「ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド 2009」レポート
~ロボットテクノロジーも応用されたハイテク福祉機器が集結
数々のハイテク福祉機器がパシフィコ横浜に集合した |
社会福祉法人横浜市リハビリテーション事業団が7月24日、25日にパシフィコ横浜で開催した、「ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド 2009」。同展示会は、「福祉を支える人とテクノロジーの総合展」で、近年はロボットテクノロジーを導入した製品なども出展されている。ここでは、そうしたハイテク福祉機器を紹介していく。
●階段昇降ユニットなどハイテク型が多数出展された電動車イス
数多く出展されていたのが、最新の電動車イスおよび車イスをサポートするシステム。まずは、それら車イス関連から紹介しよう。
・ナブテスコの階段昇降ユニットと坂道が楽になるアシストホイール
同展示会では、ロボットテクノロジー系の製品がいくつか紹介されていた。中でもそれらしい雰囲気だったひとつが、ナブテスコの階段昇降ユニット「J-MAX」だ。さすがに安全面の問題から、介助者がグリップを握って前後に移動させる必要はあるのだが、専用の車イス「J-COMPACT」とその利用者を持ち上げるのはロボットアームの「L型昇降フット」が担当するので、介助者が力の限りを尽くすようなことはない。非常に楽に階段の昇降を行なえる。
車イスが転落したりしないよう、前方にはセーフティーアームが延びており、万が一の場合はそれがロックするし、階段の縁では自動的に安全ブレーキが働いて事故を防ぐ仕組みだ(階段の形状やサイズ、操作状況によっては100%働かないこともあるという)。実際に90kgオーバーの体重のある記者が座って、ブースに設けられた階段で実際に昇降を体験させてもらったが、力強く着実に登ってくれるのがわかった。階段を正面にして少し寝かされた状態で昇降するので、最初はジェットコースターの最初の山登りのような角度なのだが、慣れてしまえばそれほど怖くはない。
また、実際に介助者の立場としての昇降を操作する体験させてもらったが、力を入れる必要はないので、非常に楽だった。10~20kgの子供でさえ車イスごと持ち上げるのは大変だが、これなら記者が半身不随になったとしても、小学生の末っ子にも面倒を見てもらえそうである。ただし、さすがに人が登っていくようにせっせと登れるわけではないので、その点は致し方ないところ。1回の充電で、300~500段の昇降が可能だ。
専用車イス「J-COMPACT」を装着して「J-MAX」を実際に操作している様子 | J-MAX+J-COMPACTが階段を登るところを横から | 階段昇降ユニットJ-MAX |
J-MAXのJ-COMPACTとの接続部 | J-MAX後方 | 介助者用グリップのコントローラ |
【動画】J-MAXが階段を昇る様子 | 【動画】J-MAXが階段を降る様子 |
また同ブースでは、電動アシスト自転車の車イス版ともいうべき介助用電動車イス「アシストホイール」の展示も実施。実際にスロープが用意されており、電動アシスト機能のスイッチオフとオンの両方を体験して比較できる仕組みになっていた。
スイッチをオンにすると、まさに引っ張られるぐらいの感覚でスイスイと登っていってしまうので、老々介護などが問題になっているが、力のない年配の女性でも平坦な道を進むように楽々と登っていけるはずだ(引っ張られるぐらいなので最初はビックリするかも)。後ろの2輪にモータが装備されており、14度の坂も軽々と登っていってくれる。ちなみに、この14度の登坂能力がどれぐらい便利かというのは、段差を乗り越えるのに必要なスロープの距離でわかる。
