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SFセミナー「高橋良輔インタビュー リアルロボットの向こう側」レポート

〜ボトムズ新作ではATをCGで再現

 4月29日、SFファンたちによるイベント「SFセミナー」が開催された。SFセミナーとは、SF界内外からゲストを呼んで開催する講演/パネルディスカッション形式の「コンベンション」と呼ばれる、ファン交流イベントのひとつ。

 今回はそのなかの一人として、アニメーション監督の高橋良輔監督が招かれ、「高橋良輔インタビュー リアルロボットの向こう側」が行なわれた。聞き手は、SFセミナースタッフの一人で株式会社徳間書店の牧紀子氏。

 高橋良輔氏は、『太陽の牙ダグラム』、『装甲騎兵ボトムズ』、『機甲界ガリアン』、『蒼き流星SPTレイズナー』等の懐かしのロボットアニメーション作品の監督である。男臭い作風でアニメファンたちには知られている。最近も『ガサラキ』、『幕末機関説いろはにほへと』、『FLAG』など精力的に作品づくりを行なっている。ロボットアニメのなかでも独自の作風を持ち、SFファンたちからの支持も厚い。

 なお高橋監督は、第7回「ROBO-ONE」では特別審査員を務めたこともある。先日行なわれたばかりの第10回ROBO-ONE予選大会も、お忍びで観戦していた。


高橋良輔監督 聞き手の牧紀子氏

 高橋監督のアニメーション人生は1964年に入社した虫プロダクション(虫プロ)から始まった。だが最初からアニメ監督を目指していたわけではない。初めは夜学に通いながら商事会社に勤めていたのだという。最初はずっとその会社に勤め続けるつもりだったそうだが「飽きてしまった」。そこで転職を考え、当時、毎月求人案内を出していた虫プロを受けたのだそうだ。

 もっとも最初は簿記を生かそうと事務職を受けたが落ちてしまい、次に動画で受けたら通ってしまった。しかしながら「12時間以上座り続けないと動画はやれないよ」といわれ、それでは商事会社を退職した理由さえ否定してしまうことになるので、他の仕事はないかと相談し、では演出要員としてどうか、という形で採用されたのだという。

 入社後、1年ほどは制作進行を務めた。制作進行はあらゆる部署の助手のような役割をしつつ、進行スケジュールを管理する業務だ。それを1年間こなしたあとに、「W3(ワンダースリー)」から演出に携わるようになった。

 初監督作品は虫プロ退社後に参加したサンライズ(現在、当時は有限会社サンライズスタジオ)作品「ゼロテスター」だ(1973年放映)。もともと「サンダーバードに似たものを作れ」という発案から始まった企画だった。当時の高橋監督は、同世代の人たちに「負けた」という意識があり、自分には根本的に演出力が足らないのではないかと思っていた。そのため、ロボットアニメの演出を持ちかけられても「僕はロボットものはやらないから」と断っていた時代もあった。アニメーションへの気持ちが少し落ちていた時期もあったという。

 テレビアニメに対する情熱を再び持ち始めるきっかけになった作品は、1981年から83年までオンエアされた『太陽の牙ダグラム』だった。高橋監督初のロボットアニメ作品だが、「自分のスタンスが作れた作品だと捉えているという。


 では、どのようにダグラムは生まれたのか。高橋監督は相変わらずロボットアニメはやらないんだといい続けていたが、世の中では1979年から放送された「機動戦士ガンダム」がヒット。その当時、高橋氏は「サイボーグ009」の監督をやっていた。なおサイボーグ009は、「これはロボットではなくサイボーグものなんだ(だからやってくれ)」という形でオファーされたそうだ。

 いっぽう、「ゼロテスター」のときには「宇宙戦艦ヤマト」が生まれ、さらに富野由悠季監督によるガンダムがヒットしたことで、高橋監督は「彼我の差を見せ付けられた」と感じ続けていた。しかしながらガンダムが当たったことでオリジナルのロボットものの企画が圧倒的に通りやすくなった。しかし当時サンライズにはオリジナルものを作れるのは富野監督くらいしかいない状況だった。「物語を作れる」――高橋監督のアニメーションに対する情熱が戻ってきた。

 こうして誕生した「ダグラム」はロボットものでありながら政治の話が多いという、どちらかというと地味なストーリーではあったものの、営業的には成績が良かった。いまのテレビ事情からは考えられないことだが、75話も続いたのである。ロボットのおもちゃも売れたし、視聴率も比較的良かったそうだ。いっぽうボトムズはおもちゃも視聴率もいま一つ売れなかったという。続けてやったのがガリアンだったが、「これで引導を渡された(笑)」。レイズナーは「徹底的に売れなかった」。

