robobakkonとロボナブル、「ロボット市場クリエイティブセミナー」を開催

~ロボットビジネスの現状・可能性と、消費者意識リサーチ結果を発表


ロボナブルとrobobakkon

 ロボット専門サイトの日刊工業新聞社「ロボナブル」と、ロボットビジネス関連のマーケティングサービスを展開する株式会社テンプロクシー株式会社ウェルコインターナショナルマーケティングテクノロジー株式会社の3社からなる「robobakkon(ロボバッコン)プロジェクト」、ネット調査会社のライフメディア社らは12月9日、日刊工業新聞社にて「ロボット市場クリエイティブセミナー」を開催した。当日は「robobakkon」が実施して11月26日に発刊した「ロボット市場/消費者動向調査CGMプライムレポート」「ロボット市場/消費者CGM インサイトレポート」の調査結果の発表のほか、ロボット市場マーケティングの問題点やこれからに関する講演が行なわれた。レポートする。

「ロボット市場の創造とコミュニケーション」

株式会社インターテクスト代表取締役 海野裕氏

 まずはじめにマーケティング会社の株式会社インターテクスト代表取締役の海野裕氏が「ロボット市場の創造とコミュニケーション」と題して講演した。海野氏は今回の調査において、「ロボット」というテーマでクローリングして何が見えてくるのかをCGM調査で探ろうとしたと述べた。CGM調査においては、コンシューマが持っている情報によるロボット情報が生成された結果を見ることになる。そこからコンシューマーがどんなロボット関連情報を持っているのかが見えてくるという。また、そこに新たな情報を加えるとどんな変化が起きるのかという観点で見ることが重要だという。

 海野氏は、ロボット市場と似て、職人技的な世界でシーズ発想が強く、作り手視点が強いものをユーザー視点の市場に変えていった事例として、新潟・燕市の「SUSプロジェクト」を紹介した。これはステンレス製品を売り出すためのプロジェクトで、そのときにはデザインに注目して、これからのハイタッチの製品は、ギャラリーから発想するという視点でプロジェクトを進めた。そしてこれまでのロボットにおける「技術的な価値」は閉じた世界では有効だが、これからの市場ではむしろ「社会的価値」を上げていくことを重視したほうが良い、と述べた。

 現状、「ロボット」というキーワードでネットをクローリングすると、製品や技術だけではなく、むしろ、製品や技術以外の面を含む記事が多く集まってくるのが現状だ。つまり受け手の価値と、送り手が想定している価値が乖離している。これはロボットは単一市場価値(閉じられた世界)ではないことを意味しており、市場に出るためには、発想の転換が必要だという。専門家が持つ知識を市場に出るためには、「社会にとってのロボット」とは何かと発想し、ロボットが持つ価値について、社会と産業の間に共通認識を構成することができる、という。いわゆる「ソーシャル・マーケティング」や「パブリック・アクセプタンス」がロボットにおいて重要になると述べた。

 ロボット市場はマーケティングでいういわゆる「4P(プロダクト、プライス、プレース、プロモーション)」のうち、「プロダクト」に大きく寄った市場になっている。だがロボットはもっと広がりを持つ題材であり、そのためにはプロダクトからもっとひいてみて、価値を見直していったほうがいいという。ロボットは個別の技術戦略がたくさんあって、そこに偏っている。では今後は、どこに注目すべきなのか。メタコンセプトレベルの理念の設定がロボットの場合は肝になるという。

 マーケティングは顧客主導に、社会は生活や暮らし中心に変化しつつある。以前はコンシューマーは情報を持っていないという前提でマーケティングは捉えられていた。だが、今はコンシューマは多くの情報を持っており、自分の情報で判断を下していく。ロボットに対してコンシューマが持っている期待値をどう考えていくかは送り手が考えなければならない。

 そのためにはまず、コンシューマが持っている「物語」を発見しなければならず、「ソーシャル・インサイト」が必要になるという。「インサイト」とは洞察という意味である。アンケートでは顕在化しない、消費者の潜在的な本当のニーズを理解すること、発見することで、多くの人の共感を得ることができる。実際の生活に入っていかなければ発見できない欲求が多々あるという。一方的に提供する「インフォメーション」だけではなく、相手の言葉を聞く「コミュニケーション」も重要になると述べ、海野氏は、ロボットのカスタマー・インサイト仮説を示した。以下のとおりである。

