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ロボットデザイン考1 ロボットの姿の変遷

Reported by 米田 裕


 ロボットは誰がデザインするのがいいのだろう? 機械だから工業デザイナーなのか? 機能を追及するとエンジニアなのか? アニメのメカデザイナーなのか? ファッションデザイナーなのか? 考えると夜も眠れず昼寝してよだれを垂らすこととなった。

 夏の暑い盛りの昼寝はこたえられないね。

 なことしてる場合ではなく、ロボットのカタチは誰が作るのがいいのかということをすばやく書かねばの娘だ。

 自分で言うのも恥ずかしいが、オレはSFイラストを描いている(当人はまだ現役のつもり)。となると、SFに登場する見たことのないメカも描かなくてはならない。ロボットもそれらのひとつだった。

 ロボットはどういう姿をしているといいのか、それはとても気になった。小説のなかで書かれている機能を実現する形がいいのか、そんなものは関係なく見栄えのするものがいいのか、実在しておかしくないものがいいのか、つきつめて考えると1mmの線も描けずに締め切りとのせめぎあいで寿命が縮む思いをしていた。

 そして、SF雑誌の衰退とともに敵前逃亡してしまったカタチだが「不肖米田裕、恥ずかしながら前線に戻ってまいりました」だ。ロボットのカタチについて考えなければならない。

 ロボットが世の中に生まれ出ようという時代、子供のころに夢だった21世紀に生きる者として、ロボットの姿カタチはとーっても気になる。ロボットの姿を考えるために、過去のロボットからおさらいをしていこうと思う。


最初は人間そっくり

 元祖、本家、大元のロボットである『R.U.R』に登場するロッサムズの万能ロボットは、人造組織による人造人間だった。したがって外見は人間風だったと思える。

 もっとも、『R.U.R』は戯曲として書かれたので、舞台で演じないといけない。発表された1920年では、機械のような格好をして演じるのも難しかったので、人間と外観的に変わりがない姿となったのではないかと想像してしまう。

 実社会では、1920年代では、自動車が普及しはじめ、飛行機が飛ぶようになり、電気掃除機や電気冷蔵庫が登場しはじめた時期だ。

 著者のカレル・チャペックは先見の明を持って、ロボットを人間と変わらぬ姿としたのか、当時の舞台美術の事情からなのかはよくわからない。

 1907年には、アメリカの化学者 レオ・ヘンデリック・ベークランドによって、世界初の合成プラスチック「ベークライト」が発明されているが、当時は高価なものだから、それで人間のような外側を作るのも大変だっただろうね。

 1926年にはフリッツ・ラング監督による映画『メトロポリス』が公開され、女性型ロボットの「マリア」が登場したわけだが、あれは金属で作った着ぐるみだったのかな。だとするとかなり重いものだったろう。

 もっとも、映画館で見ていた男たちは「あれは女が変身したものでハダカなのだ」とムッシュメラメラと欲望をたぎらせながら見ていたのかもしれないが(笑)。

 やがて「マリア」の姿は、1977年公開の『スターウォーズ』の「C-3PO」に引き継がれるわけだけど、どう見ても、中に人が入っているわなというロボットの外観だった。

 ちょっと時代が進みすぎたので、もう少し前からロボットの姿カタチを追いかけてみよう。


機械としてのロボットスタイル

 1950年代、アメリカではSFブームとなった。アメリカとソビエト連邦の宇宙開発競争も手伝ったのだろうが、ロボットはSFの格好の題材だったため、ロボットSFも多く書かれ、それらのイメージイラストがSF雑誌の表紙をかざった。

 どうすればロボットが人間のように歩けるのかわからない時代なので、ロボットは胴体に細いパイプのような腕と脚を持ち、関節だけが丸く大きいというのが一般的な姿だったようだ。

 もちろん人間ソックリのアンドロイドもあったが、そうなるとロボットらしさが出ないと思われたのか、たいていは金属のボディに細長い手足スタイルだった。顔にも表情はなく、人間からも遠いスタイルだった。