通常の車イスの場合は、段差の8倍の距離が必要とされ、例えば、30cmの段差を乗り越えたい場合は、2.4mのスロープが必要となる。角度としては6~8度だ(これでも、女性が押したりするのはかなり大変)。それが14度だと、スロープの距離は段差の4倍で済み、1.2mしか必要ないというわけだ。また、スロープで危険性が出てくるのが下り。その点も考慮されており、下り坂ではモータがブレーキをかける仕組みで、車イスが猛スピードで降っていってしまうような事故は起きない仕組みとなっている。1回の充電で作動距離なら約8km、作動時間なら2時間となっている。
介助用電動車イス「アシストホイール」 | モータ。後ろの2輪両方に装着されている |
バッテリも脱着しやすい位置にセットされている | シンプルなコントローラで、充電状況が4段階でわかる |
・スウェーデンに本拠を置くペルモビールの高機能電動車イス
スウェーデンに本社を置くペルモビールは、高機能電動車イスの販売メーカー。今回は、2台の電動車イスを展示したが、その内の1台が「C300リラクチルト」の後輪駆動型をベースにした、展示用に各種オプションも備えたスペシャルなもの。車イスを長時間使用することによる問題のひとつが、同じ姿勢で居続けるために起きるうっけつなどの問題。いくら映画館やクルマ、飛行機のファーストクラスの座席のように座り心地のいいイスであっても、長時間同じ姿勢でいっさい身じろぎせずに座り続ければ誰だってお尻や背中が痛くなるわけで、それを解消できるようにという機能を持たせたのが、C300リラクチルトというわけだ。
背もたれがかなり寝た状態になるチルト、背もたれが完全に真横になって足下のフットプレートも上方へ上がる(心臓より高い位置になるので、足の血液が降りて来やすくなる)リクライニングなどを電動で行なってくれる。また、4輪ともにクルマのようにショックアブソーバーを備えており、悪路でも走行しやすくなっている。さらに、デザイン的にもクルマ並みで、ハザードランプなども備えられているため、夕暮れ以降の視認性の悪くなる時間帯でも、クルマのドライバーなどからも確認しやすいよう工夫されている。なお、C300リラクチルトは、公費助成制度適応モデルだ。
展示用のスペシャルな1台。非常に高級感あふれる電動車イスだ | 電動チルトを実施したところ。利用者が姿勢をオートで変えられるというわけだ | 奥に見えるコイルスプリング。クルマに近い足回りとなっており、乗り心地抜群 |
後方。まるでクルマのようなデザインとなっており、ハザードランプも点滅する。 | 手元のコントローラ | 【動画】電動チルトを実施しているところ |
・吉田いすのレカロ製シートを利用した電動車イス
メックデザインの電動車イス事業部門の吉田いす。木製パーツを利用したタイプや、カーシートをセットしたタイプの電動車イスを製作している。今回複数の製品が展示されていたが、目を引いたのがクルマのシートのメーカーとしては一流ブランドとして有名な「レカロ」製シートを使った電動車イス(もちろんレカロ社から許可を得て製作している)。4本のアクチュエーターを使用しており、姿勢変化のための前後もしくは左右へのチルト機能を有している。今回展示されていたレカロタイプは、左右にチルトできる仕様だった。なお、今後は、前後左右4方向にチルトできるようにする予定だそうだ。
レカロ製シートを使用したタイプ。車イスがドリフトできそうなイメージ | シート下の4本のアクチュエーター。現在は、前後もしくは左右にしかチルトできない | 【動画】左右にチルトする様子 |
・車イスでの生活に問題がないか住宅のチェックできる福井コンピュータの住宅ウォークスルーシステム
介護用のリフォームをしたところ、あとから車イスが通れる幅員がないといった問題がまま起きるという。そうしたことがないように事前にチェックできるのが、福井コンピュータのバーチャルリアリティ技術を利用した住宅ウォークスルーシステム「TREND Arena 家走現実」だ。横浜市総合リハビリテーションセンターと共同開発した製品だそうである。実際に利用者の車イスを機器にセットして利用でき、自分の車イスで移動するようにして、家の中を移動できるという仕組みだ。家の外観や家具の配置の様子といった、通常のリフォームの事前チェック用としても利用可能。