 1、適切に制御してくれる
 2、処理速度が極めて速くて、膨大な作業をこなしてくれる
 3、無駄を省いて効率化を支援してくれる
 4、人間には困難なことを実現してくれる
 5、身体能力の拡張
 6、カラクリってすごい
 7、擬人(アンドロイド)。どこまで人間に近づくの?
 8、コンパニオン。ロボットは人間のともだち

 現在のCGM調査で集めることができるのは、ユーザーからの一方的な期待であって、コミュニケーションの結果ではない。ハイデガーは、コミュニケーションは聞き手が重要だと述べ、ハーバーマスは行為が重要だと述べた。これからは一方的に「ロボットはすごい」というのではなく、社会にとってどういう意味をもっているのか、イメージに輪郭を与えることであり、ロボットと人の関係性をデザインした共感納得ストーリーであろうと講演をまとめた。

「ソーシャル・インサイト」が重要だという社会にとってのロボットの意味を考えるべき共感納得ストーリーが重要

「公的市場予測からの脱却とロボット市場への堅実なアプローチ」

「ロボナブル」編集長 今堀崇弘氏

 続けて、「ロボナブル」編集長の今堀崇弘氏が「公的市場予測からの脱却とロボット市場への堅実なアプローチ」と題して、公的機関が発表する市場予測が抱える大きな問題点や、5年から10年先を見据えたビジネス立案について講演し、架空の市場予測を前提にするのではなく自分の目で判断することが重要だと強調した。

 ロボット市場予測といえば、「日本ロボット工業会」が出した予測が有名で、講演そのほかでもよく引用されている。最近修正されたものだと2010年に1.3兆円、2025年に6.7兆円とされている。だがこの予測は、民間の実態調査をベースにした数値とは大きく異なっており、工業会の市場予測数値は問題があると指摘した。算出根拠にも具体性がなく、ベース数値が主婦のみなし賃金とされているが、それはそもそも購買力や購買意欲とは関係ない。労働代替率も根拠が不明で、もっとも適用しやすいと考えられる製造分野での代替率が低く想定されているなど意味不明だと指摘した。これはそもそも「ロボットからRTへ」という形で概念をシフトしたことで恣意的な形に数値をふりやすくなってしまったことが問題であり、故・谷江和雄氏も具体的な製品が想定されているわけではい。最大値の予測であって、売れるロボットが開発されなければ、市場規模0になることに注意する必要があると問題点を指摘していたと紹介した。

 ともかく次世代ロボットの市場規模は現状では100億円未満であり、予測とは大幅にかけはなれており、市場の実態を冷静に見ることが必要だと述べた。ヒューマノイド研究についても、キラーアプリが見つかれば普及するというが、アプリケーションなしに作っているようでは、どこに向かって作っているのかと言いたくなる、それはものづくりの本質から逸脱しているのではないのかと批判した。

日本ロボット工業会(JARA)の市場予測と民間調査会社の予測調査の違い日本ロボット工業会の市場予測の問題点

 では、現段階で堅実なアプローチとは何か。参考になるのは、やはり市場の実態調査、他の機械分野の市場規模を見る事である。強いて「ロボット」と呼べなくもないような自動機械、省力化、無人化、自動化、プロが職場で使うもの、本業から派生したものなどの姿が実態調査からは見えてくる。実際に産業用ロボット業界でも川崎重工やファナック、デンソーウェーブ、安川電機などが、それぞれ食品業界、医薬品業界に進出するなどしている。

 結局、いまのところ、市場予測は難しく、量産効果には頼らないほうが良い。現時点で、売れる価格に相当する機能を持つ機械を作ることが重要だということになる。また労働力は実際には過剰であり、足りないのは「人手」ではなく、「仕事」であると今堀氏は述べた。

 いっぽう、サービスロボットはなぜ必要なのか。サービス産業の労働生産性が低く、イノベーションの必要性が求められているからであり、また顧客が個別化する現状、サービスのカスタマイズ化にはロボットはフィットすると考えられる。またGDPの7割を占めるサービス業にロボットが参入を狙うのは当然のことだ。

