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秋葉原でユビキタス・コンピューティング実証実験が開始へ
〜端末は「ツクモロボット王国」前にも設置


 10月16日、秋葉原ダイビルにて、秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会による実証実験「実証2007」の記者発表会が行なわれた。「実証2007」とは、3つのユビキタス・コンピューティング関連プロジェクトの実証実験を、実際の秋葉原の街内で行なうもの。

 記者発表会では3つのプロジェクトの概要紹介が行なわれたあと、そのうちのひとつ、「秋葉原不思議交流空間プロジェクト(株式会社日立製作所(総務省委託研究UAAプロジェクト))」のカードと情報端末の公開・デモンストレーションが行なわれた。

 「秋葉原不思議交流空間プロジェクト」は19日(金)から実証実験が始まる。希望ユーザーにはミューチップ付きのカード「AKIBA Town Card」が無償配布され(先着1万名)、情報端末「ワンダーステーション」でインタラクションや情報探索を楽しめる。10月20日(土)、21日(日)の日程で行なわれる「アキバロボット運動会2007」の情報も提供される。


AKIBA Town Card。端末設置場所で配布される 裏面。ミューチップ付き 情報端末「ワンダーステーション」

 はじめに秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会会長で東京大学大学院情報理工学系研究科教授の廣瀬通孝氏は、「今日の情報技術は社会と一緒になり具体的に社会に導入して発展させていくことで学べることが多い。そのなかにこそ技術の本質がある。だから実証実験の役割は非常に大きい。秋葉原はコンピュータを街中で売るという、いわば壮大な実験を行なっていた。今は新しい技術の実証実験が始まろうとしている。これは秋葉原の知の歴史を活かした実験だといえる」と挨拶した。

 今回の実証実験は総務省の委託研究の成果発表でもある。総務省情報通信政策局技術政策課 研究推進室 室長の田原康生氏は、「ユビキタスネットワーク技術が地域の人にどのように役立つのか。それも重要な観点。地域の活性化に今回の実証実験が役立てばうれしい」と述べた。


秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会会長、東京大学大学院情報理工学系研究科教授 廣瀬通孝氏 総務省情報通信政策局技術政策課 研究推進室 室長 田原康生氏

 住民代表の一人として挨拶に立った万世橋地区町会連合会会長の小倉敞士(たかし)氏は、「いま秋葉原で有名なのはオタクとメイドさんばかり。新しい技術の実証実験は歓迎しているが、とにかく仕組みがよく分からない。何度も聞いてなんとなく分かってきた」と率直な感想と期待を語った。

 秋葉原電気街振興会会長で株式会社オノデン代表取締役社長の小野一志氏は、「海外から秋葉原に来る人の目的はショッピング。ミューチップを使った試み等が免税店の処理簡易化に役立てばありがたい」と実用性に対する期待を述べたあと、こう続けた。「優れた技術でも開発途上で消えていくことが少なくないと聞いている。ダイナミックで先端的な秋葉原で、技術を作った人と、わたしたち使う側が実際に店頭で使うことで、製品に活かされていくようにしていきたい。しかしここは実験室ではない。楽しいものでなければ残らない。楽しみながら皆さんの意見をフィードバックしていきたい。家電業界の競争は厳しい。いまはマチVSマチの対決になっている。ぜひ秋葉原に足を運んでもらいたい」。


万世橋地区町会連合会会長 小倉敞士氏 秋葉原電気街振興会会長、株式会社オノデン代表取締役社長 小野一志氏

秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会代表理事 東大国際・産学共同研究センター客員教授 妹尾堅一郎氏
 秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会代表理事で東大国際・産学共同研究センター客員教授の妹尾堅一郎氏は、協議会と実証実験に対する取り組みの背景について、以下のように述べた。

 小野氏が触れたように、技術は実際に世に出て役に立つようになれる前に絶えてしまうことも少なくない。問題は4つあるという。一つは、ナレッジがテクノロジーにならない。次に、テクノロジーになるけれども、それが製品やサービスに実装できない。第三に、商品にはなるけど、それが事業・ビジネスにならない。そして第四が、事業が成功できない。技術が顧客に役に立つかどうか、そのテストベッドが必要だ。そこで、推進協議会が立ち上がったという。

