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「オートモーティブ テスティング東京2009」など自動車関連展示会が開催


ロボット・メカ系はほとんどなかったが、あまり見られない物もいくつかあった
 東京ビッグサイトで12日から14日まで、自動車関連の展示会「第8回 国際オートアフターマーケットEXPO2009」(主催:国際オートアフターマーケットEXPO委員会)、「第1回 国際自動車素材・加工展」(主催:国際自動車素材・加工展委員会)、「オートモーティブ テスティング東京2009」(主催:オートモーティブ テスティング東京2009実行委員会)の3展が合同開催された。大規模な展示会ではなかったが、大学発の試作電気自動車の出展などいくつか面白いものもあったのでお届けする。


非接触式の給電システムを搭載した早稲田大学&昭和飛行機工業の電動バス

 オートモーティブ テスティング東京2009のテーマ展示のひとつだったのが、早稲田大学大学院環境エネルギー研究科昭和飛行機工業が共同開発した先進電動マイクロバス「WEB-1 Advanced」だ。昭和飛行機工業生の非接触式給電システム「IPS」とのワンセットで展示されていた。


早稲田大学製電動バスWEB-1 Advanced 給電装置IPS

 WEB-1 Advancedの研究・開発に携わっている准教授の紙屋雄史氏によれば、現在の電気自動車の問題のひとつが、航続距離を延ばすためにバッテリを大量に積み、結果、重量増と費用の増加を招いていることとする。車重に対するバッテリ重量の割合が非常に大きく、人や物を運ぶのではなく、バッテリを運んでいるような状態になってしまっているという。特にバスのようなできるだけ人が乗れるように車内の空間を確保したい車の場合、バッテリを減らせることは容積的にも重量的にもメリットが大きい。しかし、バッテリを減らせば、当然長持ちしないので給電回数が増えてしまうという大きなデメリットが出てくる。1日1回でもケーブルを引っ張り出してコンセントにつなぐという作業が面倒に感じる人も多いのに、1日数回ともなると使い勝手の面で敬遠されてしまう可能性が高い。そこで登場するのが、今回開発されてすでに各地で試験運用なども行なわれているWEB-1 Advancedの非接触式給電システムというわけだ。


車内のバッテリ。これだけしか積んでいない バッテリの上の右の装置が給電用の装置。左側の装置はバッテリの切り替えスイッチなどがある

 非接触式給電の特徴は、水中でも給電が可能なこと、ショートや感電の心配がないこと、摩耗部品がなくメンテナンスフリー、接触による騒音がないといったことが挙げられる。IPSの方式は電磁誘導現象を利用したシステムとなっており、電源を供給するIPS側の1次側システムが10kHzから30kHzの高周波交流電流によって電磁エネルギーを発生させ、それを受電(バス)側の2次側システムが電気エネルギーに変換して利用するという仕組みだ。WEB-1 Advancedの車体下面に2次側システムが搭載されており、路面上に設置された1次側システムのすぐそばまで近づいて止まれば、あとはボタンを押すだけで給電がスタートする。IPSの場合、100mmの距離で効率92%だ。周囲にいると身体に害を及ぼしそうなイメージがあるが、ペースメーカーの利用者がIPSの上に寝ころんだりしない限りは、まず問題ないそうで、1m離れたら影響はほぼゼロということである。バスのように定期ルートを巡回する乗り物の場合、バッテリを必要最小限積むだけで済み(もちろん、渋滞などを考慮して余裕を持たせる必要はある)、始発の停留所と折り返しの停留所の2カ所に設置しておけば、そこで少なくとも10分程度は停車しているので、その間の給電で1時間は走れるという。

 現在、早稲田大学のキャンパス(新宿早稲田)内での運用や、複数の自治体と組んで試験運用をしているそうで、非常に評判はいいという。試験運用した地域の自治体からは売ってほしいとの声もあがるそうだが、問題は製造費用。WEB-1 Advancedも日野製「ポンチョ」をベースにしており、車両価格が1,800万円で、改造費用が5,000万円ほどかかったそうである。費用面での問題は、バスの車体を製造している大手メーカーに参画してもらい、量産体制を構築してもらうなどの必要がある。しかし、現状では利益的に厳しいという状況から、なかなか大手メーカーに参画してもらえないのが現状で、そのためにも自治体などから声がメーカーに行くよう、草の根的に全国各地で試験運用を行なっているそうである。

 最近のバスは以前に比べればクリーンになっては来ているが、やはり排ガスが出ないに越したことはない(電気を作る際には発生するわけだが)ので、バッテリの搭載量を少なくして費用面と重量面のデメリットを減らせ、なおかつ給電時の手間も省けるというこのシステムは素晴らしいので、ぜひ全国の自治体やバスの運行会社には注目してもらいたいところである。


京大が主導する1200年の伝統を最新技術に融合させた京都電気自動車プロジェクトカー

 もう1台の電気自動車は、京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリー京都市産業技術研究所工業センターや地元企業と組んで進めている京都電気自動車プロジェクトの1台。昨年11月に発表された、京都風竹型電気自動車「Bamgoo」(バングー)だ。ボディに京都(嵯峨野)産の真竹を利用しており、プロジェクトに参画している地元企業のひとつの東洋竹工(とうようちくこう)による編組の技法で構成されているのが外見上の大きな特徴だ。45本の真竹を長さ2m、幅1cmの薄い竹板900本に加工し、女性の竹細工職人が1カ月かけて編み上げたそうである。


Bamgoo。伝統工芸の芸術品のように見えるが、れっきとした電気自動車 Bamgooのリアビュー 参画した企業などのプレート。書体は勘亭流がよかったかも?