 しかしながら参入は容易ではない。「サービス」は、一連のプロセスを通じて価値を創出するプロセスだ。局所的にロボットに置き換えられても有効とは感じられない。今掘氏はダイヘンが開発した移乗ロボットを例に出した。機能は満たしているが、結局人間がやるほうがはやく、病室でどこに置けばいいのか分からないなどさまざまな問題があり、実証実験は行なってその評価は高かったが、実際の導入には至らなかった。けっきょく看護現場の院内サービス全体を見直すことが必要だという。

 また開発目標を定めるときも、いわゆる「えらい先生」ではなく、本当の現場のニーズを聞く事が重要であり、ニーズを聞く相手を間違えると開発の方向を間違えてしまうと指摘した。予算や権限をもつユーザーや部署が関与することも重要だ。サービスロボットの成功例として挙げられる富士重工は、住商と組むことで成功したが、それは住商から共益費のダウンを狙った清掃効率アップを指示したとことも大きかったという。

 またロボットのターゲットは単純労働、肉体労働の置き換えとされることも多いが、利益を直接生み出さないところをターゲットにすると、日雇い労働者の時給との戦いになってしまう。そうなることを防ぐためにはバックヤードだけでなく、売り上げに直接寄与するフロントステージを対象にすることもまた重要になると指摘。アサンテのシロアリ防除ロボットがバックヤード(床下点検)だけでなく、実際のその様子をモニターを通じてみられるようにしたことで、信頼度を上げ、営業効率アップを狙っていると紹介した。経営への寄与が大きいのはフロントステージであり、そのための仕掛けが重要になるという。10年計画で時間はかかるが、今後注目していると語った。

現在、売れているロボットサービスプロセスの局所的置き換えでは難しいアサンテのシロアリ防除ビジネスでのロボット活用

 多くの事業者は最終的にロボットというハードウェアにまとめあげることを目指しているが、一つのシステムにまとめあげて顧客満足を得ることは難しい。だがロボットビジネスに限らず、新規事業の基本は、従来にない顧客価値をコンセプトとして提示することだ。つまり、ロボットを作ること=ロボットビジネスではなく、人とロボット、あるいは人とRTを最適なバランスで組み合わせることで新たな顧客価値を提案する事、サービスプロセスのリエンジニアリングが重要になるという。そのためには、自社が持っている技術の特徴を顧客に対してうまく見せることが重要だ。顧客ユーザーと付き合うためには、ロボットを前面に出さないこと、ロボットの押し売りをしないこと、ユーザーの商売を丁寧に分析して最適な解決策を提示すること、事業の専門家と組むことであり、ロボットに詳しい専門家とは組まないほうが良いと語った。

 最後に、ロボナブルが国際ロボット展の折に発表した「ロボットビジネス番付」を見せた。詳細は12月14日以降に同社サイトで紹介される予定だ。技術を社会に有用なものとして見せる役割はビジネスモデルが担っているのではないかというコンセプトで、2009年に同社が掲載した記事の中から選んだものだという。

ロボットビジネスのアプローチロボットビジネスに必要な取り組みは、極めて当たり前のこと(顧客の競争優位に繋がる提案)をすること「ロボット」の押し売りは駄目
最初から作り込むよりもループを高速で回して改良を狙うロボットビジネス番付ロボットビジネス番付の目的

「アンケート調査から見える消費者のロボット意識、ニーズ、価値観」

株式会社ライフメディア マネージャー 武谷達英氏

 株式会社ライフメディアの武谷達英マネージャーは、「アンケート調査から見える消費者のロボット意識、ニーズ、価値観」と題して、アンケート調査の結果を発表した。これは「ロボット」というワードで市場を捉えていく際、産業分野の人が考えるロボットと、消費者がイメージするロボットはどのくらい接点があるのか、どのくらいギャップがあるのか、ギャップにどのようにアプローチすることで市場が開けるのか調べるために消費者動向問題意識調査を行なったもの。市場への期待値は、産業業界と一般消費者が同じ方向性をもっているのか、ロボットに興味を持っているのはどういう人たちなのかなど、消費者の全体像を把握するためだ。調査は、ライフメディアの「iMiネット」で行なった。母数は1,592件。

