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写真提供:NASA
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米国東部夏時間3月15日19時43分(日本時間3月16日8時43分)、フロリダ州NASAケネディ宇宙センターより、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の若田光一宇宙飛行士を乗せたスペースシャトル・ディスカバリーが打上げられた。若田宇宙飛行士の飛行は3回目で、日本人として初めて、国際宇宙ステーション(ISS)に長期滞在する。
今回のフライトナンバーは「STS-119」。目的はISSの組立となっており、ディスカバリーには太陽電池パドルを展開するS6トラスを格納、これにより、ISSの6人体制に必要となる電力を確保できるようになる。スペースシャトルによるISSの組立・補給フライトとしては28回目、ロシアによる打上げも含めると32回目の組立フライト。ISSの組立計画には、2011年12月までにあと10回のフライトが予定されている。
若田宇宙飛行士は、今回、日本人として初めて、ISSに長期滞在する。ディスカバリーの帰還後も、ISSにはフライトエンジニアとして滞在。ロボットアームの運用や日本モジュール「きぼう」での実験など、多岐にわたるミッションをこなしていく。約3カ月後のSTS-127で運ばれる「船外実験プラットフォーム」「船外パレット」を取り付けて「きぼう」を完成させ、エンデバーで帰還する予定だ。
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若田宇宙飛行士の主要タスク(その1)
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若田宇宙飛行士の主要タスク(その2)
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若田宇宙飛行士の主要タスク(その3)
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若田宇宙飛行士に続き、2009年12月頃からは野口聡一宇宙飛行士が、2011年春頃からは古川聡宇宙飛行士が、それぞれ6カ月間の長期滞在を予定しており、JAXAは「宇宙で生活する」ためのノウハウ獲得も期待する。若田宇宙飛行士の滞在中は、自身を実験対象とした「骨量減少・尿路結石予防対策実験」なども実施する予定で、骨粗鬆症の治療薬を服用して効果を確かめる。
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日本人宇宙飛行士の搭乗計画
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日本人として初の宇宙長期滞在
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打上げ後、現地で開催された記者会見では、JAXAの有人宇宙計画について質問が集中した。
日本は総合科学技術会議が2002年に「今後10年間程度は独自の有人宇宙活動計画を持たない」とした方針を打ち出しており、これまで事実上禁止してきた。しかし昨年、政治主導として宇宙開発戦略本部が発足、今月6日に開催された専門調査会では、有人宇宙活動についての議論がなされた。計画は月探査に重点を置いたもので、2020年頃にロボットによる無人探査、2025年~2030年頃に人とロボットの連携による本格的な探査を行なうという案まで出された。
JAXAの白木邦明理事は、「有人の輸送手段を持つことを我々は希望している。それは有人の宇宙船とロケットの両方だ」とコメント。「今後は長期滞在が連なっている。こういったことを通じてISSに投資した成果を上げていくが、きぼうは米国の本体に取り付けたモジュールに過ぎない。長期滞在で居住に関わる技術は身につくが、人をステーションに運んだり、あるいは宇宙から帰ってくる技術はまた別。今後はそういった分野にも貢献していけるような方策を考えたい」と述べた。
また林幸秀副理事長は、「米国なり欧州なりが一緒にやろうと言ってきたときにどう対応するのか。我々としては戦略本部で議論して方向を出してもらわないと動けない」とコメント。「議論になるのは、日本はどこまで自分の力でやるのかということだ。独自の輸送手段を持つのか持たないのか。持たない場合はISSと同じ形になるが、それでいいのかどうか。いろいろなオプションがあり、それにあわせてどのくらいお金がかかるのか検討する」とした。
国の方針を定める宇宙基本計画は、戦略本部での議論を経て、骨子が4月下旬に提出される見込み。目指すべきは果たして月でいいのかどうか、そのあたりも含めて注目していきたい。
■URL
宇宙航空研究開発機構(JAXA)
http://www.jaxa.jp/
( 大塚 実 )
2009/03/17 19:51
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