2008年12月29日(月)~30日(火)、東京・秋葉原のKONDO ROBOSPOTにて、二足歩行ロボットサッカー競技大会「KONDO CUP」の第13回大会が開催された。年の瀬が押し迫った中での開催となったが、のべ10チームが集まって2008年最後のロボットイベントを楽しんだ。
● KHRクラス
4チームのエントリーにとどまったため、総当りによる勝ち点制で優勝を決めることになったKHRクラス。今回は優勝を経験したチームが参加していなかったので、全チームが“初優勝”をかけた戦いとなった。
緒戦は「第一小隊」対「こめた3兄弟(3は正式には○かこみ)」。個人参加チームの「第一小隊」に対し、「こめた3兄弟」は3機とも森永英一郎氏が所有する“こめた”なので、ある意味個人チームともいえる。そして「こめた3兄弟」チームのオペレーターは2人しかいない状態で試合がスタートした。
「こめた3兄弟」は、森永氏の息子さんがFWの1機を担当。森永氏はコントローラーのシフトボタンを駆使してFWのもう1機とキーパーを操作し分ける(つまり森永氏が担当する2機は同時に動くことができない)という不利な状態だったが、「四川会Jr.」(第11回KONDO CUP・KHRクラスで優勝)と同じ足構造を持っている有利な点を活かした試合展開に持ち込む。
一方の「第一小隊」は主力でありチームリーダーの「コア」(新井克巳氏)が超高速の横歩きで攻め上がるものの、残り2機がROBOSPOTの貸し出し機体(ほぼノーマルの機体)ということもあって、防御に回らざるを得ない場面も多く、最終的に両チーム五分の戦いで0-0のスコアレスドローとなった。
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3体の“こめた”に対して2人のオペレーターで緒戦を戦った「こめた3兄弟」
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「第一小隊」のコアはインターバルでサーボを冷やすために、寒い外の空気に晒すという工夫(?)をみせていた
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【動画】「こめた3兄弟」対「第一小隊」。以降、左側(画面奥手)対右側(画面手前)で表記
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【動画】「NITH FC」対「RFCオータムリーフ」
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2戦目は「RFCオータムリーフ」対「NITH FC」。「RFCオータムリーフ」は、正メンバーが揃わなかったため、この日個人参加していたイガア氏の「セイガ」が加わっている。一方の「NITH FC」は学生(高校生)の部活チームということだった。
試合は開始早々から「セイガ」が優勝経験者の本領を発揮。キックオフから相手ゴール近くのキックインを得ると、ゴール際にアプローチ。そこから自分で詰めて、1人で先制点をゲットする。その勢いは前半だけでハットトリック(1人で3点決めること)達成ということでもわかるだろう。後半に入って「ゼルファー」(白風M氏)も加わって攻め上がる「RFCオータムリーフ」に対して「NITH FC」のほうは全員守備体制。試合終了間際には「セイガ」が突然のフリーズでフィールドから消えるという大チャンスもあったが、結局得点はならず。3-0で「RFCオータムリーフ」の勝利となった。
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【動画】「RFCオータムリーフ」対「第一小隊」
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3戦目は連戦となる「RFCオータムリーフ」対「第一小隊」。緒戦を引き分けてしまったため、ここは何としても勝ちたかった「第一小隊」だったが、一瞬の隙を突いて「セイガ」にシュートを決められてしまい、0-1の惜しい敗戦となった。一方、「RFCオータムリーフ」はこれで2勝となり、優勝にリーチがかかる。
KHR-2HVの体験操縦タイムを挟んで行なわれた4戦目は、「こめた3兄弟」と「NITH FC」の顔合わせ。「NITH FC」はすでに1敗しているだけに、何としても勝ちたい一戦。「こめた3兄弟」のほうも、優勝に片手がかかっている「RFCオータムリーフ」とぶつかる最終戦に望みを残すために、やはり勝ちたい一戦。勝ちたい同士の戦いは、オペレーターが3人になってスムーズな攻めが可能になった「こめた3兄弟」が終始攻め込み、2-0で完勝。「NITH FC」は続く5戦目でも「第一小隊」に0-4で負けてしまい、辛い初参加となった。「NITH FC」の機体はほぼノーマルのようだが、KHRはモーションを改良するだけで別の機体のように素早くなるので、ぜひスピードを磨いて欲しいと思う。日本工業大学駒場高校のクラブで作ったチームということだが、高校生のチームは珍しいので、ぜひ今後も参加して欲しい。
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【動画】「NITH FC」対「こめた3兄弟」
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【動画】「NITH FC」対「第一小隊」
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【動画】「RFCオータムリーフ」対「こめた3兄弟」