 調査の結果、「ロボット」というワード自体への興味は高く、78%が魅力を感じていること、特に男性は85%が興味を持っていることがわかった。実に4人に3人である。では「ロボット」に何か関わりがあることをしているのかというと、ロボットに関することは何もしていないという人が60%、関わっていて、イベントに参加する人は10%程度という数字になった。残りは、媒体を通して「ロボット」というワードに接しているに過ぎない。それも実際のロボットだけではなくイメージのロボットも含めての話である。

 「ロボットにして欲しいことは?」と問うと、ニーズは回答者のライフステージを反映し、日本の縮図そのものになった、という。つまり、掃除・整理・整頓・後片付けをロボットにしてほしい、またセキュリティ、ボディガード、レスキューなどに役立ってほしいという欲求が強いという傾向が出た。また、どちらかというと男性に特徴的な傾向として「洗濯や料理をしてほしい」という声があり、いっぽう女性のほうは「介護の手助けや、重量物を持ち運ぶ手伝いをして欲しい」という声があったという。つまり生活で日々感じているニーズをそのまま、ロボットというイメージに託してあげているということだ。ニーズとしては「生活支援」が圧倒的で、ロボット研究でしばしば見られる「コミュニケーション」や、知的機能への期待はそれほどなかった。

 現状のロボット意識について聞いてみたところ、全体観としては、日本のロボットは進んでおり、生活も便利にしてくれるといった前向きの意見が多く、悪用の不安があるが、期待は大きいというものになったという。しかしながら技術の進化が遅く、進んでいるという割には消費者用の製品が出てきていない、という意識を多くの人が持っていることが分かったと述べた。

 ロボットへの意識・期待を多変量解析したところ、現在の消費者は、4つのクラスターに分類された。「日本の担い手、期待グループ」「ライフロボット待ち望みグループ」「ロボット意識下グループ」「ロボット期待&不安交錯グループ」だ。

 現在のロボットの認知度やロボットらしさを調べたところ、産業で話題になっているものの、認知度が低い。消費者は寿司ロボットや掃除ロボット、お掃除エアコンなどは知っているが、深海用ロボットのうらしまなどの認知度は低い。いっぽう、ロボットとして認めるものは、と聞かれると、お掃除エアコンのポイントは下がり、ロボット掃除機、火星探査ロボットなどのポイントが高くなる。結果的に、消費者がもっともロボットとして認めるロボット製品は、お掃除ロボットという結果になったという(ASIMO、AIBOを除く)。

 まとめると、ロボットに対しては基本的にイメージ先行で、夢や日本を背負って立つという期待は大きく、イメージも良い。魅力的な存在だが遠い存在でもあり、生活の部分ではロボットは具体的にはイメージされていない。自動型・自立型で多機能な機械をロボットと捉えており、ニーズで見ると、人間の欲望をサポートするものであれば、ロボットというワードがあてはまるようだという。特に日常生活のなかで、なかなか解消されない部分でロボットの期待が大きい。といったところになる。

 武谷氏は「ロボットに対して興味がある人は75%もいるので、マーケットの創造そのものには可能性がある。でも具体像が固まってない。消費者のニーズはゆっくりと熟し始めているが、まだまだ曖昧であり、一つ一つニーズを補っていくことが重要ではないか」と語った。

ロボットへの興味そのものは多くの人が持っているしてほしいと思っていることは生活支援が圧倒的ロボットに対する意識で見ると消費者は4グループに分かれた
ニュースで話題にされているロボットの認知度も低かったロボットとして認知されているのは寿司ロボットや火星探査ローバー。なぜか「まねき猫ダック」のようにロボットではないものもロボットに対するイメージは高機能、正確、役に立つなどポジティブ

「掃除機のコンジョイント分析から見えるロボット機能のユーザー価値」

株式会社テンプロクシー代表・マネジメントコンサルタント武道誠芳氏

 株式会社テンプロクシー代表のマネジメントコンサルタント武道誠芳氏は、「掃除機のコンジョイント分析から見えるロボット機能のユーザー価値」と題して講演した。掃除機の相場として消費者が考えている価格はおおよそ6万円であり、「ロボット化」に対して消費者が支払っても良いと考えている価格プライムはおおよそ3万円だという。

