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第6回KONDO CUPが開催
~初優勝あり、リベンジありの戦い


 2007年8月26日、東京・秋葉原のKONDO ROBOSPOTにて、第6回となるKONDO CUPが開催された。主催する近藤科学の製品であるKHRシリーズに限定された「KHRクラス」に3チーム、近藤科学製のサーボモーターを全身に使用していることが条件となる「オープンクラス」に6チームが集まり、各クラスリーグ戦で優勝を争った。


“王者”が去ったKHRクラスの次の覇者は……

 前回、クラス5連覇を達成したRFCバンブーブリッジは、今回からオープンクラスに移り、どのチームが新王者となるのかに注目が集まったKHRクラス。

 今回は「ミステイクス」「日本工学院八王子専門学校」「モンスターズ(個人参加チーム)」の3チームによるリーグ戦でチャンピオンが決まる、1リーグ制での開催となった。つまり、勝てば勝点3で優勝にリーチ、負けた時点で勝点0なので、最高でもプレーオフになるという、厳しい戦いになる。

 リーグ緒戦は「ミステイクス」vs「モンスターズ」。試合は双方が一進一退する中、「ミステイクス」が虎の子の1点を守りきり、1-0で勝利。続く2試合目で「日本工学院八王子専門学校」と対戦した「ミステイクス」は、ここも1-0という最少得点差で勝ち、勝点6で早々に優勝を決めた。

 勝ったほうが2位となる「日本工学院八王子専門学校」vs「モンスターズ」の対戦は、激しいものになった。なにしろ2位は表彰があるが、3位は何もないので、ここで勝つか勝たないかは雲泥の差なのである。点の取り合いとなった前後半は、最終的に2-2のドロー。決着をつけるために急遽PK戦が行なわれた。だが、このPK戦はお互いに外しあいや好セーブが続き、6本目までお互いにノーゴール。最終的には「日本工学院八王子専門学校」が7本目をゴール左隅に決めて、2位を獲得した。

 優勝した「ミステイクス」はこれが初優勝だが、KHR 3rdアニバーサリーでは優勝した「RFCバンブーブリッジ」に唯一引き分け、ROBO-ONE CUPでも予選を突破した実績があるチーム。にもかかわらず、オープンクラスではなく、KHRクラスに参戦した理由について、メンバーの一人イガア氏は試合前に「まずはKHRクラスで優勝してからじゃないと」と語っていた。その堅実さが呼び込んだ優勝だったのではないだろうか。

 しかし、他の2チームも差はわずか。ひと波乱あれば順位が入れ替わる可能性もある。今後のKHRクラスも見逃せないものになりそうだ。


「ミステイクス」vs「モンスターズ」。KHRクラスはチーム分けがわかりにくいので、ぜひチーム統一カラーかビブスが欲しいところ 【動画】「日本工学院八王子専門学校」vs「モンスターズ」。クリアのはずが足元にパスが来て、タイミングよくシュート。ポストに嫌われるものの、オーバーラップして来たシルバーの機体が詰めて押し込む

【動画】「日本工学院八王子専門学校」vs「ミステイクス」 【動画】攻め込まれても落ち着いた守りで失点しなかった「ミステイクス」 【動画】2位決定戦のPKで、決勝ゴールを決める「日本工学院八王子専門学校」。バッテリー残量を気にしながらの戦いだった

どこを向いても強豪だらけのオープンクラス

 毎回人気が高いオープンクラスだが、今回は参加申し込み受付から10分強で参加6チームの枠が埋まってしまうという事態になった。会場のキャパシティの関係で、これ以上参加チームを増やすのは難しいということなので、ROBOSPOTで開催されるオープンクラスは狭き門になってしまうようだ。

 予選は3チームずつのリーグ戦。抽選の結果、A組が「五川会(個人参加チーム)」「RFCバンブーブリッジ」「四川会」、B組が「トリニティ」「ロボット野郎Aチーム」「ロボファイターズF」となった。

 KHRクラスを5連覇し、オープンクラスに移行したことで注目を集めた「RFCバンブーブリッジ」は、Aリーグのオープニングゲームで「五川会」と対戦。

 「RFCバンブーブリッジ」は3人全員で相手陣内に押し込んで試合を進める中、後半に入ってカウンターから無人のゴールに流し込まれて0-1に。さすがのバンブーもここまでか、と思われた後半終了間際、キックインから「五川会」のゴールに押し込み、1-1で何とか引き分ける。

 一方、Bリーグでは両チームがオープンクラスで優勝経験がある「トリニティ」と「ロボット野郎Aチーム」の顔合わせから始まった。どちらもスローインに自信がある機体がいるため、ゴール近くまで攻め込んでも、ラインアウトしてしまうと、一気に投げ返されてピンチに陥る場面もあるという、手に汗握る展開となった。試合はクロムキッド(トリニティ)が放ったミドルシュートによる1点が決勝点となり、「トリニティ」の勝利になった。

 A組の2戦目では先ほど引き分けた「五川会」が「四川会」と対戦。個人参加チームだった「五川会」は1試合こなして連携も取れてきたのか、前後半合わせて3点をもぎ取って勝利し、決勝進出に大きく前進する。

 これで決勝進出のためには「四川会」に3点差以上をつけて勝たなければならなくなった「RFCバンブーブリッジ」は、「四川会」戦で初戦よりもさらに攻撃的に展開。いいパスは出るものの、最後の詰めが甘く点を奪えないうちにカウンターを喰らい、連続失点。逆に0-4の敗戦を喫し、予選最下位で敗退することになった。

