8月20日、大阪電気通信大学四條畷キャンパスにおいて、ET(Embedded Technology:組み込みコンピュータ技術)とロボットをテーマとした競技・体験・展示の複合イベント「ET×ロボット2007 パート2」が開催された。主催はET×ロボット2007実行委員会、共催は大阪電気通信大学。当日は平日にも関わらず約1,000人の親子連れが訪れた。
● 「みんなのロボット」展示とデモンストレーション
「みんなのロボット」をテーマにしたパート2イベントは、ロボット工作教室、各種ロボット競技のデモンストレーションと体験操縦のほか、組込コンピュータを搭載した模型自動車やロボットの展示実演が行なわれた。
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IPロボ「天才くん」は、前後にカメラを積んだ模型自動車からIP通信で送られてくるリアルな映像を見ながら、遠隔操作できる(サンリツオートメイション株式会社)
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二足歩行ロボット操縦体験コーナーは、1日中子ども達に人気だった(大阪電気通信大学 自由工房、日本遠隔制御株式会社)
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ロボカップサッカー小型リーグは、子ども達が楽しめるように操縦体験できるようになっていた(大阪電気通信大学 メディアコンピュータシステム学科)
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コミュニケーションロボット「Chapit」のぬいぐるみバージョン。話かけると返事をし、「テレビつけて」とお願いすると、Chapitがテレビをつけてくれる(株式会社レイトロン)
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VariBoデザインバージョンが公開されていた(ビー・エル・オートテック株式会社)
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ロボット工作教室では、市販キットに手作りの外装をつけて恐竜ロボットを作った
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また、今年春から大阪電気通信大学メディアコンピュータシステム学科客員教授を務める高橋智隆氏が「これからのロボット……ロボットの作り方、ロボットの未来」について、chroinoやFTを実演を交えながら講演を行なった。
江戸からくり人形復元師の峰崎十五師の講演では、復元不可能といわれながら5年がかりで完成した「弓曳童子」実演のほか、ぜんまいや砂、水、水銀などさまざまな動力源で動くからくり人形を次々と舞台に登場させ解説をした。
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高橋智隆氏(大阪電気通信大学メディアコンピュータシステム学科客員教授)
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江戸からくり人形復元師の峰崎十五師
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復元に5年かかったという「弓曳童子」。矢をとり弓に番えた後、一度顔を伏せてから的を見据えて矢を放つからくり人形。矢が的に命中すると、客席から歓声がおきた
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● WRO Japan
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ロボットとプログラムの最中調整を行う参加者達(高校の部)
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同日、同会場でWRO(ワールドロボットオリンピアード)Japan 2007 関西地区予選会が開催された。主催はWRO JAPAN 関西地区予選実行委員会。
WROは、世界中の子どもたちが参加するロボット競技会である。参加者は、事前の講習に参加して、レゴブロックの「マインドストーム」でロボットを製作する。競技会は、小学生、中学生、高校生の部に分かれている。
小学生の部は、ロボットがスタートエリアから迷路を通過して、ゴールエリアを目指すタイムを競う。ゴール地点に立っている棒を倒して風船を割った場合は、ボーナス得点が追加される。
小学生の部で優勝したのは、個人参加の「サイドスター(日高拓美さん:小5、楠大介さん:小5)」。記録は10秒09。2人は今回がロボット大会に初参加だという。1回目の走行では、ロボットがうまく走らずにリタイアだった。ロボットの前面にあるタッチセンサーを押すパーツの強度が足りなかったためで、調整して挑んだ2回目の記録で優勝した。
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スタート前に念入りに調整をして、記録に挑んだ。「サイドスター(日高拓美さん:小5、楠大介さん:小5)」
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小学生の部で優勝した「サイドスター」
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中学生の部は、小学生と同じコースを多足歩行ロボットでクリアする。
中学生の部は1位~4位を奈良教育大学附属中学校が独占していた。優勝した「ネフェルティティ(松田脩平さん)」は、4足歩行ロボットだ。学校でみんなと練習していた時は、あまり速く走れなかったという。最初、センサーを使って迷路を走っていたが、センサーの反応時間がロスタイムになるため、壁に足がぶつかると方向転換する仕組みを考えたらうまく行き、優勝できたという。
高校生の部は、ロボットがコース途中にある缶をキャッチして、ゴールエリアまで運ぶタイムを競う。途中の折り返し地点をスイッチバックで進まなくてはならないため、クリアするためには複雑なプログラムが必要となる。そのため、クリアできたロボットは、3台だけであった。
優勝した大阪府立東住吉総合高等学校3年の「3くみ。(澤中佳波さん、宮岡麻亜紗さん)」は、今回初めてロボットに挑戦したという。講習会後に1カ月間で10回くらいロボットを作り直し、ミッションをクリアする方法を考えた。最初は、走行距離を時間で制御していたが、バッテリ残量によって一定時間内に走行する距離が違うため、うまくできなかったという。そこでセンサー制御でラインをトレースして走るようにした。スイッチバックはセンサー制御が難しいため、時間制御している。2種類の制御により、見事に優勝を獲得した。
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高校の部で優勝した大阪府立東住吉総合高等学校3年の「3くみ。(澤中佳波さん、宮岡麻亜紗さん)」
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スイッチバックが最大の難関。20チーム中、ミッションクリアはわずか3チームだった
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関西地区予選会で優秀な成績を収めたチームは、9月9日に東京で開催される国内決勝の「WRO Japan 決勝大会」へ出場できる。WRO Japan へ進出するのは、以下のチーム。同一学校からは1チームのみ決勝大会へ進めるため、中学の部は5位の「東山Robo01」が選出された。
【小学の部】
・サイド・スター(奈良市立鼓阪北小学校)
・ファイタ-ズ・ゼロ(奈良教育大学附属小学校)
【中学の部】
・ネフェルニティティ(奈良教育大学附属中学校)
・東山Robo01(東山学園 東山中学校)
【高校の部】
・3くみ。(大阪府立東住吉総合高等学校)
・布施工校 情報処理部(大阪府立布施工科高等学校)
■URL
ET×ロボット2007
http://www.et-x-robot.jp/
■ 関連記事
・ 「ET×ロボット2007 パート1」レポート(2007/06/14)
( 三月兎 )
2007/08/27 00:15
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