 メカニズムや機械的なものが登場することで未来を表現できた時代だ。

 さて、その時代、日本ではロボットはマンガに登場する。みなさん、よくご存知の『ロボット三等兵』、『鉄腕アトム』や『鉄人28号』などだ。

 このうち「ロボット三等兵」はアメリカのSF画のロボットに近い構造だ。腕や脚は細く、関節が丸く大きいスタイルである。特筆すべきは股関節部分が描かれているところか。

 「鉄腕アトム」は、全身が人工皮膚に覆われているという設定なので、関節部分には1本の線が薄く引かれているだけで、その構造はわからない。それでも見えない部分には内部構造があるのだなと納得することができる。


50年代SF雑誌に描かれたロボットの代表的なスタイル。細い手足だったのはなぜだろう ロボット三等兵の脚部分。股関節? があるのが後年のマンガのロボットとちょっと違う アトムタイプに代表される、内骨格型? ロボット。関節にはうっすら線が描かれているだけだ

メカとしての構造はどうなっている?

 ところが「鉄人28号」の方は、膝や肘、足首の関節には蛇腹のようなパーツが見えて、内部に関節構造があることが想像できるが、股関節部は、胴体から大腿部がいきなり突き出している。

 鋼鉄の身体だから柔軟性はない。腰から脚はどうやって動くのだろうかと子供ながらに考えた記憶がある。

 この昭和30年代、大学などの研究機関でも、たぶん歩行の研究すら行なわれていないので、マンガ家に内部構造がわかる表現を求めても無理というものだ。

 同時代に実在していたロボットというと、「財団法人日本児童文化研究所」の相澤次郎氏によるロボットがある。一郎から九郎までが作られているが(トータルでは800体−相澤氏はロボットを『人』と数えていたが−以上のロボットが作られた)、2つの足は大きな箱のようで、中に車輪が入っていて、ラジコンで動くロボットだった。それでも背中から斜めにのびる受信アンテナはカッコよかったなぁ。

 四角い箱のような顔には、ライトの目や耳もあり、'67年製の九郎ではほっぺたがゴムで膨らむギミックまで備えていたが、足をあげての2足歩行はできなかった。

 こうして、実際に歩行するロボットはどんなものかはよくわからないまま時代はすぎていった。鉄人型の脚の表現は、1970年代半ばまで受け継がれることになり、『マジンガーZ』も同じような脚で表現されていたのだ。


鉄人タイプの脚の付け根部分。あまり自由度がないように思えるが、しばらくは主流の描き方となった 相澤次郎氏によるロボットはこんな感じだった。足が大きいのが特徴といえる。ここに車輪が入っていた

実在の2足歩行ロボット登場

 当時、2足歩行の最先端をいってたのは早稲田大学理工学部の加藤一郎研究室だ。'69年には自動2足歩行を実現し、'72年には静歩行を実現している。そうした模様はテレビのニュースでも流された。

 よちよちとゆっくり歩く映像を見ても、脚の構造は複雑すぎてよくわからなかった。多数のケーブル、チューブ、金属板の固まりだったのだ。これではアニメやマンガのロボットにはつかえない。複雑すぎるものは動かすのも大変だったからだ。

 当初、ロボットアニメで、腕や脚が円筒なのは、どの角度から見ても2本の線を描けばいいからだったという。

 これが四角だと、角の部分の輪郭が見る角度とともに変化していく。これをアニメートするのは大変だった。限られた時間と予算のなかで、それらを描くのはなかなかできなかった。

 しかし、'74年の『宇宙戦艦ヤマト』などメカ物というアニメも登場していた。それらを見てアニメ界に身を投じた、メカを描くことをいやがらない世代が育っていたという時代の背景もある。

 たしか『勇者ライディーン』のときには、まだ丸い円筒の脚だったと思う。そして、個人的にはテレビアニメを見なくなった時期が続き、つぎに見たのは『機動戦士ガンダム』だった。リアル路線のロボットといわれていた。