・車イス搭載可能な改造が施されたトライク製3輪大型バイク
大型バイクのカスタマイズなどを手がけるバイクチューニングショップのチョッパーの協力を得て展示を行なっていたのが、車イスを搭載可能にしたトライク製3輪大型バイク。クルマの方はウェルキャブと呼ばれる障害者向けの特殊仕様車を各社揃って用意しているが、なかなかバイクとなると大変である。目的地に着いてから車イスがないとそれも困るため、バイクで車イスを運べるようチョッパーがカスタマイズしたのが、展示車両というわけだ。たためるタイプの車イスを搭載できるバケットを左サイドにセットしてある(実際に個人の方が乗られている1台)。下半身に障害があっても、バイクにだって乗ろうと思えば乗れる時代になったのである。
重量感あふれるトライクの大排気量の1台を改造 | このボディ左側に設けられたバケットに車イスをたたんで収納する仕組みだ |
●車イス以外の移動用機器も展示
・新光産業が展示していた急な家の中でも問題ない屋内用階段昇降機
大都市圏の住宅などに見られがちだが、広くない敷地面積で居住スペースを稼ぐため、急な階段を使った2階建て、3階建ての一戸建て家屋がある。若いうちは問題ないわけだが、足腰が弱ってくると、上の階への移動がきつくなってくるし、下半身の障害がある場合は、上がるだけでも危険である。それを解消しようというのが、新光産業が展示していた階段昇降機「シュプール」だ。
スワンネック型のレールを階段に設置し、そこをシートが昇降する仕組みだが、特徴は曲がりくねった階段であっても対応できる点。直線的な階段に対応した製品は多いのだが、螺旋階段にまで対応できる屋内用階段昇降機は少ないという。体重も、90kgオーバーの記者でも問題なく、ちゃんとブースに設置されていた2階(さすがに中2階ぐらいの高さだが)まですんなり上げてくれ、降りもまったく問題がなかった。また、レールの出幅が少ないこと、バッテリ駆動なので停電時でも動作することなども特徴のひとつとなっている
シュプールのシート。コンパクト設計 | レールとモータ部分 |
【動画】まずは昇っていく様子 | 【動画】続いては降りてくる様子 |
・職業能力開発総合大学の下肢障害児用自律移動支援装置および電子ハンドル型電動車イス
日本では、下肢障害を持った児童に対し、身体機能の低下、危険性、また障害そのものを受け入れたくないという理由から、低年齢の内は電動車イスの導入を保護者がためらう傾向にあるという。しかし、子供の精神面や認知面の発達が運動面や感覚面での発達と相互に重要なものであり、幼い時期の自律移動の経験が発達に大きな影響を与えることから、その傾向はあまりいい者ではないそうである。
下肢障害を持っている子供でも、健常児と同じ時期に自律移動の手段を保持することが発達に重要であるとして、その考えの基に業能力開発総合大学とコーヤシステムデザインが共同開発しているのが、「自律移動支援装置」というわけだ。さまざまな姿勢でも乗れるようにある程度の広さを有しており、魔法の絨毯のような雰囲気なのが特徴。低速でも0.5km/h、中速でも1km/hと子供たちが多数いる中でも安全に移動できる速度に抑えられており、装置自体の重量は28kg弱、積載荷重は90kgとなっている。コントローラは、今回設置されていたような押しボタン式のものから、ジョイスティック、無線を利用したゲームパッドなど複数から選べるようになっている。
