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【 2009/04/17 】
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大阪「RT×IT×UTで可能になる未来生活」技術革新フェアレポート


 1月24日、25日に、大阪の産業創造館にて「産業クラスターが生み出す新サービス、RT×IT×UTで可能になる未来生活」をテーマに「技術革新フェア」が開催された。主催は、次世代ロボット産業創出拠点ロボットラボラトリー。

 企業が抱える課題や、商品・サービスの品質向上を図るために、先進技術を活用した「自動システム」を導入することは、あらゆる分野で期待されている。そのために活用される先進技術として、RT(Robotics Technology)、IT(Information Technology)、UT(Ubiquitous Technology)がある。

 今回のフェアは、RT・IT・UT技術を保有する企業や研究所、大学などによる展示・発表を通じ、新たなサービス・商品が創出されていくことを目指して開催した。

 開会にあたり、大阪市の平松邦夫市長の挨拶があり、ヴイストン株式会社の「Robovie-R ver.2」が、「大阪や日本人が元気になるように応援してください」と陳情し、市長と握手をした。


大阪の産業創造館 【動画】平松邦夫市長に挨拶するRobovie-R ver.2

 会場となった大阪産業創造館では3階~6階まで使い、技術シーズやビジネスモデルを紹介するフォーラムや、ロボット技術者・事業者育成のための公開講座、テクノロジー・イノベーションセミナーなどが行なわれた。

 本稿では、ロボットクラスター「RooBO」による技術展を紹介する。

 「RooBO」は、ロボット産業でのビジネス創出を目的として誕生した企業グループだ。大阪市が運営するロボットラボラトリーに事務局を置き、近畿経済産業局のクラスター企業ネットワークにも位置づけられている。

 大阪では、2011年にJR大阪駅北側にある旧国鉄の未処分地・梅田北ヤード地区に最新ロボットテクノロジーの「ロボシティ・コア」が誕生する予定になっている。大阪市はこの機会を活し、産業の育成と活性化をはかるため、2004年11月に財団法人大阪市都市型産業振興センターに「ロボットラボラトリー」を設立した。

 そうした中で、2005年ロボカップ大阪大会を契機に結成された「Team OSAKA」の実績と連携を核に、複数の企業が連携し、ロボット開発の効率化に取り組む組織として「RooBO」が設立された。要素技術を持つ企業群の横連携と、ロボットのネットワーク化をにらんだIT企業、人とのインターフェイスを追求するクリエイターなど、異分野が互いに連携し、次世代ロボットの企画・設計から生産まで総合的に対応できる開発プラットフォームを目指して活動している。現在、RooBOの参画企業は全国から320社を超えている。今回の技術展には、19社が出展した。

 1Fロビーでは、東洋理機工業株式会社が、産業用ロボットで一般家庭の調理器具を使ってたこ焼きを焼くデモンストレーションを行なった。

 ロボットは頭にねじりはちまきをして、たこ焼きプレートに均等に生地を入れ、しばらく待ってから、1つずつタコを入れていく。アタッチメントを串に持ち替えると、丸い円に沿って生地を離してから手首を返してたこ焼きを1/3だけ返す。丸いたこ焼きにするために、生地を追加し1/3ひっくり返すことを繰り返し、焼き上がると串に刺してトレーに移して、ソースを塗り青のりを振った。

 ロボットのハードには手を加えずに、センサーも使わずにティーチングでロボットにたこ焼きの焼き方を教えて、実演していた。この日はとても寒さが厳しく、目の前の自動ドアが開くたびに冷たい風が入る。そのため鉄板の温度を一定に保つことができず、上手に焼くのが難しかったという。

 これは、「たこ焼きロボット」として実用化を目指しているわけではなく、産業用ロボットがどれだけ緻密な動作をこなすことができるのか、一般の方にわかりやすく見せることが目的としている。

 確かに、工場内で行なっている作業をデモするより、来場者の目を惹いていた。RTは見せ方ひとつで注目度がアップできるという好例だと思う。


豆絞りのねじりハチマキで、一生懸命にたこ焼きを焼く姿が可愛い ハードには手を加えず、ティーチングでタコ焼きを焼く設定をしている 【動画】平松邦夫市長の前で腕前を披露

