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【 2009/04/02 】
ヴイストン「Beauto Chaser」で学ぶプログラミング入門講座
【第4回】Beauto Builder Neoを使った応用プログラムの作成
[15:57]
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ヴイストン「Beauto Chaser」で学ぶプログラミング入門講座
【第3回】Beauto Builder NEOの使い方
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ヴイストン「Beauto Chaser」で学ぶプログラミング入門講座
【第2回】Beauto Chaserの組み立て
[13:23]
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ヴイストン「Beauto Chaser」で学ぶプログラミング入門講座
【第1回】Beauto Chaserとはどんなキット?
[13:37]

ヴイストン「Beauto Chaser」で学ぶプログラミング入門講座
【第2回】Beauto Chaserの組み立て

Reported by 近藤隆路(MONOLAB.)

 大学の技術職員となって早半年、さまざまな学生に出会います。機械工学研究部、二足歩行ロボット班班長のK君は現在機械工学科2回生であり、ものづくりセンターで行なっている「ロボットプロジェクト」のリーダーです。彼がいなければ大阪工業大学でこのプロジェクトが立ち上がらなかったであろうと言ってもおかしくないほど、彼はプロジェクト立ち上げに尽力してくれた学生です。プロジェクトを立ち上げた後は、さまざまな企画をこなしてきた敏腕営業マンである彼が、時々とんでもないおもしろ発言をします。

私「とても小さい子供も見学に来られるかもしれないから、飲み込めるような小さな部品は全部片付けておくように」
K君「そうですね。せっかく苦労して作った部品ですからね」

 今後も彼の活躍から目が離せません。

 というわけで皆様こんにちは。大阪工業大学ものづくりセンターの近藤です。Beauto Chaser学習レポート第2回目では本体の組み立てからサンプルプログラムの再生までを行ないたいと思います。といっても内容は非常に簡単です。ガンダムのプラモデルを組み立てるほうがよほど難しいでしょう。


充電池の購入をお勧め

 Beauto Chaserは単三のアルカリ乾電池4本を使って動かすことができますが、これから何度も使うたびに電池を購入していてはお金がかかってしまいます。思い切って単三充電池4本、充電器を買ってみましょう。大きなラジコンカーや二足歩行ロボットキットなどはバッテリの消耗が激しく、それこそ30分で底をついてしまうため複数のバッテリを用意しないと楽しめませんが、Beauto Chaserの場合は1セットあれば十分でしょう。私は12時間で満充電になるタイプの単三充電池を使っています。アルカリ乾電池は充電池の電力が底をついてしまったときの予備用に1セット用意しておくとよいかもしれません。


Beauto Chaserのセット内容 写真は筆者が使っている充電池と充電器。これらはキットに付属しないが、ぜひ揃えておきたい

工具の準備

上から1番、2番ドライバーとニッパー。手持ちがなければ近くのホームセンターなどで購入しましょう
 Beauto Chaserの組み立てにはプラスドライバーの2番とニッパーが必要です。プラスドライバーには精密ドライバーを除いて3つのサイズがあり、先端の小さいほうから順に1番、2番、3番で表され、ほとんどのドライバーにはNo1、No2などと表記されています。当然ネジも1番、2番、3番用のネジ山(プラスドライバーを差し込んで回すための窪み)がつけられています。ネジ山とドライバーのサイズを合わせずに使うとネジ山が痛んでネジを回せなくなるので注意が必要です。特に取り付けた状態でネジ山がつぶれると最悪です。ネジ山がつぶれて分解できなくなり、ペンチでネジの頭を無理やり回しながら苦労して取り除いた経験がある方もいるいのではないでしょうか。

 そんなことわかってるからさっさと話を進めてくれ~と思われるかもしれませんが、この話は重要です。なぜなら私は大学3回生の10月までドライバーにサイズがあることなどつゆ知らず、ネジ山は何度も使えば必ずなめる(ネジ山が擦り減り、ドライバーで回せなくなる)ものだと信じて疑いませんでした。2度と同じ悲劇を繰り返さないため(笑)ここで声たからかに宣言させていただきます。ドライバーやネジにはサイズがある!


