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「第9回国際宇宙ロボット(火星ローバー)コンテスト」レポート


火星ローバーのコース。中央の山がオリンポス火山で、その麓がゴール地点となっている
 3月1日(日)、福岡市早良区百道浜にあるロボスクエアで、「第9回国際宇宙ロボット(火星ローバー)コンテスト」が開催された。

 これは自作の車輪型ロボットを使い、途中でボールを採取しながら火星に見立てたコースを5分以内に走破することを目指すロボコンだ。第1回は、2005年10月にマリンメッセ福岡で開催された「第56回国際宇宙会議福岡大会」の中で行なわれ、福岡市を中心に今回で9回の開催を数える。

 今回は有線(リモートコントロール)部門に14チーム、無線(ラジオコントロール)部門に9チームがエントリーし、ゴールのオリンポス火山を目指して競技を繰り広げた。


難しくなっていた火星コース

 火星ローバーコンテストでは基本的に同じコースを使用する(当初は大会ごとにコースを新設する計画もあったようだ)。しかし、コースに変更が加えられることもあり、今回はシーソーの次のブロックの障害物(岩)が大きくなっていた。今回の参加者は、かなりこれに苦しんでいた。

 今まではコースの終盤に設置されていた上下に可動する壁はそれほど問題にされなかったが(ほとんどの選手はその壁を避ける形でコース取りをしていた)、障害物が大きくなったために自由なコース取りができず、動く壁の部分に入り込み、壁に邪魔されて転落する機体もあった。


今回、大きくなった障害物 可動する壁に倒される機体も

 そんな中、メインの有線部門で優勝したのは「新JTR」。火星ローバーコンテストで良い成績を収めるためには、ボーナスポイントの得られるボールを大量に取り込まねばならないが、新JTRは大きなバケットを装着して大量のボールを獲得し優勝した。有線部門の準優勝は「マーズトレイン2」。クローラータイプの機体で、石壁コースのショートカットを成功させるなど、走破能力の高いところを見せていた。


有線部門で優勝した新JTR 大量のボールを取り込んでゴールに向かう新JTR 新JTRのアップ。バケットの大きさが目立つ

難所を進むマーズトレイン2。クローラータイプはこんな時に有利だ 【動画】ショートカットを成功させたマーズトレイン2 完走はならなかったが、目立つディスプレイのロボ之助5

バラエティに富んでいた無線部門

 有線部門に比べて無線部門は毎回参加者が少ない。しかし、今回の無線部門は珍しく9チームもの参加があった。有線部門は小中学生が主体となっているが、今回の無線部門は一般の参加が多く、機体もバラエティに富んだものとなった。

 無線部門の参加者が少ないのは、無線化するために費用がかかることが一番大きい。これに対して「Hotproceed」チームは、「無線で操縦するためのセット込みで1万円」という機体で出場し、無事に完走。Hotproceedの湯前氏は「実際にこのセットを販売し、無線部門の参加者を増やすお手伝いをしたい」と語っていた。


Hotproceedの総額1万円ロボット。ヴイストンのロボットコントローラーとHotproceedの通信システムで操縦 途中でボールを落としてしまったが、無事にゴールまでたどりついた 【動画】ゴールしてアンテナパフォーマンスを見せるHotproceed機

 一番目を引いたのはデジカメを装備した「GRATON」。無線LANを使いデジカメからの動画をパソコンに送信できる機体だ。火星ローバーは地球からの操縦を念頭においており、これまで「インターネットを使った操縦実験」を何度も行なっている。その意味では火星ローバーコンテストの趣旨に最もかなった機体だと言える(ただし、操縦自体は目視による無線コントローラーで行なっていた)。肝心のデジカメの映像だが、ノートPCに映像を写していたが、途中で映らなくなってしまったらしい。それでもこのチャレンジは評価されるべきだろう。


デジカメを装着したGRATAN ノートPCにデジカメから送られた動画が映っているのがわかる 【動画】難所を突破するGRATAN

 そんな中、無線部門で優勝したのは、不整地用ラジコンバギー車を改造した「アレス」だった。他とはレベルの違うスピードでコースを駆け抜け、優勝した。2位にはクローラータイプの「マーズトレインRC」が入った。


とにかく速かったアレス ボールも大量に取り込んでいた 【動画】石壁ブロックに手こずったものの、レベルの違うスピードでコースを走ったアレス

ターンテーブルに挑むマーズトレインRC 大きな車輪が目立つマーズペンギン

 また同日には、簡単な迷路をセンサーを使って抜けていく自律部門も行なわれ、9チームが参加。「ロボ之助4」が優勝、「フロンティア」が準優勝した。


自律部門のコース 左上がゴールとなっている

「DREAMER」がJAXA賞に

 火星ローバー大会では、参加した全機体(自律部門も含まれる)を対象にして「ローバー大賞」が選出される。これはロボコン大賞のようなもので、新しい取り組みやユニークな機構などが主な評価の対象になる。

 今回ローバー大賞は「受賞者なし」ということになったが、その代わりにJAXAの小口氏から特別にJAXA賞が授与され、「DREAMER」が受賞した。DREAMERは無線部門に出場し、完走はならなかったが、独特のボール取り込み機構が評価されてのJAXA賞となった。

 なお、次の火星ローバー大会はロボスクエアで9月に開催予定とのことである。


JAXA賞を受賞したDREAMER 【動画】試合後に行なわれたDREAMERのボール取り込みデモ。ベルトコンベア方式でボールを奥に送っている 閉会式の様子

URL
  ロボスクエア
  http://robosquare.city.fukuoka.lg.jp/

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( 大林憲司 )
2009/04/09 14:22

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