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「第二回ロボット・バトルin大同工業大学」レポート
~優勝者に第12回ROBO-ONE決勝出場権授与


 8月4日、愛知県名古屋市の大同工業大学にて、二足歩行ロボット競技会「第二回ロボット・バトルin大同工業大学」が開催された。主催は大同工業大学ロボティクス学科。

 大会優勝者に授与される「第12回ROBO-ONE 決勝トーナメント」(9月15日~16日に四国高松で開催)への出場権を目指して、全国各地から24体のロボットがエントリーした。


ロボット・バトルin大同工業大学とは

 大同工業大学では、2006年4月にロボティクス科が開講した記念して二足歩行ロボットのバトル大会を開催した。それが好評であったことと、ROBO-ONEが認定大会を募集していたことがあり、二足歩行ロボットの中部地区大会という位置づけで競技会を継続することになった。

 大会運営は、同校のロボット研究部の学生が主体。運営委員の青木氏は、「オリジナルの予選競技を考え、テストプレイを繰り返してポイントの算出など試行錯誤した」という。学生が自発的にこうした取り組みをすることは、「ロボットにどのようなタスクを与えるか」という問題を考える機会にもなっていることだろう。

 その予選は、「変形3m走」、「チーム de 箱押し」、「ロボビリヤード」の3種目で行なわれた。競技毎にGP(ゲームポイント)が加算され、予選3種目のGP合計上位8体が、バトルの決勝トーナメントに進出する。

 面白かったロボットや取り組みを取り上げながら、各競技の紹介をしよう。


変形3m走

 予選競技第1種目は「変形3m走」だ。3mのコース内に回転エリアが設けられており、ロボットはそこで180度以上旋回しなくてはならない。例えば、後ろ歩きでスタートし、回転エリアで旋回した後に前進でゴールしてもよい。ただし、横歩きは禁止されている。2体ずつレースを行ない、妨害は禁止されている。競技時間1分30秒以内に完走すると1GP、勝利したロボットに1GPが与えられる。全レース終了後、1位~10位に順位GPまでが与えられる。1位は順位GP5ポイントが加算され、他の競技と比較してGP比重が大きいため、決勝進出が掛かる重要な競技である。

 この競技でダントツに早かったのが、YOGOROZA(チーム:だうと)だった。動画を見ると判るが、一緒に走ったクロムキッド(チーム:くぱぱ)も、前半の直線はほぼ同じスピードで走っている。中央の回転で差がついた。


【動画】奥のロボットがYOGOROZA(チーム:だうと)記録は9秒16。一緒に走ったクロムキッド(チーム:くぱぱ)も14秒03で3位の好タイム レグホーン(チーム:NAKAYAN)とコーネリアス(チーム:HIDE)のレースには、会場の子ども達から「ニワトリ~」「猿だー」と声援が飛んでいた

 今回のコースは床に6枚の板を設置しているため、水平が出ていないうえ、板の境目には微妙な段差もある。ロボットが歩行するには厳しい条件といえる。だがそのコースで、20体のロボットが完走した。1~2年前までは、ロボットが二足歩行するためには水平が要求されていたことを思うと、技術が急速に進んでいることがわかる。


チームDE箱押し

 「チームDE箱押し」は3対3のロボットが、3分間でリング上に置かれた3つの箱を押し合い、相手側に押し込んだ数で勝敗を決める競技だ。手足のどこを使って箱を押しても構わない。ロボットが落ちても復帰できるが、リングエンドから落ちた箱は復帰できない。競技終了時点で、相手サイドにある箱の数が各ロボットのGPとなる。チームは変形3m走の順位により振り分けられた。


ロボットが自分の身長とほぼ同じサイズの箱を押し合っている姿は、ユーモラスで見ていて面白い 【動画】「チームDE箱押し」は同大会で唯一のチーム戦。このように味方のロボットが協力して、箱を押し出す場面もあった

ロボビリヤード

 「ロボビリヤード」は、2体のロボットがリング上にある5つのボールを、相手側にシュートする競技。この競技に限っては、相手への妨害が許可されている。2分間の競技終了時に、シュートを決めたボールの数がGPとなる。

 ここで予選2競技の途中成績が発表された。変形3m走のポイントでGP差が開くことが予想されていたのだが、意外な接戦となっていた。1位にYOGOROZAとガルー(チーム:くまま)が8GPで並び、予選通過の8位には、竜鬼II(チーム:AZM LAB)、マジンガア、か~る(チーム:道楽)、KRAFTWERK(チーム:ワールドコミュニケーションズロボット事業部)の4体が3GP、2GPのロボットも4体いた。ロボビリヤードは最大5GP取得できるため、ここで逆転の可能性もあるのだった。

 ここまで5GPを獲得しているレグホーンと対戦するのは、持ち点3GPのマジンガア。ゲーム序盤は、マジンガアがポジションを上手にとって有利な展開だったが、レグホーンが容赦なくマジンガアを攻撃し、ゲームが逆転した。

 Lancer(チーム:えまのん)は、この競技で5ptを取得して中間順位12位から8位に急進した。対するArt壱式(チーム:愛知工業大学 Robot-Art部)が二足歩行ロボット競技初出場ということもあり、カードに恵まれた感がある。Lancerは静歩行でどっしり歩くArt壱式を翻弄するように動き回り、次々と得点を決めていた。