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最終戦の「RFCオータムリーフ」対「こめた3兄弟」を残した状態で、「RFCオータムリーフ」が勝ち点6でトップ。2位に勝ち点4で「こめた3兄弟」と「第一小隊」が並び、最下位が「NITH FC」というリザルト。勝利で3点、引き分けで1点、負けると0点を獲得できるので、この時点で優勝の可能性があるのは、直接対決している「RFCオータムリーフ」と「こめた3兄弟」だけ。だが、すでに全試合を終えた「第一小隊」は「こめた3兄弟」が負ければ得失点差で単独2位になる可能性が残されている。
「負けたら優勝できない」という2チーム同士による最終戦は、どちらも譲らない全面闘争状態でスタート。「RFCオータムリーフ」は縦横無尽に駆け回る「セイガ」がオフェンス/ディフェンスに大車輪の活躍。ゴール直前まで迫るものの、「こめた3兄弟」のキーパーは再三の好セーブを見せ、ゴールを割らせない。一方、「こめた3兄弟」側は、3兄弟がオーバーラップしながらフォローしあう戦い方が最終戦にきてついにフィットしたようで、見ているとどれがキーパーだったかわからなくなるほど。最後の最後、残り14秒でゴール正面に絶好のボールが転がった瞬間、「私に託して!」と叫んだ森永氏の祈りを乗せた最後のシュートはチョロキックになってしまい、結局スコアレスドロー。「RFCオータムリーフ」が優勝となった。
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KHRクラス出場者集合写真
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「RFCオータムリーフ」は正メンバーの「ゼルファー」と「エミア選手」(向山正晴氏)の両機がともに6V時代のKHR-1ということで、試合の中ではなかなか有利なポジションを取れなかったが、助っ人として加わった「セイガ」の後ろをしっかりフォロー。特に「ゼルファー」は渋い動きを随所で見せていた。「ゼルファーはお年玉で買ったもので、そのあとお金がないのでなかなかHV化ができなくて……」と話す白風M氏だが、じつは「NITH FC」と同じ部活の先輩。今回はHVの後輩に貫禄を見せた格好になった。
かつてKHRクラスで5連覇を果たした「RFCバンブーブリッジ」をリスペクトしたという「RFCオータムリーフ」。メンバーは4名いるということなので、今後のチームの活躍に期待したい。
● オープンクラス
オープンクラスは6チームになったため、3チーム同士のリーグ戦の勝者同士が決勝戦を行なう方式で開催された。今回は会場の都合で最初にAリーグ3チームが入場→総当たり戦を行なってAリーグの決勝進出チームを決めてから整備スペースの入れ替わりが行なわれ、Bリーグ3チームが入場→総当たり戦を行なって決勝進出チーム決定→Aリーグの決勝進出チーム入場→決勝戦という、いささかややこしい試合進行となった。
Aリーグを戦うのは、優勝回数が群を抜いている絶対王者「トリニティ」、そのトリニティを倒すために最強助っ人イガア氏と四川会の森永氏&すがわら氏が組んだ「打倒!トリニティ」、「GAT」「Gram」「ジュノー」という3機の個人参加者が集まった「思い立ったが吉日」という3チーム。
緒戦、「トリニティ」がいきなり猛攻を見せ、「思い立ったが吉日」に5-0の圧勝。2戦目では「打倒!トリニティ」も同じく「思い立ったが吉日」に2-0の勝利を収めた。「思い立ったが吉日」は試合が進むにつれてチームとして機能し始めていただけに、個人参加チームの弱点である「慣れるまでの時間」につけ込まれてしまったのが惜しかった。
リーグ優勝の座をかけた直接対決となる、Aリーグ最終戦だったが、なんと先制点はスローインから「サアガ」が決めて、「打倒!トリニティ」に。しかし、ゴールスローをしようとした森永氏の「へびめた」がボールを持ったままゴール内に転倒し、オウンゴールで同点としてしまい、前半を終了する。後半が始まると、“打倒!”という気概がボールに乗り移ったか、こぼれ球を「サアガ」が再び押し込んで、あらためてリードする。これで「トリニティ」が焦るか……と思った再開直後、今度は「ガルー」のキックオフボールがスルスルと「打倒!トリニティ」のゴール右隅に吸い込まれて、またも同点。結局2度リードされながらも、2度とも追いついた「トリニティ」が引き分けで同じ勝ち点ながら得失点差で決勝に進出した。
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【動画】「トリニティ」対「思い立ったが吉日」
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【動画】「打倒!トリニティ」対「思い立ったが吉日」
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【動画】「打倒!トリニティ」対「トリニティ」
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Bリーグは筆者も参加する「RFCバンブーブリッジ」と、ROBOSPOTの常連さんで組んだ「スペシャルガンバ」、フラワー戦隊ナガレンジャーとゆかりの深い「関東支部」の3チームによる構成。