 Bリーグでは緒戦を取った「トリニティ」が、大阪から遠征してきた「ロボファイターズF」と対戦。エース機のクロムキッドがキックインからダイレクトにゴールを決めたり、スローインで一気に相手陣内にボールを送ってアシストを記録するなどの大活躍を見せて3-0という大差をつけて文句なしの決勝進出となった。


【動画】「RFCバンブーブリッジ」vs「五川会」の後半 「トリニティ」vs「ロボット野郎Aチーム」。両チームとも機体のスピードが速く、カメラで追いきれない場面もあった

【動画】「トリニティ」vs「ロボファイターズF」。クロムキッドが自陣ゴール近くから一気に相手のペナルティエリアまでスロー。アシストになる 【動画】「五川会」vs「四川会」。著名なロボットが並ぶ「四川会」陣内でボールを支配する「五川会」。この動画の最後ではガルーがキーパーチャージを取られている

 オープンクラスの決勝戦は優勝経験がある「トリニティ」が本領を発揮し、ゴール前のこぼれ球をLancer(トリニティ)が無理やり押し込んで先制点を奪う。「五川会」にはクロムキッドの兄弟機、ガルー(そして操縦者はクロムキッドの操縦者・くぱぱ氏の奥さん、くまま氏)がいるが、なかなか押し返すことができず、防戦一方。そして今度はクロムキッドのスローインがそのガルーの手に当たり、ゴールへ。スローインが直接ゴールに入った場合はノーゴールなのだが、他の機体に触れてから入ればゴールと認められるルールのため、これが2点目となる。

 前半で2点の差が付いたことで楽になったのか、「トリニティ」は後半も優勢に試合を進める。ガルーがカウンターでロングシュートを打っても、キーパーのrsv3(トリニティ)がしっかりとケアし、「五川会」は得点を奪うことができない。

 結局そのまま、2-0のスコアで「トリニティ」が優勝。“オープン個人”名義で優勝した第3回以来、2回目の優勝を飾った。

 実はオープンクラス6チームのうち4チームは「ROBO-ONE Special CUP」の決勝トーナメントに進出しており、個人参加チーム以外では唯一「ROBO-ONE Special CUP」の決勝の舞台を踏んでいなかったのが「トリニティ」だった。予選競技でのミスが響いた結果だったのだが、サッカーでは決して遅れを取らないというリベンジの心が産んだ優勝だろう。


【動画】「五川会」vs「トリニティ」、クロムキッドがスローインから2点目を決める 【動画】「五川会」ガルーがロングシュートを放つも、rsv3が好セーブする場面

フィールドの拡大も検討?

 具体的に計測したわけではないので、あくまで筆者の印象になるのだが、特にオープンクラスでは、前回までのKONDO CUPと今回で、参加機体の能力の伸びが大きかったように思える。それは、予選競技に高いハードルを設定した「ROBO-ONE Special CUP」の影響であることは間違いないだろう。

 例えばスローインに対応した機体の威力だ。もちろん過去にも「カイザー・オールスターズ」などがゴールスローを実現していたが、「威力を発揮する」と言うほどではなく、あくまで「らしさ」の延長線上にあった。しかし、今回はクロムキッドがアシストや得点を生み出したように、ゴールスローやスローインなど、ボールを遠くに投げ込める機体が試合展開に大きく影響するようになっていた。オープンクラスはほとんどのチームにしっかりとしたスローインができる機体が居た。これは、「ROBO-ONE Special CUP」の予選で「1m先の的に当てる」という“ボール投げ”が導入されたことと無縁ではないはずだ。

 その結果、一気に攻守が交代するような場面もあり、よりエキサイティングな試合が見られるようになったといえるだろう。

 一方、強くなったキック力なども含め、ラインアウトが増えたり、大型の機体が動き回るにはいまいちフィールドが狭く感じられる、という難点も目立ち始めた。「ロボファイターズF」のヨゴローザV製作者であるdauto氏いわく、「あのフィールドだと加速したらすぐ減速するような感じ。試合中に全速力なんか、なかなか出ません」という裏話も。

 試合後、主催である近藤科学株式会社 代表取締役・近藤博敏氏は「コレぐらい動けるようになってくると、今のコートでは狭いかもしれない」と、運営側でも考えているという趣旨のコメントをくれた。しかし、設置場所の問題などを考えると現在の大きさ(270cm×450cm)から大幅に拡大することは、現実問題として難しいという。ただ、このままでいいとも思っておらず、近い将来には拡大の可能性があるとのことだった。

 次回のKONDO CUPは10月20日~21日に開催される「アキバロボット運動会2007」内にて行なわれる予定。また、次々回(第8回)は、上野の国立科学博物館にて開催される「大ロボット博」(2007年10月23日~2008年1月27日)内での開催が決まっているという。今後の情報はKONDO ROBOSPOTの公式サイトや近藤科学のサイトなどで告知されていくので、チェックしていこう。


KHRクラス優勝「ミステイクス」チーム オープンクラス優勝「トリニティ」チーム この日は見学者の近藤科学(株)のデモンストレーションコーナーが2回設けられ、誰でも同社の二足歩行ロボット「KHR-2HV」を体験操縦することができた

URL
  アキバロボット運動会2007
  http://www.akibatechnopark.jp/project/robot2007.html
  大ロボット博
  http://www.robo2007.jp/

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「KHR 3rdアニバーサリー」開催(2007/06/05)


( 梓みきお )
2007/09/04 00:41

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