 そのほかにも伝統工芸の技術が採用されており、サイドミラー(ドアミラーの位置だがドアがない)やホイールなどは、佐藤喜代松商店による漆塗り。さらに、シートは通気性・弾性に優れ、軽量でもあり、薄さも数ミリでデザインの自由度も高いという川島織物セルコン製の新素材で作られているが、これまた和風の色づかいと編み方になっているという具合だ。まさに、外国人観光客に見せたら、大喜びでそのまま買って帰りそうな「和」を前面に押し出したデザインとなっている。降雨に弱いが、対策として耐水性の和紙を張ることを考えているそうだ。

 一方、先端技術も導入されており、京都樹脂製のフロントウィンドウはフロントピラー(フレーム)がなく、視認性抜群となっている。ちなみに車体は、トヨタ車体の電気自動車「コムスロング」がベースだ。最高速は50km/hほど。サイズは、全長2,700mm×全幅1,300mm×全高1,650mm。重量は60kgだ。ベース車両を除く製作(改造)費は50万円ほど。1充電で50kmの走行が可能だ。


サイドミラーは漆塗り シートも色合いも編み方も和風

フロントウィンドウ。フレームがないので、視認性は抜群 運転席。ステアリングも和風の装いに

 京都大学大学院工学研究科電気工学専攻引原研究室の助教の佐藤宣夫氏によれば、京都議定書発祥の地として、自治体と民間企業と連携して社会インフラ整備の早期実現に向けた各種提言をすべく、京都電気自動車プロジェクトを推進しているという。Bamgooの特徴としては、やはり竹によるクラッシャブルな構造で、人との接触事故が起きてもケガをさせにくい、もしくは負傷の度合いを低くできるというわけだ。電気自動車を街中で運転できるような、電気自動車特区を京都に設けるべく、今後は活動していくという。観光名所巡りをする場合は、電気自動車をレンタルできるようにするなどの仕組みを作っていければいいのではないだろうか。また、京都のように観光名所が集中しているような都市だけでなく、クルマは近所のスーパーや量販店まで買い物にしか使わない、なんて人にもオススメである(かなり目立つけど)。


女性でも簡単にホイールからのタイヤ脱着が簡単になるボッシュ製タイヤチェンジャー

 続いては、ドイツに本社を持つボッシュ社製の最新タイヤチェンジャーを紹介。ホイールからタイヤを脱着させる作業は、近年はタイヤチェンジャーも一般的になっているそうだが、まだまだ各種工具を使うなどかなり腕力のいる難易度の高い作業だそうである。しかし、同社のタイヤチェンジャー「TCE 4530」は、硬いタイヤのサイドウォールをこじったりするような作業はすべて油圧で行なえ、タイヤの機器への脱着での載せ降ろしなど最低限の腕力で済む設計となっている(それだけでも重労働なのだが)。ちなみにTCE 4530は、久しぶりに登場した国産スーパーカーの日産「GT-R」が採用したことで有名になった少し特殊なランフラットタイヤや、ホイール外形最大30インチの大型(軽や一般車は13~16ぐらいで、18、19で大きめ。30は大型トラックなど)にも対応している。

 今回は、実際にTCE 4530を使い、女性スタッフが実際にタイヤ交換を行なうデモンストレーションを撮影させてもらったので、最新タイヤチェンジャーのメカっぷりをご覧いただきたい。


タイヤチェンジャーTCE 4530にホイールが載っているところ 【動画】実際に女性スタッフがTCE4530を操作してタイヤ交換を行なう様子。まずは外すところから 【動画】続いて、タイヤをはめるところから。これがあれば明日からタイヤ屋を始められそうなほど簡単に見える

燃料は水のビームサーベル! プラズマ化した水が金属も軽く切断

 続いては、非常にインパクトのあったレイテック製スチームプラズマ加工機「Zプラズマ」シリーズ。水(正確にはアルコールも加える)を燃料にした工具だ。水を沸騰させて水蒸気を作動ガスとして使用し、さらにその水蒸気に放電アーク間を通過させてプラズマ化させ、それをジェットとして吹き出させるという仕組みで、金属の切断、溶接、ろう接合をこなす。見た目はまるでビームサーベルのようだ。水がプラズマ化するのは8,000度以上で、中心温度は1万度に達するそうである。

 上位機種のZP-3000だとAC100V電源25Aで鋼材4.5mmを切断でき、普及版のZP-2000でも4mmを切断できる性能だ。Zプラズマの特徴はほかにも、アースを取る必要がない、煙、NOx、ヒュームなどの発生が非常に少ない、コンプレッサー、冷却装置、ボンベなどの付帯設備が不要なこと、小型・軽量(電源装置が10kgほどで、プラズマトーチはガン型で誰でも握れるサイズ)、使用に際しての資格などは必要ない、といったことが挙げられる。デモでは、実際に水蒸気からプラズマジェットに変化し、実際に鋼材を切断する様子を見せてもらえたので、そのビームサーベルっぷりをご堪能いただきたい。


Zプラズマ一式。軽量コンパクトなのが特徴だ ガン型のプラズマトーチ。外見はビームサーベルではなくビームスプレーガン? 【動画】水蒸気(最初の数秒)からプラズマに代わり、実際に鋼材を切断する様子

URL
  第8回 国際オートアフターマーケットEXPO2009
  http://www.iaae-jp.com/japanese/index.html
  第1回 国際自動車素材・加工展
  http://www.iamp-tokyo.jp/japanese/index.html
  オートモーティブ テスティング東京2009
  http://www.auto-testing.jp/japanese/index.html


( デイビー日高 )
2009/03/13 20:26

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