また、職業能力開発総合大学がブースで展示していたもう1台が、腕力や握力の衰えてくるお年寄りの操作を考慮した「電子式ハンドル型電動車イス」だ。こちらは、1号機の欠点であった屋外での使用に不向きという点を考慮して設計された、屋外用の2号機である。電子式ハンドルとは、ハンドルから直接軸でつながった前輪の角度を操作するのではなく、ハンドルの回転角度をポテンショメータによって検出し、マイコンにより駆動輪の(後ろ2輪)の左右の回転速度を変化させて進行方向を変えるという方式。操作感覚は自転車に近く、回転半径を小さく、軽量化も図れるというメリットのほか、操作力を軽減できることが大きい。また、感度や遊びなどを個人の好みなどに合わせて設定できるという利点もある。
自律移動支援装置。魔法の絨毯のような雰囲気 | コントローラ。手を動かせる子供なら、問題なく動き回れるというわけだ | 【動画】無人状態での動作の様子 |
【動画】実際に人が乗っての動作の様子 | 電子式ハンドル型電動車イス |
・豊田通商が展示していたチェアスキー
トヨタグループの1社である豊田通商のブースで展示されていたのが、下半身に障害のある人でも行なえる、車イスのスキー版といった趣のチェアスキー。1本のスキー板の上にショックアブソーバー機構を搭載し、その上に利用者が座るシートがある形だ。ブース内には、任天堂のゲーム機Wiiの周辺機器Wiiフィットを改造したチェアスキー体験ゲームが用意されていたので記者も試してみたが、感じとしては視点の高いソリという感じだった(記者はオヤジなので経験がないのでわからないが、スノーボードに近いのかも)。また、隣接する系列会社のトヨタレンタリース神奈川および神奈川トヨタ自動車のブースでは、ウェルキャブ仕様の3代目プリウスなどを展示していた。トヨタ自動車のウェルキャブシステムは、こちらの記事が詳しい。
チェアスキーの最新型「トリノモデル」などが展示されていた。パラリンピックで使用されている製品だ | トリノモデルのショックアブソーバー部分。タイムを出すには、クルマのセッティングに近い調整が必要そう | 助手席にそのまま乗り込めるシステム「助手席リフトアップシート」 |
車イスから運転席へ移動するためのシステム「フレンドマチック取付用専用車/ウェルキャリー仕様」 |
●便の問題も解決してくれるロボットたち
続いては、寝たきりのお年寄りの介護で、介護される側も介護する側も大変な便の問題に取り組んだロボットたちを紹介しよう。排泄処理は非常にプライベートな分野であるため、介護者にオムツを替えてもらうといった作業が減ること、トイレには行けなくても自分で洗浄などを行なえるということは、被介護者にとって喜ばしい点であるし、介護者にとっても負担がかなり減るため、これらの製品は注目を集めている次第だ。
・パラマウントベッドが開発した在宅介護向け製品のひとつ自動採尿機
パラマウントベッドが在宅介護向けの製品として開発したのが、自動採尿機「スカットクリーン」だ。トイレまでの移動は困難だが、尿意自体は感じられるというレベルの場合、これまではしびんで対応するしかなかったわけだが、大変なのはいうまでもない。また、せっかく尿意を感じ取れるところを、オムツで用を足すようにしてしまうのはよくなく、できる限り自分で用を足すようにすることが必要なのだそうだ。そこで有効なのが、スカットクリーンというわけである。
使い方は、男性用は簡単で想像もしやすいと思うが、レシーバーにあてがって排尿するというもの。女性用はちょっとわかりづらいかも知れないが、股に挟んで使用する形だ(レシーバーは男性用と女性用と2種類が用意されている)。レシーバーをあてがって排尿すると、備えられたセンサーが感知して自動吸引を行なうので、こぼれる心配がないというわけである。こぼれそうで心配だという人は、あらかじめ吸引機能を作動させておき、そこに排尿を行なうことも可能。タンクは3リットルあるのでそう頻繁に捨てる必要がないほか、脱臭フィルターも備えられており、しびんと比べると非常に扱いやすいというわけだ。
自動採尿機「スカットクリーン」 | 男性用レシーバー |