 ガンダムの脚は四角い。しかし、股関節部分はスカート構造に隠れて見ることはできない。膝や肘、足首などにはアクチュエーターらしきものがあるが、大部分の関節部の構造はよくわからない。実際のアニメでも、絵でしかできない変形をして動いていた。

 実際の人間なみに歩く2足歩行ロボットが夢の夢だった時代なので、これも致しかたないことだろう。

 余談だが、ロボットアニメのロボットの脚が四角くなった作品は『超電磁ロボ・コンバトラーV』からではないかと思うが、くわしい方がいたら教えて欲しい。


大学の研究室で動いていた2足歩行ロボットを記憶で描いて見た。ちょっと見ただけでは、何が何やらわからない リアルメカといわれたガンダムも、股関節部分はスカート構造に覆われていて、どのような仕組みなのかわからなかった

やっぱりホンダP2の衝撃

レトロでもなくそんなに未来的でもなく、いまそこにあっておかしくないロボットをという注文で描いたロボット
 '96年末に発表されたホンダのP2を見て、各部の関節の構造がわかった。とくに股関節部分は今までに見たことがなかった。

 パンツやスカート状のパーツからニョキっと大腿部が出ているのではなく、ちゃんと機械的に見てわかる構造だった。

 そして、脚も、前後方向より横に長い、ひらべったいものということも意外だった。実際の2足歩行ロボットは、想像していたものとはやや違っていたのだ。

 こうして、歩行の仕組みが解明された2足歩行ロボットは世の中に進出していく。個人のホビー用にキットが売り出されたことも大きい。

 しかし、まだ中身であって、デザインされたロボットが市販されているとはいえない。これはあくまでも2足歩行ロボットに限ってのことだけどね。

 20世紀末、ソニーは4足歩行の「AIBO」を世に出した。それほどの歩行性能はなかったけど、ロボットが実際に売られた瞬間だった。

 商品としてデザインされたロボットであり、それまでにない製品だったが、2006年1月、「QRIO」とともに撤退が報じられた。これはもったいないことだ。ロボットの社会への浸透が10年近く遅れてしまうだろう。

 こうして、デザインされた(そのデザインが機能にも結びつく)ロボットは消えてしまったぐらいにしょんぼりしているのが現在の状態といえる。

 いまあるホビーロボットの姿は「KHR-1」など、すでに骨格ができているロボットの外側パーツのバリエーションでできているといえそうだ。

 姿カタチを考え、機能を考え、内部構造を作り、ガワがはじめからあるというロボットは少ない。
「クロイノ」や「FT」のロボガレージ・高橋智隆氏のロボットにはそうしたイメージを感じるが、まだまだそうしたロボットは数が少ない。


再度、ロボットの姿はどんなものがいい?

 いま、『鉄腕アトム』のリメイクで浦沢直樹氏の『PLUTO』が連載されているが、その中に登場する「アトム」は人間と変わらない外観だ。というか、浦沢氏が描く人間と変わらない外観というべきか。

 手塚版アトムのように活躍するなら、空を飛び、100万馬力の力を発揮する。手塚版では「アトム」含め、人間もメカもカリカチュアされた姿だから違和感はなかったが、現実世界に投影してみると、そこらへんを歩いている子供が、いきなり空へ飛んでいったり、怪力を発揮したりする。これを当たり前と思えるようになるだろうか?

 現実世界でのロボットデザインはいろいろと難しい。マンガやアニメのロボットを大きくすればいいという解ではなさそうだ。

 そしてロボットデザイナーはまだいない。たぶん100年前、自動車のデザイナーもいなかったと思う。この100年でロボットデザイナーは育っていくのだろうか。

 絵という自分の仕事にも関係しているので、ロボットの姿カタチは気になる。どうなっていくのか楽しみに見守りつつ、折にふれて考えていきたいね。
(この項不定期に続く)



2006/09/08 00:33

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