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ロボットタウン実証実験公開
〜福岡市のアイランドシティで講演と実験


 1月25日、福岡市東区香椎浜にあるアイランドシティの中央公園において「ロボットタウン」の実証実験が行なわれた。主催は内閣府。共催は文部科学省、経済産業省、国土交通省、福岡市、ロボット産業振興会議。

 実は近くにある福岡ビジネス創造センターで、24日〜26日に行なわれた「ロボットビジネスセミナー」の中のイベントとして実施された(こちらは福岡ビジネス創造センターと福岡市の主催で、24日にはロボットタウンに関連した講演会、26日にもロボットの公開が行なわれた)。


アイランドシティ中央公園のモデル住宅 福岡ビジネス創造センター 実験期間中、福岡ビジネス創造センターでは、ロボットの展示も行なわれていた

ロボットタウンとは

 ロボットタウンは九州大学が中心となって、アイランドシティ中央公園にあるモデル住宅などを実験場として進められている研究である。

 基本的にどういうものかというと、「ロボットと人間双方が活動しやすい環境」を目指し、人が活動する環境の中にセンサーを埋め込み、そこから得られた情報をTMS(タウンマネジメントシステム)で一括管理し、そのTMSとロボットが交信する中でロボットを動かして行こうというものだ。

 今までのロボットは産業用ロボットなどに見られるように、ロボットの活動する空間と人間が活動する空間が切り離されていた。しかし、サービスロボットのように人と接触するためのロボットは、実際に人の活動する空間の中で動かなくてはならない。そのためにはロボット側に高性能センサーをいくつも搭載する必要があるが、これでは何台もロボットを使おうとすれば莫大な費用が必要となってくる。

 これに対してロボットタウンでは、ロボットではなく環境にセンサー(位置や物を特定するためのICタグ・カメラ・レーザーレンジセンサー)を設置し、その情報に基づいて活動するシステムとなっている。従ってシステムを構築してしまえば、ロボット自体の費用は少なくて済み、サービスのロボット実用化につながるものと期待されている。


(株)セックの長瀬雅之氏 セックはRTミドルウェアの開発でロボットタウンに協力している他、カメラなどのセンサーも担当している

24日の講演会

 講演会が行なわれたビジネス創造センターは、2007年6月に福岡市によって開設された施設で、福岡市における新しいビジネスの創造を目指している。

 24日の講演会では、ロボットタウンの研究についての講演の他に、福岡県の大学のロボット研究に対する取り組みや、ビジネス創造センターに関係した企業の取り組みが紹介された。

 どんな講演があったかは、以下に写真で紹介する。


九州大学の倉爪亮教授によるロボットタウンについての講演 ロボットタウンの概念図 ロボットタウン付近の3次元立体地図。3台のロボットからなる3次元レーザー計測システム(CPS-V)によってデータを収得して作成

九州システム情報技術研究所の木室義彦氏によるGIS(地理情報システム)についての講演 下の方の画像は去年行なわれた無人電動車椅子実験の動画 GISのデータをWEBで共有することにより、さまざまな状況での使用が可能になる

なんとSegwayに乗って登場してきたSegway事業部の中島英彰氏(公演中はさすがにSegwayから降りていた) Segwayを都市における個人の移動手段として使用できないかとの講演だった Segwayから派生した移動ロボットユニット

ロボットタウンとは直接関係はないが、新しくなっていた(株)スキューズのロボットハンド。親指の付け根にあった裂け目がなくなり、見た目は人間の手にかなり近づいている 寿司をつまむスキューズのロボットハンド。双腕ロボットの先に装着する計画も進んでいるそうである 九州大学の魚型ロボット。人工筋肉により尾びれを振って推進力を得ている

ロボットタウン実証実験

 ロボットタウン実証実験の会場は、アイランドシティ中央公園にあるモデル住宅とその周辺だ。このモデル住宅は、2005年にこの場所で開催された「全国都市緑化フェア・アイランド花どんたく」の展示モデルハウスとして作られたものだ。「アイランド花どんたく」終了後もそのまま残り、ロボットタウンの実験住宅として使用されることとなった。なお、もともとは汚泥から作られた建築材を使用した環境住宅で、ロボットを動かしたりするための設備は全くそなえていない。2階建てだが、エレベーターなどは最初からないため、ほとんど1階のみを使用しているようだ。

