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【 2009/04/17 】
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「姫路ロボ・チャレンジ 第4回大会」レポート
~Dr.GIY氏が総合優勝


2日間、満場の観客から声援を浴びながら、ロボット競技会が行なわれた
 2007年7月14日~15日の2日間、姫路科学館において、「姫路ロボ・チャレンジ 第4回大会」が開催された。主催は姫路ロボ・チャレンジ実行委員会、姫路科学館。2日間で3,700人の来場者があった。

 姫路ロボ・チャレンジはロボット競技会を通して、先端技術に触れる機会を与えると同時に、未来を担う子ども達が年齢に応じたロボット競技に自ら参加する場を提供することを目的としている。

 競技は、初心者が気軽に参加できるエントリークラスと、ハイレベルなスタンダートクラスに分かれて行なわれた。スタンダートクラスは、ROBO-ONE決勝出場権認定大会になっており、全国レベルの二足歩行ロボットが14体エントリーしたが、連休を直撃した台風の影響で出場できなかったロボットがあり11体で競技を行なった。

 本稿では、スタンダートクラスを中心にレポートする。


デモンストレーション

【動画】RB2000SF(製作者:zeno氏)。バトル中にロボットが敵のいる位置を確認して、自律で攻撃するデモンストレーション。ロボットと操縦者が協同でバトルをする
 最初の競技は、持ち時間2分間のデモンストレーションだ。このデモンストレーションと「さがしてポン」で観客にロボットの性能をアピールし、優勝予想投票をしてもらう。その投票数もポイントに加算され、総合優勝に影響する。


自律競技「さがしてポン」

 「さがしてポン」は今大会から始まった自律競技だ。ステージ上の任意の場所に置かれている大中小3つのボールをロボットが自律で見つけて落とす。大1点、中2点、小3点がボーナス得点となる。全てのボールを落とすタイムを競い、上位3名に、1位5点、2位4点、3位3点が与えられる。ロボットがリングから落ちたら、競技は終了となる。

 この競技では、「ボールを見つける」「ボールを落とす」「リング際を検知してロボットが落ちないように回避する」「ロボットが転んだときに起き上がる」といった機能を自律化する必要がある。

 残念ながら、今回は要求仕様を全て自律化し安定動作しているロボットがなく、持ち時間の3分間に、3つのボールを落としたロボットはいなかった。

 この競技で優勝したレグホーン(製作:NAKAYAN氏)は、赤外線センサー(PSD)をロボットに搭載して競技に挑んだ。使用したセンサーの感応距離が80cmと短いため、まずスタート地点からリング中央に移動する。そこでセンシングを開始して、ボールがある方向へ手を振りながら移動する。ボールを落とすとその方向には障害物がなくなる(=リング際が近い)ため、方向転換をし、次のボールをセンシングしながら手を振って移動する、というプログラムになっていた。大中2個のボールを落とすことに成功したが、小ボールはロボットの位置と反対側にあったため、センシング範囲から外れてしまい見つけ出すことができなかった。

 KZR5(製作:カズ氏)も同じセンサーを用いたが、カズ氏はリングの端検出に利用した。ボールの置き位置は、リング際の任意の位置となっているため、ロボットはリング際まで歩行し、手を振り回しながら歩くという作戦だった。中ボールを落とすことに成功したが、移動しながら他のボールにたどり着くことができなかった。3分間動き回ってもリングアウトしないのだから、「落ちまセンサー」の機能的には成功していたのだろう。

 あいぼーX(製作:小南氏)は、赤外線センサーの欠点を補うために、超音波センサーを併用した。超音波センサーはリングの端までセンシングすることが可能だが、方向を特定することができない。超音波センサーで大雑把にボールのある方向を見つけてロボットが歩き、赤外線センサーで位置を特定し方向を微調整するプログラムを組んでいた。中ボールを素早く見つけだし、確実に落としたが、ボールを載せていたリングに躓き、起き上がった後にリングアウトしてしまった。


