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「八尾ロボットフェア2009」レポート
〜企業と子ども達がチームを組んでロボット製作


 2009年2月21日(土)、大阪府の近鉄八尾駅前のショッピングセンター「アリオ八尾」において、八尾市初のロボットコンテストが実施された。主催は、マテック八尾。

 大阪府八尾市は、機械・金属・電機・プラスティックを中心とした製造・加工などの技術を持つ中小製造業が集積する地域だ。2001年に新しいものづくりを目指す企業が集い、経営・技術交流会のマテック八尾を発足した。現在は、約40社の企業が参加し、「ものづくり」ネットワークを活かし大学や公的機関とも連携して、企業経営の課題や技術向上、新規事業へのチャレンジに取り組んでいる。

 八尾ロボットフェアは、マテック八尾のロボット分科会の活動から実現した。ロボット分科会では、小中学校向けに教材用ライントレースロボットを製作し、市内の中学校の授業に活用してきた。2006年(平成18年)には、経済産業省が推進する「ITクラフトマンシッププロジェクト」を受託し、地元中学校でロボットを教材とした授業を行なった。こうした活動の中で「ロボット競技会を開催したい」という思いが生まれたという。自作ロボットの競技会を通じ、地元児童だけでなく企業も一緒に技術力を磨くことを目指している。

 今大会のために、昨年夏から半年間ロボット教室を開催し、コンテストに参加する児童を指導してきた。子ども達16名と、ロボット分科会に加盟する企業がチームを組んでオリジナルロボットを製作。会場では、7チームがトーナメント方式で互いの技術を競った。


会場の「アリオ八尾」 八尾市市長 田中誠太氏 選手宣誓は「えだまめ君」の武田洸君

多くの観客から声援を受けながら、ロボットが技術を競った 2階・3階からも多くの来場者がコンテストを観戦していた マスコットの「アルマ君」。製作は、奈良先端技術大学院大学が担当

個性的な7体のロボットが出場

 競技は、6×6mのフィールド中央に積まれた箱を、自分のエリアに運びピラミッド状に積み上げるという内容。ロボットのサイズは、600×600×1,000mm(幅×奥行き×高さ)、重量30kg以下の制限がある。制限時間は3分間。トーナメント形式で競い、ピラミッドを高くきれいに積んだ方が勝ち上がる。


フィールドは左右に別れている。2台同時にスタートする 中央に積まれた150mm角の箱を、自分のエリアでピラミッド状に積む 勝敗はピラミッドの高さで決定。高さが同じ時は審判が美しさを基準に判定する

 出場した7チームのロボットを競技内容と共に紹介しよう。

 1回戦は、「えだまめ君」VS 「はことりくん」の戦い。「えだまめ君」は、ロボットの動きに合わせてサヤからマメが顔を出す可愛いロボットだ。独立した3つのバキュームで箱を吊り上げる方式。大会直前まで重量制限の30kgをオーバーしてしまい、ベースの板に穴を開けて軽量化するなど苦労したという。試合中は、バキュームの機構がフラフラと揺れるため、箱を吸い上げる時やピラミッドを積む時にオペレータが苦心していた。ロボット名は、八尾の名産品である「えだまめ」にちなんでいる。

 対する「はことりくん」は、前後に2種類の大きなアームを持っているのが特徴。素早く中央の箱に近づくと、3・4個つかみ用のアームで4列2段の箱をきれいに持ち上げた。反対側の上段は1・2個つかみ用アームで3個の箱を運び、積み上げた。最後に2段目の端を1つ落として、4段のピラミッドを完成させて勝った。


ロボットの動きに合わせて、サヤからマメが顔を出すのが可愛い「えだまめ君」 【動画】「えだまめ君」。独立した3つのバキュームで箱を吸い上げる方式 【動画】「はことりくん」は2段4列の箱を一気に運ぶことができる

 第2試合には、シンプルな機構が美しい「おり坊」と、四足歩行の「河内のQ太郎」が登場。「おり坊」は、産業用ロボットアームのような形状で、くの字に折り曲げたボディの先に長いアームという外見。重量は参加ロボットの中で最軽量の7.5kgだ。動きが速く、一気に中央の箱まで進んだかと思うと、いきなりアームを伸ばして箱を崩し、観客を驚かせた。崩した箱をアームと、横に突き出ている棒で一列に揃え、バキュームで吸い付けて運んだ。全方向移動のホイールで動きに無駄がなかった。

 「河内のQ太郎」は四足でフィールドを蹴り、周囲のキャスターで滑るように移動する“歩行器付”のロボットだ。ボディの回転テーブルはTV台、箱をつかむアームはお好み焼きのコテを使うなど身近なモノを使ってロボットを作った。試作段階では、サーボのパワー不足に悩むなど苦労の連続だったという。試行錯誤を含めロボット製作の難しさと、可能性を知ったことが楽しかったという。


【動画】「おり坊」。アームで箱を整列させてから、バキューム方式で一気に持ち上げる 【動画】「河内のQ太郎」。ユニークな四足歩行方式で、滑るように進む 【動画】ハンドは、お好み焼きのコテ。箱を1つ1つ持ち上げて、2段のピラミッドを完成させた