ギヤボックスの組み立て

タミヤのギヤボックス
 さて、本題に戻りましょう。まずはギヤボックスを組み立てます。キットにはタミヤのギヤボックスが付属しますので、こちらを使用します。ギヤ比はハイスピードタイプのAから高トルクタイプのDまで4種類のタイプを選ぶことができます。ハイスピードタイプのAのギヤ比で組み立て、すさまじいスピードで走るBeauto Chaserを作りたい衝動をぐっと抑えて、最初は基本に忠実にDタイプ(低速タイプ)で組み立てましょう。タミヤのギヤボックスに付属している説明書を見て十分組み立てることができると思いますが、今回はギヤボックスの組み立て方についても触れたいと思います。


6角シャフトに6角ボスを取り付けます。19.5mmの距離を残してください ギヤボックスの組み立てが終わった後に6角ボスがはずれると、6角シャフトが抜け落ちて、ギヤボックスの中のギヤがバラバラになってしまうので、イモネジはしっかり止めましょう これを2個作ってください

次にブッシュ短(黄)を使うのですが似たような部品がたくさんあります。左からハトメ、ブッシュ短(黄)、ブッシュ長(黄)という部品名となっています。Dタイプのギヤボックスを組み立てるときはブッシュ長(黄)は使いません ブッシュ短(黄)を丸シャフトに押し込んで。ちなみにブッシュ短(黄)を使うところにハトメを入れてしまうと、ギヤがロックされてモーターが回らなくなる可能性があるので注意して下さい。4mmの距離を残してください ギヤボックスの左側面の部品(T3)の軸受けにハトメを入れます

六角シャフトの長く突き出ている方にグリスを塗ります 中心に近い軸受けに六角シャフトの長く突き出ている方を向けて差込みます G4のギヤには六角形の窪みがあります。この部分を6角ボスと合うようにはめ込みます。このときイモネジに六角形の窪みがG4のギヤと干渉しないように、写真のように1箇所だけイモネジをよけるための溝にあわせてはめ込んでください

6角シャフトごとギヤを奥まで差込みます 2段目のG3のギヤ(青)を隣に置きます 3段目のG3のギヤ(青)を6角シャフトに差込みます

4段目のG3のギヤ(青)を隣に置きます 5段目のG2のギヤ(黄)を6角シャフトに差込みます さきほどブッシュ短(黄)を圧入した丸シャフトにグリスを塗ります

2段目と4段目のG3ギヤに差し込みます ギヤボックスの中心の部品(T4)にハトメを入れます 6角シャフトと丸シャフトのギヤボックスの内側の部分にグリスを塗ります

6角シャフトと丸シャフトがT4の軸受けに合うように差し込んでください これで片方が完成しました T4を反対につけてしまうと写真のように中心付近のフレームの結合部が中途半端に残ってしまいます。このつけ方は間違いです

左から2つがタッピングビス、次がM3ネジ、ナット
 2種類のタッピングビスとM3ネジ、ナットが付属していますが、Dタイプのギヤボックスの組み立てでは、長いほうの3×18mmタッピングビスのみを使います。タッピングビスとはは溝の切られていない穴にネジを締めるときに使うタイプのネジです。タッピングビスを締めると、ネジ自身が溝を切っていきます。ネジを差し込む方向に少し押しながら回すのがコツです。

 しかし十分締まっている状態で、さらに力いっぱいネジを回すと、せっかくタッピンネジで切った溝がつぶれてしまうので気をつけてください。コツはドライバーをゆっくりとまわし、ネジの頭がT3部品に接するところでドライバーを回す抵抗が強くなりますので、それを手で感じ取ってください。


3×18mmタッピングビスを3箇所に締めてください。写真左下の奥には部品連結のための突起がついているため、間違えてタッピングビスを締めてはいけません ギヤボックスの間からギヤにグリスを塗ります なんと片方のギヤにグリスを塗っただけでグリスがなくなってしまいました。つけすぎたのでしょうか

仕方がないのでもう片方のギヤボックスはたタミヤのセラミックスグリスで代用しました。Beauto Chaserを購入したお店などでも売っているかもしれませんので組み立て中にグリスがなくなった方はBeauto Chaserの購入先で問い合わせてみるとよいでしょう 同様の手順で反対側も組み立てます ギヤの部分が外に露出しているため、持つたびにグリスが手につきベタベタになってしまいました。あまりマニュアルにないものを取り付けるのは後々ややこしくなるかもしれないのでお勧めできませんが、セロハンテープを貼ってグリスが手につかないようにしてみました

モーターはタイヤやBeauto Chaser本体の部品、ネジなどが入っている袋に一緒に入っています G1のピニオンギヤ(紫)を机などに押し当ててモーターに圧入します 配線がモーターとギヤボックスの間に挟まらないように差し込みます

T5の部品を2つのモーターに差込みます ギヤボックスが完成しました。いよいよ本体の組み立てに入ります

タイヤのランナーをニッパーで切り取ります。ランナーの突起が少しタイヤに残っている場合は、走行の支障になるのでできるだけきれいに切りとります 黄色いタイヤの部品をゴムの部分に押し込みます。少々硬いですがなんとかなると思います