 実証実験は、二つの側面から考えたという。一つ目はネガティブチェック。実証実験そのものでプライバシーそのほかのリスクが生じたり、商店街の邪魔をしないように配慮をした。もう一つはポジティブチェック。どうせやるなら楽しいものでなければならない。できるだけユーザーに楽しんでもらうことを考えた。

 また、「実証フィールド構想を考えたときから総務省には助けられている。最初に総務省のプロジェクトを招けたことは嬉しい」と述べた。今回の3つの実験以外にも既に次の実証実験の応募も来ているという。

 最後に妹尾氏は「一点、強調したい」と前置きし、以下のように語った。「いま日本はイノベーションを重視している。秋葉原はユーザードリブンイノベーションができる町。技術者が提供したものに対し、ユーザーが使い方を考えていける。それができるのはアキバしかない。秋葉原はオタクの街だがテクノロジーの街でもある。日本発のモデルが生まれていけばいいなと思っている」。

 このあと、各企業や大学などプロジェクトの直接の担当者から、各々のプロジェクトについて解説が行なわれた。


株式会社日立製作所 研究アライアンス室 担当部長 新谷洋一氏
 「秋葉原不思議交流空間プロジェクト」は総務省委託研究である「ユビキタスネットワーク認証・エージェント技術(UAAプロジェクト)」の研究成果を利用して株式会社日立製作所が実施するもの。ネット上の情報とリアルな街の情報を交差させて、町の魅力を再発見しようというコンセプトの実験である。秋葉原にはさまざまな目的を持って多くのひとが訪問する。目的物はどこにあるのか。そのような質問に答えることを目的としたサービスだ。

 サービスには「誘客」、「結客」、「遊客」の3つの狙いがあるという。まず、商店が、自分のおすすめを来訪者向けにコンテンツ登録する。来訪者のうち希望者にはアキバタウンカードが無料配布される。ミューチップが埋め込まれたそのカードを情報端末「ワンダーステーション」に近づけて来訪者がサービスアクセスすると、キャラクターを使ったインターフェイスなどの楽しくかつ簡便なやりかたで提示する。キャラクターとはゲームなどもでき、サービスを使ううちに、「体験ポイント」が蓄積され、表示コンテンツも変化する。来訪ユーザーは感想やおすすめを電子掲示板「アキバワンダーボード」に口コミ登録する。情報は「ワンダーステーション」端末にも配信・表示される。

 技術的にはUAAプロジェクトで開発された認証制御エージェント、行動推薦エージェント、この2つを中心に実証する。システムは総務省プロジェクトで開発された共通プラットフォームに端末を繋ぎ、サービス・コンテンツを載せる形で構成されている。

 実験開始は19日(金)から。端末は全部で6箇所、秋葉原内の屋外店頭に設置される。うち1台はロボット専門ショップ「ツクモロボット王国」が3Fにあるツクモ本店前に設置される予定だ。カードは端末設置場所でもらえるという。なお端末の詳細な操作方法などは特に説明せず、さわってもらうことで学んでもらう予定だという。


「秋葉原不思議交流空間プロジェクト」サービスイメージ 実施体制・関係者一覧 認証制御と行動推薦、それぞれのエージェントの実証実験が目的

システム構成 秋葉原内の6箇所に端末「ワンダーステーション」を設置

端末にカードをかざして認証したあと、さまざまな操作で遊ぶ 口コミを書き込めるサイト・ワンダーボードを設置する

NTTコミュニケーションズ 木原民雄氏
 「Compass Markプロジェクト(NTTコミュニケーションズ株式会社)」は、4つの数字が印刷された床面標識を使って場所にIDを付与。携帯電話を使って情報提供するシステムだ。印刷された4つの数字を順番に入力させることで、歩行者の位置と進行方向を検知する。

 今回の実験のポイントは「UGID(User Generated ID)」。これまでも実証実験を行なっていたが、これまでの実験では先にマークが張られていた。だが今回の実証実験では、ユーザー自身にマークを貼っていってもらう。ユーザーは街を散策しながら、興味を持ったポイントでコンテンツを日記のような形で記述・登録しながらマークを貼っていく。ほかのユーザーはそれを追体験できるという。この実験は慶應義塾大学環境情報学部との共同で、実証実験開始は11月下旬を予定している。