女性用レシーバー | 【動画】男性用レシーバーで水を吸い込む様子 |
・排尿のコントロールができなくなっても安心の尿吸引ロボ
吸収体専業メーカーのユニ・チャームと、ポンプ技術を有する日立製作所が共同出資して設立したユニ・チャーム ヒューマンケアが開発したのが、尿吸引ロボ「ヒューマニー」だ。上で紹介したスカットクリーンよりも症状が重くなり、排尿のコントロールができなくなってしまった方の利用を目的として開発された製品だ。これまではそうした方はオムツで対応してきたわけだが、夜中などは特に介護者の負担が大きく、またゴミも非常に多くなるという環境面での問題もあった。それに対し、ヒューマニーはまず一晩は持つので、その間に介護者におむつを取り替えてもらうような負担をかける心配がない。なおかつ、長時間使える(12時間ごとに肌ケアとパッド洗浄が正しい使用方法で、パッドは24時間以内に交換)使い捨ての「センサー付き尿吸引パッド」をオムツの代わりに使用するため、ユニ・チャームによればゴミの量も約1/10(CO2排出量なら約75%の削減が可能)に減らせるとしている。
仕組みは、センサー付き尿吸引パッドにチューブとセンサーを接続して使用し、排尿を感知するとヒューマニー本体が作動し、瞬時にして本体タンク内に尿を吸引するというもの。タンクの容量は1リットルあり、これにより、パッドの表面はサラサラ状態が保たれるというわけだ。目の前でそうした様子を実演してもらい、パッドに水を多量にかけるとあっという間に吸引。実際にパッド表面を触ってみたところ、実にサラサラ。尿残り量は約0.5cc以下がキープされるのだそうだ。また、外モレ率は1%を切る吸収性能である。なお、パッドはオムツよりはもっと小型で、単体ではオムツのように止められないので、伸縮ネットをその上に履いてずれを防ぐようになっている。ヒューマニーは特定福祉用具購入助成の対象品なので、居宅向けは1割の自己負担で購入可能だ。
尿吸引ロボ「ヒューマニー」の本体 | ヒューマニーの裏面。洗浄などは非常にしやすいよう工夫して設計されている | 右が「センサー付き尿吸引パッド」。オムツのように単体で身につけられるようにはなっていない |
センサー付き尿吸引パッドの裏面にセンサーケーブルの差し込み口がある | 尿吸引用のチューブとその差し込み口 | 【動画】パッドに水をかけると瞬時に吸引する様子 |
・排尿だけでなく排便まで自動処理できるエヌウィックの全自動排泄処理装置
今回展示されていた排泄処理系のロボットで最も高機能なのが、エヌウィックの自動排泄処理装置「マインレット夢」だ。オムツ内に装着するセンサー付きカップによって尿と便の区別を瞬時に行ない、すぐに吸引を開始。温水で洗浄し、続いて温風で乾燥、さらに微風で湿気や汗も乾燥させるというようになっている。なおかつ、こうした洗浄から乾燥までのステップは、便か尿かによって量や回数などが変更される仕組みだ。
また便でも、通常と軟便とでは温水の回数などが変わるようになっている。全自動で行なうこともできるが、利用者が自分で洗浄などを手元のスイッチで行なうことも可能となっている。おむつは汚れが非常に少ないため、1日1回程度の交換で済むことから、ゴミの減量化も実現(結果的にCO2の削減にもつながる)。ちなみに、便まで対応している機器はまだあまりないそうで、もっとも高機能な排泄処理ロボットというわけだ(マインレット夢は、同社において介護支援ロボットの1台として紹介されている)。ちなみに、撮影させてもらったムービーは、便に見立てた半固形状の茶色い物質を使っているため、少々リアルに見えるので、あらかじめ不快に感じるかも知れないことをお断りしておく。また、こちらの製品も介護保険特定福祉用具品目となっている。
自動排泄処理装置「マインレット夢」の本体 | 排泄処理系のロボットたちは、タンクの取り外しや洗浄など手入れが簡単なことが重要だ | オムツの排便する辺りに吸引口がある |
