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「装甲騎兵ボトムズ」監督の高橋良輔氏(右)と、主人公キリコ・キュービィ役の声優・郷田ほづみ氏(左)
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2月25日、東京ビッグサイトで開催されたワンダーフェスティバル内、タカラトミー「装甲騎兵ボトムズ」ブースにて、「装甲騎兵ボトムズ」トークショーと「ボトムズ」の模型などを使って世界観を表現する「バトリング大会2006」の大賞発表が行なわれた。主催はボトムズコミッティーで、これは「とにかくボトムズを盛り上げたい」という共通スローガンを元に19社が集まった組織。
「装甲騎兵ボトムズ」は'83年4月~翌年3月までテレビ東京系で放送されたロボット・アニメ。主人公メカである「アーマード・トルーパー(AT)」が比較的小型であること、使い捨てされて何台も登場する、作戦に応じて装備が変わるといった、男臭く、ミリタリー風の作風が、これまでにないロボットアニメとして人気を博した。その後、オリジナルビデオアニメ(OVA)もいくつか製作された。
オリジナルのテレビアニメが放映されて24年、最後のOVAから数えても13年経つが一部マニアの間では未だに熱狂的な人気を維持している。今年の夏、当時と同じ高橋良輔監督によって新作アニメーションが製作されることになった。今回のトークショーでは、新作の発表と、バトリング大会の応募作品紹介・大賞発表と表彰式が行なわれた。
ゲストは高橋良輔監督と主人公キリコ・キュービィ役の声優・郷田ほづみ氏で、多くの熱狂的ファンが見守った。
● 「タカラトミー バトリング大会2006」
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応募作品をモニターで見つめる両氏
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まずはじめに「タカラトミーバトリング大会2006」の応募作品の一部が最初に紹介された。模型を使ってボトムズ世界を表現する「バトリング大会2006」は、ジオラマ部門、単体改造部門、画像部門に別れている。単体改造部門では地雷除去作業を行なうAT、ジオラマ部門では市街戦シーンや動物を捕獲しようとするATの姿などを模型で表現した作品が紹介された。
画像部門では、普通の街のなかで信号待ちをするATや、主人公メカであるスコープドックの頭部(ファンの間ではタコに似ていることから「スコタコ」と呼ばれている)をたこ焼きのようにならべた「スコープドックのたこ焼き」などの合成写真が紹介された。
また、市販キットを改造してさまざまなATを作り上げた人の作品も紹介され、高橋監督は「ファンの熱心さにうたれる。新しいものを出そうかなと思う。一体出すだけでもユーザーはイメージを膨らませてくれる」と語った。なお最年少応募は8歳だったという。20年以上前の作品ながら「ボトムズ」ファンの幅の厚みを感じさせた。
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単体改造作品の一例。地雷処理ATという設定だという
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ジオラマ作品の一例
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最年少応募は八歳
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画像作品の一例。「非常にこなれている」(高橋氏)とのコメント
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画像作品の一つ。街中で信号待ちをするスコープドッグ
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画像作品「スコープドックのたこ焼き」
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大賞は、各部門1作品ずつ選ばれた。
ジオラマ部門は鈴木邦彦さんによる「冒涜」と題した作品が選ばれた。「戦後、傭兵で食えなくなった兵士が教会内を物色するイメージ」で作った作品だという。
いっぽう高橋監督は、盗人ではなく宗教そのものに対する直接的な挑戦のようなものを感じて選んだとコメントした。また開発担当スタッフが「ドラマがある」とコメントしていたことにも触れ「商品はドラマを生むということに感激したようだった」と述べた。郷田氏は、「照明効果がよく生かされている。臨場感、リアリティが出ている。感動した」とコメントした。照明のあてかた・撮影には鈴木氏も苦労したという。
制作期間はちょうど2カ月くらい。総制作費はキットを除いて5,000円弱。ステンドグラスは浴室に張るシールを用いるなど、ホームセンターで揃えたものを使っているという。
単体改造部門は、作品に登場するなかでも癖のあるキャラクターとして知られる、カン・ユーを作った、赤鼻のキムさんに送られた。
テーマは「俺たちが愛してやまない、カン・ユー大尉」で、審査員に笑ってもらいたいと思って作った作品だという。製作期間は1日2、3時間を使って3カ月。高橋監督は、「みんなが推すとは思ってなかったけど、意見は一致していた。こすっからくて、しつこくて、こぎたないキャラクターであるカン・ユーには私も愛を注ぎ込んだ。この作品には愛がある」と述べた。