Compass Markの概要 使い方 ユーザーが自分でマークを貼れる点がポイント

慶應義塾大学徳田研究室 岩井将行氏(右)と東京大学森川研究室 森戸貴(もりと・たかし) 氏(左)
 「Live! Commerce Akibaプロジェクト(総務省委託研究Ubilaプロジェクト(慶應義塾大学徳田研究室、東京大学森川研究室))」はオノデン本店や海洋堂そのほかの店舗で行なう実験で、1円玉くらいの大きさの小型無線センサーノード「uPart」を使って客が商品にさわっている状態を振動センサー検知し、POSデータに上がる前、現在、この瞬間の秋葉原での商店の人気商品情報を集めるもの。

 秋葉原のトレンドをつかみ、いまここでしか買えない面白いモノの情報を得ることができるという。また多文化・多言語の経済活動をユビキタス技術でサポートすることも目的としている。

 売り場としては顧客の潜在ニーズを把握できるし、また比較された商品などをリアルタイムに把握することができる。ユーザーに対しては、水の波紋のようなインターフェイスを使って、過去24時間に人気があった商品が分かるようになっているという。

 いっぽう東京大学は、「多言語音声ガイドアクチュエータ」を使って、商品の音声ガイダンスを提供する。小型無線ノード「PAVENET」モジュールの実証実験をかねている。顧客にはカードが貸し出され、気になる商品の前のカードリーダにカードをかざすと、音声ガイダンスが流れる。


慶応義塾大学の実験 ユーザーには過去24時間のデータが提示される

東京大学の小型無線ノード「PAVENET」モジュール 実験の模式図

 「秋葉原不思議交流空間プロジェクト」情報端末の公開・デモンストレーションは端末設置場所の一つでもある秋葉原UDXで行なわれた。カードを端末にかざすと、モリナガ・ヨウ氏デザインのキャラクターが現れる。このキャラクターはメイドやロボットなどの種類があり、それはカードのIDで決定される。ユーザーはキャラクターを使ったゲームをプレイしたり、提示される情報を閲覧したりできる。

 端末は、敢えて情報を積極的に探しやすくはしなかったという。むしろ、普段は接することのない情報をユーザーに積極的に提示し、ユーザーを「誘惑する」ことを目標としたプッシュ端末としているそうだ。

 端末には3種類のディスプレイが設置されている。それぞれ、テキスト、簡単な画像、そしてユーザーが近くに寄って閲覧する画像を見るためのものだ。内部には2台のPCがおさめられており、手元にあるRFIDリーダー上にカードを置くことで認識させる。

 なおカードの読み取りは、人間が正面に立ったことを認識したあとで行なわれるように設定されているため、まず人感センサーの設置された真正面に立って、それからカードを置くという作業が必要になる。また、カードの読み取り感度はエラーを防ぐためにかなり低く設定されており、今回のデモではときどき反応しないときもあった。

 横につけられた耳のような部分は柔らかい素材でできており、中にはピエゾ素子が入っている。この耳を使ってゲーム等をするのだが、氏は、本当はもっとふにゃふにゃの柔らかいものにしたかったという。またディスプレイ横にあるは赤外線を使った距離センサーで、こちらに手をかざすことでも端末画面の操作ができる。

 この端末は有線でインターネットに接続されている。研究室内の試作機のなかには無線LANと太陽電池で動くようにしたものもあるそうだが、今回無線LANを使わなかったのは、秋葉原のショップの多くは既に多くの無線を活用しており、それに障害を引き起こしてしまう危険がありそうなものは設置できないと判断されたからだそうだ。


3つのディスプレイを持ったワンダーステーション カードをかざして概要を説明する大阪大学サイバーメディアセンター下條教授 除幕式が行なわれた

アキバロボット運動会の情報も 内部には2台のPCが収められているとのこと 横に張り出たオレンジの部分は柔らかい。ディスプレイ横の切れ込みは距離センサー

パタパタフライゲームなどができる 【動画】端末操作の様子 ネット上の掲示板「秋葉原不思議交流空間ワンダーボード」と連動

URL
  秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会
  http://www.akibafield.jp/
  秋葉原不思議交流空間ワンダーボード
  http://akiba-wonder.jp/

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秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会が設立(2007/02/05)


( 森山和道 )
2007/10/17 00:05

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