オムツには吸引ノズルと温水と温風を送り込むノズルが着いており、ちょっとメカメカしい | 【動画】排泄物の吸引→洗浄→乾燥のデモンストレーション |
●そのほか生活を便利にするシステムなど
・ホームコンピュータで家の中のコントロールがすぐ実現する情報通信支援用具
テレビやビデオ、DVDプレーヤーといったAV機器、エアコン、室内灯、電話など、最近は実にさまざまなものが赤外線リモコンを使用する仕組みになっている。介護ベッドなども赤外線リモコンでコントロールできる製品もあることから、それらを音声でもって一括して管理してしまおうというのが、ボイスキャンwelfareの「ボイスキャン」だ。電子カルテに使われる音声認識ソフト「AmiVoice」を利用した、日本初の音声認識を用いた情報通信支援用具である。
ボイスキャン操作ソフトなどを走らせるPCを中心に、赤外線の発信器、フレキシブルマイクといった構成で、赤外線リモコンでコントロールできる機器なら何でも音声で操作が可能というわけだ。ブースでは、テレビやビデオ、電灯などさまざまなものをコントロールできるようにしており、実際にその様子を撮影させてもらった。なお、電話に関しては社員の方の個人番号が出てしまうため、その部分は割愛した。百聞は一見にしかずなので、まずはその便利な様子を見てほしい。ホームコンピュータが管理する未来の家が、こんなにも簡単に実現してしまうのかという驚きを感じられることだろう(10万円弱で、機器・ソフト一式の購入と、訪問サービスによる設定までしてくれる)。
情報通信支援用具「ボイスキャン」の操作画面 | 赤外線発信器。これが届く範囲の赤外線受光装置付きの機器は何でもコントロール可能 |
【動画】実際にテレビや電灯などをコントロールする様子 | 【動画】デジカメのフラッシュ(撮影)もコントロール可能 |
・入院患者や寝たきりのお年寄りなどの離床を感知する安否検知型高性能離床センサー
自動排泄処理装置マインレット夢と同じエヌウィックの安否検知型高性能離床センサーが「瞬(しゅん)II」だ。ベッドの下にセンサーパッドを差し込むだけで、そのベッドの利用者の離床を確認できるほか、心拍数や呼吸数などの各種バイタルサインも取得することが可能。非拘束型であるどころか、完全に隠してしまうこともできるので、利用者が気にならないで済むというメリットもある。用途としては、入院患者や寝たきりのお年寄りが、ベッドから転落するといった事故が発生した場合に検知できるほか、様態急変時に警告を発するといったこともできる。また、PCに接続できるので、バイタルサインをリアルタイムで見ることもでき、そうしたデータはSDカードに記録することも可能だ。
ノートPCの右にあるのがセンサーパッドで、その右の箱形の装置がコントローラ | センサーパッドはこのようにマットの下などに挟むだけ | ノートPCに別売り専用ソフトをインストールすると、バイタルサインをリアルタイムで見られるようになる |
以上、ハイテク福祉機器が集結したヨコハマ・ヒューマン&テクノランド 2009のレポート、いかがだっただろうか。自分が介護する立場になる可能性、逆に事故などで自分が介護される立場になる可能性、どちらも誰もが持っているわけで、こうしたハイテク福祉機器が存在しているのを知ることができるのは、随分と安心できるのではないだろうか。かくいう記者も、体重が結構あるので、万が一の時のことを考えると、結構心配だったりするのだが、こうした機器を見ると介助してくれる人の負担を減らすことができそうなので、だいぶ安心できたというのが本音。それに、購入費用の問題も介護保険特定福祉用具品目に加えられている製品も多いようなので、その点も安心できる。それらは1割負担で可能になるので、高性能なだけに費用を心配している人も、かなり楽になるというわけだ。ありがたい時代になったとつくづく思える展示会であった。
2009/8/11 20:55