【動画】生地を流した後に、タコをひとつずつ摘んでいれていく。その後、串を持ち手首を捻りたこ焼きを返す 【動画】1/3返すと隙間に生地を追加し、ちゃんと丸いたこ焼きに成形していく

【動画】最後は、トレーに移しソースを塗って青のりを振りかけてできあがり たこ焼きロボットの横で、プル・ケロが声援を送っていた

 たこ焼き実演の間、隣に展示されたプル・ケロが「まだまだ新米ロボットなので、うまく焼けないかもしれません」とたこ焼きロボットの気持ちを代弁していた。

 このプル・ケロのベースになっているのは、EZ Order Robotのpulだ。

 EZ Order Robotは、主要機能がモジュール化されていて、不特定話者対応の音声認識や、漢字かな混じりのテキストスピーチ、録音した定型文書の再生などの基本機能を持っている。

 展示ブースに設置されたpulは、「お名前は?」と聞かれると答えたり、「歌って?」とリクエストされると、替え歌を歌ったりしていた。

 また、外部PCとの連携によるネットワークサービスのデモンストレーションでは、サイトの閲覧を指示すると、画面に表示されているテキストを読み上げた。


【動画】EZ Order Robot ver.pulの音声コミュニケーションデモンストレーション 【動画】pulはネットに接続して情報を読み上げることもできる pulに外装をつけてチラシポータルサイト「Shufoo!」のキャラクタロボットとした例

 他にも、コミュニケーションロボットとして高齢者向けの介護施設で、入居者とスタッフ、入居者同士のコミュニケーションを引き出すコミュニケーション支援型の福祉ロボット「コミー」を株式会社システクアカザワが披露した。

 「コミー」は、シンプルな形状の「和み系」ロボットだ。ユーザーと会話をし、前後や斜めに動き回り、音声認識とモーションでコミュニケーションをとる。

 サイズは280×280×230mm(幅×奥行き×高さ)、重量は4kg。測距センサー×2、焦電センサー×1、タッチセンサー×3を搭載している。電源は、AC100Vおよびバッテリ。2008年の夏頃に発売を予定しており、予価は30万円。介護施設向けにリース展開する。

 また、音声認識で家電製品のスイッチを制御するコミュニケーションロボット株式会社レイトロンの「Chapit」は、英語が認識できるようになっていた。

 Chapitは、1月7日~10日にラスベガスで開催された「国際コンシューマ・エレクトロニクス・ショー(CES)」に出展したという。CESは、世界最大の家電見本市だ。今年は、130カ国を超える国々から、家電製造業者・小売業者のみならず、ロボット工学やコンテンツ プロバイダ/クエイリターなど、あらゆる業種が一同に会した。

 Chapitは、米国のニュースにも取り上げられ、アナウンサーとの会話でコミュニケーションする様子が放映されたという。Chapitは、ネイティブのような発音でなくては、認識しない。私も試してみたが、私の発音では反応してくれなかった。Chapitが英会話の学習に使えるようになったら、嬉しいと思う。


コミーはパンダをモチーフにしてデザインしたロボット 【動画】話しかけると可愛い声で会話をしたり、近づいてきてくれる 【動画】Chapitの英会話認識デモンストレーション

 八洲電業株式会社は、次世代病院用世界最軽量車いすロボットを展示した。バッテリにリチウムイオンを採用し、バッテリ搭載時の車体重量を20kg以下にした。

 自律移動のためのシステムを組込、位置を認識するために磁気とレーザーを用いたセンサーを搭載している。病院内での使用を前提とし、不規則な障害物等を回避するための障害物検知センサー、ステレオカメラを搭載し、安全性の向上を目指している。近く病院で実証実験を行なう予定。

 変わったところでは、アクテック株式会社がロボット専用ケースを展示していた。アクテックは、アルミケース、アタッシュケースなどを1台からオーダーメイドで製作する会社だ。展示されたロボットケースのケース下部には、コントローラーや予備バッテリが収納できる。ロボットを収納したまま部屋に飾っておけるように、表面はポリカーボネートで透明になっている。

 RBやKHRが収納できるSサイズは1台25,000円。5個以上まとめてオーダーすれば、割引価格になるという。ホビーロボットユーザーが、仲間を募ってオーダーすればお得だろう。オリジナルロボット用は、ロボットの高さ、横幅、奥行きをFAXするだけで、見積が可能。


