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通りすがりのロボットウォッチャー ロボットはりりしく空を飛んで欲しい
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Reported by
米田 裕
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日本人の大部分は、子供のころに刷り込まれたロボット像からなかなか抜け出せないのではないだろうか。
あらゆるロボットの行動や姿をマンガやアニメで覚えちゃったのだから、後が大変だ。
僕らは昭和30年代の子供だが、ロボットは空を飛べるものと簡単に考えていた。『鉄腕アトム』の「アトム」は最初から空を飛んでいたし、『鉄人28号』の「鉄人28号」もアニメ放映後、数話で空を飛べるようになった。
その後、登場したアニメのロボットたちも、ジェットエンジン、ロケットエンジンで空を飛ぶわけだ。
当たり前のように思っていたが、よーく考えるとこれにはかなり無理がある。
飛行機のように、翼があり、揚力を発生させるという飛び方はしていない
人間の形をしたものが空を飛ぶとなると、ほとんどが推力だけによる浮遊になりそうだ。ほんの少しだけ、胴体を使って揚力を発生させられるかもしれないが、ロケットやミサイルと同じようにエンジン推力による力技の飛行となりそうだ。
それじゃ、それにかかる推力はどう発生させるのだろう? 推進剤は身体のどこにあるのだろう? などと考えるのはかなり歳をとって大きくなってからの話だ。
子供のころには、そんなことは考えずに、ストーリーに見入っていた。よかったねぇ、あの頃は。
夕方になるとカレーやコロッケの匂いが路地に漂い、晩メシをかきこみつつテレビ画面に眼は釘付けとなる、『三丁目の夕日』のような時代だった。
ということだから、日本のアニメやマンガのロボットは人型であっても空を飛ぶのは当たり前だ。空気抵抗を考えると、人型のまま空を飛ぶのは不利な気もするが……。
● 空飛ぶ身体とは?
少しは空を飛ぶことを考えたのは『マグマ大使』(1966年~1967年TV放映特撮実写)のロケットへの変身ではないだろうか? いちおう翼のある飛行機のような形にはなるが、その変形はリアルではない。
なんと「マグマ大使」たちは、「ロケット人間」という生命体なのだ。ロボットではなかったわけね。とほほ。
となると、『レインボー戦隊ロビン』(1966年~1967年TV放映アニメ)に登場する「ペガサス」というロボットが、ロケットに変形して飛ぶのが空力を考えた飛行ロボットだろうか。
しかし「ペガサス」はロボット時にはほとんど歩くことはむずかしい形だし、それに、よく考えてみると、「レインボー戦隊」の他のロボットたちも人型で空を飛んでいた。
なかでも、「リリ」という看護婦ロボ(?)は、スカートのまま空を飛ぶという、うれしいやら恥ずかしいやらの飛びっぷりだった。
「ペガサス」は飛行のための空力を考えた形態というよりも、主人公「ロビン」を乗せて運ぶための設定といえる。
そんなわけで(なにがそんなだか知らないが)、ロボットは人型のままガンガンと空を飛ぶのだった。巨大な「ジャイアント・ロボ」(1967年~1968年TV放映特撮実写)も「モハッ」と叫びながら飛んでいた。
ロボットの飛行推進機関としては、ジェットエンジンやロケットエンジンが主流だったが、ヘリコプターのように頭上に回転翼を持っていたのは「ロボタン」(1966年~1968年連載マンガ・TVアニメ)と「ドラえもん」のタケコプターぐらいだろうか。
こちらは、頭のてっぺんについた回転翼が回転し、身体は垂直のまま飛行するといったものだ。推進剤がいらないし、ロボットの機械的な機構の一部と考えれば、まだ飛びそうな気がする。
そして、時代は合体・変形ロボット時代となり、飛行時には飛行機型に変形したり、飛行機が合体してロボットになったりするが、これは稿を別にしたいので、今回はふれない。
● 現実の飛行ロボ
さて、現実にも飛行ロボットはある。
小型2足歩行ロボットの背中にジェットエンジンをつけてしまう人の気持ちもよくわかるが、現実の飛行ロボは3種類に分けられる。