 2007年1月にはこのモデルハウスで、ICタグの埋め込まれたスロープに沿って無人の電動車椅子を動かす実験を行なっている。

 今回はモデル住宅の中と外で同時に実証実験を行なう様子が公開された。外では電動車椅子が女性をバス停まで送るデモを、部屋の中ではスマートパルと運搬ロボットがハンガーからトレーナーを持ってくるデモが行なわれた。

 電動車椅子実験では、住宅の近くにあるボタンを押すと、車庫(?)にいた車椅子が自分でやってきて人を乗せ、近くのバス停(という設定の場所)まで送り届けて、車椅子自身は元の車庫に戻るデモを披露した。

 室内ではスマートパルによる実験のデモ。被験者が手を挙げると、スマートパルが寄ってきて、被験者から「散歩に行くよ」の言葉を聞き、散歩用の着替えのトレーナーを持ってくるデモを披露した。

 スマートパルはトレーナーの種類について、色やメーカーを聞いて、それに適合するものをハンガーから掴み取り、運搬用のロボットに乗せてマスターの元まで運んでくる動作を行なった。

 今回の実験では人との関わりの中でロボットを動かす実験を行ない、それが将来可能であることを十分に示したように思う。しかし、プライバシーの保護(中にいる人は24時間システムによって監視されることになる)や多数のロボットを同時に安定して動かす確実性など、クリアすべき面も見られた。


実証実験の前に行なわれた25日の講演会 九州大学の長谷川勉教授による「ロボットタウン」についての講演 ロボットタウンの将来の予想図

実証実験の行なわれたモデル住宅。アイランドシティ中央公園の隅にある 無人電動車椅子の車庫(?) ボタンを押すと、電動車椅子がやってくる。道路に貼り付けられている四角い灰色のものは位置を知らせるICタグ

安全のため、車椅子は搭乗者が操縦していた バス停まで到着すると車椅子は戻っていく

車庫に自分で入っていく ポールの上にあるカメラでTMSは情報を取得し、電動車椅子に情報を伝えている

モデル住宅の中。安川電機のスマートパルと運搬ロボットの2台のロボットがいた 黒いポールにカメラが設置してあり、室内の情報を得ている。一番奥にある青いものもセンサー 「身体障害者の家でロボットが活動している」という設定。左手を上げるとスマートパルが寄って来るが、スマートパルのカメラではなく、室内のカメラでその動きを感知してスマートパルにその情報を伝えている

スマートパルは、人からの音声による指示で、どの服を持ってくるのか判断して動き出す。判断は「トレーナーかズボンか」→「色は白か黒か」→「2つあるブランドのうちどちらか」の分岐で判断している 運搬ロボットを引き連れて服を取りに行くスマートパル トレーナーをつかむスマートパル。ただし、スマートパル自身が「白のトレーナー」と判断しているわけではなく、あくまでもハンガーにつけられたICタグの情報を頼りにつかんでいる

運搬ロボットにトレーナーを引っ掛ける 運搬ロボットが人のところまでトレーナーを持っていく ハンガーにつけられたICタグ

実験中、スマートパルが止まってしまったこともあった。移動位置を間違えて、トレーナーのICタグの感知できない場所に移動し、そこで活動を停止。今回は家の外と中で同時にロボットを動かしていた影響があったのかもしれないとのこと モデル住宅を裏から。左側に福岡ビジネス創造センターが見える

カイトプレーンのデモ

 ロボットタウンとはあまり関係はないが、当日、熊本県の株式会社スカイリモートによる「カイトプレーン」の飛行デモも行なわれた。これは模型用飛行機とカイト(凧)を組み合わせ、それにカメラを積んだもので、飛行機やヘリコプターよりもはるかに手軽に、上空から情報を得ることが可能となっている。

 福岡ビジネス創造センターから少し離れた造成地で、飛行デモを行ない、カイトプレーンから撮影した動画を地上で見ることができた。

 災害時における上空からデータ収集などに使用できるものと期待されている。


カイトプレーンのデモ。カイトプレーンのシステム1式をワゴン車で運ぶことができる 離陸するカイトプレーン 空を舞うカイトプレーン。この機体はリチウムポリマー電池を電源としている

右はカイトプレーンの現在位置を示し、左はカイトプレーンから見た地上の様子 無事に戻ってきたカイトプレーン

 今回はさまざまな講演や実験が行なわれ、盛りだくさんな内容で、福岡市のロボットビジネスに取り組む強い姿勢を見ることができた。ただ、「ロボットタウン」実証実験に限っても、よかったのではないだろうかという気もする。


URL
  福岡ビジネス創造センター
  http://www.fbcc.jp/

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( 大林憲司 )
2008/02/07 00:06

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