【動画】決勝進出を目指しヒール役に徹したレグホーン。製作者のNAKAYAN氏曰く「勝てば怪鳥、負ければチキン」。ルールでは相手への攻撃は許可されている 【動画】Lancer(赤いロボット) VS Art壱式。Art壱式は競技会初参加にもかかわらず、不安定なリング内でよく動いていた

決勝バトルトーナメント

 予選でGP上位のロボット8体がバトルトーナメントに進んだ。

 バトルは3分1ラウンド6ポイント制。基本ルールはロボファイト5に準じている。「カッコ良く闘う」ことが要求されるため、逃げ回ったり座ったまま相手を攻撃しているとヒキョウモノ判定されてしまう。

 予選を勝ちあがったロボットを地区別に見ると、関西勢がYOGOROZA(チーム:だうと)、レグホーン(チーム:NAKAYAN)、KZR-VI(チーム:カズ)の3体、関東勢がガルー(チーム:くまま)、rsv3(チーム:吉田ファミリア)、クロムキッド(チーム:くぱぱ)、Lancer(チーム:えまのん)。中部はレイヤード サウンダース(チーム:ASURADA)。このように関東・関西が強いのは、競技人口が多いこともあるが、やはりユーザーが集まってロボットを動かして交流する場があるというのが大きなポイントだろう。

 この中で、ROBO-ONE大会本戦を経験していないのは、ガルー(チーム:くまま)とrsv3(チーム:吉田ファミリア )の2名だった。

 ガルーは、第11回ROBO-ONE大会の軽量級で優勝したクロムキッドのコピー機だ。くまま氏は、くぱぱ氏の奥様である。自宅で夫婦バトルはしていないということだが、サッカーチームを組んで競技会に出場したりしているため、くまま氏のロボット操縦は確かだ。準決勝では、くまま氏とくぱぱ氏の夫婦対決が行なわれた。設計もプログラムも同じということで、息のあったバトルだったが、クロムキッドがトラブルでダウンから起きあがることができずにKOとなってしまった。

 一方の吉田ファミリア氏は、2005年の冬にロボット製作を始めたが、バトル経験は数えるほどしかないという。昨年秋に秋葉原にホビーロボットユーザーの交流場KONDO ROBOSPOT(ロボスポット)ができて以来、積極的に練習会やサッカー競技に参加するようになった。吉田ファミリア氏曰く「大会に出場しないとロボットは熟成しない」。トーナメントでは、1回戦でKZR-VI、準決勝でYOGOROZAと強敵を倒して決勝まで勝ち進んだ。

 バトルの様子は動画で紹介しよう。


【動画】ガルー(チーム:くまま) VS Lancer(チーム:えまのん)。Lancerは足裏に回転軸をもっていて、省スペースで素早い旋回ができる 【動画】準決勝第2試合。ガルー(チーム:くまま) VS クロムキッド(チーム:くぱぱ)。バトルを見ると同じプログラムで動いているというのがよくわかる。赤いロボットがガルー 【動画】3位決定戦。YOGOROZA(チーム:だうと)VS クロムキッド(チーム:くぱぱ)。両者とも動きが速く相手の隙をつきながらパンチを繰り出す

【動画】決勝戦。rsv3(チーム:吉田ファミリア) VS ガルー(チーム:くまま)。両者とも緊張して慎重なバトル展開となった 参加者全員で記念撮影 左から2位の吉田ファミリアさん、優勝したくままさん、3位のくぱぱさん

最後はランブルで楽しく終了

 最後は、有志が参加するランブルで締めくくられた。今回は、終了時点でリング右上の黒いマーカー近くに立っていたロボットが優勝というルール。ここまで司会を務めていた岩気氏が、愛機ケルビムで競技に乱入。リング上には20体近いロボットが上がり、ゲーム開始のゴングが鳴るやいなや次々と落ちていった。マジンガアがマーカーを死守していたのだが、最後10秒でケルビムが滑り込み優勝した。


【動画】ランブル。序盤は動くだけでロボットが落ちていく。後半の陣取り合戦が見物 ランブルで優勝して大満足の岩気氏(ロボットフォース代表)。岩気氏は「大人が真剣に頑張っているところを、子ども達に見て欲しい」と語った

 会場には、親子連れや学生が大勢訪れロボットの競技に歓声を上げて見入っていた。

 ロボティクス科学長の西堀氏は、「TVで見るだけでは、ロボットの魅力は伝わらない。目の前で動くロボットを見て、最新テクノロジーに興味を持ってほしい」と語った。

 同校では、二足歩行ロボットの練習会も不定期で行なっている。今後、参加者が増えていけば中部地区勢のレベルが急激にアップすることも期待できる。


大同工業大学ロボティクス学科長 西堀賢司氏 実行委員の青木氏は「大同工業大学のロボットが予選突破できなかったのが、口惜しい」とこぼしていた

URL
  大同工業大学
  http://www.daido-it.ac.jp/
  ロボット・バトル in 大同工業大学
  http://www.daido-it.ac.jp/~robot/battle.html


( 三月兎 )
2007/08/09 00:02

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