製作者・赤鼻のキムさんのこだわりは「何か言いたげな、でも上官に『だまっとれ』と言われているような顔」だという。制作費は5,000円くらいだが、資料集めが大変だったそうで、昔の雑誌をめくって探したそうだ。ポーズは設定資料そのままだが、高橋監督は「このポーズはまさにカン・ユーですね。虚勢を張ったポーズ。カン・ユーですねえ」と絶賛していた。
画像部門は、「ガス欠、弾切れ…最悪なのは煙草を切らしちまった事だ」と題した作品を作ったPOWELLさんの作品に送られた。高橋監督は「絵も感動したけど、横につけられたコピーがよかった」、郷田氏は「アングルが絶妙。建物の天井を映しこんでいて大きさを感じさせるし、戦場の男くささを感じさせる雰囲気がある」とコメントした。
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ジオラマ部門大賞「冒涜」(鈴木邦彦氏)
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単体改造部門大賞「カン・ユー」(赤鼻のキム氏)
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画像部門大賞「ガス欠、弾切れ…最悪なのは煙草を切らしちまった事だ」(POWELL氏)
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大賞を受賞した二人
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大賞作品は会場にも展示された
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カン・ユーは、ミクロマンシリーズで発売されている「イプシロン」を改造したという
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「何か言いたげな顔」という表情
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● 新作はテレビ版より過去のストーリー
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トークショーの様子。背景は新作のキービジュアル
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バトリング大会表彰セレモニーを経て、制作当時を振り返るトークショーと、新作の進行状況などが紹介された。新作のタイトルは「装甲騎兵ボトムズ ペールゼン・ファイルズ(仮)」。
トークセッションでは、テレビアニメ放送時のオーディション、アフレコエピソードなどが語られた。主人公キリコはコミュニケーションがヘタで寡黙な男という設定であり、なおかつ当時、郷田氏は声優としてはほとんど新人だった。そのため郷田氏はアフレコ現場に来ると1人ぽつんと座っていることが多く、「入ったときから役をつくっている感じだった」と監督が紹介した。
新シリーズでもキリコはあまり喋らない。当初キリコは新シリーズで分隊長になる設定だったが、それだとどうしても台詞が多くなり、キリコらしくない。検討した結果、分隊長になる設定を止め、その結果、台詞の量も1/5に減ったという。時代設定はテレビシリーズよりも前の話となる。主人公達登場人物は、非常に過酷な戦争現場に叩き込まれる、という。
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新シリーズ用のデザイン画も公開された。写真は「スコープドッグ」
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「スタンディングトータス」
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「ダイビングビートル」
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「ファッティー」
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郷田氏は「声優はアニメに携われるのはスタジオだけなので待ち遠しい。今回、この会場にも独特の年齢層の人が集まってくれているのが非常に嬉しいし、パワーを感じる。このような作品にめぐりあえたことが幸せなことだし、20数年たってもう一回新シリーズができることに感激している。ぜひ期待してください」と述べた。
高橋監督は「会場を見渡すと昔から知っている顔が見える。当時ファンという形で僕と接して、いまはスタッフとなった人もいる。時は経ったんだなと思う。しかしキリコは年をとらないし、作品も元気は失ってない。上半期はボトムズに全力投球、非常に楽しみな毎日が送れる」と語った。
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郷田ほづみ氏
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高橋良輔監督
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(C)サンライズ
■URL
サンライズ
http://www.sunrise-inc.co.jp/
タカラトミー
http://www.takaratomy.co.jp/
( 森山和道 )
2007/02/26 15:01
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