 そのあとは、「エヴァンゲリオン」が出るまではロボットアニメ業界全体もパッとしなかったが、ボトムズが一番再販売が続いている、というのが現在の状況だという。

 高橋監督の作品は息が長い点も特徴だ。理由のひとつは世界設定にある。たとえば「ダグラム」は、地球上で繰り返されてきた植民地と宗主国という構図を、違う星の上で展開した。作品づくりは周囲のスタッフにプロットを投げてアイデアをつのり、設定を固めていく。だがロボットまわりの設定は、いままでの知識のなかで作る人が多い。具体的には巨大ロボットアニメの系列である。しかし、それだけでは個性が出ない。そこでたとえばダグラムでは、「移動はロボットに歩かせるのではなく、専用トラックに載せて行なおう」といった設定を付け加えた。スタッフが作ったものに自分自身のアイデアを入れることで、他の作品とはあたりを変えていくという作業を必ずやるという。


 『ボトムズ』でも主人公キリコやキャラクターのリアルな生活感が作中には漂っている。ボトムズ世界で「AT」と呼ばれるロボットを作るためには時間がかかった。もともとは、宮崎駿氏の描いたロボットの小さい目、あれをなんとかならないかというところから始まったとそうだ。

 宮崎氏の世界観ではロボットは真ん中ではない。だがサンライズ作品では、ロボットが真ん中にないといけない。そこで、イメージがなんとなく似ていた自転車のチェーンをばらばらにして、それをいろいろなものに貼り付けては試行錯誤していたそうだ。その結果、最終的に行き着いたのが報道用カメラと顕微鏡のターレットレンズだった。

 顔としては目だけのかなりミニマムな表現であり、カメラのレンズではあるものの、それが回ったり移動することでロボットの感情表現ができると考えた。それで自信がつき、さらに街中の工事用機械などのイメージを付け加え、メカデザイナーの大河原邦男氏にデザイン条件を示したという。いっぽう、ダグラムは先にデザインが出来ていたのだそうだ。

 ボトムズの特徴のひとつは、サイズが4m程度と小さいことだ。ロボットのサイズを小さくしたのは、スピード感を出したかったからだという。しかし、あまり小さくしすぎると、乗り物であるロボットというよりは、人間が着るパワードスーツになってしまう。高橋監督自身は、「着る」ではなく「乗る」を考えると、あれくらいがぎりぎりではないか、メカとして現在にも通じるイメージを残すと、4mくらいが「ロボットとしてのイメージ」の限界なのかなと考えているという。


新作ボトムズではATをCGで表現

講演の様子
 現在製作中の新作のボトムズOVA「ペールゼン・ファイルズ」は、テレビでオンエアされた第1話以前の話になるそうだ。22分×全12話が予定されているが、その話が終わったあとに、テレビでオンエアされた第一話以降へとつながる展開だという。主人公キリコが所属していたとされる部隊「レッドショルダー」は既に解体されたあとで、終戦前の重要な作戦に駆りだされる、という話になる。

 ボトムズでは、内乱は出てくるものの、直接、戦争そのものを扱ってはいない。今回のボトムズでは戦争ものをやろうと考えているそうで、具体的にはノルマンディ上陸作戦をイメージしたシーンが見られるという。大きな川をATが横切るのだが、そこでガンガンとやられていく、そんな感じの、映画「プライベートライアン」冒頭のようなシーンが見られるそうだ。

 なおAT(ボトムズに出てくるロボット)は全てCGで描かれる。ATをCGで描くことはスタッフ含め全員に反対されたそうだが、ボトムズに関してはCGで描かれたATがなじむはずだ、と考えているという。ATが量産品であり、現在の技術なら汚しもかけることができるから、というのが理由だ。ただ「証明になる映像は、まだひとつも上がってない」。5月中には「怒涛のようにあがってくるはず」だそうなので、作品を楽しみにしていよう。

 最近は、宗教の成立と国家間の紛争の関係などについて考えているそうで、「ひとつの考えが完成されると、そのなかには負の部分が内在されている」という考えを最後に述べて、講演は締めとなった。


URL
  SFセミナー
  http://www.sfseminar.org/

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( 森山和道 )
2007/05/07 15:54

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