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ロボットが病院内をガイド

~テムザック、会津中央病院に受付・案内ロボットを納入

 10月28日、財団法人温知会 会津中央病院は、株式会社テムザックが開発したロボットを受付・案内用に3台導入したと発表した。納入されたロボットは受付ロボットが1台、案内ロボットが2台。病院の1Fにおかれ、来院者に院内の地図を印刷して渡したり、エレベータまで付き添ってガイドする。

 受付ロボットは身長150cm、幅70cm、奥行き80cm。重量は120kg。8自由度をもつ。テムザックが2005年11月に発表したロボット「RIDC(リディック)」と外観の基本デザインは似ているが、中身は新しく作り直されている。コストが下がり信頼性も向上しているという。

 搭載されたタッチパネルに触るか音声で話しかけることにより、病室や外来などの経路を3D画像にして頭部搭載のプロジェクタで投影して提示する。ロボットの左腕には小型プリンタが取り付けられており、地図を印刷することも可能だ。

 頭部にはプロジェクタのほか、小型カメラを搭載。病院内の状況を確認できる。バッテリはリチウムイオンで、ほぼ4時間駆動することができるが、基本はAC電源を使って常時稼動とする予定だ。なお、音声認識は会津弁にも対応することができる。


受付ロボット(左)と案内ロボット(右) 受付ロボット 頭部には3D画像を映し出すプロジェクターと小型カメラを装備

胸のタッチパネルで目的の部屋番号などを入力する 部屋までの地図を示す 左腕の小型プリンターで地図を印刷できる

印刷された地図 メンテナンスハッチを開けたところ。メンテも比較的簡単に行なえるようになっているという

【動画】タッチパネル操作の様子 【動画】ロボットが投影する院内案内用3D画像

 2台導入された案内ロボットは、頭部のスイッチを押されることで最寄のエレベータ前まで来院者を誘導することが業務だ。大きさは少し小型で高さ130cm、重量100kg。自由度数はアーム2軸、走行2軸で合計4。ロボット下面につけられたカラーセンサーで色を識別することで、床に張られたガイドテープ上を走行する。移動速度は時速1.5km程度。そのほかバンパーセンサー、障害物センサー、ジャイロを搭載している。

 腕部分はバッグなどを引っ掛けられるようになっている。重量3kgまでの荷物を運ぶことが可能。こちらのロボットの頭部には健康チェッカー(加速度脈波計)が搭載されていて、自動充電装置を使用しているときには指を置くことで血管年齢を測ることができる。

 ロボットが撮影した画像は管理端末に送信され記録される。夜間警備などを行なうことも可能だが、現状ではまだ運用していない。またロボット相互の連携などの機能も未実装。導入費用は1台2,000万円×3台で6,000万円。

 名前はまだ付けられておらず、11月30日まで愛称が募集されている。病院で選考の上、最優秀賞1点、優秀賞5点を決定する予定だ。詳細はホームページ上に掲載されている。


案内ロボット。ステーションで充電中 重さ3kgまでのものを運搬可能 ボディ下のカラーセンサーでテープの色を識別して走行する

頭部に血管年齢を計測する健康チェッカーを内蔵 【動画】荷物を持って運ぶ 病院内で案内ロボットのデモが行なわれた

【動画】病院内を走行するロボット 【動画】ロボットの手を握って歩く子ども。あくまでガイドしているのはロボット 案内ロボットのあとを追いかける子どもたち

握手する子どもたち とにかく子ども達には大人気

会津中央病院
 今回ロボットを導入した会津中央病院は25診察科、930床の総合病院で、会津若松地域の基幹病院。駅受付端末機の設置、北海道・東北地区で初めて子宮筋腫治療用の集束超音波治療装置(FUS)配備そのほか、電子カルテの導入など病院のIT化にも積極的に取り組んでいるという。

 導入式典で、会津中央病院病院長の武市和之氏は、「ロボットの色は当病院のシンボルマークであるライムグリーンと、猪苗代湖を意味する青とした。会津地域を日本にアピールしたい」とまず語った。

 もともとこのプロジェクトは、「病院らしくない病院の環境整備をやりたい」というねらいによって始まったという。病院の安心、安全、満足度の高い医療の実現はもちろん、環境整備のひとつとしてロボットを導入することで、一般の見舞い客がロボットと触れ合ったり、また入院している子供たちがロボットと話すことで癒しの効果も期待しているという。

 ロボットを製作した株式会社テムザックの高本陽一社長は「ロボットが導入される時代がついに来た。ロボットが実際に役に立つものであることを実証していきたい。これを機会にロボットの時代が来ることを祈念している。同時に運営にはじゅうぶん気を配るし、運用を通じて得られたノウハウをさらにロボットへ注ぎ込んで進化させていきたい。これからのロボットの活躍に期待していただきたい」と語った。


会津中央病院病院長 武市和之氏 テムザック代表取締役社長 高本陽一氏

 会津若松市 市長の菅家一郎氏も式典に出席し、「病院に人間大のロボットが受付・案内業務用として実際に導入されるのは世界で初めてだと聞いている。今後、さまざまな分野でロボットが導入される時代が来ることは間違いない。21世紀を担うロボットがまず会津若松で導入されることは大変な誇りだ。関係者の前向きな取り組みに敬意を表する」と述べた。

 会津若松市医師会会長の加藤道義氏は、「医療機関という一種独特な仕事場のなかに働いている人の手を煩わせることなく、人間と対等、もしくはそれ以上に患者さんに対応してくれる機械があることは心強い。私もこの病院にはたびたび来るが、一人で院長室にたどりついたことがない。でもこれからは案内ロボットに案内してもらえるという安心感もある(笑)。ロボット機器の進歩は日進月歩。医師不足の時代のなかで将来的にはロボットが医師の仕事をとってかわる時代がこないことを願いつつ挨拶とさせていただきたい」と語った。


会津若松市 市長 菅家一郎氏 会津若松市医師会会長 加藤道義氏 式典の様子

会津中央病院 外来機能再構築委員会の成田尚也氏
 しかしなぜ「ロボット」導入という手段、しかも北九州の会社であるテムザックを選んだのか。

 今回の導入にあたって同病院で積極的な役割を果たした外来機能再構築委員会の成田尚也氏は「今は患者が病院を選ぶ時代」だという。そんななか、新たな患者サービスのあり方を模索するなかでロボットの導入が浮かび上がってきたのだそうだ。

 そして成田氏らが万博で導入されたロボット関連業者などを手がかりに検討を行なった結果、多くの企業が実際の病院への導入には二の足を踏むなか、「是非やりたい」と回答したテムザックが選ばれたのだという。

 成田氏は、「病気になり、足を運ばなければならないときになって初めて行く病院ではなく、行きたいと思われる病院へと変えていきたい」と語った。


動いているロボットを見ようと病院ロビーは入院患者、見舞い客、関係者でいっぱい 病院関係者たちもロボットを見るためにオープニングイベントに集まった

URL
  会津中央病院
  http://www.onchikai.jp/
  ニュースリリース
  http://www.onchikai.jp/robot/index.html
  テムザック
  http://www.tmsuk.co.jp/
  ニュースリリース(PDF)
  http://www.tmsuk.co.jp/admin_tools/data/061002_1.pdf
  【2005年11月29日】テムザック、プロジェクター付き掃除ロボット「RIDC-01」を開発(PC)
  http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2005/1129/tmsuk.htm

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FA屋の発想で実用ロボットを目指す~株式会社テムザック(2006/05/29)


( 森山和道 )
2006/10/30 13:36

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