 1回戦最終試合は、「スーパーあさきち」VS 「若ごぼう」。「スーパーあさきち」は足回りが3輪の前輪独立機構を採用。左右独立駆動のため、その場旋回など方向転換が容易。伸縮するアームで、位置決めがスムーズにできるように工夫されている。競技中は、フィールド外からサポートがオペレータに指示を出し、冷静にロボットを操縦していた。

 「若ごぼう」は、アーム機構を佐藤涼也君(小学5年生)がマスタースレーブ方式で操縦、足回りはフィールド外からラジコンで操縦する分担作業を行なっていた。最初に両側のラリアートアームで箱を崩して、ブルドーザーのようにして陣地へ運んでから、メインアームで積み上げる作戦。八尾の名産品「若ごぼう」をロボット名にし、名産品PRに努めた。


「スーパーあさきち」。13社が共同でロボットを製作した 【動画】「スーパーあさきち」は、伸縮するアームの先端でバキュームしてつり下げる方式 フィールド外から無線でオペレーターにアドバイスを送っていた

「若ごぼう」。マスタースレーブ方式でアームを操縦 【動画】「若ごぼう」。足回りとアームを分担して操縦。2人の息を合わせるのが難しかったという

「若ごぼう」は、マスタースレーブコントローラーで技術賞を受賞 【動画】佐藤君(小学5年生)が操るコントローラーと同調して、ロボットのアームが動く。サイドのボタンでハンドが開く

 シード権をとって2回戦から出場したのは「ロボクワ君」。クワガタのような大きなアームで両側からがっしりと箱をつかむことができる。床に落ちている箱は、アームで囲い込んで位置を調整して持ち上げる。足回りもスムーズで、安定した動作を見せていた。プレ大会で6戦全勝という実績を持つロボットで、本大会も決勝戦に駒を進めた。

 決勝戦で「ロボクワ君」と対戦したのは「おり坊」だった。「おり坊」が中央の箱を崩すより一瞬早く「ロボクワ君」が箱を取り上げ、自陣へ運んだ。「ロボクワ君」は4段のピラミッドを完成した後に、手前に3段のピラミッドも作り上げた。「おり坊」は5段ピラミッドにチャレンジしたが、最後の1個を積み上げることができなかった。結果、両者の高さは同じだが、“美しさ”で「ロボクワ君」が優勝した。

 「ロボクワ君」のチーム代表は、有限会社藤原電子工業の藤原義春氏。メンバーはロボット製作が初めてで、何度も基板を作り直したり、アームの上下移動やタイヤの機構に苦労したそうだ。プレ大会前には、基板が燃え徹夜で大会に間に合わせたという。本大会には、「絶対、優勝するぞ」という意気込みで出場し、みごとに優勝を決めた。


【動画】決勝戦。「ロボクワ君」VS 「おり坊」の対戦。タッチの差で箱をつかんだ「ロボクワ君」。これが勝敗を決めた 【動画】残り40秒。冷静に箱を積み続ける「おり坊」だが、最後の1個が間に合わなかった 「八尾ロボットフェア2009」トーナメント結果

優勝した「ロボクワ君」の製作メンバー 準優勝の「おり坊」製作者の小野泰寛氏(奈良先端大学)

マテック八尾ロボット分科会会長 鈴木謙三氏(たくみ精密板金製作所)
 ロボットコンテストというと小中高生が主役になることが多いが、八尾ロボコンでは、ロボット教室に参加した児童と中小企業が一緒になって参加している点がユニークだ。大人達に混ざってロボット製作をし、大会に出場した子ども達は口々に「すっごく楽しかった」「練習が厳しかった」「またやりたい」と感想を述べた。

 八尾ロボットフェアを企画したマテック八尾ロボット分科会会長の鈴木謙三氏(たくみ精密板金製作所)は、「分科会に参加する企業の多くは、板金やプラスティック加工などの技術は持っているが、モーター制御や基板については知識がなかった。コンテストを通じて、各企業のレベルがアップしたと思う」と語った。


ロボット展示と体験コーナー

 会場の横では、ロボット展示・体験コーナーが開かれていた。多くの来場者がサッカーロボットを操縦したり、筋電センサーでロボットハンドを動かしたりして楽しんでいた。


立命館大学 ロボット技術研究会のサッカーロボット サッカーロボット競技体験に夢中になる子ども達 大阪工業大学生体医工学科のロボットフィンガー。筋電センサーでロボットの指を動かす

筋電センサーによるロボットハンドの動作の仕組み 子ども達もロボットフィンガーを体験操縦 大阪工業大学情報メディア学科バーチャルPaPeRoの相性診断

モニタに表示される質問に音声で答えて、相性を診断する 大阪工業大学 モノラボの二足歩行ロボット体験コーナー 八尾市発祥の河内音頭を演奏するロボット。愛知万博にも展示された

URL
  マテック八尾
  http://www.matec-yao.com/
  マテック八尾ロボット分科会
  http://matecyao.com/


( 三月兎 )
2009/02/26 15:15

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