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東6ホールの展示の様子
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東京消防庁は6日、東京ビッグサイトに隣接した東京港に面する埠頭をメイン会場に、毎年恒例となっている出初式を行なった。同時に、東京ビッグサイトの東6ホールで、多種多様な消防車を集めた展示会も実施。その中には、「デュアルファイター」と「ロボキュー」という消防庁が誇る消防ロボットの姿もあった。今回は展示のみで、出初式に参加してのデモンストレーションなどは行なわれていないが、それらの接写を行なったほか、ロボキューの操縦席や、デュアルファイターのコントローラーなども撮影させてもらえた。それらの様子をお届けする。
東京消防庁には、消防ロボットは現在複数のタイプが配備されている。今回展示された無人走行放水装備デュアルファイターと救出ロボット・ロボキューのほかにも、無人走行放水車「レインボーファイブ」、無人水中検査装置「ウォーターサーチ」、偵察ロボット「ファイヤーサーチ」、遠隔操作式消火装置「ジェットファイター」などがある。
デュアルファイターは2台で1組という構成が特徴で、導入が2007年3月という、消防庁では最新のロボットだ。完全に無人で遠隔操縦する放水車の「ドラゴン」と、人が搭乗しての運転と遠隔操縦の両方が可能な障害物除去車「セーバー」からなる。
ちなみにドラゴンは、昨年の「今年のロボット」大賞2007で、「公共・フロンティアロボット部門」を受賞。小松製作所、アイヴィス、アイデンビデオトロニクス、サイヴァース、マルマテクニカの5社の協力によって誕生した機体だ。
高画質・広画角の8眼マルチカメラによるパノラマ映像伝送や多チャンネル化による映像伝送機能を備え、毎分5,000リットルという消防士が持つ消火ノズルの10倍の消化能力を有する。当然、人では近づけない高熱にさらされる危険な場所でも活動が可能だ。
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無人放水車ドラゴン
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毎分5,000リットルを放水するノズル
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高画質・広画角のカメラを備え、操縦しやすい設計
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ドラゴンはクローラ方式で移動
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一方のセーバーは撮影した際はブルドーザーのようなバケット装備だったが、ブレーカー(先端が槍のようになっている掘削用アタッチメント)とグラップル(つかめるアタッチメント)に交換することも可能だ。
セーバーに運転席が用意されているのは、被災者を乗せた担架などを運ぶこともあるからで、その際、遠隔操縦だとモニターの視野などの面で安全性が十分でない可能性があることから、直接運転できるようにしてあるというわけだ。
セーバーの製造元は確認が取れなかったが、エンジンと後述の操縦装置が小松製作所製であることから、おそらくボディーに関しても小松製作所が製作しているものと思われる(遠隔操縦システムは、ドラゴン同様に、共同開発で他社が開発を行なっていると予想される)。
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障害物除去車セーバー
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先端の装備は変更可能
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足下は2ペダル
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経由タンクは25リットル
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そして両車を無人操縦する際のシステムだが、実は手で持てる大型のプロポ程度のコントローラで行なう。後ほど紹介する救助ロボットのロボキューの操縦システムほど大がかりなシステムではないのが特徴だ。そのほか、エンジンはディーゼルとなっている。なお災害現場への運搬は、専用の無人走行放水装備用資材搬送車に2台揃って積まれて行なわれる形だ。
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ドラゴン用のコントローラ。セーバーのコントローラも同じサイズだそうである
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コントローラ左側アップ
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コントローラ右側アップ
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配備先だが、現在は台東区、荒川区、足立区の3区を担当する第六消防方面本部のハイパーレスキュー(消防救助機動部隊)と、多摩地域の東側を担当する第八消防方面本部のハイパーレスキューとなっている。今後、追加配備も行なわれる予定だそうだ。出場(出動)は、これまで2回経験している。本来の担当地区ではないが、新宿区高田馬場のスーパーの火事でドラゴンが最前線で実際に放水して奮戦する様子がテレビにも映ったそうだ。スペックは以下の通り。
・ドラゴン
本体サイズ:1.6×3×2m(幅×奥行き×高さ)
総重量:2.5t
走行方式:クローラ
走行速度:時速4.6km/h
登坂角度:30°
エンジン:コマツ3D88E-5P(ディーゼル)
総排気量:1,642cc
最高出力:21.7kw-2,400rpm
・セーバー
本体サイズ:1.4×3.4×1.8m(同)
総重量:2t
走行方式:ホイールローダー
走行速度:時速15km/h
登坂角度:15°
エンジン:コマツ3078AE-3(ディーゼル)
総排気量:1,204cc
最高出力:16.2kw-2,450rpm
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ロボキュー(写真提供:東京消防庁)
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もう1台展示されていたロボットが、1993年に導入された救助ロボットのロボキューだ。現在、目黒区、世田谷区、渋谷区の3区を担当する第三消防方面本部に唯一配備されている。火災現場では濃煙、熱気、有毒ガスが発生するほか、二酸化炭素消火設備が作動した場合も消防隊員が災害現場に入れないため、そうした状況の際に残存する要救助者の救助活動を目的に造られたロボットだ。
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患者を収容しているところ
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2本のアーム
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アームの先端部分
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カメラ
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クローラ方式で移動
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濃煙内撮像装置や可燃性ガス測定装置、障害物検知装置などの各種センサーを装備しており、遠隔操作によって救助活動を行なえるのが特徴。2本のマニピュレータを備え、車体中央には要救助者を収容できるスペースもある。
操作方式は有線で、距離は100m。現場までは、専用の搬送車両で運び込まれ、搭載スペースの一部に操縦席が備えられている。操作は両手両足を駆使して行なう。出場(出動)は今のところないそうだ。スペックは以下の通り。
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ロボキューの操縦席は搬送車輌の荷台にある
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操縦席正面
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モニター類
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足下はペダル類が多い
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左側の操縦桿
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右側の操縦桿
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ロボキューの格納スペース
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・ロボキュー
本体サイズ:1.74×3.98×1.89m(同)
総重量:3.86t
走行方式:クローラ
走行速度:時速2.5km/h(通常)、時速4km/h(増速時)
登坂角度:26°
エンジン:いすゞ 4JBI(ディーゼル)
総排気量:2771cc
最高出力:43.73kw-2,500rpm
マニピュレータ:双碗型力反射制御方式
同最大作業半径:1.3m
同最大揚程:1.57m
同最大把持力:90kgf
同可搬重量:34kg
同自由度:7軸(6軸+グリップ)
■URL
東京消防庁
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/
消防ロボット
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/ts/soubi/robo/
デュアルファイター
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/ts/soubi/robo/03.htm
ロボキュー
http://www.tfd.metro.tokyo.jp/ts/soubi/robo/05.htm
「今年のロボット」大賞
http://www.robotaward.jp/
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( デイビー日高 )
2008/01/09 19:18
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