次世代病院用世界最軽量車いすロボット。さらなる軽量化を目指している Sサイズは、ケースの全長450mm。ロボット収納スペースは、250×138×360mm(幅×奥行き×高さ) フィグラ・アイは、カーペットでの掃除デモンストレーションを行なっていた

 大阪市は、国際経済交流促進事業の一環として、国内外の企業、研究開発機関等の誘致を目的に「IBPC(International Business Promotion Center)大阪・企業誘致センター」を設立し企業誘致を行なっている。今回は、その中から2社がブースを出していた。

 GOSTAI(ゴスタイ)は、ロボット開発のための汎用ソフトウェアプラットホーム「URBI(Universal Real-time Behavior Interface)」を発表した。

 「URBI」は、AIBOやホビーユースのロボット、車輪型ロボットだけでなく産業用ロボットまで、ハードとソフトの両面からロボットを制御する標準化技術だ。パリの人工知能に関する主要研究機関の学術研究によって開発された。URBIは既に各国の大学で利用されており、世界中に多数のユーザーが存在している。

 ロボカップの新競技「Standard Platform League」に使用されるAldebaran Naoのプログラミングも可能。

 筆者の目の前で、AIBOがボールを追いかけるモーションの作成を行なったが、たった3行のコードを書いただけだった。サイトからは、無料版URBIがダウンロードできる。

 「今後、RooBOでの活動を通じ、開発期間の短縮、開発コストの削減、製品性能のグレードアップを望む日本のロボットメーカーや研究室にURBIを普及させていきたい」とジャン・クリストフ・バイー社長は語る。


URBIのシミュレーション画面。AIBOも二足歩行ロボットも同じように、プログラミング可能。画面のロボットは、「Aldebaran Nao」 【動画】URBIで作成したAIBOのモーション。ソニーのAIBOダンスコンテストで優勝した

耳にセンサーをつけて呼吸するだけでストレスチェックができる
 Biocom Technologies,Incは、自律神経機能の量的測定と、データを元にストレス度の測定と改善の解析を行なうソフトなど、生理学的機器の開発と販売を行なっている。機器は遠隔操作での測定ができる為、ロボット機能との統合化を目指しているという。

 製品には、ストレス状態をモニターし、過剰なストレスで疲れている時にリラックスさせることを目的とした呼吸トレーナーや、心拍数の変動解析で自律神経の活動レベルの測定などを行なう心拍変動解析システムなどがある。

 ブースでは、耳にセンサーをつけて、モニター上に表示されるボールに合わせ1分間呼吸をすると生体年齢を表示する「Biological Age」のデモを行なっていた。

 アスリートが日常的にチェックし体調コントロールに利用したり、人間だけでなく動物にも使えるため、競走馬のストレスチェックなどにも応用できるという。

 会場では、RTや要素技術の展示もあった。

 EON Reality, Incは、超小型軽量のポータブルステレオプロジェクター「Portable VR INFITEC」を出展。設置調整なしで、リモコンだけで簡単にセットアップでき、専用スクリーンが不要で研究室や会議室の壁でも立体映像を表示できるのが特長。

 サイズは、229×178×83mm(同)。用途としては、展示会やデモ、会議など小規模なプレゼンテーションを想定しているという。


「Portable VR INFITEC」。迫力ある立体映像を手軽に投影できる 株式会社アドバンスト・メディアのAmi Voiceを活用した教育ツールの事例。クリックした部分のクイズが音声で出題される

 センサー類は、北陽電気株式会社が4月に発売予定の自律移動ロボット用の測域センサ「UHG-08LX」を出展。検出距離8m、検出角度270度、±30mmの精度を持つ。サイズは、86×83×83mm(同)、重量が330g。

 またブースでは、測域センサを2つ用いた入出カウントシステムを展示。認識率98%で、画像認識によるシステムより安定性が高いという。


4月発売予定の「UHG-08LX」(左)と、従来品 測域センサを用いた入出カウントシステムのデモンストレーション 株式会社シリコンセンシングシステムズジャパンは、静電容量型シリコンリングジャイロセンサ「CRG20」のデモを行なった。写真は、3軸加速度センサの例

URL
  ロボットラボラトリー
  http://www.robo-labo.jp/
  RooBO
  http://www.roobo.com/


( 三月兎 )
2008/02/05 15:55

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