【動画】レグホーン(製作:NAKAYAN氏)。目論み通りセンサーが働いて、中、大のボールを落とすことに成功した 【動画】KZR5(製作:カズ氏)。リング際を移動しながら手を振り回してボールを落としている。リングアウトしないようにセンサーを使用している 【動画】あいぼーX(製作:小南氏)。今回の参加者の中で自律プログラムに一番力を入れていた。中ボールを落とした後、ロボットが落下して競技終了となったが、デモで小型ボールを見つけだし落とすことに成功した

ロボカーナ

【動画】ロボカーナで優勝したYG3旋風丸(製作:Dr.GIY)。無駄な動きがなく最短距離を一気に走り抜けている
 3種目目の「ロボカーナ」は、直線、カーブ、クランクがのある5mコースを走るタイムを競う。前進、後進、横歩きはOKだが、前転側転での移動は禁止されている。コースアウトした場合は、元の位置まで自力で戻れば競技を続行できる。コーンは両面テープで固定されているが、もしロボットが蹴飛ばしてコーンを倒した時は5秒加算のペナルティが与えられる。

 「ロボカーナ」は2位から5位までが30秒台のタイムで争う中、YG3旋風丸(製作:Dr.GIY)が16秒という圧倒的な記録で優勝した。


ロボットバトルゲーム

 最終種目の「ロボットバトルゲーム」は、ROBO-ONEに準じたルールのバトルトーナメントだ。3分1ランドで、スリップダウン3回で1ダウンとなる。3ダウン先取または、ダウンしたロボットが10カウントで復帰できない場合に勝敗が決定する。しゃがみ歩行やしゃがんでの攻撃は禁止されている。よく動くロボットが多いため、試合の展開がスピーディーだった。子ども達も応援に熱が入り大きな声でロボットの名前を連呼していた。印象深い試合を動画で紹介しよう。


【動画】準決勝第2試合:レグホーン VS たぬたぬさん。小柄なロボットたぬたぬさんは、レグホーンに持ち上げられ軽々と投げられてしまった 【動画】準決勝第1試合:KZR5 VS YG3旋風丸。前回優勝のKZRを、旋風丸がスピードに翻弄し一気に試合を決めた 【動画】決勝戦。YG3旋風丸 VS レグホーン。決勝まで隠していたというレグホーンの投げ技が見事に決まった

総合結果

 今大会では、レグホーンとYG3旋風丸が、金銀メダルを1つずつ取ったが、総合ポイントでレグホーンの11点に対し、YG3旋風丸が14点で、総合優勝はYG3旋風丸となった。製作者のDr.GIY氏には、第12回ROBO-ONE大会決勝出場権とともに、姫路市長賞が贈られた。

 ロボットバトルゲームで優勝したNAKAYAN氏は、バトル重視でロボットを製作している。格闘ゲームが好きで、バーチャルなバトルはかなりやりこんでいて、ロボットのモーションもゲームを参考にしてかっこいい戦い方を取り入れているという。

 NAKAYAN氏は、「歩行モーションを作るのには、センスが必要。今、ロボット仲間からアドバイスをもらって改良しているところ」という。レグホーンに安定した機動力とスピードが加わったら、ROBO-ONE大会でも上位を狙える機体になるだろう。

 ちなみに「さがしてポン」は得点配分が大きく、ここでミッションクリアして優勝するとほぼ総合優勝できる」という重要な競技である。自律系を得意とするロボット製作者は、姫路ロボチャレンジでROBO-ONE認定証を狙うというのもいい方法だろう。

 競技終了後には、子ども達が参加ロボットを操縦するふれあいタイムが設けられた。姫路科学館の上田倫範館長は、「姫路で生まれたロボットキット「Gogic Five」を使って、ロボット教室や競技会を開催していく。姫路ロボチャレンジを子ども達が夢をもって参加する大会に育てていきたい。」と講評を述べた。


総合優勝のDr.GIY氏 姫路科学館上田倫範館長

URL
  姫路ロボ・チャレンジ
  http://www.hsworks.co.jp/ROBOCHA/

関連記事
姫路ロボ・チャレンジ第3回大会(2006/12/15)

URL
  姫路科学館
  http://www.city.himeji.hyogo.jp/atom/


( 三月兎 )
2007/07/20 00:08

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