 次はネジを使って各部品を本体に固定していきます。ギヤボックスの組み立ての部分でも書きましたが、ネジの締めすぎには注意しなければいけません。

 また、ここでネジの締める順番についても触れておきたいと思います。2個以上のネジを使って部品を固定する箇所がある場合は、1本ずつ最後までネジを締めずにわざとゆるめの状態で締めるのをやめ、すべてのネジをゆるめに締めてから、最後までネジを締めてください。一本ずつ最後まで締めてしまってもおそらくBeauto Chaserなら問題なく組み立てることができると思いますが、精密なロボットや車などの大きな機械を組み立てる際にこの方法を行なってしまうと、一箇所の固定箇所に力が集中し、ゆがんだ状態で固定されたり、他のネジが入らなくなったりすることがあります。Beauto Chaserはここまで気を使って組み立てなくても組み立てる事ができますが、将来エンジニアを目指しているという方でしたら、せっかくなので是非この方法で組み立ててみてください。


まずはBeauto Chaserのネジを確認してみました。組み立てには2種類のタッピングビス、M3ネジとスペーサーを使います。ネジは左からタッピングビスのネジB、ネジD、M3ネジのネジCとなります ネジB2本を使ってギヤボックスを取り付けます。片方のネジをゆるめに締め、もう片方も緩めに締めます。2本のネジでギヤボックスの位置が固定されてからあらためて最後までネジを締めましょう ちなみにネジを締めるときに写真のように指でネジを押さえると、ネジを落とさずに穴まで運ぶことができます

タイヤを取り付けます。奥までしっかり取り付けましょう モーターの配線をベースの後ろに空いている穴に通します

ボールキャスタの取り付け。ネジを締める順番に注意
 ボールキャスタをネジB4本を使ってベースに取り付けます。先ほどのギヤボックスの取り付けの時と同じように緩めに締めるのは同じですが、最後までネジを締めるときの順番も重要になってきます。

 例えば、4本のネジでゆるめに固定した後、左上→左下の順番で締めていけば左側にボールキャスタが左に傾いてしまう可能性があります。同様に左上→右上も後ろに傾いてしまう可能性があるため、左上から締める場合は次に右下のネジ、つまり対角線に沿ってネジを締めることをお勧めします。左上→右下と締めたあとは左下、右上どちらから締めても必ず対角線に沿ってネジを締めることになるので、好きなほうから締めて問題ないかと思います。


ベースにネジD1本(黒色)で赤外線センサーを取り付けます。ネジBと間違えないように注意してください。ちなみに赤外線センサーの向きは表裏どちらでもOKです CPUボードにスペーサー2本をネジC(黒色)2本で取り付けます。スペーサーを指で押さえながらドライバーを回してください。またCPUボードを触る前に、念のため体にたまった静電気を除去しておくのがよいかと思われます。お勧めの方法は水で手を洗う方法ですね。静電気で壊れることはめったにないと思いますが、これもエンジニアを目指すなら心にとめておきたいところです ベースにネジB2本でCPUボードを取り付けます。ここでもネジの締め方を忘れずに行います

センサー、モーター、電源コネクタをCPUボードに接続します。ネジCで固定したスペーサーはコネクタを挿入する際CPUボードが変形しないための押さえになっているわけですね 配線をCPUボードや電池ボックスの下に通してできるだけ配線が広がらないようにしてみました

 またもやエンジニアを方々へのチップスとなりますが、どれだけ美しく性能のいいものを造っても配線が美しくなければ、いろいろな意味で価値は大きく下がります。うまくまとめられていない配線がどこかに引っかかって断線したり、そもそも配線の汚さで美観を損ねたり……。きれいな配線に是非チャレンジしてみてください。まったく関係ありませんが、一部ではロボットの配線をきれいにまとめることを「ハイセンスっきり」と言うようです。

 さて、ここまで来れば、あとは電池を入れて完成です。Beauto ChaserのCPUボードには光を追いかけるプログラムが最初から入っていますのでロボットの動作を確認してみましょう。電源スイッチを入れてからボタンを押すとプログラムが開始されます。センサーが懐中電灯などの光を認識すると直進し、光があたっていない状態の時はその場で旋回し、光を探す動作を行ないます。


あとは電源を入れるだけ。あらかじめ入っているプログラムを使って動作確認をしよう 【動画】少々光の発見にてこずっているようですが、ちゃんと見つけることができたようです

 次回はBeatuo Builder NEOという付属ソフトを使いプログラムの作成に挑戦します。


URL
  ヴイストン
  http://www.vstone.co.jp/
  大阪工業大学ものづくりセンター(MONOLAB.)
  http://www.oit.ac.jp/japanese/monolab/

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