緒戦は「RFCバンブーブリッジ」が、いまいち実戦のペースを掴みきれない「スペシャルガンバ」から開始すぐに先制点をゲット。そのまま前半のうちに石井氏の「fighting-γ」が2点目も押し込む。後半に入って「宗0郎」のみごとなミドルシュートで3点目を奪うものの、そこから「fighting-γ」が足首サーボのギヤ欠けで戦線離脱。そして2人の状態でも攻め上がった「宗0郎」が今度は突然のハングアップ(原因不明)でフィールド外に。フィールド上は筆者の「あずさ2号F型」1機で「スペシャルガンバ」を迎え撃つことになり、当然失点。その後、試合勘をつかんだ「スペシャルガンバ」の「デュミナス」「ファントム」「パソドブレ」にゴール前3cmあたりまで押し込まれたが、大塚氏の予備機「間野井A一郎」の助けもあってなんとかしのぎきり、3-1で勝利する。
「宗0郎」が復帰してとりあえず揃った「RFCバンブーブリッジ」。だが、続く「関東支部」戦は、開始してすぐにクリアミスからキーパーが油断している間に「ナガレゴールド」に先制点を奪われると、3機ともに思うように動けず、「ナガレラベンダー」がフィールド外に出るというチャンスも活かせず、後半にはカウンターで「ナガレゴールド」に2点目を決められ、万事休す。0-2で敗戦する。
最終戦を前にして、「RFCバンブーブリッジ」が勝ち点3の得失点差0、「スペシャルガンバ」は勝ち点0の得失点差-2、「関東支部」は勝ち点3の得失点差+2。「関東支部」が勝つか引き分ければ文句なく決勝へ。負けても1点差なら得失点差で優位に立つ。「スペシャルガンバ」は3点差以上をつけて勝てば逆転で決勝に進むのだが、2-0での勝利となると、全チームが勝ち点3・得失点差0で並び、総得点でも「RFCバンブーブリッジ」と並んでしまうという、複雑な状況を内包した一戦となった。
「スペシャルガンバ」対「関東支部」の最終戦は、調子の出てきた「スペシャルガンバ」がグイグイ押し込み、好セーブを見せる「関東支部」のキーパー「ナガレシルバー」から先制点をもぎ取るが、後半にこの日絶好調の「ナガレゴールド」が同点ゴールを決めて、そのまま試合終了。その結果「関東支部」が決勝に進んだ。
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【動画】「スペシャルガンバ」対「RFCバンブーブリッジ」
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【動画】「関東支部」対「RFCバンブーブリッジ」
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【動画】「関東支部」対「スペシャルガンバ」
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決勝はAリーグ代表「トリニティ」対Bリーグ代表「関東支部」。開始直後から「トリニティ」はキーパーの「さくら2号」まで「関東支部」ゴール前に上がる前がかりの展開。何度となくシュートを放つが、「ナガレシルバー」がセーフティにボールをキープするプレーを続け、前半を0-0で折り返す。後半になって「トリニティ」は「クロムキッド」と「キャバリア」が入れ替わったものの、戦い方は同様にキーパーまで上がる超攻撃的なフォーメーション。ゴール前は当然ごちゃついた展開になり、その中からこぼれたボールが「関東支部」ゴールへ。結局これが決勝点となり、1-0で「トリニティ」が優勝となった。
「何度目でしたっけ」と聞いても「もう覚えてないです」とメンバーが答えるほどに、いつも優勝している「トリニティ」。先日のROBO-ONEで「キャバリア」のえまのん氏が軽量級で優勝したため、4人中3人がROBO-ONEの軽量級優勝経験者(「さくら2号」の吉田氏もファイナリストである)という、それだけでとんでもないチームではあるが、それにしても後に続くチームが現れない。バンブーブリッジも含めて。
「早く負かして欲しいんだ」(えまのん氏)というコメントもあったが、それでも「トリニティ」の面々はただ負けるのを良しとはせず、常にどうやったらいい試合ができるかを考えてモーションを煮詰め、機体を改良している。その姿勢がある限り、「トリニティ」の王座は揺るがないかもしれない。
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【動画】「関東支部」対「トリニティ」
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オープンクラス参加者集合写真
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● 次回のオープンクラスは新橋・タミヤモデルファクトリーにて!
2009年のKONDO CUPは、早くも2月14日(土)~15日(日)に予定されている。14日は新橋・タミヤモデルファクトリー2Fのイベントスペースにて、オープンクラスを開催。翌15日は秋葉原のROBOSPOTにてKHRクラスが開催されるとのことだ。すでに公式サイトで両クラスともに募集され、オープンクラスは枠が埋まってしまうほどの人気だ。機体を持っていなくても、試合当日は体験操縦ができるので、ぜひ観戦に訪れてもらいたい。2009年は隔月開催に戻る予定ということなので、楽しみだ。
■URL
ROBOSPOT
http://robospot.jp/
近藤科学
http://www.kondokagaku.jp/
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・ ロボットサッカー大会「第12回KONDO CUP」レポート(2008/10/22)
( 梓みきお )
2009/02/05 17:10
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