9月12日、スピーシーズ株式会社は、4月3日に発表した「人型エンタテインメントロボット・ITR」のコンシューマ向け製品の予約受注を9月30日から開始し、10月31日から出荷すると発表した。
製品名は「MI・RAI-RT(ミライ・アールティ)」。命名はソニー株式会社最高顧問の出井伸之氏が行なった。出井氏は、「ロボットの未来を切り拓くように」という思いを込めて名づけたという。
「MI・RAI-RT」の身長は約33cm、重量1.5kg。自由度は22。両手と胸に合計105個のLED表示器を持ち、胸にスピーカを2個搭載している。電源にはリチウムポリマー電池(7.4V, 780mA)を使用。外部電源として使えるACアダプタが付属し、本体に直接充電することもできる。
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「MI・RAI-RT」
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両手と胸に内蔵した105個のLEDをつかってさまざまな表情を演出する
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組み立ては双葉電子工業が中国の工場で行っているという
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背面には無線LANユニットを装備
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左肩の突起が電源
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付属するACアダプタ
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CPUは双葉電子工業製「RPU-50」。SH3 133Mhz、RAM 64MB、Flashメモリ 64MB、miniSDスロット、RS485、USB、シリアルインターフェイス、オーディオ出力を持つ。サーボモータも双葉電子工業製「RS301CR」。OSはNetBSDをベースに同社が開発したロボット用のOS「SpeecysOS Rev.2.0」。
無線LANアダプタをUSB接続することでIEEE 802.11gに対応。家庭内に無線LANアクセスポイントがあればインターネットに接続できる。専用のコンテンツサーバーに接続し、同社が「番組」と呼ぶコンテンツをダウンロードして楽しめる。
販売価格は294,000円(消費税込み)。販売ルートはスピーシーズのウェブサイトのほか、百貨店や量販店。初回ロットは限定250台の出荷が予定されており、カラーはホワイトのみ。セットには本体のほか、専用スタンド、リチウムポリマーバッテリ、ACアダプタ、無線LANアダプタ、取扱説明書が付属する。年内で初回ロットの250台込みで3,000台の販売を見込む。
なお「ITR」はカテゴリ名となる。同社ではインターネットに常時接続してコンテンツをサーバーからダウンロードして楽しめるロボットを「ITR」と呼んでいくという。
「MI・RAI-RT」は、4月に発表されたITRをベースに、PCあるいは携帯電話を使って、ウェブサイトから簡単にロボットの動きや音声、BGMで感情で表現する「3Dメッセージ」を作成、ロボットへと送受信できる機能を搭載した。メッセージをロボットが振り付けこみで伝えることで、今までにはないリアルなコミュニケーションとして家族や友人と楽しむことができるという。
「3Dメッセージ」は、同社が「SYGSA(シグサ)」と名づけたライブラリとBGMで構成されている。「SYGSA」はテキストを読み上げる音声合成機能、セリフと動作の組み合わせからなるSYGSAテンプレート(6人の声優の声で各約240種類)、約100種類の動作のモーションテンプレートからなる。またBGMは約50曲用意されているという。
ロボットの動作は同社が独自に開発したRTML(Robot Transaction Markup Language)言語で書かれている。
これによって、専用ウェブサイトからプルダウンメニューあるいはチェックリストを選んでクリックして、読み上げさせたいメッセージをテキスト入力するだけで、簡単にセリフと動作きでロボットを動かすことができるようになった。最大5つまでのセリフとモーションの組み合わせが、ひとつのメッセージで送れる。
たとえば父親が携帯電話で外からお土産を買って帰るというメッセージを入力すると、ロボットが適当な振り付けを行ないながらその伝言を家族に伝えてくれるといったシチュエーションが考えられる、と同社代表取締役の春日知昭氏は語った。
もっと単純化して言えば、「3Dメッセージ」とは、インターネット越しに「MI・RAI-RT」の振り付けを行なうものだと思えばいいようだ。
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「MI・RAI-RT」システム構成。原則としてコンテンツはサーバーからダウンロードする
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サーバーから「番組」コンテンツをダウンロードして楽しめる
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【動画】利用シーンの例の一つとして浅漬けキュウリのCMを読み上げる様子
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3Dメッセージの利用シーンのイメージ
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3Dメッセージの構成と機能
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3Dメッセージは携帯電話またはPCから操作用ウェブにアクセスして、ロボットにメールすることで送る
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【動画】BGM付き3Dメッセージを再生することで挨拶する「MI・RAI-RT」
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スピーシーズ株式会社 代表取締役 春日知昭氏
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● ロボットコミュニティ「ロボタミア」
また、スピーシーズは同日、ロボットコミュニティ「ロボタミア」を立ち上げた。ロボタミアは「MI・RAI-RT」ユーザー間のコミュニケーションをはかることが目的のコミュニティサイト。作成した3Dメッセージを公開する場「SYGSA JIMAN(仕草自慢)」を設け、公開されたメッセージを相互に利用できるようにする。
株式会社フォトンと協力して開発した「ロボタミアンマップ on Google Maps / Google Earth」を使って、ユーザーがロボットの位置をGoogle Earth上に登録できるようにした。これによって、それぞれのユーザーがロボットを通じてコミュニケーションすることを目的とする。
「MI・RAI-RT」ユーザー以外の参加をどの程度認めるかといった具体的な運用方針は検討中だという。
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ロボタミアのホームページ
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Google Earth上にロボットの所在地を登録できる。必ずしも実際の場所を登録する必要はなく「チョモランマの頂上にいることにしてもいい」(春日氏)という
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3Dメッセージの競い合い「SYGSA JIMAN」は委員会が審査する予定
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春日氏は、「これでロボットはできた。あとはサーバーに機能を追加していけばいろいろなことができるようになる。メール読み上げやニュースの読み上げ、読み上げ時の自動的な振り付けなども将来的には可能になる。サーバーに機能を追加していくことでロボット自身の機能が向上していく点がこのシステムの面白いところだ」と語った。
「MI・RAI-RT」のユーザーはマニアだけではなく、新しいものが好きな一般家庭を想定しているという。
同社では今後、発売イベントキャラバンを実施する。第一弾は「秋葉原LAOXザ・コンピュータ館」で、9月30日と10月1日、午後1時から午後6時まで実施される。その後、全国の百貨店や量販店でもイベントを行なっていく。
また、記者会見が行なわれた南青山にある「株式会社シマノ」のアンテナショップ「Life Creation Space OVE」でも展示・受注を行なう。
■URL
スピーシーズ
http://www.speecys.com/
ロボタミア
http://robotamia.net/
フォトン
http://www.photon01.co.jp/
【2006年4月4日】スピーシーズ、インターネットを利用したコンテンツ配信ロボット「ITR」(PC)
http://pc.watch.impress.co.jp/docs/2006/0404/speecys.htm
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・ 今はロボット元年以前、ネットでロボットを群れに~スピーシーズ株式会社(2006/05/31)
( 森山和道 )
2006/09/13 00:52
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