 武道氏によれば、製品に対するロボット機能の持たせ方が「コンジョイント分析」することで具体的に見えてくるという。「コンジョイント分析」とは、回答者に実際の購入シーンを再現した質問を複数回提示して回答してもらうことで、消費者の深層心理を数値化し、商品の構成要素の価値を測定する手法。これによって消費者が重視する商品特徴が明らかになり、また投入商品のシェア予測が明らかになる。

 今回は、「ブランド」や「性能」「価格」など7つの属性をそれぞれランダムに組み合わせ、架空の掃除機パッケージを作り、調査を行なった。すると、掃除機は、価格、メーカー、掃除機のタイプが重視されることが分かったという。家庭用掃除機の場合、価格の重要度が36%、メーカーが23%、そしてロボットであるか従来型であるかを示す属性、掃除機のタイプが17%と続いた。掃除機本来の機能である、掃除・吸引性能は重要度は4番目くらいだった。なおこれは一般家庭の場合である。特定の年齢層をターゲットにした場合、結果は変わってくる可能性がある。

 また各属性の効用値(好き嫌い)を調べると、価格は6万円くらいが妥当だと考えられていることがわかった。そこで、パナソニックとダイソンというブランドで仮想のシミュレーションを行なったところ、ロボット機能の有無よりも、価格の高低のほうが購買に対して影響が大きかった。いっぽう、ルンバとパナソニックを比較して、パナソニックの製品にロボット機能を搭載したときにどのくらいのシェアが伸びるのか、さらに価格を据え置いた場合どうなるのかを調べた場合、パナソニックがもし自動ロボット掃除機に乗り出すとブランド力が相対的に弱いルンバは市場ではかなり厳しい立場に追い込まれるという結果になったという。

家庭用掃除機購入でもっとも重視される属性は価格国内有名ブランドが参入したときの影響は大きい掃除ロボットのコンジョイント分析の結果

「消費者動向調査CGMプライムレポートからわかる消費者のロボットへの関心、反応、行動」

ウェルコ・インターナショナル 代表取締役 日置孝子氏

 最後に株式会社ウェルコ・インターナショナル代表取締役の日置孝子氏が「消費者動向調査CGMプライムレポートからわかる消費者のロボットへの関心、反応、行動」と題して、CGM調査の結果について講演した。インターネット上のブログなど2億件からネット上のコンシューマーの意見の時系列、連動性分析を行ない、「ロボット」というワードや存在がどのように捉えられているのか見た調査だ。結果的には、アニメやゲームなどに登場するロボットについての議論が多く、実際のロボットに対する意識は相対的にそれほど高くないという、多くの人の予想通りの結果が出たようだ。

 ロボット言及ブロガーのプロフィールとしては、20~30代の男性が圧倒的で、特にアニメやマンガ、ゲームについて書いている人が多いが、データを見ると、その次点に「ロボットの研究や製作・開発に関わるブログ」が続いている。いっぽう女性のほうからも、「ロボットのようなものが欲しい」という声が、日々、つぶやきとして出てきているという。

 日置氏はホンダのカセットガスで動く家庭菜園用耕耘機「ピアンタ」に注目。これは、車好きの人が「ASIMO」っぽいデザインだということで、好んで話題にしていることが多かったという。結論として、民生用ロボットは製品コンセプト、機能、付加価値などを市場に浸透、定着させるまでに至っていない状況だが、ロボットに対する潜在ニーズが日々のブログで数多くつぶやかれており、そこに開発のヒントが潜んでいるのではないかと述べ、「特定分野から発想するのではなく、人の行動や意識に着目すると市場を作れる可能性が大きい。まずは先入観を捨てて市場をウォッチしよう」とまとめた。

「ロボット」について言及しているブロガーのプロフィール映画やアニメ、ゲームの「ロボット」への反応が多い月面探査のロボットに二足歩行ロボットが取り上げられたときの推移

 「ロボット」市場の困難さは「ロボット」という言葉一つとっても100人100様のイメージを持っていることにもあると思う。それがそのまま感じられたセミナーだった。なお今回のセミナーの元となった「ロボット市場動向調査CGMプライムレポート」の完全版は、robobakkonのサイトで販売されている。


(森山和道)

2009/12/11 16:39