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石井英男のロボットキットレビュー
エスケイパン「Gogic Five」(第2回)

~モーション作成編
Reported by 石井英男

モーション作成ソフト「Gogic Tuner」を利用してホームポジションを設定する

 ほとんどの二足歩行ロボットキットは、組み立て後、ホームポジションの設定を行なう必要がある。ホームポジションは、ロボットの動きの基本となるポジション(ポーズ)であり、ホームポジションが正しく設定されていないと、動きが不安定になり、歩行などのモーションを正しく実行できなくなるので、ホームポジションを正確に合わせることは非常に重要である。

 一般的な二足歩行ロボットキットでは、サーボモーターが20個近く使われているためホームポジションを合わせる作業もかなり大変だが、Gogic Fiveの場合は、サーボモーターが5個しかないので、ホームポジションの設定も簡単だ。

 Gogic Fiveでは、「Gogic Tuner」というモーション作成ソフトを利用して、モーションを作成する。最初にホームポジションの設定を行なうが、その前にGogic FiveとPCを接続する必要がある。


 Gogic Fiveには、PC接続用シリアルケーブルが付属しているが、シリアルポートがないPCの場合は、市販のUSB-シリアルアダプターを利用すればよい。また、公式に保証されているわけではないが、近藤科学の「シリアルUSBアダプター」(KHR-2HV/1HVに付属しているほか、単体でも発売されている)を利用すれば、PCのUSBポートとGogic Fiveを直接接続できる。ここでは、近藤科学のシリアルUSBアダプターを利用することにした。このアダプターを使う場合は、コントロールボードのスイッチ側に白いケーブルがくるように接続すればよい。

 モーションデータやサウンドデータをSDメモリーカードに保存するので、動作にはSDメモリーカードが必要だ。また、電源スイッチは、コントロールボードと電池ボックスの両方に用意されており、前者がマイコン(コントロールボード)の電源スイッチ、後者がサーボモーターの電源スイッチとなる。電源スイッチが2つあるので、切り忘れや入れ忘れに注意すること。

 Gogic Tunerは、4D Japanのリレーショナル・データベース統合開発環境「4th Dimension」上で動作しており、モーション作成ソフトとしては珍しく、Windows XP/Mac OS Xの両方に対応している(Gogic Player付属のモーション作成ソフトはWindows XPのみ対応)。公式に保証されているわけではないが、筆者が試した限りでは、Windows Vistaでも問題なく動作するようだ(近藤科学のシリアルUSBアダプターもWindows Vistaで動作する)。

 Gogic Tunerを起動すると、メニューウィンドウが表示される。初回起動時は、「SET UP」ボタンをクリックして、COMポートやサーボモーターのチャンネルなどの初期設定を行なう必要がある。

 Gogic Fiveのコントロールボード「Gogic Mixer」では、最大8個のサーボモーターを接続することが可能だが、Gogic Fiveで利用しているサーボモーターは5個なので、CH02~CH04、CH06、CH07のみチェックを付ける。また、サーボモーターの名称も入力しておくと、モーション作成時にわかりやすい。

 初期設定が完了したら、SET UP画面を閉じて、MOTION EDIT画面を表示させる。Gogic Fiveのモーション作成は、このMOTION EDIT画面で行なうことになる。

 モーションパレット(P01)を選択してチェックを入れると、画面中央にサーボパレットが表示される。サーボパレットの右下のボタンを押しながらドラッグすることで、サーボパレットの位置を移動できるので、Gogic Fiveのサーボモーターの配置に合わせるとよい。ホームポジションを作るには、まず全てのサーボモーターの数値を90にして、そのポーズを元に、微調整を行ない、上半身と脚、足首が前後、左右に均等になるようにする。


Gogic Tunerを起動すると、このメニューウィンドウが表示される。最初に「SET UP」ボタンをクリックして、初期設定を行なう必要がある SETUP画面で、まずCOMPORTを指定する。使用しているシリアルポートの番号は、デバイスマネージャで確認しておく