1つめは、飛行船のようにヘリウム風船などの浮力で浮き上がるタイプ。
2つめは、ヘリコプタータイプ。これにはヤマハの自律型ヘリコプターなんてのがある。
そして3つめは、飛行機そのものが自律飛行をするタイプだ。これは無人偵察機プレデターが有名だ。
そして、これらの飛行ロボットは使い方によっては役に立つが、暗い側面も持っているように思える。いやまー、全ての機械は正と負の側面を持つわけなのだが、飛行をすることで行動範囲が広くなる部分が気になるのだ。
役に立つということでは、飛行できることにより、火山の噴火口の調査、もしくは原子力施設での事故があって、放射能漏れがあるときなど、人間が近づけなくても空からの視察ができる。
実際には、谷間にある送電線を渡す作業や、農薬の散布などに無人飛行ヘリコプターが使われている。こうした民生用としての飛行ロボットの価値は高いと思う。
しかし、全ての先端技術の開発を、民生のためにと考えているのは日本だけではないだろうか? 世界の国々では、まず軍事用から開発が進む。
自律飛行をするロボット飛行機も、軍事用はすでに実戦へ投入されている。アメリカ空軍のプレデターは、高々度で最大約40時間の飛行ができる。赤外線などの各種監視カメラと対地攻撃用ミサイルを2基搭載している。
上空からそっと近づき、即座に攻撃をした方がいいと判断した場合には、ミサイルによって攻撃がなされる。その操縦は、アメリカ本土にある空調の効いた部屋からテレビゲームのように行なわれるのだ。
● 飛行ロボが悪の手に落ちれば
こうした飛行ロボットの価格はかなりなものだ。プレデターで約3.2億円、さらに性能の高い無人偵察攻撃機グローバルホークでは22億円ほどということだ。
入手に関しても規制が厳しく、民間へ流れていくことは少ないと思うが、民間開発の飛行ロボットであれば、テロ集団の手に渡らないとはいえない。
善いも悪いもリモコン次第ということで、いかようにも使われてしまう。
小型核兵器は無理だとしても、生物兵器、化学兵器、放射能物質、いわゆるダーティボムを搭載した飛行ロボットが、東京のような大都市をフラフラと飛んでいたら対策がかなりむずかしくなる。
飛行しながらウイルス、化学物質、放射能物質をばらまくとおどされたらどうするのだろうか?
都市内の低空を飛ばれれば、通常のヘリコプターや飛行機では対処できないし、地上から撃ち落すこともできない。落ちれば危険物質が飛散するからだ。
日本ではラジコン機などの飛行には規制があるのだろうか? 日曜になると近くの河川敷でラジコンの飛行機を飛ばしていたりするが、飛行の許可が必要だとは思えない。
NBCR(核兵器・生物兵器・化学兵器・核物質)兵器を搭載した飛行ロボットが、知らないうちにそうした河川敷から飛び立ち、都心部を襲うことがまったくないとはいえない。
そうした状況になると、人間は無力だ。しかし、自己犠牲を強いてまで人々を救おうという考えを持つ者も現れるだろう。
そのときに犠牲を最小限に抑えるには、やはりロボットによる対策が必要なのではないだろうか。
悪に対する正義のロボットは、やはり密かに開発されているのがいい。そして、災害が起きたときに「こんなこともあろうかと開発しておいたのじゃ」と突然登場するのが正しいヒーローへの道といえよう。
そのときには、飛行ロボット、2足歩行ロボット、怪力ロボットなどのチーム編成で登場してもらいたいものだ。
でも、そんなことはやはり無理かのう。だったら寂しいのう。と、幼年期にロボットアニメで正義を学んだオヤジは思うのだった。
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米田 裕(よねだ ゆたか)
イラストライター。'57年川崎市生。'82年、小松左京総監督映画『さよならジュピター』にかかわったのをきっかけにSFイラストレーターとなる。その後ライター、編集業も兼務し、ROBODEX2000、2002オフィシャルガイドブックにも執筆。現在は専門学校講師も務める。日本SF作家クラブ会員
2007/11/02 00:00
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