から水平にまで振り上げるものと、前方に一度持ち上げた腕を横方向に振る裏拳風のものとふたつだ。前者の振り上げパンチは突き飛ばせるが、当然だが身体を相手に対して真横にする必要があり、感覚的になれないとポジション取りが難しそうだ。記者の個人的な感想だが、真横から相手に向かっていくのはなんとなく不安感がある。腕が水平になる直前ぐらいの角度が、最も拳のスピードが出ていると思われるが、そこで当てるのは結構難しそう。遠すぎたら空振り、近すぎても力が伝わりにくいという、相手との距離がシビアな感じだ。
一方、後者の裏拳は、相手に対して斜めに身体を向けるのがベスト。拳が約90度弧を描く形になるので、斜め45度ぐらいから70~80度辺りが、最も拳の速度が乗る角度と思われる。前者の振り上げパンチよりは相手を正面に近い形で見据えられるので、感覚的に扱いやすいはず。また若干だが、有効打を発生させやすいようにも見える。しかし、正面から向かって行くということは、胸などを振り上げパンチで突かれれば、後ろに倒されやすいということで、一長一短がある。当然の話だが、状況を見て、うまく使い分けるのが必要だろう。
その決勝のバトルは、なかなか見応えのある勝負となった。ふたりは、相手を自分の射程にとらえるべく、近づいては距離を取って、また角度を修正してと、ポジション取りの駆け引きを続けていく。Robovie-Xは、左右への旋回に若干時間がかかるので、相手との角度を合わせるのが腕の見せ所。同じロボット同士なので条件が一緒というのもあり、その拮抗した感じに思わず見ている方も力が入ってしまうほどである。tuyoshiさんが裏拳を空振りして少しバランスの崩れた体勢の時に、その伸びきった腕にカウンター気味に裏拳を当ててダウンを取るなど、確実に攻撃を当てたチャリットさんが優勝に輝いた。
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Robovie-Xのパンチその1。真横に下から振り上げる(写真は手前の機体の右腕)
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Robovie-Xのパンチその2。裏拳(写真は手前の機体の右腕)
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【動画】決勝戦。右側のロゴが貼ってある機体がチャリットさん、左がtuyoshiさんで開始
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ロボバトルの後は、全員参加のランブル(バトルロイヤル)。最初は場外に出てしまうと退場で、途中からはダウンを奪われても退場となるルールだ。記者も3号機で初挑戦。しかし、逃げ回っているというわけでもないのだが、ほかのロボットを3号機の射程圏内にとらえるのが思いのほか難しい。あっち行って勝手にスリップし、こっちでぶつかった弾みで倒れてという具合。
場外に突き飛ばされて退場にならずに済んでいるものの、有効な攻撃をなかなか当てられない。それでも残っていられるのは、貸出機の初心者ということで、ほかのユーザーの方がオマメさん扱いをしてくれているからだろう。
なにしろ、モードチェンジを忘れて、パンチのつもりが乱戦のさなかで丁寧な挨拶のモーションを繰り出してしまうなど、初心者ならではのボケをかましていたから仕方がない。投げられたりもしたが場外には出されなかったので、後半まで粘ることに成功。しかも、気がついたらベスト4である。さすがにそこで運がなくなり、ダウンで退場。1回目はRobovie-X同士のバトルを制して、生徒さんのひとりが優勝した。
ランブル2回目は、最初からダウンでも退場というルール。何を血迷ったか、記者は無謀にもセイガにつっかかっていってしまったのだが、勇んだ割には空振り。運良く見逃してもらえたので、目標を変えてRobovie-Xの1台に接近し、裏拳。そうしたら初めて攻撃らしい攻撃が当たり、ダウンさせて退場させることに成功した(実は、初芝さんのRobovie-Xだったので攻撃を受けてくれた説あり)。相手と自分の距離、相手に対する自分の身体の角度などすべてがたまたま揃っていたようである。
思わず本気で喜んでしまう記者であった(苦笑)。しかし、それで攻撃の感覚を完全につかめればよかったのだが、そう簡単に話がいくわけがなく、再現はならない。しかも、グズグズしているうちに周囲の動きに取り残され、何もしないままちゃっかり決勝進出。でも、相手はセイガなのでお話にならず。軽く射程の長いジャブを1発食らっただけでダウン。あっさり、おしまいである。文字通り手も足も出ない、というラストであったが、なかなか楽しめたランブルであった。
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【動画】ランブル1回戦。カメラの正面で背中を向けているのが記者の拝借した3号機
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【動画】2回戦。1ダウン奪ったとはいえ、気がついたら決勝戦だったという、ごっつぁん準優勝
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会場は、高田馬場の東京テクノロジーコミュニケーション専門学校
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今回は実際に自分で参加して、ロボプロステーション in TECH.C.の面白さをリポートしてみたが、いかがだっただろうか? ロボットを所有していない人も、事前に申し込めば、記者のように借りて参加することも可能である。いきなりそれは気が引けるのでまずは見学したい、という人も問題ない(見学ももちろん無料だが、事前の申し込みが必要)。ロボプロステーション in TECH.C.は、月1ペースで開催されており、次回「Vol.5」は3月8日(土)に決定。ロボットを操縦できるのであれば、お子さんも参加できるので、ぜひ親子での参加も検討してみてはいかがだろうか。
■URL
ロボプロ
http://www.robo-pro.net/
ロボプロステーション
http://www.vstone.co.jp/top/robo-prostation/
ヴイストン
http://www.vstone.co.jp/
学校法人早稲田電子学園 東京テクノロジーコミュニケーション専門学校
http://www.tech.ac.jp/
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( デイビー日高 )
2008/02/12 00:09
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