CH01~CH08までのサーボCHのチェックをいったんすべて外す CH02~04とCH06、CH07にチェックを付け、サーボの名称を入力する。色も変えておくとわかりやすい。設定が完了したら「Close」ボタンをクリックする

メニューウィンドウで「MOTION EDIT」ボタンをクリックして、MOTION EDIT画面を表示させる。MOTION EDIT画面の右上がポーズデータ、右下がモーションデータ、左上がサーボパレット、左下がモーションパレットとなっている モーションパレットの「P01」にチェックを付けて、サーボパレットを表示させる

Gogic Fiveのサーボモーターの配置にあわせて、サーボパレットをドラッグ&ドロップで動かして配置する 全てのサーボパレットの角度入力欄(地色が白のところ)に半角数字で「90」と入力する

ポーズデータ欄の「ADD」ボタンをクリックすると、ポーズ名を指定するダイアログが表示される 適当なポーズ名(ここでは「HOME」とした)を入力して、「OK」ボタンをクリックする

右上のポーズデータ欄に、今作成したポーズが登録されていることを確認する 先ほど登録したポーズを選択し、MOTION EDIT画面の上部にある「Link」にチェックを入れる

「RealTimeLink」にチェックを入れると、サーボパレットの値がリアルタイムにサーボモーターの位置に反映される 【動画】サーボパレットの値に応じて、リアルタイムにサーボモーターが動くので、動きを見ながらスライダーを動かせばよい

サーボパレットのスライダーをマウスで操作し、Gogic Fiveの上半身と脚、足首が前後、左右に均等になるように調整する 脚と足首が地面に対して、垂直になるように調整する(胸カバーを紛失してしまい、コントロールボード用の006P電池が剥きだしになっているが、実際にはカバーがある。以下の写真も同様)

上半身が左右に均等になるように調整する 調整が完了したら、「Ov.Write」ボタンをクリックしてデータを上書き保存し、「Home SEL」ボタンをクリックしてホームポジションとして登録。さらに「Rec HP」ボタンをクリックして、Gogic FiveのSDメモリーカードにホームポジションデータを書き込む

モーションパレットを並べてモーションを作成する

 ホームポジションの設定が完了したら、モーション作成に移る。Gogic Fiveは、スイングフレームと呼ばれる機構の採用によって、上半身の左右への重心移動と左右の腕の振りを1つのサーボモーターで実現していることが特徴だ。そこでここでは、上半身を左右に振ってから、お辞儀をする挨拶モーションを作成してみることにした。

 Gogic Tunerでは、最大16個のモーションパレットにポーズを登録し、モーションパレットをモーション編集フィールドの左から右へと並べることで、モーションデータを作成する。1つのモーションに付き最大16個のポーズというと少なく感じる人もいるだろうが、ジャンプや条件分岐などの機能も用意されているので、複雑なモーションも作成可能だ。

 最初にモーション編集フィールドの左から右までの時間軸(再生時間)を設定する。モーションパレットをモーション編集フィールドにドラッグし、チェックを入れることで、サーボパレットが表示される。ホームポジションの設定と同様に、サーボパレットのスライダーを動かして、ポーズを作成する。一つのポーズから次のポーズへの移行時間は、モーションパレットに数字で表示される。移行時間を長くするにはモーションパレットを右に移動させ、移行時間を短くするにはモーションパレットを左に移動させればよい。

 また、トラッキング機能を利用すれば、複数のサーボモーターの角度を同時に変更できるので、効率よくモーションを作成できる。編集中のモーションを再生するには、「PLAY」ボタンをクリックすればよい。モーションが完成したら、「SAVE」ボタンをクリックして保存する。


