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ロボットと出会うまち・福岡
~JR博多駅・天神でのロボット運用実験


 6月28日、29日、30日の3日間、テムザックのロボットをJR博多駅などで運用する実験「ロボットと出会うまち・福岡」が行なわれた。


JR博多駅に集まったテムザックのロボット

 JR博多駅構内では、「プレホスピタルケアロボット」「RIDC-1」「テムザック4」の3台のロボットが実験に参加した(福岡市とJR九州が協力)。

 これは人の集まる公共の場所でロボットを運用することで、一般人がロボットにどのような反応をするのかリサーチし、街でロボットを運用するための参考にしようというものだ。また多数のロボットを博多の街で動かすことにより、観光客の増加にもつなげられないかという意図もあったようだ。

 メインのプレホスピタルケアロボットは、テムザックと九州大学などが共同開発した応急救護ロボットで、「愛・地球博」にも出展された。九州での一般公開は今回が初めてだ(九州大学病院でマスコミ向けの発表を行なったことはある)。

 プレホスピタルケアロボットは心電図などを備えた、いわば移動する保健室である。ネットを介して病院とつながっているので、気分が悪くなったらプレホスピタルロボットの椅子に座り、医師の問診も受けることができる。

 さすがに本格的な応急手当てはロボットには無理だが、プレホスピタルケアロボットの後部には自動除細動器などの応急手当機材を格納しており、それを取り出して応急処置が可能である。

 テムザックはこのプレホスピタルケアロボットを、駅・空港・博物館などの公共の場所に購入してもらい、移動する応急手当施設として使用してもらうことを期待しているようだ。

 なお、今回の実験は九州大学付属病院と回線がつながっていて、通りかがった一般人がプレホスピタルケアロボットに座って、医師と会話するなどしていた。

 RIDC-1は、福岡県にあるロボット産業振興会議が所有するロボットで、たまに商店街のイベントにも顔を出しているサービスロボットだ。九州工業大学で開発された音声認識会話システムを持ち、簡単な会話が可能。またビデオプロジェクターや道路掃除機能も持っている。聞いた話ではイベントでは主に「子供たちと握手」しているらしい。

 今回の実験では、観光のサービスロボットとして期待されているようで、JR九州のCMをビデオプロジェクターで映し出したり、通りがかった高校生たちと会話していたりした。

 福岡市にはロボット特区があることで知られるが、ロボスクエアにでも行かない限り、福岡市民が日常でロボットを見る機会はそう多くはない。たまたま通りがかった人たちは興味深そうにロボットに接していた。


JR博多駅の一角で行なわれたデモ 九州での一般公開は初めてとなるプレホスピタルケアロボット 当日は九大病院と回線がつながっていて、医師とテレビ電話で会話することができた

地元の報道陣が多数集まっていた テムザックが製作した、ロボット産業振興会議のRIDC-01。福岡の商店街のイベントにも参加するなど、観光ロボットとしては最適? RIDC-01は映像のプロジェクターの機能も持っている

今回、上映したのはJR九州のCM マスコミのリクエストに応えて動き出したRIDC-01 RIDC-01の操縦ユニット

RIDC-01のコントローラーのアップ プレホスピタルケアロボットは無線でも動かすことができるらしいが、今回は有線操縦で移動させていた 通りがかった人たちに結構人気だった

福岡市ロボット化計画

テムザックの高本社長。高本社長によると、KIYOMORIを九州国立博物館で動かさないかという話も出ているらしい
 博多駅運用実験にテムザックの高本社長も姿を見せていたので、話を聞くことができた。高本社長の話によると、この運用実験をやろうと考えたのは外国からの打診があったからだそうだ。シンガポールが街中に多数のロボットを配備して「ロボットの街」を作り出そうとする構想を持っているらしく、テムザックにも打診があったとのこと。その話を聞いた高本社長は「外国の都市をロボットの街にするくらいなら、地元の福岡市をロボットに出会える街にしたい」と思ったそうだ。

 高本社長は、博多の街に多数のロボットを置くことにより「ロボットに出会えるまち・福岡」としてアピールし、福岡市の観光客増加につなげられないかと考えている。そのため、今回はJR九州の協力を得てJR博多駅での運用実験を行なったとのこと。

 一般の人がロボットを間近で見る機会はそれほど多くはない。その場所を福岡市に作ろうという構想は結構面白いかもしれない。ただし、今回の天神での運用実験では、広場の使用許可が下りず観光プラザの狭いスペースしか使えなかったなど、実現に向けての課題も見受けられた。


まだまだ現役「テムザック4」

 今回の運用実験では、JR博多駅と、福岡市の中心でる天神の観光プラザ天神にそれぞれ1台ずつのテムザック4が参加していた。

 テムザック4は20世紀に製作されたロボットで、マスタースレイブ操縦で動くことで知られている。今となっては古いタイプのロボットになるが、今回の運用実験では安定して動いていた。また観光プラザを訪ねた人も、テムザック4が動いている姿を見て、素直に驚いていた。

 テムザック4は下半身にあるモーターでワイヤーを動かし、上半身の腕を動かしている。そのため摩擦でワイヤーが切れてしまうことが多かった。しかし、最近では皮膜付きのワイヤーを使用しているので「取り扱いが楽になった」そうだ。

 機構が簡単なゆえに、手でうまく物をつかめないなどの欠点はあるが、状況によってはテムザック4は安定して使うことのできる、いいロボットなのかもしれない。新型ではないロボットをメンテナンスして、うまく使っていく方法も考えてみるべきなのだろう。


博多駅にいたテムザック4。現在、テムザックではテムザック4を4台保有している テムザック4のマスタースレイブシステム マスタースレイブでの操縦

天神にある観光プラザ ここでのテムザック4は、訪れた観光客を応対していた

こちらもマスタースレイブシステムで操縦 アンケート。これに答えるとテムザックのバッチがもらえた

URL
  テムザック
  http://www.tmsuk.co.jp/
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.tmsuk.co.jp/admin_tools/data/070627_1.pdf

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( 大林憲司 )
2007/07/05 17:15

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