モーションデータ欄の「ADD」ボタンをクリックし、確認ダイアログで「OK」ボタンをクリックする モーション登録名を入力して、「OK」ボタンをクリックする

モーションデータ欄とモーション編集フィールドの上部に、先ほど入力したモーション登録名が表示されていることを確認する モーション編集フィールドの右上の実行時間設定ポップアップメニューを開いて、実行時間を5秒に設定する

モーションパレットの「P01」の右端のボタンを押しながら、モーション編集フィールドの右端までドラッグして移動させる 「P01」のチェックボックスにチェックを入れて、サーボパレットを表示させる

「P02」の右端のボタンを押しながら、モーション編集フィールドに移動させ、チェックボックスにチェックを入れ、上半身のサーボパレットのスライダーを動かして、ポーズを作成する トラッキング機能を利用するには、サーボパレットの右端のボタンをクリックしてポップアップメニューを開き、設定を行なう。ここでは、右脚のサーボを「+1」に設定した

同様にして、左脚のサーボを「-1」に設定する。画面上部のTRACKING欄の「+5」ボタンをクリックすると、右足のサーボの値が+5、左脚のサーボの値が-5されて、上半身が前方に傾く 最後にお辞儀から元のホームポジションに戻るポーズを作成する。MOTION DATA欄の「PLAY」ボタンをクリックすることで、編集中のモーションの再生が可能

モーションが完成したら、「SAVE」ボタンをクリックして保存する。「EXPORT」ボタンをクリックすれば、モーションごとにファイルとして出力することも可能だ

モーションを転送して汎用テレビリモコンでの操作が可能

 Gogic Fiveは、汎用テレビリモコンを利用してリモコン操縦が可能だ。高価な学習リモコンではなく、汎用テレビリモコンで操作できるので、低コストでワイヤレス化できることが魅力だ。ビクター、サンヨー、東芝、パイオニア、日立、LG電子の6社のリモコンコードに対応しているので、複数のGogic Fiveを同時にリモコン操縦することが可能だ。今回は、ビクターのカード型リモコン「RM-A105」を用意した。

 リモコンで操縦するには、モーションデータをGogic FiveのSDメモリーカードに転送する必要がある。SDメモリーカードへの転送は、リモコン登録画面から行なう。モーション一覧から登録したいモーションを選択して、「IRf SETUP」ボタンをクリックし、登録したいリモコンボタンを押することで、リモコンコードをモーションに割り当てることができる。リモコンコードの割り当てが全て完了したら、「SAVE GOGIC MMC」ボタンをクリックすれば、SDメモリーカードにモーションデータとリモコンコードが転送される。

 ここでは、Gogic Tunerの最も基本的な使い方を紹介したが、Gogic Tunerでは、サウンドの再生やアナログ入力値による分岐などの機能も備えており、センサーを利用した自律的な動作なども可能だ。画面デザインや操作性にはやや癖があるが、DTMソフトなどに似ている部分もあり、慣れれば直感的にモーション作成が行なえるだろう。


Gogic Fiveでは、汎用テレビリモコンを利用してリモコン操作が可能。今回は、ビクターの「RM-A105」を用意した MOTION EDIT画面を閉じて、メニューウィンドウの「CONTROLLER」ボタンをクリックし、リモコン登録画面を開く

左側のモーション一覧から登録したいモーションを選択し、右側のリスト一覧の任意の場所を指定して、「SET」ボタンをクリックする コントロールボードの電源がONの状態で、「IRf SETUP」ボタンをクリックし、リモコンを受光部に向けて登録したいリモコンボタンを押す。リモコンコードの読み込みに成功すると、リスト一覧に16進数8桁の文字列が表示される

モーション登録とリモコンコードの割り当てが全て完了したら、「SAVE GOGIC MMC」ボタンをクリックして、SDメモリーカードにモーションデータを転送する モーションデータの転送が完了すると、リモコンから操作できるようになる

【動画】作成した挨拶モーション。上半身のサーボ1個で、左右の重心移動と腕の振りを実現していることに注目 【動画】挨拶モーションの再生を横から見たところ

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2008/01/25 00:19

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